バビ・グリン:全頭の回し焼きから、家庭のオーブンのロールへ
香味ペーストは肉側の内側に入れること。皮は覆わずに冷蔵庫で一晩乾かすこと。火が通ったかどうかは、時間ではなく温度計で判断すること。
バリ島の祝いの食卓を思い浮かべてみてください。香辛料を詰めた豚を丸ごと一頭、回しながら焼き上げ、集まった人たちのために切り分けます。皿には皮と、香辛料の香りをまとった肉が、ご飯と並んで盛られます。これがバビ・グリン(babi guling)、be guling とも書かれる料理で、名前は豚を回しながら焼くことに結びついています。
この規模は、家庭の台所には収まりません。火の上で豚を一頭回す作業はみんなで取り組む仕事ですが、家庭用のオーブンに入るのは、せいぜいコンパクトなロースト1本です。そのため、このレシピは全頭の縮小版ではありません。部位も焼き方も変えた家庭向けの応用で、皮付きの豚バラ肉にペーストを包んで巻き、オーブンで焼きます。豚の脂と皮、ターメリック、生姜、ガランガル、レモングラスの香り、唐辛子の辛さは、そのまま残しています。
このレシピについて:数字はどこから来たか
材料、分量、時間、オーブンの温度は、Gurmestan が公開している家庭向けの豚バラ巻きレシピ1本に基づいています。掲載されている収量は6人分です。このレシピは編集部で試作していません。収量と時間は公開されている数値で、編集部の実測ではありません。
Gurmestan のレシピには、2か所に欠けがありました。
- 油: 作り方ではペーストを大さじ2の油で炒めますが、材料の一覧に油がありません。作り方に出ている量を、この記事の材料表に写しました。
- 塩: Gurmestan が示すのは、ペーストと皮の両方に使う合計の大さじ1だけで、内訳はありません。編集部でペースト用を小さじ1/2、皮用を小さじ2と1/2に分けました。この配分は試していません。
塩の配分は、ほかの2つの豚バラのレシピが塩をどう分けているかを参考にしました。Gourmet Traveller の Tony Tan のレシピは、2.5kgのロールに対して、ペーストに小さじ1、擦り込みに大さじ1½を使います。SunPork は2kgに対してペーストに小さじ1/2、皮には「たっぷり」と書くだけで量は示していません。1.5kgに換算すると、ペーストの塩は小さじ約0.6と約0.4になるので、小さじ1/2に決めました。借りたのは塩の分け方の考え方だけで、香味材料や時間、焼き方は取り入れていません。
Gurmestan は皮に塩を擦り込むことを、巻く工程と皮の注記の2か所に書いています。これは同じ作業として扱い、皮用の塩は全量を巻いたあとに擦り込み、焼く直前には足しません。Tony Tan は肉にも塩を擦り込みますが、ここでは Gurmestan に合わせて皮だけに塩をします。
また Gurmestan は、バリの基本の香味ペースト base genep の一般的な説明に出てくる香味素材 kencur について、見つからなければ省いてよいと注記しています。この記事の材料表には kencur がないので、加えていません。後の「選び方と代用」にある代用は、Gurmestan のものではなく、編集部の案です。
途中で見つける、味の決め手
道具
- すり鉢とすりこぎ
- 小さめのフライパン
- よく切れる包丁とまな板
- たこ糸
- 網とトレー
- キッチンペーパー
- 刷毛
- ロールの中心を測る中心温度計
- 160°Cと230°Cに合わせて庫内を確かめるオーブン温度計
選び方と代用
いちばん大切なのは豚肉です。皮のない豚バラ肉では、この料理の決め手であるパリッとした皮は再現できません。以下はいずれも編集部の提案で、どれも味が変わります。
- エシャロット: 小さめの赤玉ねぎで代わりにできますが、香りと水分が変わります。
- ガランガル: 生姜で代わりにできますが、量を増やしても同じ味にはなりません。見つかるなら、ガランガルを探す価値があります。
- 生のターメリック: ターメリックパウダーへの換算は示しません。材料表のターメリックパウダー小さじ1は、皮に塗るための別の材料です。
- キャンドルナッツとこぶみかんの葉: どちらも、代わりになるものは決まっていません。
- ココナッツウォーター: ココナッツミルクと取り違えないでください。
この料理は豚肉が主材料です。キャンドルナッツを使うので、商品表示の分類を確認してください。ココナッツウォーターと唐辛子も使います。ペーストの材料を扱うときは、アレルゲンが移らないよう注意してください。焼き時間だけでは豚肉の安全は確かめられないので、必ず温度計で中心を確認します。
食べ方:ご飯、ラワール、サンバル・マタを添えて

ロールだけでも完成した一品です。もう少し食卓を整えたいときは、白いご飯と、ラワール(lawar)、サンバル・マタ(sambal matah)を別々の器で添えます。これらはあくまで任意の添え物で、どれも豚肉の中には入れません。
