厚手の鍋の中で、ほろほろと崩れる淡い色のコヤを温めます。火を止めて砂糖を混ぜ、もう一度弱火にかけると、砂糖が溶けて生地はいったんゆるく、つややかになります。そのまま数分、弱火でかき混ぜ続けていると、やがて鍋肌から離れ始めます。ゆるんだ生地が鍋肌から離れ始める瞬間こそが、プレーンなコヤ・バルフィの要です。この記事のレシピが見てほしいのも、この変化です。
バルフィは、ミルクの固形分を煮詰めて固めたインドの菓子
バルフィはインドの菓子で、小さな四角やひし形に切って食べます。何で作るかによって、色も食感も形もずいぶん変わります。この記事で扱うのは、無糖のコヤ、砂糖、カルダモン、ナッツで作る基本の一種類です。
表記は barfi と burfi の両方を見かけますが、同じ菓子の名前の綴り違いです。レシピの出典は、名前が雪を意味する barf に関係すると説明し、白い見た目と結びつけています。これは出典の説明であり、語源として確定した話ではありません。
コヤ(マワとも呼ばれます)は、牛乳を煮詰めて濃縮した乳固形分です。粉乳とは別のものです。インドの乳製品技術を扱う教材には、コア(khoa)を使ったバルフィの作り方とともに、菓子ごとに向いたコアの種類があることも書かれています。このバルフィの厚みとコクはコヤが担うので、コヤの選び方がレシピ中で最も大事な判断になります。
今回作るのは、コヤを使う北インド風の基本形
この記事が手本にしたレシピは、コヤのバルフィを北インド風に分類しています。これはそのレシピについての分類で、バルフィ全体が北インドのものだという意味ではありません。同じ出典と乳製品技術の教材には、ココナッツ、ベサン(ひよこ豆粉)、果物、ナッツなどで作るバルフィも挙げられています。名前は同じでも、ひとつの配合にまとめることはできません。この記事は、無糖のコヤと砂糖を土台にした型だけを扱います。
一つの名前がどれほど広いかを知るには、パンジャーブを見るとわかりやすいでしょう。ファリードコート県(District Administration Faridkot)の公式ページは、ドーダ・バルフィを土地の名物として紹介しています。ページには1912年にさかのぼる由来話が載っていて、パンジャーブのレスラーが考案し、インド・パキスタン分離独立に伴う移住を経ても家族の伝統として受け継がれた、と語られています。これは県のページが伝える地域の話であり、バルフィ全般の発祥を述べたものではありません。ドーダ・バルフィは独自の配合をもつ別の菓子でもあり、この先のレシピには何も混ぜていません。
インドのほかの料理は、インドのページからどうぞ。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 厚手の小鍋またはカダイ
- 木べら
- 細かいおろし金、またはコヤを崩すフォーク
- クッキングシートを敷ける浅いトレイ
- クッキングシート
- 切り分け用の小さなナイフ
- カルダモン用の乳鉢(任意)
選び方と代用
コヤ。 無糖のコヤ(マワ)は、インド食材店や南アジア食材を扱う通販で探します。検索するときは「コヤ」「マワ」「無糖」などの語が手がかりになります。買うときは、冷蔵品か冷凍品かを表示で確かめ、無糖であることも確認してください。
粉乳、練乳、牛乳はコヤの代わりになりません。水分、甘み、乳固形分の量がコヤと違うため、同じ重さで置き換えても同じ生地や食感にはなりません。コヤが見つからないときは、このレシピを作り替えるのではなく、手元の材料に合わせて書かれた別のレシピを探してください。
砂糖。 砂糖の種類によって、食感が変わることがあります。
カルダモン。 ホールでも粉末でも、インド食材店や輸入食品店で見つかります。シナモンなどのスパイスは代用とは考えません。菓子の香りが変わってしまいます。
ナッツ。 無塩のものが向いています。ピスタチオに合わせるのはアーモンドかカシューナッツのどちらか一方です。
