香ばしい種を煮出す、韓国の決明子茶
種を洗い、はぜるまで炒り、煮出すのは短い時間だけにします。材料は種と水の2つだけなので、味の中心は炒り具合に任せます。
小さな茶色い種を乾いたフライパンに入れ、中火で動かし続けます。そのうち、パチパチと勢いよくはぜる音が続きはじめます。この音が目指す合図です。決明子茶(결명자차、gyeolmyeongja-cha)は、決明子(韓国語で결명자)の種を洗って炒り、短く煮出す韓国のお茶です。煮出したあとは、温かいまま飲んでも、冷ましてから飲んでも楽しめます。
この記事でたどるのは、AsianSupperに2010年に公開された家庭料理レシピ「Gyulmyungja cha (Cassia Seeds Tea)」です。投稿したのは、umma というハンドルネームで書いている寄稿者です。材料は種 小さじ2と冷水 4カップ。砂糖、はちみつ、しょうが、果物など、ほかの味つけは一切ありません。レシピのページには4人分、準備時間15分という表示がありますが、これはページ自身の表記であって、実際に測った量や正確な調理時間ではありません。
韓国の食の情報サイト Kimchimari の筆者は、決明子茶を、赤みのある色で、穏やかな焙煎の風味とかすかな苦みがあるお茶だと書いています。母が家で作っていた記憶も語っています。これは一人の味覚と思い出です。このレシピでは目標の色は決めておらず、淡い琥珀色から茶色までの自然な色合いであれば問題ありません。
同じ国のほかの料理や飲み物は、韓国のページからご覧ください。
韓国語では결명자차で、ふつうは gyeolmyeongja-cha とローマ字で表します。AsianSupperのレシピでは「gyulmyungja cha」と綴られています。英語では種が「cassia seed」の名前で売られていることが多いので、韓国語名でも検索すると見つけやすくなります。
シナモンではなく、種のお茶

決明子茶の「カシア」はシナモンではありません。 英語の cassia という言葉からはシナモンが思い浮かびやすいのですが、このお茶に使うのは種です。
日本薬局方には、次の2つが別の項目として載っています。
- カッシア種子(Cassia Seed)は、Cassia obtusifolia または Cassia tora の種で、マメ科(Leguminosae)です。
- 桂皮(Cinnamon Bark)は、Cinnamomum cassia の樹皮で、クスノキ科(Lauraceae)です。
科も、使う部位も違います。韓国伝統知識ポータル(Korean Traditional Knowledge Portal)は、決明子の項目を Cassia tora L. とし、使う部位は種だと記しています。
店で買う種については、ここでは植物学的な確認をしていません。そのため、この記事では単に「決明子の種」と呼び、特定の種(しゅ)だとは言いません。実際の買い物では、使うのは種であって、シナモンスティックや樹皮は鍋に入れない、と覚えておけば十分です。
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用
選ぶのは、炒っていない全粒の種です。炒る前に洗って乾かします。炒る前の種は、韓国食材店や中国食材店で手に入ります。
炒ってある全粒の種も売られています。その場合、この記事の分量や時間は当てはまらないかもしれません。
食品用、またはお茶用と表示された種を選んでください。野山で採ったものや、薬用のエキスは使わないでください。これは飲み物の作り方の記事であり、健康への効果や毎日の飲む量、薬としての使い方をすすめるものではありません。
道具
- フライパン
- 鍋
- 計量スプーン
背景:炒り具合と香りの話
韓国食文化学会誌(Korean Journal of Food Culture)に、焙煎条件を変えて作った Cassia tora の種のお茶を調べた研究が掲載されています。その要旨には、次のような風味が挙げられています。
- 甘み、渋み、酸味、苦み
- 焙煎コーヒーのような香りと、焙煎した大麦のような香り
- 焦げたにおい
要旨によると、焙煎が進むほど全体の好ましさは上がりました。ただし、炒りすぎて苦みと焦げ臭が出た場合は評価が下がっています。研究室での焙煎条件は、家庭のフライパンの目安にはなりません。
| 気づいたこと | 考えられる理由 | 次に試すこと |
|---|---|---|
| 苦い、または焦げ臭いお茶になった | 種を炒りすぎた | 炒り続けず、勢いよくはぜはじめてから約2分で止める |
| まだはぜない | 合図の状態まで達していない | 中火でこまめに混ぜ、はぜ音が勢いづくまで続ける |
