バナナの花が「ご飯のおかず」になる、ケララの副菜
細かく刻んで柔らかくなったバナナの花、形を保った豆、粗いココナッツの粒。これらを、鍋底に汁がたまらなくなるまで炒め上げます。ご飯に添える乾いた副菜であって、汁気の多いカレーではありません。
ご飯の皿の横に、淡い色の細かく刻んだ具が小さな山になっています。ココナッツとカレーリーフの粒が散った一品です。ケララでは、野菜を細かく切ってすりおろしココナッツと一緒に、汁気がなくなるまで炒めた料理をトーレン(thoran)と呼びます。今回はバナナの花で作るトーレンです。レシピでも、ご飯と一緒に食べる副菜として紹介されています。
勝負は、鍋が熱くなる前の下ごしらえです。硬い外側の苞(ほう)を外し、淡い内側を細かく刻み、ねばる樹液を始末します。そのあとの加熱は短く、順序立てて進みます。マスタードシードと乾燥赤唐辛子のテンパリング、花、粗いココナッツのミックス、下ゆでしたグリーングラムの順です。重たいソースは一切使わないので、花のかすかな苦み、豆の柔らかさ、ココナッツの歯ごたえが、それぞれはっきり残ります。
このレシピは、ケララの料理家Sobha Varghese氏が紹介し、Gulf Newsに掲載された4人分のレシピに沿っています。ほかのレシピの分量や手順は混ぜていません。世界ごはん紀行編集部では試作していません。インドのほかの料理はインド料理の一覧もご覧ください。
ヴァザクーンブ・トーレンとは
ヴァザクーンブ・トーレン(vazhakoombu thoran/വാഴക്കൂമ്പ് തോരൻ)という名前は、バナナの花を意味するマラヤーラム語に由来します。DineTableは、花の呼び名としてvaazha koombuとkodappanを挙げ、この料理をご飯とよく合わせて出されるケララの副菜として紹介しています。Gulf Newsは、このレシピをケララ料理に分類しています。
Kerala Tourismは、ココナッツがこの州の伝統的な料理に広く使われていると説明し、トーレンをすりおろしココナッツと野菜を炒めたものと紹介しています。さらに、オーナム、ヴィシュ、結婚式などの祝いの席でバナナの葉に盛って出される菜食の宴サディヤ(Sadya)の品として、ココナッツ入りの乾いた野菜炒めであるトーレンを挙げています。これはトーレン全般についての説明です。バナナの花がサディヤのトーレンに必須の野菜だとも、唯一の野菜だとも書かれていません。普段の副菜でもあります。
家庭によってレシピは違います。Gulf News版は花をグリーングラムと150gのココナッツで調理します。Kerala Cooking Recipesには、花に赤いササゲ(vanpayar)を合わせ、分量も異なるレシピがあります。DineTableの版は豆をまったく使いません。どれもそれぞれ別の配合です。この記事では3つを混ぜず、ひとつに絞りました。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 包丁とまな板
- 刻んだ花を入れるボウル
- 木の棒または木べらの柄
- 豆を下ゆでする鍋
- ココナッツミックスを粗くひくグラインダー
- ふた付きの広くて深い鍋
- 使い捨て手袋(手の汚れが気になる場合)
選び方と代用
生のバナナの花は、どのスーパーにもあるわけではありません。インド食材店や東南アジア食材店、通販で探し、わざわざ出かける前に在庫を確かめてください。缶詰や瓶詰めのバナナの花は水分、塩分、食感が違うので、同じ料理の代用品ではなく、別バージョンの料理として考えてください。
グリーングラムはここでは丸ごとの緑豆を指します。2回火を通しても形が崩れにくい豆です。皮をむいた割り豆は火の通り方が異なり、崩れやすくなります。同じ量では同じ仕上がりになりません。
ココナッツは、生のすりおろしにいちばん近いのが冷凍のすりおろしココナッツです。ドライココナッツ(乾燥ココナッツ)は食感も水分も違うので、生の150gと1対1では置き換えられません。
ココナッツオイルは料理の香りを担います。クセのない植物油でも作れますが、ココナッツの香りは弱くなります。
ウラドダルか米か:ウラドダルを使います。テンパリングには米で代える方法もあります。ウラドダルは香ばしく歯ごたえが出て、米を使うとその食感が変わります。
小粒の赤玉ねぎ(shallots)は小さいタイプです。同じ個数を大きな玉ねぎに替えると、風味も水分も変わります。
主な材料は豆類(グリーングラム、ウラドダルを使う場合はそれも)とココナッツです。これらにアレルギーのある方は、すべての商品の表示を確認してください。マスタードシードは熱い油の中で弾けて飛び散るので、顔や手を鍋から離してください。提供前に豆を数粒味見し、硬い芯が残っていないときだけ出してください。
