インド中央部の街インドールでは、黄色いポハー(平たくした米のスパイス炒め)にカリッとしたセブ(ひよこ豆粉の揚げ麺)を散らした器の横に、金色のジャレビが数枚添えられることがあります。インド政府観光省は、マディヤ・プラデーシュ州マールワ地方の料理案内で、この組み合わせをよく知られた朝食として紹介しています。塩気とスパイスのある皿の隣に、シロップをまとった揚げ菓子が並ぶ。ここではジャレビは食後の一口ではなく、甘みと塩気が同じ朝の皿に並ぶための存在です。
外側は細くてカリッとした金色の線、内側には温かい蜜。生地は泡と流れ具合で、シロップは冷ました一滴の糸で、油は温度計で見極めます。
その対比こそ、ジャレビの仕組みです。小麦粉とベサン(ひよこ豆粉)の薄い生地を発酵させ、熱い油にゆるい渦で絞り入れ、線が固まって淡い金色になるまで揚げます。熱いうちに温かい砂糖シロップへ短く浸すので、外側は軽い歯ざわりのまま、内側に蜜が入ります。
このレシピは、発酵生地で作る家庭向けの方法です。成否を分けるのは、生地の濃さ、シロップの煮詰め具合、油の温度の3つ。時計だけでなく目で見て判断できるよう、工程で順に説明します。インドールの朝食はあくまで地域の一例で、インド全体のジャレビの食べ方を表すものではありません。
ジャレビとはどんなお菓子か
ジャレビ(जलेबी)は、発酵させた小麦粉の生地を細く流して渦状に揚げ、砂糖シロップに浸す菓子です。このレシピでは、マイダ(精製小麦粉)にベサンと水を合わせ、数時間かけて発酵させます。仕上がりはわざと少し不揃いで、輪が重なり、表面はカリッとして、中に蜜を抱えています。食用色素は要らず、ターメリックを少々、あるいは好みでサフランを加えれば、淡い金色になります。
ジャレビに近い名前は広い地域にあります。歴史を扱うLive History Indiaの記事は、zlabia、zalabiya、zoolabiya、jilbi、jilapiなどの呼び名を挙げ、13世紀のアル・バグダーディの料理書にレシピがあること、15世紀のジャイナ教文献にインドでの言及があることを伝えています。ただし同じ記事は、実際の起源を特定するのは難しいとも述べています。似た菓子や名前が西アジアから南アジアにかけて見られ、インドで地域ごとの姿をもったと言えるにとどめ、発祥の地や伝わった道筋は事実として断定できません。同記事によれば、インドのレシピは材料も一様ではなく、ウラド豆、米粉、ベサン、セモリナ、チェナ、コアを使うものもあります。
イマルティ・ジャンギリとの違い
イマルティとジャンギリ(ジャングリとも書かれます)は、ジャレビの別名のように見えますが、同じものではありません。インドの菓子を扱う大学の教材は、イマルティとジャンギリをマイダではなくウラド豆で作り、花のように整った絞りが特徴の菓子として説明しています。一方ジャレビは、発酵させた小麦粉の生地をゆるい渦で揚げます。名前や形、配合は地域によって揺れるため、ここで作るのは小麦粉とベサンの発酵ジャレビに絞り、ウラド豆の生地は混ぜません。
この料理に使える食材・調味料
粉・砂糖・香りの選び方
粉。 マイダは、日本のどの小麦粉とも完全には同じではありません。たんぱく質が少なめの粉は軽い歯ざわりに、中程度の粉は少し弾力が出ます。強力粉は避けてください。
ベサン。 まずはインド食材店で探します。ほかのひよこ豆粉でも作れますが、挽き具合で吸水量が変わるため、生地の濃さを見ながら水を調整してください。片栗粉やコーンスターチでは代えられません。 風味も吸水も、生地の挙動も違います。
重曹。 ベーキングパウダー小さじ1/4を使うレシピもありますが、膨らみと風味が変わるので、この記事には入れません。
色と香り。 ターメリックは色が要らなければ省けます。食用色素で鮮やかなオレンジ色にする必要もありません。サフランは高価で、完全に任意です。カルダモンに替えると別の香りになるので、代用ではなく別アレンジとして考えてください。
油。 菜種油などのクセのない油で十分です。
道具
- ボウルと泡立て器
- 発酵用の、蓋のできる清潔なボウル
- 口径4〜5mmの丸口金をつけた絞り袋(なければ、厚手の食品用袋の角を小さく切ったもの)
- 油面の上に十分な余裕がとれる深鍋かカダイ
- 揚げ物用の温度計
- 長めの菜箸またはトング、穴あきお玉
- 網
- シロップ用の小鍋か浅いフライパン
- シロップの確認用の小皿
丸口金なら線の太さがそろいやすく、切った袋では太さにばらつきが出やすくなります。袋でも作れるので、絞り袋のセットは必須ではありません。