ギー。 ギーはトレイに塗るだけです。無塩バターでは風味が変わり、違う仕上がりになります。
このバルフィには乳製品(コヤ、ギー、使う場合は牛乳)とナッツ類(ピスタチオ、アーモンドまたはカシューナッツ)が含まれます。ナッツは任意です。ただしナッツを省いても、ナッツアレルギーの方にとって安全になるとは限りません。コヤなどの商品の表示で、共有設備やコンタミネーションに関する記載を確認してください。
固さを決めるのは、砂糖を入れたあとの煮詰め具合
工程3で鍋の中が逆戻りしたように見えるのは、砂糖のせいです。砂糖が溶けると、ほろほろだったコヤがゆるく、つややかになります。そこから弱火で混ぜ続けると水分が抜け、生地がまとまって鍋肌から離れ始めます。鍋肌から離れ始めたところが止めどきです。
出典の8〜9分は目安であって、約束ではありません。鍋の重さ、火力、作る量によって数分は動きます。仕上がりに満足できなかったときは、材料を疑う前に、この段階を見直してください。
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| やわらかいまま固まらない | 生地が鍋肌から離れ始める前に止めた | 無理にトレイから出さない。次は、少しとろみが増して鍋肌から離れ始めるまで加熱を続ける |
| 硬い、噛みごたえが強い | 砂糖を入れたあとに煮詰めすぎた | 生地が鍋肌から離れ始めたらすぐに止める |
| 焦げ、褐色の部分ができた | 火が強い、鍋が薄い、混ぜ方が足りない | 弱火を守り、厚手の鍋を使い、こまめに混ぜる |
| 時間は合っていたのに食感が違う | コヤの代わりに別の乳製品を使った | 無糖のコヤを使う。粉乳などは性質が異なる |
このレシピでできる変化と、ほかのバルフィ
出典が認めている範囲での変化は次のとおりです。
- ピスタチオを主役に。ピスタチオを目立たせますが、分量は書いたとおりにします。
- サフランなしで。サフランとそれを浸す牛乳は任意です。どちらも省きます。
- ナッツなしで。出典ではナッツは任意の扱いです。ナッツを省いた仕上がりが安全だと考える前に、上のアレルゲンの注意を確認してください。
ココナッツ・バルフィとベサン・バルフィは、同じ名前をもつ別の菓子です。このレシピの変化形ではないので、材料や作り方を持ち込まず、それぞれの種類のために書かれたレシピに従ってください。
食べ方

バルフィは小さく切ったままいただきます。温め直しはしません。コヤのコクが濃いので、小皿にひと切れふた切れで十分です。
保存は、密閉容器に入れて冷蔵庫へ。早めに食べ切ってください。
よくある質問
コヤとは何ですか?
コヤはマワとも呼ばれ、牛乳を煮詰めて濃縮した乳固形分です。インドの乳製品技術の教材には、菓子ごとに使い分けられるコアの種類がいくつか載っています。このレシピでは、無糖のコヤを使ってください。
バルフィとバーフィ(burfi)は別の菓子ですか?
いいえ、同じ名前の綴り違いです。大きく違うのはバルフィそのものの種類で、コヤ、ココナッツ、ベサン、果物、ナッツなどの版があります。
コヤが見つからないときは粉乳で作れますか?
このレシピでは、同量での置き換えにはなりません。粉乳はコヤとは水分や乳固形分が違い、同じ量では同じ生地にも食感にもなりません。粉乳のために書かれたレシピを探してください。
固まらない、または硬くなりすぎるのはなぜですか?
どちらも、砂糖を入れたあとの煮詰めが原因であることがほとんどです。早く止めればやわらかいままになり、煮詰めすぎれば硬くて噛みごたえの強い仕上がりになります。止める合図は、少しとろみが増して鍋肌から離れ始めた状態です。
サフランなしでも作れますか?
作れます。出典のレシピでは、サフランとそれを浸す牛乳は任意です。どちらも省いても、バルフィはまとまります。














