黄金色に焼けたアジャラ式ハチャプリに卵黄とバターが溶け込む
🔪下準備30分
🔥調理40分
🍽️分量4
🌍料理ジョージア料理
東欧・コーカサスレシピ

ハチャプリの作り方|チーズ溢れるジョージアの国民食

40分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: イーストを活性化する(5分)
STEP 11 / 8

イーストを活性化する(5分)

ぬるま湯 150mlに砂糖 10gとドライイースト 5gを加え、軽くかき混ぜて5分間放置します。表面に細かい泡が立てばイーストが活性化した証拠です。泡が出ない場合はイーストが古い可能性があるので、新しいものに取り替えてください。湯の温度が45℃を超えるとイースト菌が死滅するため、必ず指を入れて「ぬるい」と感じる35〜40℃を守ります。

手順2: 生地をこねる(10分)
STEP 22 / 8

生地をこねる(10分)

大きなボウルに強力粉 300g、塩 5gを入れて混ぜます。中央にくぼみを作り、活性化したイースト液、ヨーグルト 80g、オリーブオイル 大さじ1を注ぎ入れます。菜箸やヘラでざっくり混ぜたら、打ち粉をした台の上に出して手でこねます。10分間、押して折りたたんで回転させるを繰り返してください。こね上がりの目安は「生地の表面がなめらかで、指で押すとゆっくり戻ってくる」状態です。ベタつく場合は強力粉を小さじ1ずつ足しますが、入れすぎると硬い仕上がりになるので注意してください。

ジョージアの料理家タマル・ギグラゼは「ハチャプリの生地は柔らかければ柔らかいほどいい。少しベタつくくらいがちょうどいい」と語っています(Georgian Journal)。日本のパン作りの感覚だとこねすぎてしまいがちですが、ピザ生地より少し柔らかい程度を目指します。

手順3: 一次発酵(60分)
STEP 33 / 8

一次発酵(60分)

こねた生地を表面に張りが出るように丸くまとめ、ボウルに入れてオリーブオイルを薄く塗ります。湿らせた布巾またはラップをかけ、温かい場所(30〜35℃)で約60分間、生地が2倍に膨らむまで発酵させます。発酵後は表面がふっくらなめらかで、ボウルを揺らすと全体が柔らかく震える状態です。冬場は電子レンジの発酵機能(35℃設定)を使うか、オーブンの庫内灯をつけた状態で発酵させると安定します。

指に打ち粉をつけて生地の中心を2cmほど押してみてください。穴がゆっくり戻ってくればちょうどよい発酵状態。すぐに戻る場合はもう少し待ち、まったく戻らない場合は過発酵です。

手順4: チーズフィリングを作る(5分)
STEP 44 / 8

チーズフィリングを作る(5分)

発酵を待つ間にフィリングを準備します。フェタチーズ 150gをフォークで米粒〜小豆大に細かくほぐし、シュレッドモッツァレラ 250gと卵 1個を加えて手でよく混ぜ合わせます。フェタの大きな塊が残ると塩気が偏るので、指先でつぶしながら全体を均一にします。完成したフィリングは手で軽く握るとまとまり、指を開くとほろっと崩れるしっとりした状態です。パサパサしている場合は溶き卵を大さじ1ずつ足してください。

ジョージアの伝統的なハチャプリには「スルグニ(სულგუნი)」という塩水漬けのストリングチーズが使われます。日本では入手困難ですが、モッツァレラのとろけ感とフェタの塩気・酸味を組み合わせることで、スルグニの特徴に近づきます。英語圏の在米ジョージア人シェフたちも同じ組み合わせを推奨しています(Tasting Table, 2024)。

手順5: 生地を成形する(10分)―― アジャラ式「舟形」
STEP 55 / 8

生地を成形する(10分)―― アジャラ式「舟形」

発酵した生地を台に出し、2等分します(1個約290g)。それぞれを手で楕円形に伸ばし、長辺30cm・短辺18cm程度の楕円にします。長辺の両端を内側に巻き込みながら持ち上げ、両先端をねじって留めます。すると中央が凹んだ舟(ボート)の形になります。

