ギロス:縁がカリッと焼けた薄切り豚肉を、温かいピタに包む
豚の薄切りを重ねてひと塊に焼き、削ぎ切りにして焼き目をつけ、温かいピタ、冷たいツァジキ、生野菜と合わせます。熱くて香ばしい肉と冷たくなめらかなソースの取り合わせが、この料理の核です。
ギリシャの首都アテネで、ギロスは通りと夜の食べ物です。垂直の回転串に積まれた肉が火の前でゆっくり回り、焼けた外側が薄く削ぎ落とされます。その肉を温かいピタにツァジキ、トマト、玉ねぎ、たいていはフライドポテトも少し添えて包み、歩きながら食べる。夜の外出の合間や、街を歩きながらの軽い夜食にぴったりです。
日本の家庭に縦型のロティサリーはなかなかありません。そこで、この記事では家庭向けの方法を使います。マリネした豚肩肉とバラ肉の薄切りを深い型にぎっしり詰めてオーブンで焼き、食べる直前に薄く切って、乾いたフライパンで焼き直します。回転串の完全な再現ではありませんが、肉を重ねること、縁の焼き目、熱いものと冷たいものを一緒に包むことという、この料理の要点は残せます。
ギリシャ語では γύρος、英語ではgyrosと書きます。名前は「回る」ことを指し、肉を焼く回転串に由来します。
ギロスとスブラキは何が違うのか
アテネでは、ギロスとスブラキが同じメニューボードに並ぶことがよくあります。どちらもピタに入ることがありますが、作り方は別です。
| ギロス | スブラキ | |
|---|---|---|
| 肉の用意 | 垂直の串に肉を重ねる | 肉片を串に刺す |
| 焼き方 | 積んだ肉が火の前で回る | 串ごと網で焼く |
| 出し方 | 焼けた外側を薄く削ぐ | 串から肉片を外して出す |
アテネ市の公式観光ガイドは、ギロスを豚肉または鶏肉で作るものと説明し、基本の味つけとして塩、こしょう、にんにく、オレガノを挙げています。そこに加えるハーブやスパイスは店ごとに違うそうです。つまり、ギリシャ全土で通じる「これ」という配合はありません。この記事のレシピは、玉ねぎ汁、赤ワインビネガー、オレガノ、タイムを軸にした、公開されている家庭向けの一案です。にんにくは入りません。観光ガイドの味つけに寄せたいときは、後半のアレンジの節を見てください。
アテネの通りで、ギロスはこう食べる
ギロスはスブラキと並んで、アテネの屋台料理の代表格です。典型的な包み方は、温かいピタ、薄切りの肉、ツァジキ、トマト、玉ねぎ、フライドポテトの組み合わせ。肉が塩気と脂と焼き目を担当し、ツァジキが冷たさとまとまりを、トマトと玉ねぎが新鮮さと歯ごたえを、ポテトがやわらかさとボリュームをピタの中に加えます。
作るときも、この組み合わせを頭に置いておきましょう。肉だけですべての味を背負わなくていいのです。ピタは、ひと口で完結するように組み立てられています。
この料理に使える食材・調味料
使う道具
- 肉たたきなど。薄切り肉を軽くたたいて厚みをそろえます
- おろし金と、玉ねぎ汁を絞る小さなざるか布
- 深いパウンド型などの深い型。肉2kgが入り、焼いている間に出る脂がたまる余裕のある大きさのもの
- 層を押さえるための平らな重しかへら
- 料理用温度計。ブロックのいちばん厚い中心の温度を測ります
- 焼き直し用の厚手のフライパン
- 生の肉専用のまな板、包丁、トング。野菜、ツァジキ、焼いた肉に使うものとは分けておきます
部位と代用の考え方
豚肩肉とバラ肉。 肩肉(または肩ロース)とバラ肉は、ふつうのスーパーで手に入ります。ほかの部位に替えると脂の量が変わり、層のしっとり感も変わります。
赤ワインビネガー。 米酢など別の酢を使うなら、同じ味の置き換えではなく風味の変更として考えてください。同じ量が合うとは限りません。
ピタ。 温かくやわらかいピタが、この包みをまとめます。ナンやトルティーヤに替えるなら、同じ料理ではなく、肉の別の食べ方と考えてください。
ツァジキ。 このレシピは市販のツァジキを使い、手作りの配合は載せていません。自作するなら、ここで即興せず、別の完全なレシピに従ってください。
うまくいかないとき