うまくいかないとき
手順に書いた時間は目安です。鍋もコンロも花も一つひとつ違います。仕上がりは鍋で判断してください。見るのは、鍋底が乾いている、花が柔らかい、豆が丸いままの3点です。
| 状況 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 最後に水っぽい | 花と豆から出た水分が鍋に残っている | ふたを外したまま、火にかけて混ぜ続け、鍋底に汁がたまらなくなるまで飛ばす |
| 鍋底に焦げつく | ふたをした加熱中に混ぜていない | ふたをしている間もときどき混ぜ、くっつくなら火を弱める |
| 豆がまだ硬い | 入れる前の下ゆでが足りなかった | ふたをして弱火で、硬い芯がなくなるまで加熱を続ける。次は加える前にもう少し長めに火を通す |
| 豆が崩れる | 先に柔らかくしすぎた、または強く混ぜた | 少し柔らかくなる程度で止め、かき混ぜずに返すようにして混ぜる |
| 手や包丁が染まる | 切った花の樹液 | 刻む前に手と包丁に油を塗るか、手袋をする。油で和らぐが、染まるのを完全に防げるとは限らない |
アレンジ
辛さ:青唐辛子と乾燥赤唐辛子は強さにかなり幅があります。本数を減らせば辛さは和らぎますが、ココナッツミックスとテンパリングの香りも変わります。
ウラドダルの代わりに米:テンパリングの選択肢のひとつで、食感が変わります。
ほかの豆:ケララの家庭には、赤いササゲを使うバナナの花のトーレンもあります。ただしこれは分量も別の、独立したレシピです。ここでの単純な置き換えにはなりません。
生の花がない場合:缶詰や冷凍のバナナの花で作ると、水分も塩分も違う別バージョンになります。この記事には、その検証済みの換算はありません。
食卓では — ご飯に添える乾いた副菜

この記事の参考にした3つのレシピは、いずれもバナナの花のトーレンをご飯と一緒に食べる副菜として紹介しています。汁気なく仕上げるので、ご飯やほかの料理と並べても混ざりません。サディヤの葉の上では、数ある乾いた野菜料理のひとつ。普段の食事なら、ご飯の横にこの一鉢があれば十分です。
よくある質問
バナナの花のどこを食べますか?
硬くて濃い赤色の外側の苞を数枚外し、淡くて柔らかい内側を使います。Gulf NewsとDineTableのレシピは、どちらもこのように花を整えると説明しています。Kerala Cooking Recipesは、ササゲを使うレシピで、熟した小花(mature florets)を取り除くことにも触れています。
生の花の下処理は大変ですか?
いちばん手間がかかる部分です。手と包丁に油を塗ること、刻んだ花に油を揉み込むこと、ボウルの中で木の棒を回して樹液を集めることは、Gulf Newsのレシピにある手順です。缶詰のバナナの花なら手軽ですが、同じ料理にはなりません。
グリーングラムはどれを使えばいいですか?
Gulf Newsのレシピは「green gram」とだけ書いていて、丸ごとか割り豆かは示していません。この記事では、下ゆでと最後の仕上げを経ても形が残りやすい、丸ごとの緑豆を選びました。割り豆は別の選択肢で、仕上がりも変わります。
豆の浸水と加熱はどのくらいですか?
レシピは、数時間浸水し、少量の水で少し柔らかくなるまで火を通す、としています。正確な浸水時間、水の量、加熱時間は書かれていません。豆の状態で判断してください。少し柔らかく、まだ丸ごとの形、が目安です。
全体でどのくらい時間がかかりますか?
Gulf Newsは、準備20分、調理20分としています。数時間の浸水や、花の下処理と刻みの時間がそこに含まれるかははっきりしません。花によっても変わるので、浸水は別に見込んでおいてください。
材料表のカレーリーフは4〜5枝なのに、テンパリングで2〜3枝なのはなぜですか?
Gulf Newsのレシピがそう書いているからです。材料表は4〜5枝、テンパリングの手順は2〜3枝です。カレーリーフはココナッツミックスにも入りますが、別の分量は示されていません。残りをどう分けるかも、レシピには書かれていません。
サディヤの料理ですか?
Kerala Tourismは、サディヤの品の中にトーレン全般を挙げています。DineTableは、自分たちのバナナの花のトーレンにオーナム/サディヤのタグを付けています。ただし、どちらもバナナの花がトーレンの必須の野菜だとは述べておらず、ご飯に添える普段の副菜でもあります。
残った分はどう保存しますか?
参考にしたレシピに保存や再加熱の説明がないため、この記事では保存期間をお伝えしません。

















