マーチャー・ジョル ― 油が浮くまで煮詰めたソースに魚を戻す
魚は中まで火を通さずに焼きつけて取り出します。ソースだけを、油が表面に浮いて鍋の縁にもにじむまで煮詰め、そのあとに魚を戻して、ふたをして火を通します。
「Machey bhatey Bangali」。バングラデシュ女性料理人協会(Women Culinary Association of Bangladesh)の副会長で料理人のShaheda Yesminは、デイリー・スター(The Daily Star)にバングラデシュの食文化を書いたとき、この言い回しを紹介しています。米と魚を、食の土台として結びつける言葉です。ただ、同じ記事はすぐに葉物野菜、豆、うり類へと話を進めています。この言い回しは多彩な食卓への入口として読むのがよく、みんなが毎日食べているものを言い表した言葉と受け取るのは適切ではありません。
Shaheda Yesminは、ジョル(jhol)を、魚、野菜、鶏肉、肉などを浸して煮る軽いシチューとして説明しています。魚で作るのがマーチャー・ジョルで、作り方はさまざまです。この記事で作るのは、その中のひとつの具体例で、Asma Khanの「Macher jhol – Bengali fish curry」(Great British Chefs掲載)です。身の厚い白身魚に塩とターメリックをすり込んで焼きつけ、いったん取り出します。同じ鍋で、すりおろした玉ねぎ、にんにく、しょうが、粉スパイス、トマト、温水を煮詰めていきます。ソースを先に仕上げて魚を戻すのが、この鍋の流れです。
これはベンガルのレシピのひとつで、バングラデシュの唯一の、あるいは標準的なレシピではありません。世界ごはん紀行のバングラデシュのページでは、ほかの料理も紹介しています。
この記事で踏まえたものと、編集部が補ったこと
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。掲載した画像は各工程の動作を示すもので、分量、時間、火通り、安全性を裏づけるものではありません。
分量と調理の順序は、Asma Khanのレシピの植物油の選択肢に従っています。掲載ページの表記は6人分で、手順では魚を12等分します。つまり6人分で、魚は12切れであり、12人分ではありません。
編集部が補ったことが3つあります。いずれもAsma Khanの指示ではありません。
- 最後の大さじ1の油。 材料表の油は大さじ6ですが、手順で指定されているのは魚を焼く大さじ5だけで、残りの大さじ1の使い道は書かれていません。確認した再掲(出版社のPavilion BooksやTable Magazineのものを含む)でも同じ空白があり、訂正も見つかりませんでした。この記事では、魚を取り出した後、香味素材を入れる直前に、この大さじ1を鍋に足します。ほかのベンガルの魚カレーの順序に倣った補いです。SBS FoodのRoti Chaiのレシピは、魚を焼いた後に「残りのマスタードオイルを注ぐ」とあり、Bong Eatsのレシピには「カダイ(鍋)にマスタードオイルをさらに20g加える」とあります。これらが裏づけるのは手順の型だけで、Asma Khanがこの大さじ1をどう使うつもりだったかを示すものではありません。油の合計は大さじ6のままです。
- 30分休ませるときの冷蔵。 手順では味つけした魚を30分休ませますが、温度の指定はありません。肉や魚介のマリネは台所に出したままにせず冷蔵庫で行うというFoodSafety.govの案内に従い、覆って冷蔵庫で休ませます。
- 飾りを洗うこと。 丸ごとの青唐辛子とコリアンダーの枝は加熱しないので、使う前に流水で洗います。農産物を洗うというFoodSafety.govの案内に沿った扱いです。
覆って加熱する時間は、手順では5分以内の見込みとされています。これは目安として扱い、火通りの確認にはFoodSafety.govの魚に関する一般的な米国の目安を使います。中心が63°Cになっていること、または身が不透明で、フォークで簡単にほぐれることです。
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用
- 魚: 身の厚い、皮も骨もない白身魚(タラやオヒョウなど)を選びます。ベンガルで使われる魚はロフー(rohu)ですが、この手順は骨なしの切り身用に書いてあり、骨つきの切り身には向きません。
- 油: この手順では癖のない植物油を使います。マスタードオイルは扱いが違います。詳しくはほかのマーチャー・ジョルをご覧ください。
- ごはん: 白いごはんは添えても添えなくてもよく、別に盛ります。材料表には含めていません。
道具
- ふた付きの、広くて浅い鍋
- まな板と包丁
- 野菜と飾り用の、別の清潔なまな板と道具
- 塩とターメリックを混ぜる小皿
- 魚を休ませる、ふたのできるボウルか器
- おろし器
- にんにくとしょうがをつぶす、すり鉢とすりこぎなどの道具
- 焼いた魚をのせる清潔な皿
- ヘラとスプーン
- 魚の火通りを確かめるフォークか調理用温度計
