チェナ・ムドキ、小さな角切りに乾いた白い衣をまとわせる
この鍋が最後に目指す姿は、小さな柔らかいチーズの角切りが、一つひとつ乾いたマットな白い砂糖の衣に包まれ、鍋にも皿にもシロップが溜まっていない状態です。角切りがまだ透明なシロップに浸かっているなら、菓子は仕上がっていません。
チェナ・ムドキ(Chhena Mudki)は、フレッシュチーズの小さな角切りと砂糖で作る菓子です。乳製品技術の教材は、chhana-murkiを「砂糖を均一にまとった小さな角切りで、締まってきめの細かい食感のもの」と説明しています。角切りをまず砂糖のシロップで煮て、鍋を火から外し、混ぜ続けるうちにシロップが白い結晶の殻に変わる、というのが仕上げの流れです。見た目はつやつやではなく、粉をまぶしたように乾いています。丸いチェナの団子をシロップで煮て、中まで含ませたままにするラスグッラとは、別の系統の菓子です。
この記事のレシピは家庭向けの一例で、料理サイトの著者Rumki Paulが公開しているベンガルのChena Murkiです。材料はパニール、砂糖、水、カルダモンパウダー、ローズウォーターの5つだけで、ほかには何も入れません。オディシャ州バドラク県は、県の名物菓子の一つにChena Mudkiを挙げています。ただしこのレシピは、バドラクの公式な配合でも、その復元でもありません。資料ごとに記述がどう違うかは、次の節にまとめました。
このレシピは世界ごはん紀行では試作していません。分量・時間・人数はレシピカードに書かれた値で、各段階の見分け方は、そのレシピと、同じ砂糖衣の工程を説明した乳製品技術の記述に基づいています。
綴りには、Chhena Mudki、Chena Mudki、Chhena Muduki、Chhena Murki、Chena Murkiなどがあります。パニールで作るものはpaneer murkiとも呼ばれます。複数の綴りで検索するとレシピや説明が多く見つかりますが、綴りが違っても、同じ一つの配合を指しているわけではありません。
名前と記録 — バドラクの菓子と砂糖衣の角切り
名前はバドラクと結びついていますが、書かれている菓子は資料ごとに同じではありません。バドラク県庁の文化のページは、パルア・ラドゥ(Palua Ladu)とともにChena Mudkiを、県が名物とする菓子として挙げています。そのページにレシピはありません。
バドラク県地誌(District Gazetteer)の、検索で拾える一節は、もっと古い、別の姿を伝えています。バドラクの船乗りや商人のために作られた菓子の並びにchhena mudkiを置き、「砂糖、ギー、米粉を加えて焼いたカッテージチーズ」と説明しています。この記事が頼るのはその短い一節だけです。わずかな言葉から作り方や配合、年代を読み取ることはできませんし、下のレシピとも別物です。
ウッタラーカンド・オープン大学の地域料理の講義テキストは、Chhena Murkiを、バドラク沿岸が発祥でいまはオディシャ州全域で手に入る菓子としています。チーズは丸、立方体、直方体などさまざまな形で、牛乳と砂糖を煮詰めた濃い調製物と合わせると説明しています。結婚式や宴会にも触れていますが、バドラクの特定の行事ではなく、この菓子全般についての一般的な書き方です。
この記事のレシピは、三つめの方向から来ています。Rumki PaulはChena Murkiをベンガルの菓子として紹介し、paneer murkiはオディシャ州などほかの地域でも売られていると書き添えています。材料と仕上がりは、乳製品技術の教材にある砂糖衣の角切りの系統に沿っていて、地誌にあるギーと米粉は使いません。ここでは、これらを一つの「本場の版」にまとめず、近い菓子の別々の記録として並べます。国内のほかの料理はインドのページにあります。
| 資料 | 書かれていること | この記事での扱い |
|---|---|---|
| バドラク県庁 | Chena Mudkiは県の名物菓子 | 地域のアイデンティティの紹介だけ。レシピはなし |
| バドラク県地誌(検索で拾える一節) | 砂糖、ギー、米粉を加えて焼いたカッテージチーズ。船乗りや商人のために作られた | 古い土地の記述という背景。レシピには混ぜない |
| ウッタラーカンド・オープン大学の講義テキスト | バドラク沿岸発祥で、いまはオディシャ州全域にあるChhena Murki。さまざまな形のチーズを濃い砂糖の調製物と合わせる | 講義テキストが述べる地域的な由来。テキストのレシピカードは使わない |
| 乳製品技術の教材 | チェナまたはパニールの小さな角切りをシロップで煮て、火から外して混ぜ続け、砂糖を結晶化させて衣にする | 乾いた結晶状の仕上がりの裏づけ |
| Rumki PaulのChena Murki | パニール、砂糖、水、カルダモンパウダー、ローズウォーター。乾いた砂糖衣の角切り | この記事で作るレシピ |
チェナとパニール — 近いけれど同じ材料ではない
チェナもパニールも、熱した牛乳を酸で固め、凝乳をホエーから分けるところまでは同じです。分かれ道は水切りにあります。チェナはモスリン(目の細かい布)に集め、吊るして自然に水を切ります。外から圧力はかけないので、柔らかい凝乳が残ります。パニールの凝乳は、布で水切りしたあとに押さえて、余分な水分を絞り出します。
このレシピが指定するのはパニール225 gです。できたてのほぐれたチェナ225 gと同じではありません。レシピには、チェナを作るための牛乳の量も、酸も、水切りの時間も、できあがりの量も書かれていません。そのため、この記事は自家製チェナのレシピに読み替えたり、重さで入れ替えられると案内したりはしません。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 包丁とまな板
