フィリピンのアサド、名前は一つでも中身はさまざま
ここで紹介するのは、Ajinomoto Cookmunity Philippinesが自社のオイスターソース「SARSAYA」向けのレシピとして公開している、現代的なフィリピン風ポークアサド一種類です。全国共通の標準形ではなく、「アサド」という名前は、かなり違う内容のレシピも指します。
薄切りの豚肩肉を、カラマンシーの果汁としょうゆに30分漬けます。別の鍋ではバターを溶かし、刻んだ白玉ねぎを入れ、トマトソースを注ぎます。そこへ月桂樹の葉、ブラウンシュガー、トマトペースト、八角を1個加えます。豚肉はマリネ液ごと鍋に入れ、フォークがすっと通るまで煮ます。オイスターソースを入れるのはそのあとで、最後に数分だけ火にかけます。
分量と加熱の順序は、Ajinomoto Cookmunityのレシピのとおりです。家庭で作る方のために編集部が加えたのは2点で、マリネ中に豚肉を冷蔵することと、仕上げに豚肉の中心温度を確認することです。この確認は厚生労働省の食品衛生の情報に沿ったもので、煮込み時間とは別のものとして行います。世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作してはいません。
公開されているレシピには、8人分、1人分は1/2カップ(97.5 g)と書かれています。これは出典側の見積もりで、実測した仕上がり量ではありません。また、作り方の説明と脇の表示とで調理時間が食い違っています。その点は「よくある質問」で説明します。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
- 豚肉:すでに薄切りになっている豚肩肉を買います。洗う必要も、これ以上切る必要もありません。
- カラマンシー:果汁をすぐ使える状態にして、マリネを始めるときに手元に置いておきます。
- 玉ねぎ:白玉ねぎは1個まるごと皮をむいて刻みますが、鍋に入れるのは刻んだもののうち大さじ1だけです。
- トマト:トマトソースとトマトペーストは別の材料で、入れるタイミングも違います。
- オイスターソース:このレシピはSARSAYAのオイスターソースを前提にしているので、ほかの商品はここでは勧めません。
- 加えないもの:油、水、塩、こしょう、にんにく、ハーブは加えません。
- ラベル:市販品の材料は、避けたい成分がないかラベルで必ず確認してください。
道具
- ふた付きのボウル(マリネ用)
- 計量スプーンと計量カップ
- まな板と包丁
- 鍋
- 混ぜるためのスプーンなどの道具
- フォーク
- 清潔な食品用温度計
- 盛り付け用の清潔な道具と器
うまくいかないとき
| こんなとき | どうするか |
|---|---|
| 30分煮てもフォークが通らない | 煮ながら確かめ続けます。目安は30〜60分で、フォークが通るかどうかで次に進むかを決めます。 |
| やわらかいのに、中心が75°Cに届いていない | さらに煮てから、いちばん厚い1枚をもう一度測ります。75°Cで1分以上必要です。 |
| オイスターソースを早く入れてしまいそう | できれば待ちます。入れるのは豚肉がやわらかくなってからで、そのあとは数分煮るだけです。 |
| 玉ねぎをたくさん刻みすぎた | 使うのは量った大さじ1だけです。残りはこの料理の材料ではありません。 |
| 生のマリネ液をどうするか迷う | 全量を豚肉と一緒に鍋に入れ、煮込みます。加熱前のマリネ液は、加熱後の料理にかけないでください。 |
| 煮ている間にソースが濃く見える | 水は足しません。鍋の様子を見ながら、フォークが通るかどうかを目安にします。 |
ほかのアサドとはどう違うか
ここに挙げるのは別々のレシピで、上のレシピを調整したものではありません。材料や分量を互いに置き換えることはできません。
| レシピ | 特徴 |
|---|---|
| Ajinomoto Cookmunity Pinoy Pork Asado(この記事) | 薄切りの豚肩肉、カラマンシー、しょうゆ、バター、トマトソースとトマトペースト、ブラウンシュガー、月桂樹、八角。仕上げにSARSAYAオイスターソース |
