チキン・シーク・カバブ:串に巻くパキスタンのチキンケバブ
「チキンケバブ」と呼ばれる料理はたくさんあります。この記事が取り上げるのはそのうちの1つ、刻んだ鶏肉と自家製のスパイスミックスを金属串に巻き、タワで焼き色をつけるチキン・シーク・カバブです。公開されている1つのレシピであり、パキスタンのチキンケバブの唯一の国民的な配合ではありません。
クミン、コリアンダーシード、カルダモン、シナモンといったホールスパイスを、油を引かないフライパンで香りが立つまで炒ります。挽いたスパイスミックスは、刻んだ鶏肉に玉ねぎ、青唐辛子、生の香菜と一緒に混ぜ込みます。それを金属串のまわりに細長い円筒状に押しつけ、油を引いたタワで、全面がきつね色になるまで転がしながら焼いていく。このレシピが描く一皿は、そんな姿です。
ここで紹介するのは、パキスタンの料理メディアFood Fusionが、Kanwal Mohsin氏のレシピとして公開している「Restaurant Style Chicken Seekh Kabab with Chutney」です。Food Fusionはこれをイード(Eid)のメニュー向けの一品として紹介しています。同じページにはタマリンドと赤唐辛子のチャツネも載っているので、小さなレシピとして別にまとめました。以下の分量と手順はすべてこの1つのレシピによるもので、ほかのチキン・シーク、レシュミ、シャミのレシピから借りたものはありません。世界ごはん紀行編集部では、このレシピを台所で試していません。
公開されたままにしている点がいくつかあります。レシピは骨なし鶏肉750gを使い、100gずつ取って成形し、「makes 9–10」(9〜10本分)としています。この3つの数字がどう結びつくのか、肉だね全体の重さは何gなのかは説明されていないため、この記事でも書かれたとおり並べ、計算し直してはいません。鶏肉の部位、皮の有無、タワでの焼き時間、油の温度も、レシピには書かれていません。
同じ国のほかの料理は、パキスタンの国別ページからご覧ください。
「シーク」の意味と、パキスタンの食卓でのこのケバブ
ウルドゥー語では、この料理は سیخ کباب と書きます。Arab Newsは、シーク・カバブを「串(skewer)に刺したカバブ」と簡潔に説明し、肉を串のまわりに成形する料理としています。Food Fusionのレシピも同じ形で、鶏肉のたねを金属串に巻いてから火を通します。名前は料理の形を表しているわけです。いつ、どこで、誰が最初に作ったのかについてはこの記事では推測しませんし、シーク・カバブがパキスタンだけのものだとも述べません。
Google Arts & Cultureが公開しているSOCH Outreach Foundationの展示「パキスタンの肉料理」は、もう少し広い食卓の様子を教えてくれます。シーク・カバブやレシュミ・カバブはパキスタンの焼き肉・網焼きの肉料理として挙げられ、ロティ、チャツネ、薄切りの野菜と一緒に食べるのが一般的だと説明されています。また、肉の調理法や名物料理は地域ごとに異なり、バローチ地方のサッジ(sajji)やペシャワール風のチャプリ・カバブのように、生まれた土地を越えて知られる料理もあるそうです。同じ展示は、多くの家庭にとって鶏肉がより手頃なたんぱく源であることにも触れています。こうして並べてみると、焼いた肉がさまざまな地域色を持ち、鶏肉が祝いの席だけでなく日々の実用的な選択肢でもある食卓が見えてきます。
Food Fusionは、このレシピをイードのメニューに位置づけています。これは出版社がレシピをどう紹介したかという話で、いつ食べるべきかという決まりではありません。参照した資料のどこにも、チキン・シーク・カバブがイードにだけ食べられるとも、祝祭の料理として始まったとも書かれていません。同様に、1つの出版社のレシピがすべての家庭や地域を代表することもありません。パキスタンで公開されているプロ向けのレシピ同士でも、次の比較のとおり違いははっきりあります。
ほかのケバブとの違い
| 料理 | どんな料理か | このレシピとの違い |
|---|---|---|
| このチキン・シーク・カバブ | 生の鶏肉を刻み、スパイスと水気を絞った野菜を混ぜて金属串に巻き、タワで焼く | — |
| ビハリ・ケバブ | 薄切りの牛肉を、ヨーグルト、青パパイヤ、マスタードオイル、スパイスで漬け込んで焼く | 薄切り牛肉を長く漬け込む料理で、刻んだ鶏肉を串に巻くものではない |
| チャプリ・ケバブ | 牛ひき肉にトマト、玉ねぎ、アナルダナなどを混ぜ、平たいパティにしてフライパンで焼く | 串に巻く円筒形ではなく、平たいパティ |
| チキン・カラヒ | 鶏肉をトマトと一緒に鍋で調理する | 煮込み料理で、ケバブではない |
| シャミ・カバブ | Food Fusionのレシピでは、牛ひき肉とチャナダル(ひよこ豆を割ったもの)を調理して乾かし、ハーブと卵を加えて挽き、パティにして揚げる | 成形する前に火を通す。このシークの肉だねは生のまま串に巻く |
| レシュミ・カバブ | 別の名前を持つチキンケバブ。Cooking with Kawishの公開例では、細かいチキンのひき肉、クリーム、カシューペースト、控えめな香辛料を使う | これらの材料はどれも、このシークのレシピには入らない |
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用