- 盛りつけ用の器
うまくいかないときは
| 見えるようす | 対処 |
|---|---|
| 香味素材が焦げつきそう、または貼りつく | 水を少量加えて、そのまま続けます。 ここで温水600mlは使いません |
| 焼いた魚の中心がまだ生 | この段階では想定どおりです。ソースの中で火を通します |
| 15分煮詰めても油が浮かない | 終点は、油が表面に浮いて鍋の縁にもにじむことです。中強火のまま煮詰め続け、そうなるまで鍋を見ていてください |
| 魚が一層に収まらない | 一層に並べるのは、できる場合だけです。どの切り身にも、全側面にソースをかけます |
| ふたをして5分たっても魚が不透明にならない | ふたをしたまま加熱を続けて、中心が63°Cになるか、不透明になってフォークで簡単にほぐれるまで、何度か確かめます |
ほかのマーチャー・ジョル
下の表のレシピは、材料も作り方も異なります。分量は、上のレシピにそのまま移せません。
| レシピ | 違い |
|---|---|
| Asma Khanのマスタードオイルの選択肢 | Great British Chefsの同じレシピでは、マスタードオイルも選べます。大さじ5を煙が出るまで熱して苦みと刺激を除き、中強火に下げてから魚を入れます。この記事は植物油を選んだので、上の手順に煙が出るまで熱す段階はありません |
| GOYAに掲載されたMuktadhara Rayの家族のレシピ | 著者が父から受け継いだレシピで、パブダ(pabda)かナマズ、マスタードオイル、熱湯を使います。魚に味つけして揚げ、ペースト状の別のグレービーと合わせます |
| Bong Eatsのルイ・マーチャー・ジョル | ロフーにじゃがいもやうり類を合わせ、マスタードオイルを使います。2回目の油の追加のあとに、テンパリングと野菜が続きます |
| SBS FoodのRoti Chaiのレシピ | タラとカリフラワーを使い、マスタードオイルを使います |
| NHS Healthier Families | マスタードオイルをソースと魚に分けて使い、魚は別の鍋で焼きつけます |
| Food Network UKのAsma Khanのレシピ | 同じ著者の別のレシピで、じゃがいもとギーを使います。ギーは、揚げた後に残った油に足してから、玉ねぎを入れます |
魚、米、そして地域ごとの違い
Shaheda Yesminの説明では、魚と米は食卓の一部にすぎません。葉物野菜、豆、うり類にも、地域ごとの違いにも、同じように目を向けています。シレット(Sylhet)の魚料理としてはパブダ・ジョル(pabda jhol)を挙げていて、GOYAのパブダのレシピと見比べるのによい例です。
Asma Khanのレシピはベンガルのものとされていて、ベンガルの食卓はひとつのレシピにも、ひとつの国の境にも収まりません。ウィキペディアの短い項目は、この名前をオディア語、マイティリー語、ボージュプリー語などの魚の煮込みとも結びつけています。名前がどれほど広く伝わっているかを示す手がかりとして使うだけで、料理の起源の根拠にはしていません。
よくある質問
6人分ですか、12人分ですか?
6人分です。Asma Khanのページの表記が6人分で、12というのは魚の切れ数です。
油を2回に分けて入れるのはなぜですか?
材料表では大さじ6ですが、手順で指定されているのは魚を焼く大さじ5だけです。最後の大さじ1を香味素材の前に足すのは編集部の判断で、Roti ChaiとBong Eatsのレシピの順序に倣ったものです。Asma Khanの指示ではなく、材料表の合計を超える油も足しません。
ロフーや骨つきの魚は使えますか?
Asma Khanは、ベンガルではロフーを使うこと、タラやオヒョウのような身の厚い白身魚で代用できることを書いています。この記事は、皮も骨もない切り身専用です。ロフーで作るなら、このレシピを作り変えるよりも、Bong Eatsの別のレシピを出発点にするほうがよいでしょう。
魚を台所に出したまま休ませてもよいですか?
おすすめしません。Asma Khanの手順は30分休ませるだけで、温度の指定がありません。FoodSafety.govのマリネの案内に従い、魚は覆って冷蔵庫に入れます。
ふたをして5分で足りますか?
5分はレシピの見込みで、安全の確認ではありません。必要な時間は変わることがあるからです。代わりに、FoodSafety.govの一般的な米国の目安を使ってください。中心が63°Cになっているか、身が不透明でフォークで簡単にほぐれることです。
青唐辛子とコリアンダーは生のまま使って大丈夫ですか?
魚に完全に火が通ってから、飾りとして加えます。Asma Khanのレシピには、分量も扱い方も書かれていません。そこで編集部は、流水でよく洗うこと、生魚に使ったまな板、皿、道具に触れさせないことを加えています。FoodSafety.govの案内に従ったものです。
















































