パステル・デ・ナタ、砕けるパイとやわらかなカスタード
薄くてパリッとした渦巻きのパイ、固まりきる手前のなめらかなカスタード、そして表面の濃い焦げ斑点。カスタードはコンロの上で穏やかに火を入れ、オーブンはご家庭で安全に使える最高の温度にしてください。
焼きたてで温かい小さなタルトを、熱いコーヒーの横に置いてみてください。割ると薄いパイの層がはらはらとほどけ、中のカスタードはやわらかいまま。表面の黒く焼けた斑点が、卵黄のクリームに香ばしい対比を添えます。ポルトガル政府観光局は、パステル・デ・ナタをコーヒーと一緒に楽しむ菓子として紹介しています。ポルトガル料理のレシピポータルも、サクサクのパイと、牛乳と卵黄のクリームの対比を温かいうちに味わう菓子として説明しています。
1個なら pastel de nata、複数なら pastéis de nata と呼びます。この記事は、市販の折り込みパイ生地で12個作れるように書いた、ポルトガルのタルトの家庭向けレシピです。ベレンのどこかのパン店が固く守る秘伝の配合を再現するものではありません。既製のパイ生地を使えば折り込みの工程をすべて省けるので、家庭で大事な2つ、カスタードをやさしく加熱することと生地を薄く敷くことに集中できます。
レシピはPastéis.ptが公開している12個分の版に従い、分量・順序・温度・時間を変えていません。世界ごはん紀行では試作しておらず、12個という収量もレシピの記載であって実測ではありません。ポルトガルのほかの料理はポルトガルのページから、カルド・ヴェルデ、アソルダ、アメイジョアス・ア・ブリャン・パトなどへ読み進められます。
途中で見つける、味の決め手
道具
- シロップ用の小鍋
- 牛乳と小麦粉用のもう1つの小鍋
- 泡立て器またはスプーン
- 目の細かいこし器と、濾し入れるピッチャーまたはボウル
- パイ生地を扱うナイフと作業台
- 12個の小さな金属製タルト型
- 冷蔵庫とオーブンの両方に入る天板
- 砂糖用の温度計(あれば)
選び方と代用
折り込みパイ生地を選び、ショートクラスト(練りパイ)は使いません。 冷凍または冷蔵のパイシートを探してください。甘いタルト生地や、バターを粉に擦り込むタイプの生地では、この菓子らしい層のあるサクサクの殻になりません。バター入りの生地は香りが豊かですが、ほかの油脂で作った生地でも作れます。違いは香り、色、層の膨らみ方に出ます。特定のブランドは必要ありません。
パックの大きさが違っても、ほかの分量を合わせて変えないでください。 12個分の殻で合計約250gになるパイ生地を選びます。
小麦粉は小麦粉のままにします。 小麦粉は30g使います。コーンスターチや米粉に替えると質感が変わり、試していません。
牛乳は全乳、卵黄は卵黄のままで。 低脂肪乳ではカスタードのコクが弱まります。全卵は卵黄6個の代わりになりません。
ダマ、固まり、べちゃつく底:よくある失敗の直し方
このタルトの失敗は、たいてい熱の加減から起こります。コンロの上では強すぎ、オーブンの中では足りない、というパターンです。見た目を下の表と照らし合わせてください。直し方は一般的な台所の助言で、必ずうまくいく保証ではありません。
| 見た目 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| ペーストに小麦粉のダマがある | 温かい牛乳に粉を入れた、または混ぜ足りない | 加熱の前に、最初の冷たい牛乳125mlで必ず小麦粉を溶き、コンロの上では絶えず混ぜる。手順4で濾せば小さなダマも取れる |
| カスタードに卵の小さな加熱した粒がある | 熱いうちに卵黄を加えた | 熱い状態から冷ましてから卵黄を入れ、濾す |
| ペーストがとても固い | 強く沸騰させた、または加熱しすぎた | 火は中火にして、なめらかなペーストになったら止める。強く沸騰させない |
| シロップが茶色くなった | 糸引きの段階を過ぎて煮た | 約105°C、細い糸を引いて落ちる状態で火から下ろす。色ではなく糸で判断する |
| 底がべちゃつく、または白っぽい | 生地が厚いまま、オーブンが十分熱くない、入れすぎ | 生地を薄く均一に押し広げ、冷やしている間にしっかり予熱し、高さの4分の3までしか入れない |
