ホイルを開くと、スパイスの香りが立つ:バリの鴨料理ベベッ・ベトゥトゥ
ホイルで密封して焼くことによるしっとりした肉と、最後の高温で色づいた、少しパリッとした皮。最初の加熱がいつ終わるかは、時計ではなく温度計で決めます。
ホイルを折り返すと湯気が上がり、エシャロット、にんにく、ガランガル、ターメリック、シュリンプペーストの香りが立ちます。ペーストの下の鴨は、まだ白っぽくしっとりしています。これをずっと熱いオーブンに戻し、覆いを外して焼くと、こんがり色づいた皮とスパイスの層ができあがります。
ベベッ・ベトゥトゥは、バリの丸ごと鴨料理です。インドネシア観光省は、エシャロット、にんにく、ターメリック、しょうが、キャンドルナッツで味つけした鴨をバナナの葉またはビンロウの葉で包み、焼くか蒸すかして、ゆっくり火を通す料理と説明しています。慣習行事や特別な料理として出されます。
この記事で紹介するのは、家庭のオーブンで作る一つの版です。Saveurが掲載し、Penny de Los Santosのレシピとして紹介されているホイル包みのベベッ・ベトゥトゥを使います。葉ではなくホイルで包み、穴を掘って焼く調理や煙、ココナツ殻の香りを再現しようとはしていません。鶏肉のアヤム・ベトゥトゥや、ほかのインドネシア料理を探している方は、インドネシアのレシピからどうぞ。二つのベトゥトゥには似たところがありますが、この記事は鴨の話です。
このレシピは台所で試作していません。 時間は目安として考え、食品用温度計を頼りにしてください。
鴨の重さは編集部で決めたものです。 Saveurのレシピには重さの記載がないため、編集部で中抜き約2 kgを目安にしました。スパイスの量はこの重さに合わせて増減していません。理由は、後ろの背景の節で説明します。
安全のための手順を2つ、編集部で加えています。 Saveurのレシピには、ブレンドする前にキャンドルナッツを炒ることも、鴨の腹の中のペーストの中心を測ることも書かれていません。この二つを加えました。同じ理由で、ペーストの塩の扱いもここでは変えています。よくある質問をご覧ください。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
次の代用は、編集部の提案です。どれも料理の味を変えます。ターメリックパウダーだけは、上の材料表に選択肢として載せているものです。
- 鴨:日本では、中抜きの合鴨の丸どりが約2.1〜2.4 kgで売られており、この料理に使えます。鴨が約2 kgと違っても、スパイスの量はそのままにして、火通りは温度で判断します。
- 塩:大さじ1の塩の重さは、銘柄で大きく違います。Diamond Crystalのコーシャーソルトは8 g、Morton'sのコーシャーソルトは16 g、食卓塩は18 gです。細かい塩を大さじ1で量ると多すぎやすいので、細かい塩は重さで量ります。
- キャンドルナッツ:代用として最も一般的なのは、無塩のマカダミアナッツです。ただし、これも木の実です。
- ガランガル:しょうがで代用できます。ただし、柑橘や松のようなするどい香りが薄れ、しょうがの温かい香りが前に出ます。
- パームシュガー:精製していないきび砂糖でも作れますが、風味は変わります。
- ケチャップ・マニス:甘口のしょうゆです。普通のしょうゆを同じものとして扱わないでください。
- シュリンプペースト:シュリンプペーストやterasiとして売られている製品は、ブランドごとに違います。どれも同じとは考えないでください。
- カレーリーフとこぶみかんの葉:この二つは別の葉です。カレーリーフはペーストに入れ、こぶみかんの葉は任意の飾りにだけ使います。
道具
- アルミホイル(鴨全体を包める、二重にできる量)
- 天板またはロースト用のトレイ
- フードプロセッサーまたはすり鉢
- 差し込み式の食品用温度計
- キャンドルナッツを炒めるフライパン
- 生の鴨用の包丁とまな板(ほかの食品とは別に用意)
- 外塗り用の小さなボウルと、ペースト用のボウル
- 大皿、切り分け用のナイフとフォーク
- 残りを入れる浅い容器
火通りの目安:二つの温度、二つの役割
手順5の温度は、それぞれ別の役目を持っています。Saveurの脚175°F(約79°C)は、そのレシピでの肉の仕上がりの目安であり、安全の基準ではありません。
安全の数値は、公的な食品安全機関によるものです。米国農務省食品安全検査局(FSIS)は、丸ごとの家禽も詰め物の中心も、最低165°F(約74°C)としています。日本の厚生労働省は、中心部を75°Cで1分以上加熱するとしています。この資料は鶏肉を対象に書かれたもので、鴨に当てはめることも、ペーストを詰め物として扱うことも、編集部の判断です。
この記事では、2か所の測定点とも75°Cのラインを使います。鴨の中に詰めた密度の高いペーストは、外側の様子からは火の通りが分からない部分だからです。色や経過時間では、どちらの点も確かめられません。