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 外側は焼けているのに中心が75°C未満 | ブロックが厚い、またはオーブンの火力が弱い。約1時間は目安にすぎない | オーブンに戻し、いちばん厚い中心が75°Cで1分以上になるまで焼く |
| 切るとブロックが崩れる | 詰めるときの押さえが足りない | 次回は、型に詰めるときに1層ごとにしっかり押さえる |
| 層によって味が薄い | マリネを上からかけただけで、1枚ずつにからめていない | 次回は、詰める前に全部の肉にマリネをなじませる |
| 切り身が平べったくやわらかい味になる | オーブンから直接ピタに入れた | 熱い乾いたフライパンで、縁に焼き色がつくまで焼き直す |
| フライパンから煙が出て焦げる | 出てくる脂の量に対して火が強すぎる | 火を弱め、少量ずつ焼く |
| 型の縁近くまで脂がたまる | 肉2kgに対して型が小さい | もっと大きく深い型にするか、肉を分けて各型の中心温度を測る |
衛生と残った肉の扱い
生の豚肉とその道具は、ほかのものと分けて扱ってください。生肉専用のまな板、包丁、トングを用意し、マリネに使うおろし玉ねぎと、添える薄切りの玉ねぎも別にします。焼いた肉は、いちばん厚い中心が75°Cで1分以上に達してはじめて食べられます。時間と色だけでは足りません。
マリネ中の生肉は冷蔵庫に入れます。焼いた肉をすぐに食べないときは、浅い容器に移して速やかに冷まし、冷蔵してください。温め直すときも、中心が75°C以上になるまで加熱します。保存日数の目安は、この記事では示しません。
ピタ、野菜、ツァジキは肉とは別に保存し、食べる直前に1つずつ組み立ててください。
アレンジ
- 包むか、皿に盛るか。 ピタに全部を包まず、香ばしく焼いた豚肉を皿に盛り、ピタ、ツァジキ、トマト、玉ねぎを横に添えても楽しめます。
- ポテトは中か、別添えか。 アテネではポテトをピタの中に入れることがよくあります。包みを軽くしたければ、別に添えてください。
- 肩肉とバラ肉のバランス。 元のレシピは2部位の配分を決めていません。バラ肉が多いとブロックの脂が増え、肩肉が多いと減ります。決まりごとではなく、自分で選ぶ部分と考えてください。
- 店風の味つけ。 アテネ市の公式ガイドは、ギロスの基本の味つけを塩、こしょう、にんにく、オレガノとし、追加のハーブやスパイスは店ごとに違うとしています。この記事のレシピは家庭向けの一案で、唯一の形ではありません。
- 型焼きと縦型の回転串。 型でオーブン焼きしてからフライパンで焼き直すのは家庭用の方法です。肉を重ねることと焼き目は再現できますが、縦型の串で回る肉とは同じではありません。
よくある質問
何よりも先に、焼いたブロックのいちばん厚い中心が75°Cで1分以上に達したかを確かめてください。ほかは食感と味の問題です。
ギロスとスブラキの違いは何ですか?
ギロスは垂直の串に肉を重ね、火の前で回して、薄く削いだものです。スブラキは肉片を串に刺して焼いたものです。どちらもピタに入ることがありますが、別の料理です。
縦型のロティサリーは必要ですか?
必要ありません。このレシピは、重ねた肉をブロックとして深い型でオーブンで焼き、薄く切って熱い乾いたフライパンで焼き直します。串の完全な再現ではなく、家庭向けの代わりの方法です。
ピタには何を入れますか?
典型的な組み合わせは、ツァジキ、肉、トマト、生玉ねぎ、フライドポテトです。ツァジキを先に塗り、肉、トマト、玉ねぎ、ポテトの順にのせると、包みが持ちやすくなります。
豚肩肉だけでも作れますか?
元のレシピは肩肉とバラ肉の両方を使い、バラ肉が脂を補って層をしっとりさせます。肩肉だけにすると脂の量が変わります。この記事では、同じ仕上がりになるとは言いません。
残りはどのくらい持ちますか?
保存日数の目安は、この記事では示しません。焼いた肉は浅い容器で速やかに冷まして冷蔵し、温め直すときは中心が75°C以上になるまで加熱してください。ピタ、野菜、ツァジキは肉と別にして、食べる直前に組み立てます。
















