葉一枚が、小さな包みに変わる
小さな葉に、具はひとさじ。米は生のまま入れ、巻いた中で煮えます。煮汁は薄いトマト水にとどめ、サワークリームは食卓で添えます。
白キャベツの芯をくり抜いて熱い湯に入れておくと、外側の葉がゆるんでしなやかになります。一枚ずつ外し、厚い葉脈をそぎ、手のひらほどの小さな切れ端に整えます。そこにのせる具は小さじ1〜1.5ほど。生の米、生の豚ひき肉、ラードで炒めてパプリカで香りをつけた野菜です。巻き上げると、ひと口かふた口で食べられる小さな包みになります。
ホルブツィ(голубці)は、キャベツの葉で具を包んで鍋で煮るウクライナのキャベツ包みです。具も葉も煮汁も大きさも、ウクライナの中で地域ごと、家庭ごとに違います。この記事で作るのは、ウクライナのシェフ、エフゲン・クロポテンコ氏が紹介しているザカルパッチャ地方の小さなホルブツィです。氏は、小さなひと口サイズとパプリカがこの地方風の特徴だと説明しています。数ある地方の型のひとつであって、ウクライナ全体の標準というわけではありません。
クロポテンコ氏のレシピは8人分、所要1時間30分と表示されていますが、包みが何個できるかは書かれておらず、時間の内訳も示されていません。何個できるかは、キャベツの大きさと葉の切り方で変わります。
このレシピは世界ごはん紀行では試作していません。分量と手順は公開されているレシピに従っています。手順6の温度による加熱確認は、レシピ自体ではなく、別の食品安全の指針にもとづく補足です。
選び方と代用
- キャベツ: 白キャベツを使います。白菜やちりめんキャベツは別の食材で、葉の食感や煮え方が変わります。
- 甘唐辛子: 肉厚の赤や黄のパプリカがよく合います。辛い唐辛子は避けます。
- ラード: ひまわり油やオリーブ油に替えられます。具の香りは軽くなります。
- パプリカ粉: このレシピでは普通のパプリカ粉を使います。スモークパプリカは変化案(後述)で、香りが変わります。
- アレルゲンの表示: この料理には豚肉が入り、サワークリームには乳が含まれます。トマトペースト、パプリカ粉、ラードも、アレルゲンの表示を確認してください。含まれていないと決めつけないでください。
道具
- キャベツをやわらかくする大きめの鍋
- 葉を取り出すトング
- 野菜を炒めるフライパン
- 混ぜるためのボウル
- 包みを煮る小さめの鍋
- 鍋の中に収まる耐熱の皿
- 細い温度計(瞬間読み取り式)
葉をやわらかくし、小さな包みに煮上げる
この包みは生の豚ひき肉と生の米から作るため、時間だけでは火が通ったと言えません。最後に、米がやわらかいことを確かめ、温度計で包みの中心が71.1°C(160°F)以上になっていることを確認してください。
キャベツの芯をくり抜き、熱い湯を入れた鍋に入れます。葉がやわらかくなるまで火を通します。やわらかくなった葉を外側から一枚ずつ外し、硬い葉脈を切り落とします。葉は約7×7×11cmの小さな切れ端に切り分けます。

2. 野菜をラードで炒める
玉ねぎ、甘唐辛子、にんじん、トマトをさいの目に切ります。フライパンにラード大さじ2を熱し、玉ねぎを3〜5分炒めます。甘唐辛子を加えて3〜4分、にんじんを加えて5分炒めます。最後にトマト、パプリカ小さじ2、塩と黒こしょうを適量加えます。野菜は焦がさないようにします。

3. 生の米、豚肉、野菜を混ぜる
米250gを洗います。ゆでずに、豚ひき肉400gと炒めた野菜と混ぜます。

4. 小さな葉に具をのせて巻く
キャベツの葉1枚に具を小さじ1〜1.5のせて、小さな包みに巻きます。具を詰めすぎないでください。厚い葉脈のところで葉が破れるときは、葉脈をさらに薄くそいでやり直します。

5. 包みを並べてトマト水を注ぐ
包みを鍋に並べ、上から塩を少々ふります。トマトペースト大さじ2を1回目の水300mlに溶き、包みに注ぎます。そのあと、2回目の水300mlを加えます。

6. 皿で押さえて煮る
包みの上に皿をのせて押さえます。沸騰させたら、25〜30分煮ます。包みを1つ開き、米がやわらかくなっていることを確かめます。温度計を包みの中心に刺し、71.1°C(160°F)以上あることを確認します。米がまだ硬い、または温度が足りないときは、そのまま煮て、もう一度確認します。