成形のコツは「端をきつくねじること」です。次の工程でチーズが流れ出さないよう、両端は指でぎゅっとつまんで閉じてください。舟の幅は10〜12cm程度で、縁が立ち上がり、中央にチーズを入れるくぼみがはっきり残る形に整えます。

生地を丸く20cm程度に伸ばし、中央にフィリングの半量を置いて包み込むように縁を集めます。閉じ目を下にして軽く押さえ、直径18cm程度の円形に整えます。そのまま天板に乗せ、表面がきつね色になるまで仕上げます。イメレティ式は卵黄とバターの仕上げは不要です。

手順6: チーズを詰めてオーブンで焼く(15〜18分)
STEP 66 / 8

チーズを詰めてオーブンで焼く(15〜18分)

オーブンを230℃に予熱します。舟形の生地の中央にチーズフィリングの半量(約220g)をこんもりと詰めます。フィリングが縁からはみ出さないよう注意してください。

天板にオーブンシートを敷き、成形したハチャプリを乗せて、230℃で15〜18分焼きます。生地のふちがきつね色に色づき、チーズが泡立って溶けている状態が焼き上がりの目安です。焼きすぎるとチーズが固まってしまうので、こまめに確認してください。

英語圏のレシピサイト「Georgian Recipes」では、家庭用オーブンの場合は天板を下段に入れて底面からも十分に火を通すことを推奨しています。ジョージアの伝統的なパン窯(トネ)は底面が非常に高温になるため、家庭でもできるだけ底からの熱を確保するのがポイントです。

手順7: 卵黄とバターで仕上げる ―― ハチャプリの真骨頂
STEP 77 / 8

卵黄とバターで仕上げる ―― ハチャプリの真骨頂

オーブンから取り出したら、熱いうちにチーズの中央にくぼみを作り、卵黄 1個とバター 10gを落とします。オーブンの余熱(庫内に30秒だけ戻す)で卵白のふちがうっすら白くなる程度に火を通します。完全に火を通す必要はありません。卵黄はとろりとした半熟状態がベストです。

卵黄は半熟のまま食べるのがジョージアの伝統的な食べ方です。生卵に不安がある方は、オーブンに1分間戻して完全に火を通してください。ただし卵黄が固まるとチーズとの絡みが悪くなるため、できれば半熟で。新鮮な卵を使用し、購入後すぐに冷蔵保存したものを使いましょう。

手順8: チーズ・卵黄・バターを混ぜて完成(2分)
STEP 88 / 8

チーズ・卵黄・バターを混ぜて完成(2分)

テーブルに運んだら、焼きたてでチーズがふつふつしているうちにフォークで卵黄とバターをチーズに混ぜ込みます。黄色いチーズソースが舟全体に行き渡り、とろりとした半熟の状態になったら、パンの縁をちぎってチーズに絡めて食べます。ナイフとフォークは使わず、手でパンをちぎるのがジョージア式です。

ジョージアの食文化研究者ジュリエット・ロソフスキーは著書『Eat Georgia: Recipes from the Cradle of Wine』の中で、「ハチャプリは焼きたてを3分以内に食べ始めるのが鉄則。冷めるとチーズが固まってまったく別の食べ物になる」と記しています。焼き上がりを待ちきれずにテーブルに着く、あの高揚感こそがハチャプリの本質です。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
7品目

生地

材料 分量 代替・備考
強力粉 300g 中力粉でも可。薄力粉は膨らみが弱いため不向き
ぬるま湯(35〜40℃) 150ml 熱すぎるとイーストが死ぬ。人肌程度
プレーンヨーグルト(無糖) 80g サワークリームで代用可。酸味で生地がしなやかに
ドライイースト 5g(小さじ1.5) インスタントドライイースト推奨
砂糖 10g(小さじ2) イーストの栄養源
5g(小さじ1)
オリーブオイル 大さじ1 サラダ油でも可
3品目