玉ねぎ、青唐辛子、生の香菜、しょうがにんにくペーストは、たいていのスーパーで手に入ります。気をつけたいのはホールスパイスのほうです。南アジア食材店で買い、ラベルを材料表と照らし合わせるとよいでしょう。
- クベブペッパー(kabab cheeni) は黒こしょうとは別のスパイスです。このレシピでは両方を使うので、クベブペッパーの代わりに黒こしょうを増やすことはしません。
- ブラックカルダモンとグリーンカルダモンは別々の材料です。黒い莢が1個と、緑の莢が2〜3個を使います。
- アジョワン、ローストチャナ(炒りひよこ豆)、クエン酸(tatri)は、たいてい南アジアの食材店で売られています。ローストチャナは、すでに炒ってあるひよこ豆の製品で、乾燥した生のひよこ豆ではありません。
- チャツネには、ケバブ用の1/2カップとは別に、タマリンドペーストと生の香菜1カップをたっぷり使います。
- 骨なし鶏肉は、部位も皮を残すかどうかも自由です。
これらのスパイスは代用しないでください。たとえばクベブペッパーをオールスパイスに、クエン酸をレモン汁に替えると、別の料理になってしまいます。置き換えた場合は、その仕上がりをご自身のアレンジとして考えてください。
道具
- 乾煎り用のフライパン
- スパイスミルまたはグラインダー
- フードチョッパー
- 蓋かラップのできるボウル
- 金属串
- タワ(平らな鉄板のような調理器具)
- チャツネ用のブレンダー
- 食品用温度計
- 生の鶏肉用と加熱後の食べ物用に分けた、まな板・調理道具・皿
食べ方

ケバブには、同じページで作ったタマリンドと赤唐辛子のチャツネを添えます。パキスタンの食卓をもう少し広く眺めると、SOCHの展示は、シーク・カバブのような焼き肉をロティやチャツネ、薄切りの玉ねぎ、きゅうり、トマトと一緒に食べると紹介しています。これはあくまで一般的な習慣の説明です。レシピにはサイドサラダの分量が書かれておらず、チャツネを添えるだけでもケバブは十分に楽しめます。
困ったときの確認
| 気づいたこと | 確認すること |
|---|---|
| 挽いたスパイスの香りが弱い | 油を引かずに、香りが立つまで(2〜3分)乾煎りし、挽く前にしっかり冷ます |
| スパイスの味が想像と違う | クベブペッパーと黒こしょう粒を別々のスパイスとして使ったか、ブラックカルダモン1個とグリーンカルダモン2〜3個になっているかを確かめる |
| 成形するとき、肉だねが水っぽい | 混ぜる前に、刻んだ玉ねぎ・青唐辛子・香菜を手でしっかり絞って余分な水気を落とす |
| 100gずつ取っても9〜10本にならない | レシピは鶏肉750g、100gずつ、「makes 9–10」を書いていますが、3つの関係は説明していません。100gずつ成形して、できた本数を数えるだけにする |
| 外側はきつね色だが中の火通りが不安 | 食品用温度計を使う。FDAの基準は鶏肉で165°Fで、色だけでは確かな判断にならない |
ほかに公開されているレシピとの違い
チキンのシークのレシピは、公開している出版社ごとに違います。パキスタン料理のタグがついたユニリーバ・フードソリューションズ・パキスタンのプロ向けレシピは、鶏ひき肉に動物性脂肪のひき肉、揚げ玉ねぎ、香菜、青唐辛子、卵、市販のコーティングミックス、チキンストックパウダーを加えます。少なくとも3時間冷やしてから、弱〜中火の炭火で焼く方法です。Cooking with Kawishのレシュミ・カバブは、細かいひき肉、クリーム、カシューペーストを使う、まったく別の方向のレシピです。
これらを見ると、この仲間がいかに幅広いかが分かります。ただ、このレシピを作るなら、ホールスパイスの組み合わせ、二度挽き、水気を絞った野菜、タワ焼きを守り、ほかの料理に属する卵、クリーム、カシュー、ヨーグルト、パパイヤ、トマト、アナルダナは入れないでください。
よくある質問
kabab cheeniの代わりに黒こしょうを使えますか?
レシピは、クベブペッパー(kabab cheeni)と黒こしょう粒を別々の材料として挙げており、クベブペッパーの代用は示していません。黒こしょうを増やして代わりにすると、スパイスミックスが変わってしまうので、南アジア食材店でkabab cheeniを探してください。
炭の煙の工程は省いてもよいですか?
Food Fusionはこれを手順の1つとして載せており、省略できるとは書いていません。煙の準備の仕方も説明していません。米国CPSCの案内によれば、炭の使用は必ず屋外に限り、換気をしていても屋内では使えません。この記事は屋内での手軽な代用方法を示しません。この工程を省くと、公開されているレシピとは違うケバブになります。
750g、100gずつ、「makes 9–10」が、きれいに合わないのはなぜですか?
レシピは3つとも書いていますが、肉だね全体の重さも、それらの関係も説明していません。この記事では、新しい本数に直さず、書かれたとおり並べています。
鶏肉はどの部位を使えばよいですか?
レシピは骨なし鶏肉とだけ書いていて、部位も皮を含めるかどうかも示していません。
タワでは何分焼きますか?
焼き時間も油の温度も示されておらず、「中火で全面がきつね色になるまで」とだけあります。鶏肉が安全に火が通ったかどうかは、色に頼らず、食品用温度計で鶏肉が165°Fに達したか確かめるのがFDAの案内です。
残ったケバブは取っておけますか?
ケバブにもチャツネにも、レシピに保存の案内がないため、ここでも案内しません。


















