ダール・ファラ:ひとつの包みを、二通りに仕上げる
やわらかい全粒粉の皮、粒の感じが残る程度に粗く挽いたチャナダルの具、そしてゆでても破れないようにしっかり閉じた半月形の縁。この三つを守れば、あとは「ゆでたまま」で終えても、「黄金色でカリッと」まで仕上げても構いません。
全粒粉の生地で作った小さな半月形の包みに、粗く挽いたチャナダル、青唐辛子、しょうが、香菜を詰めて、沸騰した湯に入れます。蓋をしてゆで、途中で返し、今度は蓋を鍋の半分ほどずらしたまま、浮き上がってくるまでゆで続けます。ここから先は二通りです。切り分けてそのまま食べるか、マスタードシード、ヒング、カシミリ赤唐辛子がはぜる熱い油に切った片を入れ、表面が黄金色でカリッとするまで返しながら炒めるか。
この記事が従うのは、Garima Dublish さんが The Garus Kitchen で公開している、全粒粉(アッタ)とチャナダルのダール・ファラ(Farra)のレシピです。分量、ゆで方、任意の香辛料炒めの仕上げは、すべてこの1つのレシピから取り、ひとつの版としてまとめています。世界ごはん紀行ではこのレシピを試作していません。そのため、調理時間や浮き上がりの目安は、確認した結果ではなく記載どおりに示します。
同じ国のほかの料理は、インドのページもご覧ください。
「ダール・ファラ」が指す範囲、指さない範囲
この記事が従うレシピは、Dal Fara とも Farra とも名乗り、広く「インド料理」と表示するだけで、特定の州には結びつけていません。そこが大事なところで、この名前は1種類の料理だけを指すわけではなく、ほかの書き手は、生地も豆も加熱の方法も違う版を紹介しています。
Mint 誌の署名記事で、Shirin Mehrotra さんは、ウッタル・プラデーシュ州タライ地方にある自分の家族の版を紹介しています。外側は米の生地で、具はたいていウラド豆かチャナダル、それをゆでるか蒸すというものです。この家族の料理はディーワーリー(Diwali)の文脈で語られ、記事では、もっと手早く作れる小麦の変種にも別に触れています。ビハール州やジャールカンド州には、ダール・ピタ(dal pitha)やゴージャ(gojha)などの名前で呼ばれ、香辛料の使い方が違う形があることも書かれています。ただし、これはひとつの家族の話と、ひとりの書き手の報告であって、すべての家庭の説明ではありません。
Savory Tales は、ウッタル・プラデーシュ州とビハール州のチャナダルのファラを紹介し、小麦版と米版の両方を取り上げ、ゴージャやピータ(peetha)という呼び名を挙げています。Down To Earth の Richa Mittal さんの記事は、米とチャナダルのファラ(phara)を、ウッタル・プラデーシュ州東部とビハール州に位置づけています。Chhattisgarh Rajya と Desi.net は、どちらもチャッティースガル風の表示で、米粉とチャナダルのファラを載せていて、どちらも蒸す版です。Desi.net のページは、熱湯でこねる生地、粗い具、半月形に閉じる成形を説明しています。Archana's Kitchen は、複数の豆を使う米粉の版を UP スタイルとして載せ、やはり蒸して香味油をかけます。
並べて読むと、「豆の具を生地の包みに入れる」という共通の発想がある一方で、周りには本物の違いがあります。皮が米か小麦か、具がチャナダルかウラドか混合か、蒸すかゆでるか。各ページは、その書き手が書いている版の証拠です。ただし、どのページも、この記事が従うレシピも、ひとつの配合がインド全土のものだとも、ひとつの州がこの名前を独占しているとも、料理がどこで始まったかも証明してはいません。名前が同じだからといって同じレシピとは限らず、名前が違うからといって別の料理だと決まるわけでもありません。
| 違いが出る点 | この記事の版 | ほかの資料が紹介する版 |
|---|---|---|
| 皮 | 全粒粉(アッタ) | 米の生地または米粉(Mint、Down To Earth、Chhattisgarh Rajya、Desi.net、Archana's Kitchen)。小麦と米の両方に言及(Savory Tales) |
| 具 | 粗く挽いたチャナダル | たいていウラドかチャナ(Mint)。複数の豆(Archana's Kitchen) |
| 加熱 | ゆでる。任意で香辛料炒めの仕上げ | 蒸す(Chhattisgarh Rajya、Desi.net、Archana's Kitchen)。ゆでるか蒸す(Mint) |
| 形 | 半月形に折り、縁を閉じる | 半月形に閉じる説明は Desi.net にもあります |