チーズフィリング

材料 分量 代替・備考
モッツァレラチーズ(シュレッドタイプ) 250g とろける食感の核。ピザ用チーズでも可
フェタチーズ 150g 塩気と酸味の要。カッテージチーズ+塩小さじ1で代用可
1個(フィリング用) チーズのつなぎ。フィリングをまとめる
2品目

仕上げ(アジャラ式)

材料 分量 代替・備考
卵黄 2個(1個ずつ各ハチャプリに) 新鮮なものを使用
バター(有塩) 20g(10gずつ) 最後に加えてチーズに溶かす
メモ

栄養情報(4人分のうち1人分あたり)

上記フロントマターの栄養情報は4人分のうち1人分(ハチャプリ1/2個)の概算値です。モッツァレラチーズとフェタチーズの組み合わせにより、カルシウムは約400mg(成人1日推奨量の約50%)を摂取できます。タンパク質28gは卵とチーズに由来し、炭水化物68gは主に強力粉の生地から来ています。

フェタチーズの入手先

日本のスーパーでフェタチーズが見つからない場合、以下の店舗で入手できます。成城石井(250gで800円前後)、カルディ(ギリシャ産200gで700円前後)、コストコ(大容量でコスパ良好)、Amazon・楽天の輸入食品ショップ。フェタが手に入らない場合はカッテージチーズ150gに塩小さじ1を加えて混ぜると、塩気と酸味を近づけられます。リコッタサラータもよい代替品です。

アレルギー物質について

この料理には 小麦・乳・卵 が含まれます。フェタチーズは羊乳または山羊乳製のものがありますので、牛乳アレルギーの方は原材料表示を確認してください。グルテンフリーにする場合は米粉ベースのパン生地レシピで代用できますが、食感はかなり異なります。

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この料理に使う食材・道具

掲載商品は、複数の販売先を定期的に確認し、価格・内容量・レビュー傾向・購入しやすさを比較したうえで選定しています。
📊 栄養情報(1人分)
170
kcal
7.0g
タンパク質
8.0g
脂質
17.0g
炭水化物
0.5g
食物繊維
245mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
人数に合わせて材料表を調整する
4人分

材料(4人分・2 個)

生地

材料 分量 代替・備考
強力粉 300 g 中力粉でも可。薄力粉は膨らみが弱いため不向き
ぬるま湯(35〜40℃) 150 ml 熱すぎるとイーストが死ぬ。人肌程度
プレーンヨーグルト(無糖) 80 g サワークリームで代用可。酸味で生地がしなやかに
ドライイースト 5 g(小さじ1.5) インスタントドライイースト推奨
砂糖 10 g(小さじ2) イーストの栄養源
5 g(小さじ1)
オリーブオイル 大さじ1 サラダ油でも可

チーズフィリング

材料 分量 代替・備考
モッツァレラチーズ(シュレッドタイプ) 250 g とろける食感の核。ピザ用チーズでも可
フェタチーズ 150 g 塩気と酸味の要。カッテージチーズ+塩小さじ1で代用可
1 個(フィリング用) チーズのつなぎ。フィリングをまとめる

仕上げ(アジャラ式)

材料 分量 代替・備考
卵黄 2 個(1 個ずつ各ハチャプリに) 新鮮なものを使用
バター(有塩) 20 g(10 gずつ) 最後に加えてチーズに溶かす

栄養情報(4人分のうち1人分あたり)

上記フロントマターの栄養情報は4人分のうち1人分(ハチャプリ1/2 個)の概算値です。モッツァレラチーズとフェタチーズの組み合わせにより、カルシウムは約400mg(成人1日推奨量の約50%)を摂取できます。タンパク質28 gは卵とチーズに由来し、炭水化物68 gは主に強力粉の生地から来ています。

フェタチーズの入手先

日本のスーパーでフェタチーズが見つからない場合、以下の店舗で入手できます。成城石井(250 gで800円前後)、カルディ(ギリシャ産200 gで700円前後)、コストコ(大容量でコスパ良好)、Amazon・楽天の輸入食品ショップ。フェタが手に入らない場合はカッテージチーズ150 gに塩小さじ1を加えて混ぜると、塩気と酸味を近づけられます。リコッタサラータもよい代替品です。

