ナシクニンは、インドネシア語で「黄色いごはん」という意味です。黄色い色を作るのは生のターメリック、香りを作るのはココナッツミルク、にんにく、レモングラス、ガランガル。湯気の立つ蒸し器から、甘くて少しスパイシーな香りが立ちのぼる一鍋です。
この記事で作るのは、Tjok Maya Kerthyasa さんと I Wayan Kresna Yasa さんの料理書『Paon: Real Balinese Cooking』にある一つの配合です。オーストラリアのSBS Foodに掲載されたレシピをもとにしています。白米をまず蒸し、熱い黄色の液を吸わせ、もう一度蒸す。この二段階の蒸し方が、この配合の中心です。
色は生ターメリック、蒸しは二度
色のもとは、生のターメリックから作る「ターメリック水」です。ただし、米に入れるのはその液のうち100mlだけ。香りはココナッツミルク、にんにく、レモングラス、ガランガルが受け持ちます。米は一度蒸し、熱い液を吸わせてから、もう一度蒸して仕上げます。
原典のレシピは米1kg分で、出来上がりは約2kgと書かれています。さらに、この配合は少量で作るのに向かないという注意もあります。そこで、この記事も分量を縮めず、原典の規模のままご紹介します。目安として、原典は準備に約20分、加熱に約55分としています。ただ、蒸し器もコンロも家ごとに違うので、時計だけでなく米の状態を見て判断してください。
原典では、米の黄色にバリの文脈での意味があると説明されています。この記事ではその意味をバリのものとして扱い、インドネシア全体に共通する一つの物語としては語りません。
このレシピでは、水を3つの用途に使います。ターメリック水を作るための500ml、米に加える調理液としての800ml、そして米の浸水と蒸し器に入れる水です。こして作ったターメリック水のうち、米に使うのは100mlだけ。全部を米に入れないでください。調理液として別に用意する800mlの水と、取り違えないようにします。
ナシクニンとトゥンペン — 米の料理と、盛り付けの形
ナシクニンは米の炊き方、つまり料理そのものです。一方、トゥンペン(tumpeng)はごはんと副菜を円錐形に盛る盛り付けの形式で、別のものです。インドネシア教育文化省のポータルにあるBPSMP Sangiranのページは、トゥンペンをまさにそう説明しています。ジャワ、スンダ、マドゥラ、バリで行われる祈願の集まり「スラマタン(selamatan)」との結びつきも紹介され、円錐形の象徴についてもページ独自の解釈が示されています。また、トゥンペンには黄色いごはんがよく使われる一方で、白いごはんやナシウドゥック(nasi uduk)も使われるとあります。
ここから、二つのことが言えます。ナシクニンに円錐形は必須ではなく、トゥンペンがいつも黄色いとも限りません。
文化的な解釈には、資料ごとの語り方があります。『Journal of Ethnic Foods』の論文は、黄色いトゥンペン(nasi tumpeng kuning)をヒンドゥーの信仰、メール山、象徴性と結びつけて論じています。これは論文の解釈であり、ナシクニンの由来が定まった説明というわけではありません。また、アメリカのCulinary Institute of Americaのレシピ資料にも、バリ島での色の象徴についての説明があります。これもその資料の説明として読むのが適切で、国全体に当てはまる話とは言えません。
ナシクニンを「お祝いの席で必ず食べる料理」「必ず円錐形で出す料理」と言い切るのは正確ではありません。このレシピで作るのは米そのものです。どう形づくり、何を添えるかは、また別の選択になります。
途中で見つける、味の決め手
道具
- ミキサー
- 目の細かいこし器
- 計量カップ(計量ジャグ)
- 蒸しかごと蓋のある蒸し器
- 片手鍋
- 大きなボウルと、かぶせる蓋
材料の選び方と代用
生ターメリックが色の決め手です。生ターメリックは、重さでなく長さで量ります。粉のターメリックに置き換える目安は示しません。生のターメリックは、アジア食材店やインド食材店で探してみてください。
