グンドゥルク・コ・ジョル|保存した葉を、もう一度汁に戻す
グンドゥルクの黒っぽい葉を、酸味と刺激のある薄い汁でやわらかく煮ます。味を運ぶのはマスタードオイルと香味野菜、少しの唐辛子です。このレシピはじゃがいもも豆も入れない、澄んだ汁の版です。
深鍋でマスタードオイルを煙が立つほど熱します。にんにく、赤玉ねぎ、生姜、青唐辛子、トマトを入れ、続いて水で戻して絞った黒っぽい葉をひとつかみ加えます。ターメリック、赤唐辛子粉、塩を混ぜたら、食べる人1人につき1カップの水を注いで、ぐらぐらと沸かします。最後に刻んだ香菜をのせれば、一杯の出来上がりです。
これがグンドゥルク・コ・ジョルです。グンドゥルクという発酵させて干した葉菜を使う、酸味と刺激のあるスープです。ここで紹介するのは、ジャーナリストのDiwash Gahatrajが The Goya Journal に発表した家庭版の書面レシピで、インドとブータンのネパール語話者のディアスポラ(離散して暮らす人々)の食卓として紹介されたものです。その記事では、著者の祖母が毎年冬に青菜を用意して翌年分のグンドゥルクを作り、家族はそれをこのジョルにして食べていたと語られています。あくまで一つの家庭のレシピであり、ネパール全体に共通する唯一の型として紹介するものではありません。
グンドゥルクは、発酵させて干した葉菜という食材の名前です。グンドゥルク・コ・ジョルは、それを使ったスープのことです。「ジョル」は汁気のある料理を指します。グンドゥルクは漬けものやカレーなど、ほかの料理にも使われますが、それらは別の料理です。
グンドゥルクは発酵させた葉菜で、完成した料理ではない
食材と料理の名前は混同しやすいところです。ネパール科学技術アカデミー(Nepal Academy of Science and Technology)の食品調査書『Traditional Foods of Nepal』は、グンドゥルクを、からし菜、カリフラワー、大根などアブラナ属(Brassica)の植物の葉や若い苗から作る発酵葉菜の食品と説明しています。家庭で作られること、作り方が土地によって違うことも書かれています。同じ本は、グンドゥルクと、大根から作る別の発酵食品シンキ(sinki)を別の産物として扱い、スープ、カレー、漬けものを、グンドゥルクの別々の使い方として記しています。
この記事で扱うのは、すでに発酵・乾燥まで済んだグンドゥルクを使うスープだけです。生の葉からグンドゥルクそのものを作る工程は、このレシピに含まれません。手元の資料の記述は家庭で試せる発酵方法として検証されたものではないため、発酵の手順、時間、安全確認は載せません。
ネパール語話者のディアスポラの、ある家庭の鍋
Diwash Gahatrajは The Goya Journal の記事で、グンドゥルク・コ・ジョルを家族の記憶とともに紹介しています。翌年のグンドゥルクにするために冬の青菜を用意した祖母と、家で白いご飯と一緒に食べた汁です。これらの記憶は著者とその家族のものです。すべての家庭の姿として、あるいはこの料理の歴史として紹介するものではありません。
この書面レシピには、作る前に知っておきたい特徴が二つあります。一つめは、人数に応じて量が決まるのはグンドゥルクと煮る水だけで、1人につきグンドゥルク大さじ1、水1カップという点です。ほかの材料はすべて、鍋ひとつ分の決まった量です。二つめは、全体の人数分、調理時間、カップの基準、浸す水の量が書かれていない点です。この記事でも、推測で埋めずにそのままにしてあります。レシピには、著者の祖母が加えていた、ゆでたじゃがいもの任意の追加も出てきますが、この記事では澄んだ汁にするため、じゃがいもなしの版で作ります。
世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作して確認してはいません。
グンドゥルク・コ・ジョルの材料

