オッソ・ブーコの蓋を開けると、輪切りのすね肉が、やわらかく煮えた野菜とトマトのソースに低く沈んでいます。どの肉も、中央に骨髄を抱えた丸い骨を肉が取り巻いています。そこへ、刻んだレモンの皮とパセリの明るい香りが、食べる直前に散らされます。横の皿には、黄色いサフランリゾットがこんもりと盛られています。
これがミラノの仔牛すね肉の煮込み、オッソ・ブーコ・アッラ・ミラネーゼです。名前は見たままを表していて、ミラノ方言のos büs(穴のあいた骨)に由来し、中心に骨髄のある、すね肉の厚い輪切りを指します。ロンバルディア州の料理紹介ページには、骨の穴に残った骨髄を専用のスプーンですくって食べる習わしが記されています。骨の穴ごと味わう煮込み、それがこの料理です。
オッソ・ブーコ ― 穴のあいた骨と、その中の骨髄
この鍋に欠かせないのは、骨髄が骨に残った仔牛すね肉の厚切り、静かで長い煮込み、そして最後に散らすパセリ・にんにく・レモンの皮の生の香りです。
この記事で作るのは、La Cucina Italianaが紹介している4人分のオッソ・ブーコ・アッラ・ミラネーゼです。全体で約2時間、そのうち蓋をした煮込みが約1時間30分です。このレシピに分量の指定がない材料は、数字を作らず「適量」のままにしてあります。ロンバルディア州のレシピは、歴史と食べ方の話にだけ使い、別の分量は混ぜていません。
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オッソ・ブーコとは ― 部位がこの料理を決める
オッソ・ブーコの核心は部位にあります。単なる「すね肉の煮込み」ではなく、仔牛のすね肉を骨ごと横に輪切りにし、丸い骨の中に骨髄があって、その周りを肉の輪が囲む形のものです。La Cucina Italianaは、厚さ約3〜4cmの切り身を説明していて、後ろ脚のほうが肉が多いとも述べています。
ミラノ風には、さらに決まった目印があります。長くおだやかに煮て、肉をやわらかく、煮汁を濃く仕上げること。パセリ・にんにく・レモンの皮のグレモラータで仕上げること。そしてサフランリゾットを添えることです。材料は地域や家庭によって変わるので、イタリア中のオッソ・ブーコが同じ作り方というわけではありません。ここで紹介するのは、資料で裏づけられたミラノ風のひとつの形です。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 4切れの肉が重ならずに焼ける、厚手で口の広い蓋つきの鍋
- ブロードを熱くしておくための別の小鍋
- ワイン汁を取り置くボウル
- 木べら
- 包丁とまな板(生肉用は別に用意する)
- 肉を返すためのトング
- 残りを温め直したときに中心温度を確かめたい場合は、料理用温度計
生肉用のまな板は別にするのが、この料理の下ごしらえで守りたい一点です。
すね肉の選び方と代用
骨髄の穴が真ん中にある切り身を選びます。 厚さ約3〜4cmの輪切りで、丸い骨と骨髄が中央に残っているものを頼んでください。後ろ脚の切り身は肉が多めです。 この部位の仔牛すね肉は、精肉店で相談するか、取り寄せるのが探しやすいでしょう。
仔牛の代わりに牛すね肉を使う場合。 仔牛が手に入らなければ、牛すね肉の輪切りが現実的な代用になります。ただし、これは元のレシピにない編集部の提案です。風味は強くなり、煮込みも長くなるかもしれません。元の1時間30分は仔牛の場合なので、牛なら時計ではなく肉の状態で判断し、同じ料理ではなく変化形として受けとめてください。
ワインの「1グラス」。 元のレシピは容量を書かずに「1グラス」としているため、ここでもそのままにしています。標準のグラスの容量は資料で確認できないので、ミリリットルへの換算は載せません。
ブロード。 種類も量も指定はなく、熱いまま、肉が覆われる量を使うというのが唯一の決まりです。市販のブロードを使うときは、アレルゲンと塩分を表示で確かめてください。
ほかのレシピの分量を借りないでください。 ロンバルディア州のレシピは、人数も分量も違います。両方を混ぜると、どちらの資料にも載っていない配合になってしまいます。
反る、硬い、薄い ― 鍋の中の困りごとと直し方
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 鍋の中で肉が丸まる | 加熱で外側の膜が縮む | 次回は粉をまぶす前に、膜だけに浅い切れ目を入れる。深く切ると形が崩れる |
| 決められた時間を過ぎても肉が硬い | 厚さや部位が違う。牛すね肉はもっと時間がかかることがある | 弱火で煮続け、フォークで確かめる。時計だけに頼らない |
| 煮汁が薄く見える | 肉を覆うためにブロードをたっぷり使った | 急に強火にしない。静かな煮立ちを保ち、鍋底を確かめる。さらに煮詰めるのは元のレシピにない調整 |
| 鍋底が焦げつきそう | 煮汁が減った、または火が強すぎる | 火を弱め、熱いブロードを少し足し、静かに煮えていることを確認する |