ガランガルとレモングラスは、しょうがやレモン汁で置き換えられる素材ではありません。ガランガルとしょうがは別の食材ですし、レモン汁はレモングラスの代わりになりません。置き換えると、このレシピとは味の違う別のアレンジになります。
米は白米です。日本の米のような短粒種でも作れますが、粘りが強いので、食感は変わります。ココナッツミルクは製品によって違うため、原材料とアレルギー表示を確認してください。
うまくいかないときは
| 起きたこと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 米が水っぽい、または色が濃すぎる | ターメリック水を全量入れた、または水を取り違えた | 次回はターメリック水を100mlだけ使い、調理液800mlや浸水・蒸し器用の水と分けておく |
| 米の底がべちゃっとする | 蒸し器の湯が蒸しかごに触れていた | 湯面を蒸しかごの約2.5cm下に保つ |
| 蒸し器が空焚きになった | 蒸している間の水が足りなかった | 蒸している間に湯の量を見て、減る前に熱湯を足す |
| 約20分たっても、ボウルに液が残っている | 米がまだ液を吸いきっていない | 蓋をしたまま、液が吸われるまで置いてから二度目の蒸しに進む |
| 二度目の蒸しの後も米が固い | 蒸し器や火力による差 | 蒸し続け、米に火が通るまで様子を見る |
| 香りが弱い | 香味素材をつぶしていなかった | にんにくはつぶし、レモングラスとガランガルはたたいてから加える |
同じ名前の、ほかのレシピ
この記事は、バリの料理書にある一つの配合に従っています。公開されているレシピは、ほかにも違いがあります。たとえばCulinary Institute of Americaの『World Culinary Arts: Indonesia and Malaysia』には、長粒米を使い、エシャロット、にんにく、鶏だし、ココナッツミルク、レモングラス、サラム葉、パンダン、ターメリック水を合わせたドレッシングを使う配合があります。こちらも二段階で蒸します。ただ、この資料にはターメリック水の作り方が書かれていないため、この記事の手順とは組み合わせていません。気になる材料があれば、このレシピへの足し算ではなく、別のレシピとして試してください。
盛り付け

このレシピで作るのは、黄色い米そのものです。卵、揚げエシャロット、副菜は別の料理で、基本のレシピには含みません。トゥンペンのように盛りたい場合も、円錐形はごはんと副菜の盛り付け方であって、ナシクニンの条件ではないことを覚えておいてください。
衛生と残りごはん
厚生労働省の家庭向け食中毒予防の案内には、中心を75℃で1分以上加熱すること、生ものと加熱済みの食品で器具を使い分けること、残った食品は浅い容器に分けて速やかに冷やすこと、再加熱は十分に行うことが挙げられています。残ったナシクニンも浅い容器に入れて、早く冷まして冷蔵してください。これは一般的な目安で、この料理の安全な保存期間を保証するものではないため、日数は示しません。
よくある質問
ナシクニンは円錐形にしないといけませんか?
いいえ。円錐形はトゥンペンで、ごはんと副菜を盛る方法です。トゥンペンには黄色いごはんがよく使われますが、白いごはんやナシウドゥックも使われます。ナシクニンは、器に盛るだけでもかまいません。
粉のターメリックで代用できますか?
粉のターメリックに置き換える比率は確認できていないため、この記事では示しません。原典は、長さで量る生のターメリックを使っています。
なぜ分量を減らさないのですか?
原典が、この配合は少量で作るのに向かないと注意しているからです。縮小版は確認できていないので、米1kgの分量のまま紹介しています。
ターメリック水500mlを全部使いますか?
使いません。500mlは、ターメリック水を作るための水です。こした液のうち、米に入れるのは100mlだけ。調理液の水800ml、ココナッツミルク150mlと合わせます。
ガランガルの代わりにしょうがを使えますか?
しょうがとガランガルは別の食材です。しょうがを使うと味の違うアレンジになり、このレシピとは別物になります。
同じ国の料理は、インドネシアの料理もご覧ください。