| 殻の中心が薄く、側面が厚い | 生地が均一に伸びていない | 湿らせた親指で中心から外へ押し、底と側面を均一にする |
| パイがパリッとする前に表面が焦げる | 上火が強い、または段が高すぎる | 天板が下段にあるか確認し、オーブンの上からの熱の当たり方を見て、最後の数分は目を離さない |
試してみたいアレンジ
ここに挙げるのは、上のメインのレシピとは別の案です。変化がわかるよう、1つずつ試してください。
- バターのパイ生地とそのほかのパイ生地。 両方で1回ずつ焼いて、香りと、層の膨らみ方・焼き色を比べてみてください。
- 仕上げのシナモンの有無。 シナモンはすでにシロップに入っています。食べるときにさらに振るかどうかは好みです。
- 甘さを控える。 砂糖を減らすと甘さだけでなくシロップの性質も変わるので、レシピではなくご自身の試みとして扱ってください。数値は示しません。
- 自分のオーブンを知る。 最高温度が低いオーブンなら、まず数個焼いて、パリッとしたパイと斑点が出るまでの時間をつかんでください。
- 自家製の折り込み生地。 パイ生地から作ると手間が大きく増え、層の管理も変わります。そのレシピはここでは扱いません。
ベレンの菓子、菓子の国ポルトガルで
ポルトガルの公式観光サイトVisit Portugalは、ベレンのパステル・デ・ナタを、ポルトガルの代表的な甘味の1つとして紹介しています。カスタードの入った、軽く焼き色のついた小さな菓子です。同サイトの別のページは、パステル・デ・ナタをコーヒーと楽しむことを勧めています。これらは旅行者向けの紹介であり、料理史の記録ではありません。つまり、今のポルトガルでこのタルトがどう紹介されているかはわかっても、いつ、どこで生まれたのかまではわかりません。
同じ観光局は、ポルトガルの菓子全般のルーツを、各地の修道院にたどっています。これはポルトガルの甘いものについての話で、このタルトが修道院で作られたことを示すものではありません。この記事は、このタルトの起源の物語も年代も主張しません。
レシピにも幅があります。ポルトガル料理のレシピポータルEmpório Portugalは、伝統的なレシピが地域、家庭、作り手によって変わると述べています。Visit Portugalには独自の伝統レシピが載っていて、Lisbon Tourism and Hotel Business SchoolがMaria de Lourdes Modestoをもとに紹介したものとされています。牛乳、小麦粉、コーンフラワー、卵黄、卵、砂糖シロップの組み合わせが異なり、フィリングを沸騰させないよう注意しています。このページのレシピは、Pastéis.ptの12個分の1つの版に従い、ほかの分量を混ぜていません。
マカオ風に作るエッグタルトは、関連はあっても別の伝統で、ここでは扱いません。
よくある質問
市販のパイ生地で大丈夫ですか?
はい。この版は市販の折り込みパイ生地を前提にしていて、風味のためにバター入りの生地を勧めています。ほかのパイ生地でも層のある殻になりますが、香りと色には違いが出ます。
家のオーブンが290°Cに届きません。どうすればよいですか?
オーブンの最高設定を使い、取扱説明書の上限は超えないでください。レシピの250〜290°Cと12〜15分は、すべての家庭用オーブンで通用すると保証されたものではありません。分数に固執せず、パイのパリッとした焼き上がりと、カスタードの濃い斑点を見て判断してください。
小麦粉の代わりにコーンスターチを使えますか?
このレシピは小麦粉30gを使います。Visit Portugalの伝統レシピはコーンフラワーを使いますが、別の配合の一部で、分量も違うため、混ぜてはいけません。このレシピにコーンスターチを入れるのはご自身のアレンジになり、試していません。食感も変わります。
ベレンの有名店のタルトと同じものですか?
どの店のレシピも再現したとは言いません。これは家庭の台所向けのポルトガルのパステル・デ・ナタで、公開されている12個分のレシピの1つに従っています。
残ったものはどう保存しますか?
このレシピについて安全な保存と温め直しの方法は確認できていないため、保存期間はご案内しません。焼いてからすぐ、温かいうちに食べるのがいちばんおいしい状態です。
