| 5の工程で野菜が茶色くなった | バターの下の火が強すぎた | 火を弱める。目指すのは色づきではなく、やわらかく艶のある野菜 |
| 仕上がりがぼんやりした味になる | グレモラータを早く作りすぎた、または省いた | 煮込みの終わりごろに刻んで、食べる直前に散らす |
元のレシピの1時間30分は、肉をやわらかくするための目安です。やわらかさと食品の安全性は別の問題で、食品安全の確認ではありません。残りの扱いは、次の注意に従ってください。
アレルゲン、残りの扱い、再加熱
このレシピには乳(バター)と小麦(薄力粉)が入っています。市販のブロードを使う場合は、ほかのアレルゲンが入っていないか表示を確認してください。生肉は専用のまな板で扱い、触ったあとの道具は洗ってください。
残りは浅い容器に小分けして早く冷まし、すぐ冷蔵庫へ。室温に長く置かないでください。厚生労働省の家庭向け食中毒予防の案内では、食品の中心を75°Cで1分以上加熱するとされています。温め直すときは、中心が75°C以上になるまで加熱してください。このレシピは保存期間を定めていないため、日数は載せません。
伝統の中のバリエーション
オッソ・ブーコには、ほかにもいくつかの作り方や出し方があります。それぞれ別々の版であり、上の材料表に混ぜるものではありません。
| バリエーション | 変わる点 | 備考 |
|---|---|---|
| トマトなし | パッサータを使わない「白い」煮込み | ロンバルディア州の料理紹介ページは、18世紀の定義ではトマトなしだったと説明している |
| 別のハーブのグレモラータ | ローズマリーやセージを加える版 | パセリ・にんにく・レモンの基本に対する地方の変化として、州のページに記録がある |
| 牛すね肉 | 風味が強く、煮込みが長くなるかもしれない | 入手のための編集上の代用で、同じ料理ではない |
| ポレンタやマッシュポテト | 肉に添える料理が変わる | ミラノではサフランリゾットが定番だが、ポレンタやじゃがいものピュレも添えられる |
| 肉料理として出す | 青菜、豆、ピュレを添える | リゾットではなく肉のコースとして出すときの添え方が、州のページに書かれている |
ミラノの食卓 ― 黄色いごはん、骨髄、変わっていくレシピ
サフランリゾットが定番の相手です。 ミラノでは、オッソ・ブーコは黄色いサフランリゾットと一緒に食べられます。La Cucina Italianaもロンバルディア州の料理紹介ページも、この組み合わせを紹介しています。ポレンタも添え物のひとつです。ここで言うリゾットは別に作る一皿で、煮込みの鍋には何も入れません。
骨髄も食事の一部です。 ロンバルディア州のページには、骨の穴に残った骨髄を、「徴税人」というあだ名の専用スプーンですくう習慣が紹介されています。これは州の資料が伝える話であり、今どの家庭でもそうしているという意味ではありません。
トマトは後から入りました。 同じ州の資料によると、18世紀の定義のオッソ・ブーコにはトマトがなく、18世紀の終わり以降はほぼ常にトマトが加わるようになったそうです。ここで作るLa Cucina Italiana版にはパッサータが入っているので、これは現代の形のひとつであって、唯一の古典ではありません。時代と家庭によって変わってきた歴史であり、動かない一つのレシピではないのです。
グレモラータが効く理由。 長く煮込んだ肉と骨髄は、濃くて重い味になります。仕上げに生のまま加えるレモンの皮、パセリ、にんにくが、その重さをすっと切って、皿全体を持ち上げてくれます。
よくある質問
「オッソ・ブーコ」はどういう意味ですか?
ミラノ方言のos büs、「穴のあいた骨」に由来します。骨の中央に骨髄がある、すね肉の厚い輪切りのことです。
トマトなしでも作れますか?
トマトなしの歴史的な版があり、ロンバルディア州の料理紹介ページも18世紀の定義をそう説明しています。このレシピはLa Cucina Italiana版で、パッサータを大さじ3使います。トマトを抜くと、小さな変更ではなく別の版を作ることになります。
何を添えますか?
ミラノでは、サフランリゾットが定番です。ポレンタやじゃがいものピュレも添えられます。
仔牛の代わりに牛すね肉を使えますか?
使えますが、入手のための代用であり、同じ料理ではありません。牛すね肉は風味が強く、やわらかくなるまで1時間30分より長くかかることがあります。書かれた時間ではなく、フォークで確かめてください。
グレモラータとは何ですか?
細かく刻んだパセリ、にんにく、レモンの皮に、ここでは塩・こしょうを混ぜた、仕上げの薬味です。食べる直前に肉へ散らします。
粉、ブロード、ハーブの分量がないのはなぜですか?
元のレシピが分量を示していないからです。数字を作らず、使う量を言葉で書いています。粉は薄くまぶす程度、熱いブロードは肉が覆われる量、セージとローズマリーは合わせてひと束です。