アレルギー物質について

この料理には 小麦・乳・卵 が含まれます。フェタチーズは羊乳または山羊乳製のものがありますので、牛乳アレルギーの方は原材料表示を確認してください。グルテンフリーにする場合は米粉ベースのパン生地レシピで代用できますが、食感はかなり異なります。

コーカサスの山々が育んだ「チーズの舟」

パンを割ると中から熱々のチーズがとろりと流れ出す。卵黄をくずしてバターと混ぜ、パンの縁をちぎって絡めて食べる。ジョージア(旧称グルジア)の ハチャプリ(ხაჭაპური / khachapuri) は、ジョージア料理を代表する一品であり、一度体験すると忘れられない料理です。

「ハチャプリ」はジョージア語で「チーズパン」を意味します。「ხაჭო(ハチョ)= カッテージチーズ」と「პური(プリ)= パン」の合成語です。ジョージアの食文化研究者ダリ・ツァツァラシヴィリによると、その歴史は少なくとも中世にまで遡り、コーカサス地方の牧畜民がチーズの保存と運搬のためにパン生地で包んだのが起源とされています。

ジョージアには地方ごとに異なる形のハチャプリが存在します。最も有名なのは黒海沿岸のアジャラ地方に伝わる アジャリウリ・ハチャプリ(舟形) で、開いた舟の中にチーズと卵、バターが入ります。首都トビリシを含むイメレティ地方では イメルリ・ハチャプリ(丸形) が主流で、こちらはチーズを生地で完全に包み込む形です。

ハチャプリとジョージア経済

ジョージア国立銀行は、パンとチーズの価格変動を追跡する「ハチャプリ指数(Khachapuri Index)」を2010年から公式に発表しています。消費者物価の変動を庶民の実感と結びつける独自の経済指標で、英語圏のエコノミストたちの間でも「ビッグマック指数のジョージア版」として知られています(ISET Policy Institute)。国民食が経済指標になるほど、ハチャプリはジョージアの日常に根づいた料理です。

この記事では、英語圏のジョージア料理専門サイトや現地シェフのレシピを研究し、日本のスーパーで手に入る食材だけで再現できるハチャプリのレシピをお届けします。アジャラ式(舟形)をメインに、イメレティ式(丸形)の作り方も併記しました。ボルシチと合わせれば、東欧・コーカサスの食卓が自宅で再現できます。

黄金色に焼けたアジャラ式ハチャプリ、中央にとろけるチーズと卵黄
アジャラ式ハチャプリ。舟形の生地にたっぷりのチーズ、卵黄、バターが溶け合う

調理のコツ

生地は前日に仕込める

生地をこねた後、ラップで密閉して冷蔵庫に入れれば、翌日まで低温発酵させることができます。前日の夜に仕込んでおけば、当日はチーズを詰めて焼くだけ。低温発酵させた生地はグルテンが十分に発達するため、しなやかで扱いやすくなります。冷蔵庫から出して30分ほど室温に戻してから成形してください。

チーズの比率で味が変わる

モッツァレラ:フェタ=5:3が基本比率ですが、フェタを増やすと塩気と酸味が強くなり、よりジョージアの伝統的な味に近づきます。逆にモッツァレラを増やすとマイルドで日本人好みの味わいになります。好みで調整してください。ジョージア在住の料理ブロガーKeto's Kitchenは「チーズの総量は生地の重量と同じかそれ以上にするのが本場の感覚」と述べています。

オーブンなしでもフライパンで作れる

オーブンがない場合は、フライパンに蓋をして弱火〜中弱火で片面7〜8分ずつ焼きます。この場合はイメレティ式(丸形)の方が作りやすいです。フライパンの底にオリーブオイルを薄く塗り、蓋をして蒸し焼きにすることでチーズがとろりと溶けます。裏返すときは大きな皿を使ってひっくり返すと失敗しにくいです。

冷凍保存の方法

焼く前の状態(生地にチーズを詰めた段階)で冷凍できます。天板ごとラップで包んで冷凍庫へ入れ、固まったらジップロックに移して保存。食べるときは冷凍のままオーブン200℃で25〜30分焼きます。焼いてからの冷凍は電子レンジで温め直すとチーズが分離しやすいため、焼く前の冷凍を推奨します。

