ファラ(फरा):米粉のスティックを、ごまと青唐辛子の汁で仕上げる
ここで紹介するのは、インドのICAR-Central Rice Research Institute(ICAR中央稲研究所)がまとめた米料理集のチャッティースガル州の章に記録されている、ファラの一版です。米粉をちょうど沸かした湯に混ぜ、手で小さなスティック状に整え、炒りごま、砕いた青唐辛子、にんにくと青い香菜のペーストで作った液で煮ます。詰め物はなく、蒸し器も使いません。
塩と小さじ1/4の油を入れた水を沸かし、火を止めて、熱い湯にそのまま米粉を混ぜます。鍋にふたをして、そのまま置いておきます。そのあいだにカダイでごまを赤みが出るまで炒ります。手に油をつけて米粉の生地を小さなスティック状に丸め、ごま、砕いた青唐辛子、にんにくと青い香菜のペーストでつくった液に入れます。ふたをして数分、ふたを外してさらに数分。刻んだ香菜の葉を散らせばできあがりです。
このファラ(फरा)の工程は、これですべてです。記録されているのは、Dr. Lipi Dasが編んだ『Traditional Rice Foods: The Rich Heritage of India』(ICAR-Central Rice Research Institute、カタック、2015年)の40ページ(印刷ページ)、Chhattisgarhの見出しの下です。この本は一次資料と二次資料をもとにした編集資料だと自ら述べており、このレシピについて家庭の提供者の名前は挙げていません。そのため本記事では、これをチャッティースガルやインド全体の標準的なファラとはせず、記録された地域の一版として紹介します。
世界ごはん紀行編集部では、このレシピを台所で試作していません。以下の分量と手順は記録された版のとおりです。レシピが示していない点は、推測で埋めず、材料表の前に整理しました。インドのほかの料理はインドのページもご覧ください。
同じ名前、いくつもの形:蒸す、ご飯入り、豆入り、全粒粉
ファラという名前は、かなり違う料理をまとめて指していて、資料どうしも一つの形では一致していません。 作る前に幅を知っておくと、ここで紹介する版がただ一つの形だと誤解せずにすみます。
研究者Ashok Tiwariが書いたSahapedia(チャッティースガル州政府の文化考古局が依頼した内容)の伝統的なチャッティースガル料理の概説は、ファラ(ページの綴りはPhara)をチャッティースガルの軽食として挙げています。説明によると、米粉の生地(炊いたご飯を混ぜることもある)に塩を加え、指のようなロール状にして蒸し、ごまと唐辛子でテンパリングします。これは分量のあるレシピではなく説明で、ICAR版がスティックを香味液で煮るのに対し、ロールを蒸す点が違います。
ほかの著者のレシピを見ると、さらに枝分かれします。
| 版 | 地域の表示 | 生地と詰め物 | 加熱 |
|---|---|---|---|
| ICAR-CRRIの編集資料(この記事) | チャッティースガル | 米粉のみ、詰め物なし、小さなスティック | ごま、青唐辛子、にんにくと青い香菜の液で煮る。ふたをして、次にふたを外す |
| Trupti Dev、Kalnirnay | チャッティースガル | 炊いたご飯と米粉を1ボウルずつ、細長い形 | 10〜15分蒸す(竹串で確認)。そのあと別にマスタード、クミン、唐辛子、カレーリーフ、ごまでテンパリング |
| Chandra Bhushan Verma、Chhattisgarh Rajya | チャッティースガル(ダル・ファラ) | 米粉の皮で粗く砕いたチャナ・ダールの具を包む | 15〜20分蒸す。任意でテンパリングか揚げる |
| Ruchi Pant、NDTV India | ウッタル・プラデーシュ | 牛乳を加えた米粉、チャナ・ダールの具 | 12〜15分蒸す |
| Garima Dublish、The Garus Kitchen | ダル・ファラ/ファラ(Farra) | 全粒粉(アッタ)の皮、粗いチャナ・ダールの具、半月形 | 水でゆでる。任意でスパイス炒め |
ダル・ファラの筆者はFarra、Gojha、Peethaといった呼び名も使っていますが、それらがここで扱う無詰めの米粉スティックと同じものだとは言えません。ファラとダル・ファラが別の料理なのか、より広い一つの仲間の枝なのかは、これらの資料では決まりません。そこで本記事では、各版をそれぞれの筆者と地域の表示に結びつけたままにして、分量や作り方を下のレシピに混ぜていません。
計り始める前に:このレシピが決めていないこと
記録されたレシピは短く、作り手が当然知りたいことの多くが書かれていません。どこで自分で判断する必要があるかを、先にまとめました。
- カップとスプーンの規格:カップ、大さじ、小さじを使っていますが、どの規格かは示されていません。分量は記録のまま、グラムやミリリットルには換算していません。
- 水の量: 材料欄には水1 1/2カップとあります。作り方では別に、香味液へ水1/2カップを加えますが、この半カップが1 1/2カップに含まれるのかは書かれていません。ここでは2つの量を足していません。
- 油の量: 材料欄には油大さじ4とあります。作り方では、沸かす湯に小さじ1/4、次に手に塗る油、さらにカダイで香味液に使う油が出てきますが、大さじ4の残りの振り分けは示されていません。