皮がしんなりするとき、ペーストが焦げるとき
| 症状 | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 皮がしんなりしたまま | 皮に水分が残っている | 一晩、覆わずに冷蔵庫で乾かし、焼く前にキッチンペーパーで皮を拭く |
| ペーストが触れたところの皮が膨らまない | 皮にペーストが付いた | ペーストは肉側だけにする。皮が膨らむのを邪魔する |
| 中心に火が通っていない | 時間だけで焼き上がりを判断した | ロールをオーブンに戻し、中心が75°Cで1分以上になるまで測り直す。肉が柔らかくても、安全の目安にはならない |
| 皮の一部が早く焦げる | オーブンによって火の当たり方が違う | ロールの位置を変えるか、必要なら少し回す。試作していないので、決まった温度や時間は示さない |
仕上がりが変わるアレンジ
- 辛さを控えめにする: 赤唐辛子を5〜6本より減らします。編集部の調整で、ペーストの辛さも味の力強さも弱まります。
- kencur なしで作る: このレシピはもともと kencur を入れていないので、変えるところはありません。
- 香りを優先する: ほかの材料を代えることになっても、ガランガルは残します。生姜では出せない香りがあるためです。
- こぶみかんの葉: 代わりのものは、まだ勧められません。何で代えても、柑橘の香りは変わります。
- 食卓を広げる: ご飯と、市販または別に作ったラワールとサンバル・マタを添えます。ロールの材料には混ぜません。
残りものと温め直し
残りは浅い容器に小分けして早く冷まし、10°C以下の冷蔵庫で保存します。時間がたちすぎたものは捨ててください。公的な資料で確認できなかったため、具体的な日数は示しません。温め直すときは、75°C以上を目安に、中までしっかり加熱します。
儀礼からワルンまで:バリでのこの料理
インドネシア観光省は、バビ・グリンを、香辛料を詰めた豚を丸ごと回しながら焼く料理として紹介しています。Gurmestan は、バリの儀礼や祝宴の場面での料理として説明するとともに、ワルン(warung)と呼ばれる小さな食堂で、一皿の料理として食べられていることも書いています。Gurmestan が挙げるワルンの一皿の例は、ご飯、皮、ラワール、そして血とスパイスのソーセージであるウルタン(urutan)が添えられたものです。これは一例で、どの皿にも同じ副菜が付くわけではありません。観光省は、ラワールをバリ料理のひとつとして別に紹介しています。
この料理の起源がいつなのかは、参考にした資料からは確かめられないので、年代は示しません。名前、材料、作り方は地域や料理する人によっても違うので、このレシピは唯一の正統な配合ではなく、家庭向けの一例です。
バリのカリカリの豚肉が、すべてバビ・グリンというわけでもありません。インドネシア・シェフ協会(Indonesian Chef Association)は、babi panggang garing を別の料理として紹介しています。材料が違い、下ゆでの工程があり、甘い醤油で仕上げます。このレシピには、その内容は混ぜていません。ほかの料理も見てみたい方は、インドネシアの料理一覧もどうぞ。
よくある質問
豚を丸ごと一頭、または子豚が必要ですか?
必要ありません。伝統的なイメージは香辛料を詰めた豚の丸ごとの回し焼きですが、このレシピでは1.5kgの皮付き豚バラを巻いて、オーブンで焼きます。同じ方法ではなく、家庭向けの応用です。
ガランガルの代わりに生姜を使えますか?
使えますが、同じ味にはなりません。ガランガルには生姜にはない柑橘と松のような香りがあります。これは編集部の提案で、Gurmestan が示す代用ではありません。
皮をパリッとさせるには?
一晩、覆わずに冷蔵庫で乾かし、焼く前にキッチンペーパーで皮を拭き、仕上げは230°Cで皮が膨らんでガラスのようになるまで焼きます。ペーストを皮に付けないことも大切です。これらの手順でパリッと仕上がる可能性は高まりますが、結果はオーブンで変わります。このレシピは試作していません。
中心は何度まで加熱しますか?
日本の厚生労働省の家庭向けの目安に従い、中心が75°Cで1分以上になることを確かめてください。米国の FoodSafety.gov は、豚のロースト、ステーキ、チョップについて、63°Cで3分休ませる基準を挙げていますが、ここでは使いません。バラ肉に切れ目を入れて巻くと、もとは表面だった部分がローストの内側に入るからです。
ラワールとサンバル・マタは必須ですか?
必須ではありません。Gurmestan は添え物としてご飯、ラワール、サンバル・マタを提案していますが、どれもロールに欠かせない材料ではありません。















