バクワン・サユール:野菜をひとすくい、熱い油へ
キャベツ、にんじん、青ねぎは、まとまる程度の衣だけでつなぎます。そして両面が黄金色でカリッとするまで揚げます。
細切りのキャベツ、にんじん、青ねぎに衣を薄くからめ、小さなおたまですくって深鍋の熱い油にそっと落とします。まわりに泡が集まり、ほどけかけた縁が固まって、表面がゆっくり黄金色に変わっていきます。これがインドネシアの野菜フリッター、バクワン・サユールです。
名前には混乱しやすい点があります。「バクワン」は別の文脈では、ジャワの肉団子料理バクワン・カウィ(bakwan Kawi)のように、まったく違う料理を指すことがあります。この記事で扱うのは野菜のフリッターだけで、肉団子の料理や、とうもろこし・えびが主役のバクワンは扱いません。
ここで紹介するのは、Plan USAが「Bakwan Sayur (Vegetable Fritters)」として公開している4人分のレシピに沿った1つの版です。野菜も呼び名もつけるソースも作り手によって違うので、唯一の定義ではなく、出発点になる一例として読んでください。Plan USAは油の温度、片面あたりの揚げ時間、できあがりの個数を示していません。そのためこの記事も数字を足さず、見た目の目安で判断する形にしています。なお、世界ごはん紀行ではこのレシピ全体を台所で試作してはいません。
道具
- 包丁とまな板
- にんにくを下ろすおろし器
- ボウルと泡立て器
- 野菜を混ぜ込むスプーン
- 深めの鍋
- 小さなおたま
- 網じゃくし(または穴あきスプーン)
- 網(またはペーパータオル)
選び方と代用
ここで挙げる代用は編集部の提案で、試作はしていません。どれもレシピの味や食感から離れていきます。
- 小麦粉:薄力粉などの柔らかい小麦粉でも作れますが、たんぱく質の量が違うので食感は変わります。
- 米粉:ふつうの米粉を選んでください。製品によって粒の細かさが異なり、日本の上新粉も同じものとは考えないでください。片栗粉やコーンスターチは性質が違うため、そのままの置き換えにはなりません。
- 青ねぎ:細めのほかの青ねぎ類でもよくなじみます。太い長ねぎの白い部分は、香りも水分量も違います。
- 粉こしょう:種類は決まっていません。黒こしょうが手軽な選択肢の1つです。
- 卵:抜くと生地のバランスが変わります。卵なしで試した配合はないので、案内できません。
生地がゆるい、厚い、色づきすぎる:揚げながら直す

最初の1枚は半分に割って確かめましょう。縁は薄くカリッと、中は野菜に火が通って、生の衣が残っていないのが理想です。
| 症状 | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 衣が野菜から流れ落ちる | 野菜に水気が残っている、または計量の間違い | まず野菜の水気と計量を見直す。粉を足すことはできるが、レシピが変わるため分量は示さない |
| 厚い部分の中心が生っぽい | 1回の量が多い、または生地が油の中で重なっている | おたまの量を小さくし、重ならないように間隔をあけて落とす |
| 色づくのが速すぎる、または色づかない | 火力が強すぎる、または弱すぎる | 火加減を調整し、生地の小片がすぐ泡立つか試し直す |
| 揚げたあと縁がしんなりする | 熱いうちに重ねた | 網かペーパータオルに1枚ずつ並べて油を切る |
食べ方とアレンジ:添え物は別に添える

揚げたてのまだ温かいうちに食べます。以下はすべて好みで添えるもので、衣に混ぜるものではありません。
- 生の唐辛子:流水でよく洗い、別に添えて、辛さは各自で調整してもらいます。
- トマトディップ:市販のものか、別のレシピで作ったものを小さな器に分けて出します。
- ピーナッツソース:別に作り、落花生が入っていることを食べる人に伝えてください。
- えびや肉:加える人もいますが、この衣に合わせた分量や火の通し方の目安は手元にありません。
- とうもろこし:バクワン・ジャグン(bakwan jagung)はとうもろこしが主役の料理です。ここに加えず、別の料理として別のレシピで作ります。
背景:1つの名前、いくつもの料理
バクワン・サユールは「野菜のバクワン」という意味で、バクワンという言葉の使い方の1つにすぎません。 Plan USAのレシピは、小麦粉と米粉の衣でキャベツ、にんじん、青ねぎをまとめ、黄金色になるまで揚げる料理として紹介しています。唐辛子やトマトディップを添えるという短い一言もありますが、ディップの作り方は載っていません。
インドネシア・シェフ協会(Indonesian Chef Association)のレシピページ(Junwinantoの名で掲載)を見ると、この料理の幅が分かります。バクワンとバラバラ(bala-bala)という呼び名が並び、野菜だけでなく肉や魚介を入れる版も紹介されています。配合も違い、小麦粉250g、にんじんとキャベツが各50g、もやし100gなどで、青唐辛子やピーナッツソースを合わせる提案もあります。ただしこれは1人の作り手のページであって、国全体の定義ではないため、上のレシピには混ぜていません。
この言葉は、まったく別の食の歴史にも出てきます。Ary Budiyantoの2026年の論文(Islam Nusantara)は、バクワンとバクワン・カウィをジャワの肉団子料理の一部として論じ、バクソ(bakso)とバクワンという言葉の歴史には未解決の問いが残るとしています。この論文は野菜フリッターの出どころを説明するものではなく、その起源や名前の意味を直接示す資料もないため、ここでは答えを出しません。
同じ国の料理をもっと知りたい方は、インドネシアのページもご覧ください。
よくある質問
何個できますか?
Plan USAは4人分としていますが、個数は示していません。おたまの大きさによって変わります。
どのくらい時間がかかりますか?
Plan USAは、準備20分、調理10分としています。鍋の大きさや一度に入れる個数は書かれていないため、揚げ時間は実際には違うかもしれません。色とカリッとした食感で判断してください。
油の温度は何度にしますか?
Plan USAが温度を示していないので、この記事でも示しません。生地の小片を落として、すぐ泡が立つかどうかで確かめてください。
米粉を片栗粉やコーンスターチに替えてもよいですか?
そのままの置き換えはおすすめしません。でんぷんは米粉と性質が違い、試した換算もありません。
バクワン・サユールとバクワン・カウィは同じですか?
別の料理です。名前は重なりますが、ジャワのバクワン・カウィを扱った論文では肉団子の料理とされています。この記事は、揚げる野菜フリッターの話です。
グルテンフリーですか?
いいえ。衣には米粉のほかに小麦粉も入っています。卵も含まれ、添えるピーナッツソースには落花生が入ります。
残ったものは保存できますか?
食感を考えると、揚げたてをおすすめします。保存できる期間や再加熱の温度は確認できていないため、ここでは示しません。残りものは、お住まいの地域の食品安全の案内に従ってください。