混同しやすい料理がほかに2つあります。ダルプリ(dalpuri)は豆の詰め物を入れたパンを揚げる料理、バングラデシュのバパ・ピタ(bhapa pitha)は甘い蒸し米菓子です。どちらもこのレシピではありません。
これ以降は、全粒粉とチャナダルの版の分量と手順だけを使います。米生地や蒸し版のものは、何も混ぜていません。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 豆を浸水させるボウル
- 生地用のボウル
- 濡らした布
- 豆の水を切るざるまたは水切り
- 豆を粗く挽くための道具
- 包丁とまな板
- おろし器
- めん棒
- ファラが浸るだけの大きさの、蓋つきの鍋
- 穴あきお玉(穴あきスプーン)
- 任意の炒め用のフライパン
選び方と代用
生地の水は加減する前提の量なので、数字よりも生地の手触りを優先してください。
この版では、代用品は使っていません。名前で探す価値が高いのは、チャナダル、ヒング、アムチュールパウダー、カシミリ赤唐辛子パウダーです。全粒粉は種類によって水の吸い方が違います。水を少しずつ加えるのは、そのためでもあります。
ゆでたままか、香辛料炒めか:仕上げの選び方
ゆでたファラは、それだけでレシピとして完結しています。やわらかい全粒粉の皮の中に、香辛料を効かせた粗い豆の具が入った一品です。香辛料炒めの仕上げは任意で、同じレシピに含まれています。炒め用の油、ヒング、マスタードシード、カシミリ赤唐辛子パウダー、そして香菜も専用の分量があるので、具のために用意したものを取り置く必要はありません。
チャットニー、ヨーグルト、ギーは、分量も作り方もない、添え物の案にすぎません。そのため、ここではレシピに含めていません。添えるなら、ご自身の工夫として加えてください。
包みを崩さないために見ておくこと
| 見ておくこと | 対処 |
|---|---|
| 生地がべたつく | 最初から水を少しずつ加える。やわらかくなめらかで、張りがあって伸びがよく、べたつかない状態を目指す |
| 具がペースト状になる | 水切りした豆は水を加えずに挽き、粗さが残るところで止める |
| 伸ばすときに生地がくっつく | 打ち粉を少々。必要な分だけ使う |
| 縁が閉じない | しっかり押さえる。必要なら、閉じる前に縁へ少量の水をつける |
| 鍋が混み合って見える | ファラを一つずつ入れ、必要なら数回に分けてゆでる |
| 1つに入れる具の量 | 円1枚につき小さじ1〜2。皮は厚すぎず薄すぎず伸ばして、具を包んで折り閉じられるようにする |
よくある質問
チャナダルはどのくらい浸水させますか?
2時間浸水させ、水を切ってから挽きます。浸水の水の量は示されていないので、豆がかぶる程度にしてください。
カップをグラムに換算できますか?
このレシピはカップの規格を示していないため、この記事でも換算していません。粉にも水にも同じカップを使い続け、水は生地の手触りで加減してください。
何個できますか?
レシピは4人分としていますが、個数、皮の大きさ、厚さは示していません。生地を小さなレモンほどに分け、1つにつき具を小さじ1〜2入れるので、最終的な個数は分け方しだいです。
全体でどのくらい時間がかかりますか?
レシピの時間表示は、準備5分、休ませ20分、調理25分、合計50分で、2時間の浸水が含まれるかどうかは書かれていません。同じページの概要にはゆで時間10〜15分とありますが、詳しい手順では、蓋をして強火で4分、続けて蓋をずらして12〜15分となっています。この記事は詳しい手順に従い、これらの数字を足し合わせて新しい合計時間を作ることはしていません。湯が沸くまでの時間も書かれていません。生地を休ませる時間は、時間表示が20分、ある指示が15分、詳しい手順が15〜20分とずれているため、足し合わせず、20分を1回だけとしました。また、ゆでている間に1〜2回やさしく混ぜるというコツは、蓋をずらした段階(手順21)に置いています。これは編集上の判断です。
浮いたら中まで火が通っているということですか?
浮くのは、レシピがファラを引き上げる合図として示している目安です。中の温度を測る方法ではなく、中心温度も示されていません。
蒸してもよいですか?
このレシピには蒸し方も蒸し時間も書かれていません。ページの見出しのひとつに蒸すという表現がありますが、詳しい手順ではゆでています。背景の節で紹介したほかの版には蒸すものもありますが、生地も具も違うので、その時間はこの版には当てはまりません。
必ず炒めなければいけませんか?
いいえ。香辛料炒めは任意です。ゆでて切ったファラは、そのまま食べられます。
残ったらどう保存しますか?
レシピに保存や温め直しの説明がないため、ここでも案内しません。












