| 色の説明より薄い | このレシピには目標の色がない | 淡い琥珀色から茶色までは自然な色合い。煮出し時間は記載の4〜5分を目安にする |
| レシピを変えたら苦くなった | 種を増やした、または長く煮た | 種を増やしたり長く煮たりすると苦くなることがある。ここでは小さじ2、4〜5分の方法のとおりに作る |
背景:飲み方のバリエーションと、ほかの方法
これらは、一つのレシピの調整ではなく、それぞれ別の方法として分けて考えてください。
- 温かく飲む。 煮出したらそのまま飲みます。主なレシピはこの飲み方です。
- 冷まして飲む。 同じように煮出し、冷ましてから冷たく飲みます。煮出したお茶が冷めたもので、種を冷水に長時間浸す水出しとは違います。氷や冷やし方については、このレシピは触れていません。
- 種をもう一度煮出す。 AsianSupperの投稿者は、お茶を再び煮出せると書いています。ただし、水の量、時間、回数は示されていないので、二煎目の決まった配合はありません。
- 別に公開されている韓国の配合。 韓国の食情報サイト Foodnuri は、炒った決明子を麦茶(보리차)のように煮出す方法を紹介しています。水 1Lに炒った種 10〜15gを入れ、沸騰させたあと弱火で約20分煮る方法です。小さじ2の種を4カップの水で4〜5分煮る今回の方法とは、割合も時間も違うので、混ぜないでください。
- 甘味料。 主なレシピに砂糖やはちみつはありません。甘くしたいときは、このレシピとは別の、自分なりのアレンジとして考えてください。
背景:家庭料理のレシピと、麦茶に似たお茶
Foodnuri は、炒った決明子を、麦茶のように煮出す種として説明しています。この記事で触れるお茶の背景は、この比較までにとどめます。起源の物語や古代からの歴史、全国的な飲用習慣については、何も主張しません。
レシピの投稿者について
- ここで手順を追ったレシピは、AsianSupperの寄稿者 umma によるものです。ummaのプロフィールには、米国ワシントン州シアトルと記され、好きな料理として韓国料理が挙げられ、韓国料理の本にも触れています。
- ummaは、同サイトで「Mondays with Mom」というコラムも書いています。サイトでは、年長の世代の韓国人の視点で、1980年代に米国へ移住してワシントン州に暮らす寄稿者が書いたものとして紹介されています。韓国で育った記憶や、家庭料理が記録されています。
- 「umma」はハンドルネームです。本名や専門的な資格は示されていません。
- これはプロの試験用キッチンのレシピではなく、家庭の料理人のレシピです。世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作して検証してはいません。
このレシピに書かれておらず、この記事でも補わないこと
- カップの大きさ
- 種の重さ
- はぜはじめるまでに炒る時間
- 出来上がるお茶の量
- 濾すかどうか
- お茶の冷まし方
- 保存できる期間
なお、AsianSupperのページの紹介文には、目、腎臓、肝臓に関する記述がありますが、この記事では繰り返しません。
よくある質問
このお茶の「カシア」はシナモンのことですか?
いいえ。このお茶に使うのは決明子の種です。日本薬局方では、カッシア種子(マメ科の種)と桂皮(クスノキ科の Cinnamomum cassia の樹皮)は別々の項目で、科も使う部位も違います。
炒り済みの種は使えますか?
主なレシピは、種を洗ってから炒る手順なので、1つの工程を飛ばして残りをそのままにすることはできません。Sempio の炒り済み全粒の種の商品ページには、煮出し方が載っていません。炒り済みの商品を使うときは、この記事の分量や時間を借りず、その商品の表示に従ってください。
冷たい決明子茶は水出しですか?
いいえ。このレシピでは先に種を煮出し、そのお茶を冷ましてから冷たく飲みます。
砂糖やはちみつは必要ですか?
このレシピには、どちらも入っていません。材料は種と水だけです。
種を油で炒らないのはなぜですか?
レシピには油が書かれておらず、炒める意味の言葉にも油の記述はありません。そのため、この記事では油を使わず、乾いたフライパンで炒ります。
お茶は濾したほうがいいですか?
レシピには濾す工程がないので、ここでも加えていません。ふだんどおりの方法でお茶を注ぐことを、レシピが禁じているわけではありません。
どのくらい保存できますか?
レシピに保存の目安が書かれていないので、この記事では保存できる期間をおすすめしません。
目の疲れや消化のために飲んでもいいですか?
これは料理の記事であり、健康上の目的や治療のためにこのお茶をすすめるものではありません。ここで説明しているのは、飲み物の作り方だけです。