グンドゥルクと煮る水は1人分ずつ量を決めます。ほかの材料は鍋ひとつ分の決まった量です。
| 材料 | 分量 | 代替・備考 |
|---|---|---|
| グンドゥルク(発酵させた干し葉菜) | 1人につき大さじ1 | スープの中心。調理前に水に浸し、洗って絞る |
| 水(浸す・洗う用) | 適量 | グンドゥルクをやわらかくして洗うためだけに使う |
| 赤玉ねぎ | 1個 | 細かく刻む。油で香味野菜として炒める |
| にんにく | 3〜4かけ | 刻む。香味野菜として炒める |
| トマト | 2個 | 刻む。香味野菜と一緒に炒める |
| 生姜のすりおろし | 小さじ1/2 | 香味野菜として炒める |
| 青唐辛子 | 1本 | 刻む。辛みを加え、香味野菜と一緒に炒める |
| マスタードオイル | 大さじ2 | 鍋で煙が立つほど熱し、香味野菜を炒める |
| ターメリック粉(ハルディ) | 小さじ1/2 | グンドゥルクを炒めたあとに加える |
| 赤唐辛子粉 | 小さじ1/2 | 色づけ。ターメリックと塩と一緒に加える |
| 塩 | 適量 | 味をみて、スパイスと一緒に加える |
| 水(煮る用) | 1人につき1カップ | スープになる水。浸す水とは別にしておく |
| 香菜 | 1枝 | 刻み、仕上げに散らす |
蒸した白米は、お好みで添える料理として別に用意します。スープの材料には含めません。
道具
- 深さのある鍋
- グンドゥルクを浸すボウル
- かき混ぜるスプーン
選び方と代用
このスープは、乾燥グンドゥルクとマスタードオイルという、探す必要があるかもしれない二つの材料に支えられています。乾燥グンドゥルクは、南アジア食材店やネパール食材店で「乾燥グンドゥルク」「dried gundruk」と探してください。この料理の姿を保てる代用品はありません。キムチやザワークラウト、そのほかの漬けものでは別のスープになるため、代用としてはすすめません。
マスタードオイルは、食用または調理用と表示されたものを選び、商品の表示に従ってください。グンドゥルクは、市販の加工済みの乾燥品を使い、取り扱いと保存は包装の表示に従ってください。このレシピは、グンドゥルクを家庭で発酵させる方法を扱いません。
ブランド、価格、在庫状況は商品によって異なるため、ここでは扱いません。
作り方
時間ではなく、鍋の状態を目安に進めます。香味野菜を入れる前に油が煙が立つほど熱いこと、水を入れる前にスパイスを全体に混ぜること、最後に勢いよく沸かすこと、の三つです。
グンドゥルクを1人につき大さじ1ずつボウルに入れ、水をかぶるくらい注ぎます。数分浸したら洗い、手で余分な水を絞ります。煮る水は別にしておき、手順5で計ります。

- マスタードオイルを熱して、香味野菜を炒める
深鍋にマスタードオイル大さじ2を入れ、煙が立つほど熱い状態にします。にんにく、赤玉ねぎ、生姜、青唐辛子、トマトを加え、一緒に炒めます。

- グンドゥルクを加えて炒める
戻して絞ったグンドゥルクを鍋に加え、香味野菜と一緒に炒めます。

- ターメリック、赤唐辛子粉、塩を加える
ターメリック粉小さじ1/2、赤唐辛子粉小さじ1/2、塩を味をみながら加えます。全体が混ざり、ターメリックの生っぽい匂いが飛ぶまでかき混ぜます。

