玉露は、たっぷりの茶葉に冷ました湯を少しだけ注ぐ
玉露の茶葉10gに対して水80mL。その水を60°Cまで下げ、90秒は湯を注ぎ始めた瞬間から数えます。この4つの数字は、ひとまとまりの一式として使います。
小皿に盛った濃い緑の茶葉をはかりに載せ、沸いたばかりのやかんは少し置いて冷ましておく。玉露(ぎょくろ)は、たっぷりの茶葉に少なめの湯を合わせ、60°Cの湯で淹れるお茶です。この記事で紹介するのは、一保堂茶舗が日本語と英語で公開している「基本の玉露」のレシピ1つです。茶葉10g、60°Cの湯80mLを使い、湯を注ぎ始めてから90秒で茶碗に注ぎます。
玉露は、日光をさえぎって育てた葉から作る日本の緑茶です。粉末の抹茶とは別のもので、緑茶に炒った米を混ぜた玄米茶とも違います。ここで使うのは玉露の茶葉と水だけで、ほかには何も加えません。
数え始めるのは、湯が茶葉に注がれ始めたときです。注ぎ終わったときや蓋を閉めたときではありません。一保堂のレシピには、杯数も人数も、できあがるお茶の量も書かれていないため、この記事でも示しません。80mLは、茶葉に注ぐ水の量です。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。分量、温度、時間は一保堂茶舗が公開しているレシピのとおりで、写真はそれぞれの動作を示す説明用です。重さ、温度、経過時間を示すものではありません。
同じ国のほかの料理や飲み物は、日本のページで紹介しています。
道具
- キッチンスケール(10gを量りやすくなります)
- 温度計、または温度を設定できる湯沸かし器(60°Cを確かめやすくなります)
- 湯を沸かすやかんか鍋
- 80mLを量る計量カップ
- 茶葉をこして分けられる抽出用の器(手持ちの小さな急須など)
- お茶を注ぐ茶碗
どれも特定の品でなくてかまいません。ふだん使っている実用的な茶器で足ります。
選び方と代用
玉露として売られている茶葉を選んでください。煎茶、かぶせ茶、抹茶は近い仲間の日本茶ですが、どれに替えても、この玉露とは別のお茶になります。かぶせ茶は、玉露より日光をさえぎる期間が短いお茶です。
後ほど紹介する宇治や八女といった産地の表示は、その玉露がどんな土地で育てられ、どう仕上げられたかを知る手がかりになります。どちらの産地の玉露でも、淹れ方は同じです。
水は、ふだんお茶に使っている飲み水を使います。玉露ではなく、香りをつけたお茶やブレンド茶を買う場合は、パッケージの原材料表示を自分で確認してください。個々の商品に何が入っているかは、この記事では確かめられません。
うまくいかないとき
たいていの失敗は、4つの数字のどれかを知らないうちに変えてしまうことから起こります。お茶のせいにする前に、まずそこを確かめてください。
| 起きたこと | 考えられる原因 | 次回の対処 |
|---|---|---|
| 数え始めが遅れた | 注ぎ終わってから、または蓋をしてからタイマーを始めた | 湯が茶葉に注がれ始めたらすぐ計時を始める |
| 湯が思ったより熱かった | 沸かした湯をそのまま、または冷め切らないうちに注いだ | 沸かした湯を十分に冷まし、温度計か温度設定のできる湯沸かし器で60°Cを確かめる |
| 淹れるたびに茶葉の量が違う | 茶葉をスプーンで量った | 10gをはかりで量る。お茶の種類が違えば、スプーン1杯の重さも同じとは限らない |
| 数字が2つのレシピから混ざっている | 茶葉の量は一方、水の量や時間は他方から取った | 1つのレシピの一式をそろえる。ここでは10g、80mL、60°C、90秒 |
| お茶の色が鮮やかな緑ではなく淡い | あざやかな写真から期待する色を思い描いていた | 控えめな淡い緑や黄緑が自然。蛍光色のような色を目指さなくてよい |
日本茶専門店のHibiki-anは、低めの温度で淹れるのは甘みを引き出し、苦みを避けるためだと説明しています。ただし、温度だけでどのお茶からも特定の味が出ると保証されるわけではありません。茶葉、製品、水もそれぞれ関わります。
別の店の玉露は、一式をそのまま使う
玉露の淹れ方の案内には、数字がかなり違うものがあります。間違いではなく、茶舗がそれぞれ自分の配合を公開しているからです。たとえばHibiki-anは、自社の玉露について別の一式を示しています。上のレシピに混ぜるものではなく、別の完結した淹れ方として読んでください。
| 一保堂茶舗(この記事) | Hibiki-an(比較用) | |
|---|---|---|
