10月の最後の日曜日、カリブ海の島セントルシアの村々は、伝統の衣装を身につけた人々でにぎわいます。太鼓とシャクシャク(マラカスに似た楽器)の音が響く広場で、大鍋から皿に盛られるのは、ゆでた青いバナナと、玉ねぎやトマトと炒めた塩漬けの魚。島の言葉で「クレオールの日」を意味するジュルネ・クレオールの食卓にも並ぶ、セントルシアの国民食、グリーンフィグ・アンド・ソルトフィッシュ(green fig and saltfish)です。
「フィグ」といってもイチジクではありません。セントルシアでは、まだ熟していない青いバナナを「グリーンフィグ」と呼びます。日本では青いバナナは手に入りにくいものの、輸入食材店の干しだらと、青いプランテンか青いバナナがあれば、島の朝ごはんが作れます。
青いバナナを「イチジク」と呼ぶ島

セントルシア観光局は、この料理を「青いバナナと塩漬けの魚の組み合わせ」と紹介しています。塩漬けのたらは、ヨーロッパの人々が長い航海に耐えるよう保存して運んできたもので、植民地時代の島で欠かせない食料になりました。一方、青いバナナは、当時から島でたくさんとれました。運ばれてきた保存食と、島でとれる作物が出会って生まれた一皿です。
観光局の記事は、その味をこう表しています。青いバナナは硬いのに繊細という意外な食感で、ふつうの意味で甘いわけではなく、穏やかなやわらかさで料理全体の釣り合いをとっている。塩だらを玉ねぎ、トマト、ピーマンとゆっくり炒めたものと合わせると、味は「強いけれど、くどくない」。凝った盛り付けもない、島の普段の料理です。
ジュルネ・クレオール(Jounen Kwéyòl、クレオールの日)は1984年から毎年開かれている祭りで、英語版ウィキペディアによると、セントルシアでは10月の最後の日曜日に行われます。当日はパンノキの丸焼き、カラルーのスープ、そしてグリーンフィグ・アンド・ソルトフィッシュなど、島の郷土料理がずらりと並びます。
セントルシアの新聞ザ・ヴォイスは、この料理を国民食とし、ボリュームのある朝食や昼食として食べるのが一般的だと書いています。干しだらを前の晩から水に浸しておき、朝に青いバナナをゆでて炒めた魚をのせる。塩抜きの時間さえとっておけば、手順はとても素朴です。
途中で見つける、味の決め手
塩加減と、ゆで加減のコツ

この料理の味は、ほとんど干しだらの塩抜きで決まります。抜きすぎると魚のうまみまで抜け、足りないと塩辛くて食べられません。商品によって塩の量が違うので、時間ではなく、身をかじって確かめるのがいちばん確実です。
塩抜きが足りず塩辛いと感じたら、手順2のゆで時間を延ばし、湯を一度捨てて新しい湯でさらに5分ゆでてください。逆に抜きすぎたときは、炒めるときに塩をひとつまみ足します。
青いバナナは、ゆですぎると水っぽく崩れます。竹串がすっと通ったらすぐに湯から上げると、硬いのに繊細という、観光局が書くとおりの食感に仕上がります。
プランテンや甘塩だらで作るなら

日本で青いバナナが見つからないときは、青いプランテンで代用できます。プランテンはバナナより大きく、でんぷん質が多い料理用の品種です。皮に切れ目を入れて同じように皮ごとゆで、時間は25〜30分を目安にしてください。バナナよりほくほくした食感になります。
干しだらが手に入らなければ、スーパーの甘塩だらでも作れます。皮と骨を除いて10分ゆで、ほぐしてから同じように炒めましょう。干しだらに比べると身がやわらかく、塩気も穏やかになるので、仕上げの塩で調整します。
食べ方

皿に輪切りの青いバナナを並べ、上から干しだらの炒め煮をたっぷりのせます。ザ・ヴォイスのレシピも、魚を青いバナナの上に盛りつけて出しています。ほくっとしたバナナで、トマトとタイムの効いた塩気のある魚を受け止めるように食べてください。
カリブ海の塩だら料理なら、ジャマイカの国民食アキー・アンド・ソルトフィッシュと比べてみるのもおすすめです。同じ塩だらでも、合わせる果実で印象がまったく変わります。根菜やバナナをココナッツミルクで煮る、グレナダのオイルダウンも、同じ東カリブの島の味です。
よくある質問

黄色く熟したバナナでも作れますか?
おすすめしません。熟したバナナは甘く、ゆでると崩れてしまいます。この料理の青いバナナは、甘みがほとんどなく、いもに近い食感の主食として使われています。青いバナナがなければ青いプランテンを使ってください。
作り置きできますか?
干しだらの炒め煮は冷蔵して翌日に温め直せます。ゆでた青いバナナは時間がたつと硬く締まるので、食べる直前にゆでるのがおすすめです。保存日数のはっきりした目安は示せないので、早めに食べきりましょう。
辛い料理ですか?
唐辛子を入れなければ辛くありません。ザ・ヴォイスのレシピでも、唐辛子は好みで入れる材料になっています。辛いのが好きなら、食卓で唐辛子のソースを添えてください。
アレルギーで気をつける材料は?
たら(魚)を使います。卵、乳、小麦は使いません。