| Simpol、Old-Fashioned Pork Asado | 豚のスペアリブ、鶏レバー、生トマト、油、アナトー(annatto)を使う別のレシピ |
| Panlasang Pinoy Meaty Recipes、Pork Asado with Pechay | 市販のバーベキュー用マリネ液とチンゲンサイ系の青菜(pechay)を使う別のレシピ |
アサドという名前が指すもの
Simpolのページは、アサドが家庭ごとに、肉の種類も調理法も変わると説明しています。上の3つのレシピを見ると、同じ名前でも料理がどれほど離れうるかがわかります。どれか一つで国全体を代表させることはできません。同じ食卓の料理をもっと見たい方は、フィリピンのページもどうぞ。
ここで紹介したレシピは、メーカーが公開したもので、そのメーカー自身の商品を前提に書かれています。そのため、作る手順がはっきりした一つの版として使いやすい一方、標準形になるわけではありません。
この記事は、アサドがいつどこで生まれたか、どう分類されるべきかについて、何も主張しません。Caroline Hauが2020年に書いた、Clinton PalancaのMy Angkong's Noodlesの書評「A Lauriat of Chinese-Filipino Dishes」は、中国系フィリピン料理についての大まかな背景を示しています。ただしこれは書評であり、アサドの研究ではありません。この記事が参考にしたのは冒頭部分だけなので、この料理の起源を語る根拠にはなりません。
よくある質問
全部でどのくらい時間がかかりますか?
公開されている数値どうしが合わないため、合計時間は一つに決めていません。作り方の説明は、マリネ30分、煮込み30〜60分、最後に数分です。一方、レシピ脇の表示では調理時間が30分となっています。時計の時間よりも、フォークの通り具合と中心温度の確認を基準にしてください。
バター、砂糖、トマトソースにグラム換算がないのはなぜですか?
公開されているレシピには、バター大さじ4に80 g、刻んだ玉ねぎ大さじ1に15 g、トマトソース1/2カップに112 ml、ブラウンシュガー大さじ4に50 gといった組み合わせが併記されています。ただし、これらが正確な換算かどうかは確認できていません。そのためこの記事では、先に書かれているスプーン、カップ、個数の分量と、オイスターソースの合計60 gを使いました。大さじやカップの大きさをどこかの国の規格に決めつけることもしていません。
玉ねぎ大さじ1とは、1個まるごと入れるということですか?
いいえ。玉ねぎは1個まるごと皮をむいて刻みますが、鍋に入れるのは刻んだものから量った大さじ1だけです。
30分漬けるだけなのに、なぜ豚肉を冷蔵するのですか?
30分という時間は公開レシピのものですが、レシピには冷蔵するとは書かれていません。冷蔵は、生肉の衛生のために編集部が加えた手順で、厚生労働省の案内に沿っています。味を変えたり発酵させたりするためのものではありません。
フォークが通れば、火が通ったと判断してよいですか?
いいえ。フォークでわかるのはやわらかさです。安全の確認は別で、豚肉に関する厚生労働省の案内に基づき、中心温度75°Cで1分以上とします。この確認は、公開レシピの煮込み時間には含まれていません。
別のオイスターソースや、カラマンシーの代わりのレモンは使えますか?
この記事では代用を案内していません。このレシピはSARSAYAオイスターソースとカラマンシー果汁を前提に書かれていて、ほかの商品に合わせて調整した分量はないためです。
先に豚肉を焼いたり、ご飯と一緒に出したりしますか?
この版には焼き付けの手順がなく、熱いうちにそのままプレーンに出します。ご飯や副菜はレシピに含まれていません。
これはカパンパンガ風のアサドですか?
この記事はそうは言いません。このレシピは、フィリピン風ポークの一版として紹介されたもので、特定の地域の起源は主張していません。
残りの保存や温め直しはどうすればよいですか?
この記事で扱うのは、作りたてを熱いうちに出すところまでです。もとにした資料に保存期間や温め直しの方法は書かれていないため、ここでも案内しません。



