パンの縁をちぎってとろけるチーズに絡めて食べる様子
焼きたてを手でちぎって食べるのがジョージア式。チーズの伸びが食欲をそそる

アレンジ・バリエーション

ハチャプリはジョージアの地方ごとに異なるバリエーションが存在します。基本のアジャラ式をマスターしたら、ぜひ他のスタイルにも挑戦してみてください。

メグレリ式ハチャプリ(メグレルリ)

西ジョージアのサメグレロ地方のスタイルで、丸形のイメレティ式ハチャプリの上面にもチーズを乗せて焼くのが特徴です。つまりチーズが中にも外にもある「ダブルチーズ」のハチャプリです。仕上げにシュレッドモッツァレラを50gほど上面に散らし、チーズが溶けるまでオーブンで追加2分焼きます。ピザのようなビジュアルで、チーズ好きにはたまらない一品です。

ペノヴァニ・ハチャプリ(パイ生地版)

時間がないときに便利なのがペノヴァニ式です。市販の冷凍パイシートを正方形に広げ、中央にチーズフィリングを乗せて四隅を折りたたむだけ。200℃のオーブンで20分焼けば完成です。本来はジョージアの伝統的な層状生地を使いますが、冷凍パイシートは優れた代替品。平日の夕食にも取り入れやすい手軽さが魅力です。

和風アレンジ

味噌とチーズの相性は抜群です。フェタチーズの代わりに白味噌 大さじ2を加えると、塩気と発酵の旨味が加わってユニークな風味になります。また、大葉やみょうがを刻んでチーズに混ぜ込むと、和のハーブが効いたオリジナルハチャプリになります。納豆を少量(1パック)加えるアレンジは、在日ジョージア人のSNSでも話題になりました。

ヴィーガン版

チーズの代わりに、水切りした木綿豆腐 300gに白味噌 大さじ2、ニュートリショナルイースト 大さじ3、レモン汁 大さじ1、塩 小さじ1/2、ターメリック少々を混ぜたフィリングを使います。卵黄の代わりにターメリックで色づけした豆乳クリームを乗せます。完全にヴィーガンでありながら、チーズ的なコクと酸味を再現できます。

3種類のハチャプリ(アジャラ式、イメレティ式、メグレリ式)を並べた様子
左からイメレティ式(丸形)、アジャラ式(舟形)、メグレリ式(ダブルチーズ)

この料理の背景 ―― ジョージアの食卓「スプラ」とハチャプリ

ジョージアでハチャプリが食べられるのは、日常の食事だけではありません。スプラ(სუფრა) と呼ばれるジョージアの伝統的な宴席では、ハチャプリは必ずテーブルの中央に置かれます。スプラは単なる食事会ではなく、タマダ(宴の司会者) の指揮のもとで乾杯が繰り返される儀礼的な宴です。

ジョージアはワイン発祥の地のひとつとされ、8,000年前のワイン醸造の痕跡が発掘されています(University of Pennsylvania Museum, 2017)。このワイン文化とスプラの伝統、そしてハチャプリは三位一体で、ジョージア人のアイデンティティを形成しています。

ジョージア料理研究家のティナ・ツァアヴァは英語圏のフードメディアBon Appetitの取材に対し、「ジョージア人にとってハチャプリは、日本人にとっての白米のような存在。毎日食べても飽きないし、それがない食卓は食卓ではない」と答えています。

地方ごとのハチャプリ文化

ジョージアの各地方がそれぞれ独自のハチャプリを持っており、「うちのハチャプリが一番おいしい」という郷土愛に満ちた議論が日常的に交わされます。英語圏の旅行メディアAtlas Obscuraによると、ジョージア全土で確認されているハチャプリのバリエーションは少なくとも53種類に上ります。

アジャラ式が観光客に最も人気がある一方で、地元の人々はイメレティ式を「毎日のハチャプリ」として愛しています。黒海沿岸のグリア地方では、ゆで卵を丸ごと中に入れる グルリ・ハチャプリ が祝日のご馳走として作られます。

