ウンパル・グントン — 牛肉とココナッツの汁、立ちのぼるクチャイの香り
スパイスペーストは、鍋の端に油が分かれるまで炒めます。ココナッツミルクを入れたら火は弱火のまま、スープを強く沸かさないでください。
ココナッツミルクの汁に牛肉の塊が沈み、器からクチャイ(ガーリックチャイブ)の香りが立ちのぼる。インドネシアの観光省は、チルボン周辺の食堂で探したい郷土料理の一つとしてウンパル・グントンを挙げ、ほぼこんな姿で紹介しています。クチャイの香りが立つ牛肉のココナッツ汁、それがこの料理の第一印象です。
チルボンは西ジャワ北岸にある町で、観光省はウンパル・グントンをその名物の一つに数えています。香り高い肉のスープで、伝統的にはグントンと呼ばれる土製の容器で煮るとされています。料理名の一部になっているこの容器を、下のレシピでは使いません。ふつうの鍋とフライパンで作る家庭向けの版なので、土の器で煮た一杯と同じ香りになるとは考えないでください。
今回使うレシピ
この記事がたどるのは、ひとつのレシピです。飲食店Haji Apudの公式サイトでTim Redaksi Haji Apudが公開している家庭向けの版で、6〜8人分と表示されています。掲載先は商業的な飲食店のブログで、レシピの考案者の名前も、第三者による試作の記載もありません。店の非公開の厨房レシピとして読むことも、チルボンの唯一の標準として読むこともできません。このレシピは編集部で試作していません。時間や見た目の目安は、公開されている案内として受け取り、編集部が確かめた結果とは考えないでください。
掲載ページには書かれておらず、この記事でも補っていない点があります。
- 1回目と2回目のゆでに使う水の量
- そのゆでの火加減
- 2回目のゆで汁が必要な1Lより多い、または少ない場合の対処
- 塩の正確な量、トッピングや添え物の量
- 最後の煮込みと休ませる間、鍋にふたをするかどうか
準備時間、全体の所要時間、栄養の数値も示されていないため、この記事にも載せていません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 包丁とまな板
- 牛肉をゆでる鍋
- ざる
- 計量カップ(注ぎ口つき)
- トング
- 乾煎り用の小さなフライパン
- 石臼とすりこ木、またはブレンダー
- スパイスペーストを炒める浅めのフライパン
- スープ用の大鍋
- おたま
選び方と代用
牛肉。 sandung lamurは脂のあるブリスケット、sengkelはすね肉です。肉屋さんの呼び方が違うときは、長く煮込む用で、脂や筋のある牛肉を探してください。あくまで実用上の目安で、完全に同じ部位という意味ではありません。
kencur。 学名はKaempferia galangaで、sand gingerの名前でも売られています。しょうがとガランガルは表で別の行になっているので、どちらもkencurの代わりにはなりません。輸入食材店やオンラインショップで、kencur、sand ginger、学名のいずれかで探してください。
kemiri。 キャンドルナッツ、学名Aleurites moluccanaのことです。確認できている代用品はないので、kemiriかcandlenutで探してください。
daun salamとdaun jeruk purut。 どちらもインドネシア語の名前で検索してください。ローリエがdaun salamと同じ程度の香りになるかは確認できないため、代用としては勧めません。
ココナッツミルク。 生かインスタントか、どちらか一方の方法を最後まで通します。インスタントの方法では合計1.4Lとなり、生の1.5Lより100ml少なくなります。この差はそのままにして、揃えるために水を足さないでください。二つの風味やコクの違いは比べていません。
gula merah。 この名前で探してください。特定の砂糖や商品は指定しません。
このスープには牛肉、ココナッツ、キャンドルナッツが入っています。市販の材料を使うときは、原材料表示とアレルゲンの注意書きを確認してください。
確認ポイントと対処
| 気づくこと | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 60分たっても牛肉がまだ硬い | 目安は最短の時間ではなく、柔らかくなったかどうか | 60〜90分の範囲でゆで続け、もう一度確かめる |
| ペーストにまだ生っぽい匂いがある | 炒めきれていないかもしれない | 中弱火のまま混ぜ続け、色が濃くなり、鍋の端に油が分かれ、生の匂いが消えるまで炒める |
| ココナッツミルクを入れたあと、スープが強く沸き始めた | 火が強すぎる | 弱火に戻して混ぜ続ける。分離したココナッツミルクが元に戻るとは言えないので、予防がいちばん大切 |
| 出汁の味がぼんやりしている、まとまらない | まず塩 | 塩を少しずつ加え、それでも足りないときだけgula merah大さじ1を加える |
| スープが辛すぎる、または物足りない | 鍋の辛さを決めるのはペーストの唐辛子3本 | 次回はペーストの唐辛子で調整する。今回は食卓で叩いた唐辛子の量を加減する |
食品安全と残り物の扱い
日本の厚生労働省は、食肉は中心部が75℃で1分以上になるまで加熱するという一般的な目安を示しています。生の肉の汁が他の食品につかないようにすることも勧めています。これは家庭向けの一般的な案内で、レシピの加熱時間の代わりにはなりません。また、レシピの時間どおりに作ればこの温度に達する、という保証でもありません。
レシピには保存期間の記載がなく、この記事でも期間は示しません。残ったスープについて、同じ厚生労働省の一般的な案内は次のとおりです。
- 清潔な器具で、スープを浅い容器に小分けする。
- 早く冷まし、室温に長く置かない。
- 温め直すときは、スープを沸騰させる。