- 広い鍋、または厚手の浅い鍋
- 木べら、または耐熱のへら
- 計量カップと計量スプーン
- シロップの様子を見るための小さなスプーンと小さな器
- 熱い鍋を置く耐熱の台(トリベット)
- 仕上がった角切りを移す皿
砂糖用の温度計や揚げ鍋は要りません。シロップは温度ではなく見た目で判断します。
選び方と代用
新鮮なパニールか、菓子店で売っている柔らかいパニールが向きます。ふつうの市販のパニールでも作れますが、硬く冷蔵された袋入りのパニールは向きにくいです。選べるなら、いちばん柔らかく新鮮なものを探してください。
カルダモンとローズウォーターに代用品は示されていません。どちらもこの版の一部なので、両方使います。専門的な説明に出てくるケウラなどの香りは、別の作り方のもので、ここでは使いません。
煮詰まった砂糖のシロップは沸騰したお湯よりずっと高温で、肌にくっつきます。鍋の中のシロップも、スプーンにのせたシロップも、指で触らないでください。柄の長いへらを使い、鍋を火から下ろす前に耐熱の台を用意しておきます。この菓子は乳製品であるパニールで作ります。
うまくいかないとき
| 見た目 | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 手順8の段階で、透明なシロップが角切りのまわりに溜まっている | 水分がまだ飛んでいない | 中火のまま混ぜ続け、シロップが厚く白くなるまで煮詰める。透明なうちは手順9へ進まない |
| 火から外したあとも、衣がべたつく、またはつやがある | 乾燥の段階が終わっていない | 台の上で混ぜ続け、すべての角切りにマットな衣ができるまで乾かす |
| 衣が厚くつく角切りと、火の通り方が違う角切りが混じる | 角切りの大きさがまちまち | 次回は大きさをそろえてパニールを切る |
| パニールが柔らかくなく、硬く締まっている | パニールの種類 | 著者は硬い冷蔵の袋入りパニールをすすめていない。次回は新鮮なもの、または菓子店の柔らかいパニールを探す |
| シロップにチーズが浸かったような仕上がりになる | 衣ができなかった | シロップを含んでしっとりした仕上がりは、ラスグッラのような菓子のもの。チェナ・ムドキは乾いた砂糖の衣で仕上がる |
残りの扱い
家庭向けのレシピには、保存についての説明がありません。乳製品技術の工程の説明では、衣のついた角切りを冷ましたあと4〜6 °Cで保存するとしていますが、保存できる期間は示していません。そこで、角切りを冷ましたあと、その説明に沿って冷蔵します。保存期間は、どの資料にも書かれていないため、この記事では日数を案内しません。
ほかの記述のされ方
下の三つは、上のレシピの選択肢ではありません。チェナ・ムドキやチェナ・ムルキの記述に、どれだけ幅があるかを示すものです。
- 地誌の記述:砂糖、ギー、米粉を加えて焼いたカッテージチーズ。バドラクの船乗りや商人のために作られた菓子の中に記録されています。作り方も配合も書かれていません。
- 講義テキストの記述:丸、立方体、直方体などの形のチーズを、牛乳と砂糖を煮詰めた濃い調製物と合わせます。ほかの香りやスパイスにも触れています。
- 乳製品技術の記述:チェナまたはパニールの角切りに、結晶化した砂糖の衣をつけます。香り、色、ナッツのフレークは、後から加えるものとして挙げられ、ケウラもそうした香りの一つです。
この記事のレシピは、Rumki Paulの5つの材料と、乾いた白い仕上がりを守っています。
よくある質問
質問の前に:判断するのは仕上がりの見た目です。角切り一つひとつに、乾いた白い結晶状の衣がつき、皿にシロップが残っていないことが目安になります。
これはバドラクの伝統的なレシピですか?
いいえ。Rumki Paulによる、ベンガルの家庭向けChena Murkiのレシピです。バドラク県庁は、Chena Mudkiを土地の名物として挙げています。地誌の一節は、ギーと米粉を加えて焼いたチーズ菓子を述べ、講義テキストは、バドラク沿岸で生まれた、チーズを濃い砂糖の調製物と合わせる菓子を述べています。このレシピは砂糖衣の角切りの系統に入りますが、バドラクの公式な配合を再現するものではありません。
パニールのかわりに自家製のチェナを使えますか?
このレシピはパニールで書かれています。チェナは押さえずに水を切るので柔らかく、パニールは余分な水分を絞るために押さえます。レシピにはチェナの分量も作り方もないので、パニール225 gに当たるチェナの量も、シロップの中での様子も、このレシピからは言えません。
ローズウォーターは、なぜシロップが白くなる前に入れるのですか?
番号つきのレシピカードの順番だからで、この記事はそれに従っています。著者の文章では、シロップが厚く白くなってから加えるとされています。二つの順番は食い違っているので、混ぜずに、カードの順を通して使っています。
シロップに温度計は必要ですか?
要りません。レシピは強火で1〜2分煮立てて、一筋の糸を引く濃さを目安にしていて、温度は示していません。冷ました少量のシロップがスプーンから落ちる様子を見てください。シロップには触らないでください。
ラスグッラとはどう違いますか?
ラスグッラは、柔らかく丸いチェナの団子をシロップで煮て、シロップを含ませたままにする菓子です。チェナ・ムドキは小さな角切りで作り、シロップを煮詰めて、火から外して混ぜながら乾かし、砂糖の衣にします。


















