カオニャオ ― つまんで、丸めて、料理をすくうもち米
材料はもち米と水だけです。米を浸し、湯に触れさせずに蒸し、供する前に蒸気を逃がします。粒は中まで柔らかく、ペースト状にならずにまとまっているのが目指す状態です。
蒸したもち米は、普通の白いご飯のように一粒ずつすくって食べるものではありません。小さくつまんで、指で一口大に丸め、その丸めたご飯でソースやほかの料理をすくいます。Penn Hongthongのラオス料理レシピにはこの食べ方が書かれており、国際稲研究所(IRRI)の雑誌Rice Todayも、ラオスのもち米を手のひらサイズに丸めてなすのディップなどのラオス料理と食べる様子を紹介しています。
カオニャオ(ເຂົ້າໜຽວ。Penn HongthongのレシピではKao Neoと綴られています)は、味付けしていない白いもち米を浸してから蒸したものです。この記事で扱うのは、この日常のご飯だけです。ココナッツを使う甘いデザートのタイのマンゴーもち米ではありませんし、黒もち米、カオクア(炒り米粉)、カオプーン(麺料理)でもありません。
ここから先では、浸水時間の決め方、蒸し器の選び方、粒の中まで火が通ったかどうかの見分け方、手で食べる方法を順に見ていきます。レシピはPenn Hongthongの版に沿っていて、1人分は乾燥米1カップ、ここでは2人分として2カップにしています。蒸し時間は目安であり、すべてのコンロ・籠・米で通用するとは限りませんし、世界ごはん紀行ではこの配合を台所で試作していません。仕上がりは粒そのもので判断してください。
ラオス文字ではເຂົ້າໜຽວと書き、ふつうはkhao niaoとローマ字にします。Kao Neoも別の綴りです。英語ではsticky rice、sweet rice、glutinous riceと呼ばれます。「glutinous」は炊いたときの粘りの性質を表す言葉です。
手で丸めた一口 ― ラオスの食卓のもち米
このご飯は、作り方と食べ方がつながっています。籠で蒸し、蒸気が抜けるようにほぐし、食卓で手の中で形にします。Penn Hongthongは、ラオスの食事でもち米をパンにたとえています。ちぎって、ほかの料理を運ぶのに使うものだという意味です。Rice Todayも、米を丸めて料理と食べると説明しています。
Dorothy Cullotyが編集した『Food from Northern Laos: The Boat Landing Cookbook』(ラオス人の料理人の名前が本に記されています)は、ラオス北部の食文化のなかにもち米を位置づけています。本の説明では、現地で育てられる品種、円錐形の伝統的な蒸し籠と供するための籠、米をひっくり返したり広げたりして蒸気を逃がすこと、料理をすくうために手で丸める米の玉などを扱っています。これらは特定の北部の地域に根ざした具体例ですから、ラオスのすべての家庭に共通する決まりとしてではなく、その地域の一例として読んでください。
ここで共通するのは、再現できる技法です。米が水につからないように蒸し、粒が重くならないよう蒸気を逃がし、一口ずつ形にします。ラオスのほかの料理と食卓での位置づけはラオスのページをご覧ください。
道具
- 円錐形の竹製もち米用蒸し籠と、それに合う蓋つきの鍋
- 浸水用のボウル
- 水で濡らして使う木べら(濡らした普通のスプーンでも可)
- 熱い籠を置くための、清潔な耐熱の台か面
- 粒を確かめるための小さな清潔な皿
- 供するための竹の米入れ(なくてもかまいません)
選び方と代用
米。タイ産のもち米、スイートライス、グルティナスライスと書かれた袋を探し、原材料と袋の大きさを確認してください。タイのもち米は細長い粒のものがあります。見た目ではなく表示で判断してください。
タイ産のもち米が見つからない、または大袋しかない場合は、短粒のもち米(日本のもち米など)を試すのも妥当です。香りや粒の形は違うことがあるので、まったく同じ仕上がりにはなりません。ジャスミンライスや寿司米のような普通の(うるちの)米は別の材料で、カオニャオにはなりません。
蒸し器。円錐形の竹の籠(huadやhuatの名前で売られていることもあります)は鍋の口にはまり、米が湯の上の蒸気のなかに吊られる形になります。購入する場合は、直径と高さが手持ちの鍋に合うか確認してください。始めるのに必ず買う必要はなく、蒸し布かチーズクロスを敷いた蒸し器つきの深鍋でも代わりになります。布は蒸気が通る程度にゆるく織られていて、米粒が落ちない程度に目が詰まっているものにし、蓋には触れさせません。布は洗って繰り返し使えるか、ラベルで確認してください。この記事の写真はどれも円錐形の籠を使っています。
供する器。竹の米入れは、湿気を完全には閉じ込めずに米を覆っておけます。蓋をゆるくのせたボウルでも同じように使えます。どちらも米を長時間安全な温度に保つための道具ではありません。詳しくは後の「残りの扱いと食品の安全」をご覧ください。
材料は米と水だけです。「glutinous」は粘りの性質を指す言葉で、小麦のグルテンのことではありません。それでも、アレルゲンについては各製品の表示と製造施設に関する記載を確認してください。
米の状態を読む ― 硬い、水っぽい、べたつく
火通りは、粒に硬い芯がないかどうかで判断してください。
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 粒に硬い芯がある | 浸水不足、または蒸気不足。米や器具による違い | もう一度蓋をして蒸気を保ったまま少し長く蒸し、別の粒を確かめる。次回は2時間しっかり浸す |