| 茶葉 | 10g(大さじ2) | 7〜8g(大さじ1と1/2) |
| 水 | 80mL | 200mL |
| 湯温 | 60°C | 60〜70°C |
| 時間 | 注ぎ始めから90秒 | 1と1/2〜2分 |
| 杯数 | 記載なし | 2カップ |
Hibiki-anの淹れ方を試すなら、すべての数字を一緒に使ってください。Hibiki-anは、自社の茶葉を複数回に分けて淹れる方法にも触れています。これはその店の商品向けの案内で、このレシピには含まれません。そのため、この記事では2煎目、3煎目の目安は示しません。
玉露はどこから来たか — 日陰、蒸し、宇治
玉露を決めるのは、育つときの日陰です。 農林水産省(MAFF)の宇治茶の説明によると、玉露は新芽に20日以上覆いをかけて育て、摘んだら蒸し、揉みながら乾燥させて作ります。MAFFの食文化のページでは、日陰にする手間がかかることから玉露を高級な日本茶としており、味はまろやかなうま味と甘みがあると紹介しています。これはお茶の種類としての説明です。どのパックでも同じ味がするという約束ではありません。
MAFFの説明では、宇治茶は単に京都府で育ったお茶という意味ではありません。京都、奈良、滋賀、三重で育った葉を使い、京都府の事業者が宇治に由来する方法で仕上げた緑茶を指します。そのため、「宇治」と表示された玉露には、京都の外で育った葉が含まれることもあります。
MAFFによる宇治茶の歴史の説明では、1738年とされる宇治製法と、日陰で育てる栽培が、宇治での玉露の成り立ちに結びつけられています。これは宇治自身の歴史についてのMAFFの説明であり、日本中のすべての玉露の唯一の起源として紹介するものではありません。
MAFFの日本茶紹介では、茶葉から家庭で日本茶を淹れる時間を、一日のくつろぎのひとときとして描いています。家の食卓で玉露を淹れる場面にも通じる話ですが、玉露だけに特別な儀式や作法があるという意味ではありません。
八女 — 独自の決まりをもつ地域の玉露
福岡県の「八女伝統本玉露」は、MAFFに地理的表示(GI)として登録されています。登録された産品は、稲わらで覆って育てること、その覆いに由来する独特の香りがあること、手で摘むこと、地域に結びついて受け継がれてきた方法で作られることが特徴として説明されています。
これらは、その登録産品の特徴です。すべての玉露に求められる条件ではありません。八女と宇治を並べてみると、この記事の淹れ方は同じでも、玉露が地域によってどれほど違いうるかがわかります。パックの産地や作り方の表示は、その違いを知る入口になります。
よくある質問
まず4つの数字を確かめてください。茶葉10g、水80mL、60°C、そして注ぎ始めから数える90秒です。
何杯分、何人分できますか?
一保堂のレシピには書かれていません。茶葉10gと、注ぐ水80mLは示されていますが、杯数、人数、できあがるお茶の量はありません。80mLを、飲めるお茶の量と読み替えないでください。
90秒はいつから数えますか?
湯を茶葉に注ぎ始めた瞬間からです。注ぎ終わりや、蓋をしたときから数えてはいけません。
沸かした湯が60°Cになるまで、どれくらいかかりますか?
冷ます時間も方法も示されていません。一保堂の英語ページは、沸かした湯を十分に冷ますようにとだけ述べています。60°Cに達したかどうかを確かめるには、温度計か、温度を設定できる湯沸かし器がいちばん確実です。
煎茶、かぶせ茶、抹茶で代わりにできますか?
淹れること自体はできますが、この玉露のレシピではなく、別のお茶を作ることになります。MAFFの宇治茶のページでは、玉露と、日陰にする期間がより短いかぶせ茶が区別されています。
別の玉露のレシピを見つけました。どちらが正しいですか?
どちらも正しいことがあります。茶舗はそれぞれ自分の数字の一式を公開しています。1つの一式を丸ごと使ってください。たとえばHibiki-anなら、7〜8g、200mL、60〜70°C、1と1/2〜2分を一緒に使います。ここでの10g、80mL、60°C、90秒と混ぜてはいけません。
淹れたあとの茶葉やお茶を取っておいたり、茶葉をもう一度淹れたりできますか?
採用した一保堂のレシピには、使い終わった茶葉や淹れたお茶の保存、温め直し、2煎目についての案内がありません。この記事でも、どの方法も時間の目安も示しません。
特別な急須が必要ですか?
特定の器は必要ありません。お茶を茶葉から分けて注げる抽出用の器なら使えます。写真に写っている無地の茶器は、説明のための例です。