「チーズの品質が全てを決める」

ジョージアの食の哲学で繰り返し語られるのが、素材の質に対するこだわりです。ジョージア国内では、スルグニチーズは各地の小規模な農家が手作りしており、産地によって塩味や弾力が異なります。ジョージア出身のシェフ、テモ・カルサウリは自身のYouTubeチャンネルで「ハチャプリの味の90%はチーズで決まる。生地は脇役」と断言しています。

日本で再現する場合も、できるだけ品質のよいチーズを選ぶことが仕上がりを左右します。スーパーの安価なピザ用チーズだけで作ると味がぼんやりしがちなので、フェタチーズを加えることでメリハリのある味わいになります。

ジョージアの伝統的なスプラ(宴席)のテーブルに並ぶ料理
ジョージアのスプラ。ハチャプリはテーブルの中央に鎮座し、ワインとともに楽しまれる

よくある質問

ジョージア料理をもっと知りたい方へ

ハチャプリと並ぶジョージアの定番料理「ヒンカリ(小籠包のような肉入り餃子)」のレシピも今後公開予定です。東欧・コーカサスの料理に興味がある方は、本場ウクライナのボルシチもぜひご覧ください。中東料理がお好きならフムスの作り方ファラフェルのレシピもおすすめです。トルコのケバブレバノンのタブーレイスラエルのシャクシュカなど、地中海・中東圏の味わいとハチャプリは相性抜群です。ペルーのセビーチェと一緒にワールドフードパーティーを開くのも楽しいですね。

Q1. ハチャプリは冷めてもおいしいですか?

焼きたてが圧倒的においしいですが、冷めても食べられます。冷めるとチーズが固まるため、電子レンジで30秒〜1分温めるか、トースターで表面がカリッとするまで焼き直すと、焼きたてに近い状態に戻ります。ただしアジャラ式の卵黄の半熟感は焼き直しでは再現できないため、できる限り焼きたてを食べることを強くおすすめします。

Q2. 発酵なしで作れますか?

イーストなしで作るレシピも存在します。ベーキングパウダー 小さじ2で代用すると発酵時間をゼロにできますが、パンのふんわりした食感は失われ、やや重い仕上がりになります。「時間がないけどどうしても食べたい」という場合の緊急手段として覚えておいてください。英語圏のジョージア料理フォーラムReddit r/GeorgianFoodでも「BP版は別物だが、これはこれでアリ」という意見があります。

Q3. 子供にも食べさせて大丈夫ですか?

生地とチーズの組み合わせは子供にも人気があります。ただしアジャラ式の半熟卵黄は小さなお子さんには避けた方が安全です。イメレティ式(丸形)で作り、チーズフィリングに完全に火を通した版なら安心です。塩分が気になる場合はフェタチーズの量を減らし、モッツァレラの比率を上げてください。

Q4. ハチャプリに合う飲み物は何ですか?

ジョージアでは白ワイン(特にアンバーワイン)と合わせるのが定番です。日本で入手しやすいジョージアワインとしては、サペラヴィ(赤)やルカツィテリ(白)があります。ノンアルコールなら、ヨーグルトドリンク(タン、もしくは日本のラッシー)がチーズの濃厚さを中和してくれます。炭酸水もよく合います。

Q5. 余ったチーズフィリングの使い道は?

春巻きの皮に包んで揚げると、即席チーズスティックになります。食パンに塗ってトースターで焼いてもおいしいです。ピザのトッピングとしても使えますし、茹でたパスタに和えるとジョージア風チーズパスタに。2日以内に使い切ってください。

参考文献

出典・引用について

この記事は、世界ごはん紀行編集部が各国の料理資料、現地レシピ、食材事情をもとに、日本の家庭で再現しやすい形に整理したものです。

出典
世界ごはん紀行ハチャプリの作り方|チーズ溢れるジョージアの国民食
URL
https://sekaigohan.com/recipes/east-europe/georgia/khachapuri
著者・編集
世界ごはん紀行編集部
更新日
2026年4月7日
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