| 水っぽいご飯になる | 籠や米が鍋の湯に触れた | 次回は水位を籠の底より下に保つ |
| 重くべたついた一つの塊になる | 加熱後に蒸気を逃がさなかった、または米を押しつけた | 濡らしたスプーンで1分混ぜる工程を省かない。こねずにほぐす |
| 食べる前に表面が乾く | 米を覆わずに置いた | 食べるまで清潔な蓋つきの容器に入れておく |
| 円錐形の籠がない | — | 深鍋と蒸し器の中子、粒を受け止めて蒸気は通す蒸し布を使い、布は蓋に触れさせない |
公開されているレシピ間で、時間は異なります。Penn Hongthongは約10〜15分蒸します。『Food from Northern Laos』は20〜30分で、量が多いときは40分までとしています。Rice Todayは約30分蒸し、米を返してさらに10〜15分蒸します。浸水時間も分量も違う別の方法なので、このレシピには混ぜていません。ただ、タイマーではなく粒が仕上がりを決めるという理由は、この差からも分かります。
同じレシピの読み替え方 5つ
どれも、米と水のレシピは変えずに、一つだけを変える試し方です。
- タイ産のもち米か、短粒のもち米か。香りと粒の形の違いを見てみましょう。同じ結果になるとは限りません。
- 45分の浸水か、2時間の浸水か。次回はどちらかにして、蒸したあとの食感を比べます。
- 円錐形の籠か、布を敷いた蒸し器か。蒸気の抜け方と水の切れ方を比べます。
- 竹の米入れか、蓋つきのボウルか。食卓に運ぶのに好みのほうを選びます。
- 一口の大きさ。ディップ、ひき肉のサラダ、蒸し魚のどれをすくうかで、玉を大きくしたり小さくしたりします。
ほかの料理と合わせて食べる
カオニャオは、ほかの料理と一緒に食べる主食であり、それ自体に味を付けるものではありません。Penn Hongthongは、米を手で玉にして料理やソースと食べると説明しています。Rice Todayは、なすのディップなどのラオス料理と組み合わせています。世界ごはん紀行には、ラープ(炒り米粉とハーブを使うひき肉のサラダ)やモック・パー(葉で包んで蒸した魚)など、もち米を添えるラオス料理もあります。これらは別のレシピで、ご飯のほうには何も入れません。
名前に「khao niao」とあるタイのマンゴーもち米は、ココナッツとマンゴーを使う甘いデザートで、この無味のご飯とは別の料理です。
残りの扱いと食品の安全
米は、Bacillus cereus(セレウス菌)による食中毒の原因になりうる食品のひとつです。カオニャオは蒸したてを供し、室温で長時間置いたままにしないでください。
厚生労働省の家庭向け食中毒予防の案内によると、残りは清潔な浅い容器に小分けにして、すばやく冷まし、すぐに冷蔵庫に入れます。温め直すときは、十分に加熱してください。
全国焼肉協会が作成し、厚生労働省のサイトに掲載されている焼肉店向けのHACCP衛生管理手引書にも、米を原料とする食品がセレウス菌食中毒の原因になりうること、室温放置を避けることが書かれています。保存については、小分けにして急冷し8°C以下で保管するか、55°C以上で温かく保つよう示しています。これは機器で温度を管理できる事業者向けの指針です。竹の米入れは、食卓で米を覆うためのもので、保温設備ではなく、米の保存には使えません。
Penn Hongthongのレシピには、米を室温で数日置けるという記述もあります。この記事は、現在の食品衛生の指針と食い違うため、その助言には従いません。保存期間も示しません。
よくある質問
普通のお米でも作れますか?
作れません。ジャスミンライスや寿司米のような普通の(うるちの)米では、一口を手で丸められるほどの粘りが出ません。もち米、スイートライス、グルティナスライスと書かれた米を使ってください。短粒のもち米でも作れますが、タイ産のもち米とは違いが出ます。
手持ちのタイ産もち米は粒が細長いです。間違ったお米でしょうか?
そうとは限りません。タイのもち米には長粒のものがあり、日本の政府の調達文書にも、タイ産長粒種のもち精米が載っています。粒の形ではなく、表示を確認してください。
何時間浸せばよいですか?
このレシピの標準は2時間で、急ぐときはかなり温かい水で45分です。『Food from Northern Laos』は6時間(時間がないときは温水で2時間)、Rice Todayは2〜3時間浸します。これらはそれぞれの方法のもので、このレシピの幅ではありません。
何分蒸しますか?
蓋をして強火で約10〜15分です。ほかのレシピは、浸水や分量の違いもあって20分以上かけています。お使いの米や蒸し器で違いが出ることもあるので、別皿に一粒取って確かめ、硬い芯が残っていたら少しだけ蒸し続けてください。
竹の籠は必要ですか?
伝統的な形を再現するには一番やりやすい道具です。米が湯の上の蒸気に吊られるからです。持っていなければ、蒸し器の中子つきの深鍋と蒸し布で代わりになります。この代用は世界ごはん紀行の道具の提案であり、Penn Hongthongのレシピには含まれていません。
残った米は室温に置いておけますか?
置けません。長時間出しっぱなしにしないでください。残りは清潔な浅い容器に小分けにしてすばやく冷まし、すぐ冷蔵庫に入れて、食べる前に十分に温め直します。