広がる、切れる、べたつく|原因を1つずつ直す
直すのは、生地、油、シロップのうち一度に1つだけにします。全部を一度に変えると、何が効いたのか分からなくなります。
| 症状 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 渦が広がってにじむ | 発酵後に生地が薄くなった | 調整用の粉(大さじ1〜2)から小さじ1ずつ足して再度試す。袋の口を小さくする |
| 袋から出ない、線が切れる | 生地が固すぎる | 水を小さじ1ずつ足す。発酵後に一度混ぜて濃さを見直す |
| 油の中で形が崩れる | 油温が合っていない、鍋に詰めすぎ | 温度計で油温を確認し、最初に試し絞りをして、一度に2〜3個だけ揚げる |
| べたついてカリッとしない | 油が冷たい、シロップが薄い、浸しすぎ | それぞれ別々に確認する。シロップの煮詰め具合と温かさも記録する |
| 冷めると砂糖が白く結晶化する | シロップを煮詰めすぎた | レモン汁小さじ1/4を入れ、一本糸を超えて煮詰めない |
| 強い酸っぱい臭いがする | 発酵しすぎ | 次回は時間より泡と香りで止める。不快な臭いなら生地は捨てる |
アレンジ
- サフランシロップ。 工程3でひとつまみ加えると、香りと金色が増します。入れすぎないほうが、渦の味を邪魔しません。
- レモン汁なしの澄んだシロップ。 作れますが、結晶化を抑える効果は弱まります。標準にせず、比べて試すときだけにしてください。
- 丸口金と切った袋。 丸口金は線がそろいやすく、袋を切るだけの方法は手軽ですが太さがばらつきます。数個、練習してから本番に入りましょう。
- 短時間で作れる生地。 ヨーグルトと米粉で短く休ませるレシピもありますが、それは別配合です。この生地の時短版ではありません(FAQ参照)。
インドの食卓のジャレビ

インド政府観光省のマールワ料理案内は、インドールでポハーをジャレビとセブとともに出す朝食をよく知られた組み合わせとして紹介しています。スパイスの効いた塩味のポハーと、甘い揚げ菓子の渦が同じ食卓に並び、甘みと塩気がひとつの食事の中で出会います。同じ案内は、マールワの料理が隣接するグジャラート、マハラシュトラ、ラジャスタンの影響を受けていることにも触れています。
これは中央インドの地域の姿であり、全国共通の習慣ではありません。インド各地でジャレビの姿は異なり、粉や材料が違うレシピがあります。インドの菓子を扱う大学教材は、温かくても冷たくても供され、香りづけも任意だと述べています。SBS Foodはジャレビを、お祝いのインドの菓子として紹介しています。家庭では、塩味の朝食の横に温かい渦を数枚添えれば、インドールの組み合わせの対比を味わえます。
残ったとき
ジャレビは、作った日に、できれば温かいうちに食べるのがいちばんです。元レシピは、残りを密閉容器に入れて冷蔵することを勧めていますが、カリッとした食感は失われることがあります。常温で長く置ける菓子ではないので、保存するなら早めに冷蔵してください。
よくある質問
発酵時間を短くできますか?
目標の時間ではなく、生地の泡と香りで判断してください。暖かい台所なら自然と早く発酵します。ヨーグルトと米粉を使い、約4時間休ませるSBS Foodのような短いレシピもありますが、別の配合です。その材料や分量をこの生地に混ぜないでください。
ベサンを片栗粉やコーンスターチで代えられますか?
いいえ。風味も、水の吸い方も、生地の挙動も違います。ベサンかほかのひよこ豆粉を探し、挽き方が違えば水の量を調整してください。
絞り袋なしで作れますか?
作れます。厚手の食品用袋の角を小さく切って使います。線の太さがばらつきやすいので、試しに1個絞って調整してから残りを揚げましょう。
イマルティやジャンギリと同じですか?
違います。見た目は似ていても、イマルティとジャンギリはウラド豆の生地で、より規則的な花の形に絞ります。このレシピは、小麦粉とベサンの発酵生地で作るジャレビです。
食用色素は必要ですか?
要りません。ターメリックを少量入れれば淡い金色になり、省いてもかまいません。サフランは色に加えて香りもつきます。
翌日もカリッとしていますか?
揚げ菓子の軽さは時間とともに落ちるので、作りたてがおすすめです。冷蔵した残りはカリッとした食感が失われることがあり、このレシピは保存できる日数を保証しません。