7. サワークリームを添える
ホルブツィにサワークリームを添えて出します。鍋には混ぜ入れず、食べる人がそれぞれ食卓で加えます。
うまくいかないときの見直し
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉を外すと破れる | まだ十分にやわらかくなっていない | キャベツを熱湯に戻し、ゆるんだ外葉だけを外す。層がやわらかくなるたびに内側へ進む |
| 巻くときに葉が裂ける | 厚い葉脈が残っている、または具が多すぎる | 葉脈をさらに薄くそぐ。具は1枚に小さじ1〜1.5にとどめる |
| 鍋の中で包みが開く | 巻き方がゆるい、または押さえていない | 鍋にぴったり詰めて並べ、煮る間は皿をのせておく |
| 25〜30分煮ても米が硬い | 包みが大きめ、または鍋にもう少し時間が必要 | 煮続けて、もう一度確認する。時計ではなく、米と中心温度で判断する |
| 中心が71.1°C(160°F)に届かない | まだ火が通っていない | 包みの中心が71.1°C(160°F)以上になるまで加熱を続ける |
| 煮汁が薄く感じる | 薄いトマト水に仕上げるレシピ | 水は表のとおり300mlを2回とも使う。コクは食卓でサワークリームが足してくれる |
変化案
主レシピとは別の食べ方です。主レシピに足すのではなく、置き換えとして考えてください。
- ラードの代わりに油: 炒める油をひまわり油かオリーブ油にします。具の味は軽くなります。
- スモークパプリカ: 普通のパプリカ粉の代わりにスモークパプリカを使うと、燻した香りが加わります。
- 豚肉の代わりに牛肉や鶏肉: できますが、味が変わります。やはり中まで火が通ったことを確認する必要があります。使う肉に合った安全な中心温度を確認してください。ここに書いた71.1°C(160°F)は豚ひき肉の場合の値です。
- じゃがいも入りの精進ホルブツィ: 具が違う別の地方の伝統です(後述)。このレシピにじゃがいもは足さないでください。別の料理です。
ウクライナ各地のホルブツィ ― 同じ名前、違う鍋
ホルブツィはウクライナ全土で作られ、地方によって、また家庭によって形が違います。 旅行ガイドのVisit Kyivは、ホルブツィを伝統的なキャベツ包みとして紹介しています。ひき肉と米を具にし、トマト系またはサワークリーム系のソースで煮るのが一般的で、具、葉、大きさは地方で異なると記しています。これは旅行ガイドによる概説で、決まった全国共通のレシピではありません。
この記事の小さなザカルパッチャ風は、クロポテンコ氏が公開しているレシピによるものです。氏はひと口サイズの包みとパプリカをこの地方風の特徴として紹介しており、具は豚肉、米、ラードで炒めた野菜です。約7×7×11cmの葉に具を小さじ1〜1.5だけ包むため、大きな包みより手間はかかりますが、食べやすい小さな包みになります。
2023年、ウクライナ文化情報政策省は「ウクライナの伝統料理ホルブツィの調理」を、無形文化遺産の国家目録に№066н.к.с.として登録しました。この記録には、料理が現代のウクライナ全土と他の国々でも作られていると記されています。保護の提案には、伝統的な食事、野菜栽培、きび(黍)の役割、儀礼的な側面が挙げられています。これは共同体が受け継ぐ調理の伝統を記録したもので、ひとつの起源や唯一の正しいレシピを認定するものではありません。
これとは別に登録された伝統もあります。ウクライナ閣僚会議のサイトの発表によると、じゃがいもを詰めた精進用のホルブツィの調理と食事が、2023年に目録へ加えられました。発表は、この伝統をソニャチネ村と、ウクライナ国内外でレムコ人が暮らす各地に結びつけています。また、領土交換にともなって1951年にボイコ人とレムコ人が強制移住させられたことにも触れています。この歴史はじゃがいも入りの精進の伝統に関する話で、ここで作る豚肉入りのザカルパッチャ風とは関係ありません。
ウクライナのほかの料理は、ウクライナのページもご覧ください。
よくある質問
葉に包む前に米を炊いておくのですか?
このレシピでは炊きません。クロポテンコ氏のザカルパッチャ風レシピは、米を洗って生のまま、生の豚肉と炒めた野菜に混ぜ、包みの中で煮ます。ほかのホルブツィのレシピでは米の扱いが違うこともありますが、このレシピでは方法を混ぜないでください。水と具の量は、生の米を前提にしています。
水を300mlずつ2回に分けて加えるのはなぜですか?
公開されているレシピの材料欄には水300mlが2行に分かれて書かれており、手順でも水を2回加えています。1回目はトマトペーストを溶く300ml、2回目はその後の300mlです。手順でも2回の追加が確かめられるので、2行目を重複とは見なさず、両方を残しています。
何個できますか?
レシピは8人分と表示していますが、包みの個数は書かれていません。キャベツの大きさと、約7×7×11cmの葉が何枚取れるかによって変わります。
煮込み時間が決まっているのに、温度計を使うのはなぜですか?
包みには生の豚ひき肉が入っており、煮る時間だけでは中心まで火が通ったことを保証できません。鍋の大きさや包みの大きさも関わります。米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、豚肉を含むひき肉を、食品用温度計で測って71.1°C(160°F)以上まで加熱するよう勧めています。これは食品安全の補足で、クロポテンコ氏のレシピに含まれるものではありません。
牛肉や鶏肉でも作れますか?
クロポテンコ氏のレシピページには、ほかの肉を使えるとの記載がありますが、ここでの主レシピは豚ひき肉400gです。替えると味が変わります。その肉に合った安全な中心温度を確認し、豚肉の数値をそのまま当てはめないでください。
肉を使わない版はありますか?
あります。ただし別の伝統です。じゃがいもを詰めた精進のホルブツィは、2023年にウクライナで登録された地方の伝統で、レムコ人の共同体と結びついています。この豚肉のレシピを変えて作るのではなく、別の料理として扱うのがよいでしょう。
残ったものはどのくらい保存できますか?
この記事で使った資料には保存期間や温め直しの案内がないため、ここでは書きません。