バリの食卓に寄せる:添え方

Saveurは、白飯、きゅうり、トマトを任意の付け合わせとして挙げています。インドネシア観光省は、ベベッ・ベトゥトゥに米、ラワール(lawar)、サンバル・マタ(sambal matah)を添えるのが一般的だと説明しています。どちらも決まりではないので、食卓はシンプルにしても、バリの組み合わせから副菜を足して広げてもかまいません。
トラブル対処
| 状況 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 脚または腹のペーストの中心の温度が足りない | 鴨が大きい、またはオーブンのくせが違う | もう一度包み直して焼き足し、2か所を改めて測る |
| 肉が締まってぱさつく | ホイルを完全に閉じておらず、水分が逃げた | 次回は、オーブンに入れる前に隙間がないか確かめる |
| 香りにむらがある | ペーストが粗かった | 詰める前に、なめらかになるまでブレンドするかつぶす |
| 皮の焼き色がつくのが早すぎる | 最後の高温の焼きが強い | 25〜30分にこだわらず、色を見て、焦がさない |
| 外塗りがしょっぱすぎる | 細かい塩を大さじで量った | 次回は細かい塩を重さで量り、8 gから始める |
| 味が薄く感じる | ペーストの塩を控えめにしている(意図どおり) | 切り分けたあとに食卓で塩を足す。ペーストの味見はしない |
アレンジ
- 辛さを控える:唐辛子を減らします。辛さが下がり、香味のバランスも変わります。
- 生ターメリックか粉末か:生なら1個、粉末なら小さじ2のどちらかを使い、両方は使いません。
- 簡素な食卓か、品数を増やすか:ごはん、きゅうり、トマトは添えても省いてもかまいません。ラワールやサンバル・マタを添えると、バリの組み合わせに近づきます。
- 葉包みや蒸し焼きのベトゥトゥ:これらは配合も時間も別の作り方です。このレシピに混ぜることは勧めません。ここに書いた時間は、ホイル包みの方法にだけ当てはまります。
残りの扱い
火を通したあとのペーストも、鴨と同じように扱ってください。残りは浅い容器に分け、2時間以内に冷蔵します。室温が32°C(90°F)を超える場合は1時間以内です。冷蔵庫は10°C以下に保ち、3〜4日以内に食べきります。温め直すときは、165°F(約74°C)まで加熱します。
よくある質問
ベベッ・ベトゥトゥとアヤム・ベトゥトゥは何が違いますか?
ベベッ・ベトゥトゥは鴨、アヤム・ベトゥトゥは鶏で作ります。この記事は鴨の版だけを、独自のレシピで扱っています。
バナナの葉がなくても作れますか?
作れます。この版は、全体を通して二重のホイルを使います。家庭のオーブン向けの方法であり、伝統的な葉包みや穴焼きを再現するものではありません。
蒸す工程は必要ですか?
この版では不要です。ほかに公開されている方法のなかには、焼く前に鴨を蒸すものもありますが、それらは別のレシピのものです。
なぜペーストを味見してはいけないのですか?
Robert Danhiの『Southeast Asian Flavors』によると、生のキャンドルナッツにはわずかな毒性があり、消化器の不調を起こすことがあります。Nyonya Cookingも、生で食べないよう助言しています。どちらも料理の参考資料であり、公的機関ではありません。先に炒るのは両者の助言にならったものですが、キャンドルナッツが安全になる温度や時間について信頼できる公的な数字は見つからなかったので、そうした断定はしません。確実な方法は、火が通りきる前にペーストを味見しないことです。
塩はどう決めたのですか?
Saveurの材料表には「コーシャーソルト大さじ1、好みで追加」とあります。外塗りには大さじ1を使い、ペーストの材料には塩が分量なしで載っています。ペーストの塩を「好みで追加」の分と読むと、数字が合います。ただし、これはレシピに書かれていることではなく、編集部の解釈です。ペーストは味見できないので、入れるとしてもごく少量にして、味の調整は食卓で行うことを勧めます。Saveurは塩の銘柄も書いていないため、細かい塩には重さの範囲を示しました。
唐辛子を減らしてもいいですか?
編集部の調整として、減らせます。辛さは下がり、香りのバランスも変わります。
鴨の皮に穴を開けたほうがいいですか?
FSISは、脂を出すために鴨の皮に穴を開ける、または切り込みを入れることを勧めています。Saveurのレシピにはこの工程がないため、作り方には加えていません。
いつ切り分ければいいですか?
20分休ませたあとです。FSISも、詰め物をした鳥は、詰め物を取り出す前に20分置くよう勧めています。そのため、それまでペーストは腹の中に残しておきます。