- 米粉の種類: 米粉の種類(うるち米かもち米か)、品種、粉の細かさは書かれていません。
- ペーストと仕上げ:にんにくと青い香菜のペーストは合わせて小さじ1で、2つの比率はありません。仕上げの香菜の葉は作り方にだけ出てきて、量がありません。
- まったく書かれていないこと:人数、スティックの本数や大きさ、生地の状態、休ませる時間、全体の時間、最後に煮るときの火加減、保存、再加熱、栄養。時間の記載は、ふたをして約5分、ふたを外して2〜3分だけです。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 湯を沸かすための、ふたつきの鍋
- 米粉を混ぜるためのスプーン
- カダイか中華鍋
- 炒ったごまを取り出す皿
- スティックを整えるための皿かボウル
選び方と代用
米粉は一種類の製品ではありません。 うるち米からも、もち米からも作られ、製粉や加工の方法によって粉の性質も使い道も変わります。たとえば白玉粉はもち米から作られ、やわらかい白い団子に使われます。この料理にどちらの種類が合うかは、確かめられていません。
うるち米から作ったふつうの米粉は、最初に探す候補としては無難ですが、試していない出発点で、同等品と確認されたものではありません。もち粉や白玉粉のようなもち米の粉を、同じ分量でそのまま置き換えられるものとは考えないでください。
- ごま:大さじ1。赤みが出るまで炒ります。
- 青唐辛子:2つを砕きます。辛さ、水分、形の違う唐辛子を、決まった代用品としてすすめることはしません。
- 油:ふつうの調理用の油。
- にんにくと青い香菜のペースト:合わせて1つのペーストです。自分で作る場合、にんにくと香菜のバランスは作り手が決めることになります。
- カダイ:底が丸いインドの中華鍋です。深めのフライパンでも使えるかもしれませんが、これは試していない提案で、鍋の形や火力が変わると香味液の状態も変わることがあります。
ごまは代表的なアレルゲンです。グルテンやその他のアレルゲンを避ける必要がある方は、米粉などの商品の表示で、ほかの原料との接触(コンタミネーション)についての記載を確認してください。この記事は、この料理がグルテンフリーの認証を受けたものだとは述べていません。
手順の順番を守る:ここで直せること、直せないこと
レシピが短いので、失敗の多くは順番を変えることから起きます。目安は次のとおりです。
| 段階 | レシピにある目安 | 順番が大切な理由 |
|---|---|---|
| 生地用の湯 | 水を沸かし、粉を入れる前に火を止める | 粉は火にかけて煮るのではなく、火を止めた熱湯に混ぜる |
| 休ませる | 鍋にふたをして置いておく | 時間は決めず、ふたをしておく |
| ごま | 赤みが出るまで炒り、皿に移す | 炒ったごまは手順6で、あとから香味液に入れる |
| 香味液 | いい香りが立ってから水を入れる | ごま、青唐辛子、ペーストを先に油で炒める |
| スティック | 液が沸いてから入れる | すでに沸いている液の中で加熱が始まる |
| 仕上げ | ふたをして約5分、ふたを外して2〜3分 | 示されている加熱時間はこれだけ |
生地の手触りはどうあるべきか、スティックの大きさ、最後に煮るときの火の強さ、生地がまとまらないときにどうするか。レシピはこれらを書いていません。追い水や粉の追加などの対処は、記録がないため作り方に足していません。安定して再現できる版がほしい場合は、最初の1回を試作と考えて、変えた点を記録しておいてください。
よくある質問
ファラには詰め物が入りますか?
この版では入りません。ICARのチャッティースガルのレシピは、詰め物のない米粉のスティックです。ほかの筆者は具入りの版を紹介しています。Chandra Bhushan Vermaのチャッティースガルのダル・ファラとRuchi PantのUPのファラはどちらもチャナ・ダールを使い、Garima Dublishのダル・ファラは全粒粉の皮です。
蒸し器は必要ですか?
いいえ。この版では、スティックを香味液の中で、ふたをして、そのあとふたを外して煮ます。Sahapediaの説明とTrupti Devのレシピはロールを蒸しますが、それは別の資料の別の方法です。
どの米粉を使えばよいですか?
ICARのレシピは、どの穀物や製粉を想定しているのか書いていません。農林水産省は、米粉にはうるち米のものともち米のものがあり、加工で性質が変わると説明しています。ふつうのうるち米の米粉を最初の候補にするのは妥当ですが、このレシピでは試していません。もち粉や白玉粉のようなもち米の粉が同じように仕上がるとは考えないでください。
水は全部でどれだけ必要ですか?
レシピには水1 1/2カップとあり、別に香味液へ1/2カップを加えるとありますが、この半カップが記載の量に含まれるのかは書かれていません。この記事では合計を出していません。
何人分ですか?
レシピには人数もスティックの本数や大きさも書かれていないため、ここでも分量の目安は示していません。
作り置きや、残りの保存はできますか?
レシピには保存や再加熱の指針がないため、この記事でも保存期間や温め直しの方法は案内しません。



