- 水を加えて、ぐらぐらと沸かす
1人につき1カップの水を注ぎ、スープを勢いよく沸かします。

- 香菜を散らして盛る
器によそい、刻んだ香菜を散らしてできあがりです。

蒸した白米と食べる

このレシピのもとになった家庭の語りでは、グンドゥルク・コ・ジョルはご飯と一緒に食べるものとして描かれています。白い蒸し米は別の器に盛り、汁は薄く酸っぱいまま味わってください。ご飯は添える料理であって材料ではなく、1人分の分量にも含めません。
トラブル対処
| 状況 | 何が起きているか | 対処 |
|---|---|---|
| 汁がさらっとして見える | この版はそういう汁です | じゃがいもを入れない、澄んだ汁のジョルです。もう少しとろみのある家庭版については、下のじゃがいもの注記を見てください |
| 油が強く煙を上げている | 必要な状態を過ぎています | 油が煙が立つほど熱くなったらすぐに香味野菜を入れてください。煙を増やすために熱し続ける必要はありません |
| スパイスを入れるとき鍋が乾いている | スパイスは水より先に入れる手順です | グンドゥルクと香味野菜に混ぜ込んでから、手順5で水を加えてください |
| 人数が違う | 1人分で決まるのは2つの量だけです | グンドゥルクと水を1人分ずつ増減してください。ほかの材料は鍋ひとつ分の決まった量なので、塩は味をみて調整します |
| グンドゥルクが見つからない | この料理を決める材料です | ほかの漬けもので代えず、南アジア食材店やネパール食材店で乾燥グンドゥルクを探してください |
ほかの鍋、ほかのグンドゥルク料理
以下は別の版、または別の料理です。背景として紹介するもので、上のレシピには混ぜません。
| 版 | 変わるところ | このレシピとの関係 |
|---|---|---|
| じゃがいも入り | 大きなじゃがいも1個をゆでて刻み、鍋の中でレードルでつぶす | 同じ家庭のレシピで、著者の祖母が加えていた任意の追加。澄んだ汁にするため、ここでは入れない |
| 大豆とクミン入り | グンドゥルクに、大豆(バトマス)、塩、にんにく、クミン粉、油、水、ターメリック、唐辛子粉を合わせる | ネパールのネパール料理調理人の職業技能基準に載っている。分量と順序は示されていないため、ここではレシピにしない |
| グンドゥルクのカレー | グンドゥルクを、じゃがいも、トマト、大豆、玉ねぎなどと一緒に煮る | 別の料理。『Traditional Foods of Nepal』に記述がある |
| グンドゥルクのアチャール(漬けもの) | 戻したグンドゥルクを、玉ねぎ、塩、マスタードオイル、青唐辛子と和える | グンドゥルクの別の食べ方で、スープではない |
よくある質問
グンドゥルクとは何ですか?
からし菜、カリフラワー、大根の葉など、アブラナ属の葉や若い苗を発酵させ、干した食品です。グンドゥルク・コ・ジョルは、それを使ったスープです。
グンドゥルク・コ・ジョルとグンドゥルクのアチャールは同じですか?
いいえ。ジョルは汁気のあるスープです。アチャール(漬けもの)は、グンドゥルクを玉ねぎ、塩、マスタードオイル、青唐辛子と合わせる、別の調理です。
大豆を入れてもよいですか?
この版には入れません。ネパールの職業技能基準には大豆とクミン入りのグンドゥルク・コ・ジョルが挙げられていますが、それは別の配合で、分量も作り方も公表されていません。ここで紹介する家庭版には、どちらも入りません。
じゃがいもを入れてもよいですか?
この家庭のレシピには、著者の祖母の任意の追加として、ゆでて刻み、レードルでつぶした大きなじゃがいも1個が出てきます。この記事では、汁を澄んだままにするため、じゃがいもなしの版で作ります。
何人分で、どのくらい時間がかかりますか?
レシピには、全体の人数分も調理時間も書かれていません。1人分で決まっているのは、グンドゥルク(1人につき大さじ1)と煮る水(1人につき1カップ)だけで、ほかの材料は鍋ひとつ分の決まった量です。それ以上の人数分や時間は、足していません。
グンドゥルクは家庭で作れますか?
グンドゥルクは家庭で作られ、作り方は土地によって違いますが、この記事では家庭での発酵方法、時間、安全確認は紹介しません。市販の加工済みの乾燥グンドゥルクを使い、包装の表示に従ってください。
グンドゥルクやこのスープはプロバイオティクスや健康食品ですか?
この記事は、グンドゥルクやこのスープについて、健康、栄養、プロバイオティクスに関する主張をしません。もとの家庭の語りには健康に触れる個人的な話がありますが、著者自身の話として触れるにとどめます。
残ったスープはどう保存しますか?
レシピには完成したスープの保存方法が書かれていないため、この記事でも案内しません。乾燥グンドゥルクは、包装の表示に従ってください。