このレシピの中での選択肢
| 選ぶこと | 選択肢 | 気をつけること |
|---|---|---|
| ココナッツミルク | 生の1.5L、またはインスタント200ml × 2と水1L | どちらか一方だけ使う。量が違い、味が同じになるとは言えない |
| 辛さ | ペーストの唐辛子3本を加減する。叩いた乾燥唐辛子を別添えにする | 食卓で各自が足せる |
| 主食 | 白飯またはロントン | 鍋に入れず、別に添える |
| 牛肉の部位 | sandung lamurまたはsengkel | 一種類だけで、1kgすべてに使う |
他に公表されている作り方
ウンパル・グントンのレシピは大きく異なり、以下はそれぞれ別の配合です。それらの分量をこのレシピに混ぜると、どの版にもない料理になってしまいます。
| 公開元 | 違い |
|---|---|
| Primarasa | 脂身の多い牛肉または切り落とし400g、水1.5Lを漉して出汁800ml、ココナッツミルク500ml、4人分、60分 |
| IDN Times | 牛肉500g、水1.5L、低脂肪乳300ml、ケチャップマニスと牛のだし粉。変更案として濃いココナッツミルクも挙げている |
| detikFood | 牛肉500gと内臓500gを別々に調理し、生のココナッツミルク500mlを使う |
任意の内臓:記載はあるが、作り方としては載せない
Haji Apudのページは、babat(胃)、usus(腸)、kikil(ゼラチン質の部位)のうち一種類を300g、任意で加えるとしています。「各300g」ではなく、一つ選んで300gという意味です。ページには、牛肉とは別に、しょうがとレモングラスと一緒に「火が通るまで」煮て、切って取り置くとあります。

しょうがとレモングラスの量、水の量、時間、温度、洗い方や下ごしらえの手順は書かれていません。日本の厚生労働省は、肉や内臓には十分な加熱が必要で、牛の肝臓以外の内臓にも汚染のリスクがあると述べています。ただし、内臓について具体的な時間や温度は示しておらず、上で紹介した75℃の目安は内臓の基準ではありません。

こうした条件が足りないため、内臓の作り方も、その安全性についての保証も、ここでは示しません。上の作り方と冒頭の写真の一杯は、牛肉だけです。
チルボンとグントン
インドネシアの観光省は、チルボンを、交易と海運の歴史をもつ西ジャワ北岸の町として紹介し、ウンパル・グントンを名物の一つに挙げています。港町の過去とこのスープのスパイスを直接結びつけたくなりますが、今回参照した資料は、そのつながりを示していません。
創業の年代、宗教的な起源、名前の由来、特定の行事との関わり、家庭でどれくらい作られているかも、確認できていないので書きません。資料から言えるのは、牛肉とココナッツミルクの郷土のスープで、伝統的には土製のグントンで煮られ、地元の食堂で出会え、クチャイが香りの一部になっている、というところまでです。
Haji Apudの家庭向けの版は、このスープをふつうの鍋とフライパンに移したものです。家庭の台所で作れるようになりますが、グントンで煮ることとは違います。別の版として受け止めるのがよいでしょう。
この一杯をきっかけに、インドネシアのほかのスープや郷土料理も見てみたいときは、インドネシアのページをどうぞ。ジャカルタのソト・ブタウィ、南スラウェシのコト・マカッサル、keluakを軸にした黒いスープのラウォンは、いずれも牛肉のスープですが、それぞれ個性があります。タフ・ゲジロットは、同じ町の料理ながら、まったく違う一品です。
よくある質問
土製のグントンは必要ですか?
このレシピでは必要ありません。観光省はグントンを伝統的な調理容器として説明していますが、Haji Apudの家庭向けの版は、ふつうの鍋とフライパンを使います。二つの味が同じだとは言いません。
内臓は必須ですか?
いいえ。Haji Apudのページでは任意の材料で、この記事の作り方は牛肉だけです。ページには下ごしらえと加熱の詳細が足りないため、内臓の作り方は示していません。
市販のココナッツミルクは使えますか?
使えます。Haji Apudのページは、生のココナッツミルクの代わりに、インスタント200ml × 2と水1Lを挙げています。合計は1.4Lで、生の1.5Lより100ml少ない値です。この差は掲載どおりに残し、仕上がりの比較はしていません。
最初のゆで汁を捨てるのは、食品安全のためですか?
レシピは作り方の一部として入れていますが、食品安全の対策として紹介することはしません。料理の工程の一つと考え、食品安全の一般的な案内は別に守ってください。
辛さは調整できますか?
できます。ページには、ペーストの唐辛子3本は好みで加減できるとあります。叩いた乾燥唐辛子は別添えなので、食卓でも各自が辛さを足せます。
kencurをしょうがやガランガルで代用できますか?
代用できるとは確認できません。レシピは三つを別々の材料として挙げており、シンガポールの国立公園局(NParks)はkencurをKaempferia galangaと説明しています。名前で探すのがいちばん確実です。
全体でどれくらい時間がかかりますか?
ページには準備時間も全体の時間も書かれていないため、この記事でも示しません。作り方の時間は、それぞれの段階にあてはまるものです。切る作業、すりつぶす作業、トッピングの準備に時間の記載はありません。
何日もちますか?
レシピに記載がなく、日数も保証しません。残り物の扱いにある、冷やし方と温め直しの案内に従ってください。
これはチルボン全体の本場のレシピですか?
そうとは言えません。これはHaji Apudのサイトで公開されている家庭向けの版の一つです。前に挙げたほかの公開レシピとは、材料も量もかなり違います。





























