コンブディ・ヴァデ:ひとつの食卓に並ぶ鶏カレーと揚げパン
ここでは2つの食感が出会います。たっぷりのグレービーをまとったココナッツの鶏カレーと、ちぎってカレーにひたす厚みのある揚げヴァデです。カレーとヴァデは一体の料理として考えてください。鶏カレーに添えるおまけのパンではありません。
マハーラーシュトラ州観光局のポケットガイドは、コンブディ・ヴァデ(kombdi vade)を、マハーラーシュトラのコンカン沿岸の料理として紹介しています。辛い鶏カレーに、揚げパンのヴァデを添える料理です。同じガイドは、お祭りや特別な日、日曜の家族の食事の場面にも触れています。すべての家庭がそう食べるという意味ではありませんが、人が集まる食卓のために作る料理だということは伝わってきます。
名前がそのまま皿の上を表しています。Kombdi(コンブディ)はマラーティー語で鶏肉、ここでのvade(ヴァデ)は揚げた平たいパンのことです。カレーは、ホールスパイスと玉ねぎ、削ったココナッツのペーストを土台にして、仕上げにココナッツミルクを加えます。ヴァデは、浸してすりつぶしたウラドダル、クミン、フェヌグリークのペーストを、米粉、ベサン(ひよこ豆粉)、小麦粉に混ぜ、手で成形して揚げます。
この記事は、完結した1本のレシピに沿って進めます。Ruchkar Mejwaniが公開した、Archanaによるコンカン風のkombadi vadeです。分量は掲載どおりに使い、ほかの版の分量は混ぜていません。世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作してはいません。水や塩の量、鶏肉の部位、ヴァデが何枚できるか、揚げ油の温度など、掲載レシピが決めていない点は、この記事でも数字で埋めずに未指定のままにしています。
インドのほかの料理は、インドのレシピからどうぞ。
コンカン、マルヴァン、そして家庭ごとに違うヴァデの粉
この料理は、資料によって呼び名も作りも少しずつ違います。マハーラーシュトラ州観光局はコンカン沿岸の料理としています。Archanaのレシピは「コンカン風」と銘打たれています。ヤシュワントラオ・チャヴァン・マハーラーシュトラ公開大学が公開している調理実習の教科書は、Chicken Malvaniとも呼び、骨付き鶏のマルヴァン風カレーとして説明しています。この記事は、料理の発祥地や起源をひとつに決めることはしません。
ヴァデの粉は、とくに違いが大きい部分です。観光局のガイドには米粉とウラドダルが出てきます。大学の教科書では、小麦粉またはナーチニー(シコクビエ)の粉のヴァデです。MarathiMatiの家庭向けレシピはbhajani(バジャニ)を使います。米、ジョワール(モロコシ)、小麦、ひよこ豆、ウラド、ポハ(押し米)を材料ごとに煎って冷まし、粗くひいて、ぬるま湯で練り、休ませてから揚げる方法です。Hema Shetは、ご自身の初めての試作について書いた記事で、別のマルヴァン風チキンラッサ(汁気のある鶏のカレー)に、市販のバジャニ粉でヴァデを作っています。
どれかが唯一の正解というわけではありません。Archanaのレシピは、米粉、ベサン、小麦粉に、ウラドダルとクミン、フェヌグリークを一晩浸してすりつぶした生のペーストを合わせます。カレーとヴァデの両方がそろった、わかりやすく完結したレシピなので、この記事ではこの版に沿っています。
このカレーではココナッツが2回登場します。削ったココナッツを炒めてスパイスペーストにすりつぶし、最後にココナッツミルクを加えます。観光局のガイドは、マルヴァン・マサラ全般を、煎ったスパイスとココナッツ、赤唐辛子のものと説明しています。一方、Archanaのレシピは「ミックスマサラ」としか書かれておらず、どの配合かは示されていません。そのため、この記事ではマルヴァン・マサラやカレー粉を同じものとは扱いません。
この版の扱いについて
- 油。 レシピは、カレー用に油大さじ2を2回記載しており、油は香味材料を炒める段階とグレービーの段階の2か所で使います。ここでは各段階に大さじ2を割り当てます。記載された合計は変えていませんが、段階ごとの量はレシピに書かれたものではなく、こちらでの割り当てです。
- 扱い方の選択。 レシピが書いているのは、ダルを一晩浸し、翌日にすりつぶすことまでです。ダルを冷蔵庫で浸すこと、下味をつけた鶏肉を冷蔵庫で休ませること、炒めた香味材料を冷ましてからすりつぶすこと、食品用のシートの上で生地を平らにすること、揚げたヴァデの油を切ることは、こちらで加えた扱い方です。掲載の手順には含まれていません。また、この浸水は発酵ではありません。
- 鶏肉の安全。 レシピにある中火で15〜20分は加熱の目安であり、安全を保証するものではありません。ここでは、FoodSafety.govが家禽類全般に定める最低中心温度74°C(165°F)を、温度計で確認して仕上げの基準にします。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 生の鶏肉専用のボウルと、鶏肉専用のまな板・器具
- 香味材料を炒めるフライパン
- カレー用の厚手の鍋
- ふたがしっかり閉まるミキサーまたはグラインダー
- ヴァデの生地を混ぜる大きなボウル
- ヴァデを成形するための、清潔な食品用シート
- カダイ(インドの揚げ鍋)または深さのある厚手の鍋
- 網じゃくしと、油を切るための網またはキッチンペーパー
- 食品用の温度計
選び方と代用
ミックスマサラ。 気に入ったインドの混合スパイスを選んでください。製品によってスパイスの種類も辛さも違うため、マルヴァン・マサラやカレー粉を使うと、同じではなく別のカレーになります。辛さを抑えたいときは、唐辛子が控えめな配合を選びます。
鶏肉。 好みの部位を使い、いちばん厚い部分を温度計で確認します。プローブ(温度計の先)が骨に当たらないようにしてください。
ウラドダル。 皮つきの黒ウラド、割ったウラド、皮をむいた白いウラドダルでは、ペーストの色や食感が変わることがあります。この版のヴァデにはウラドダルを入れたままにしてください。抜くと別の生地になります。
粉。 米粉、ベサン(ひよこ豆粉)、小麦粉は、それぞれ役割があります。とうもろこし粉やほかの豆の粉、ほかのダルの粉では置き換えられません。ベサンをじゃがいもやとうもろこしのでんぷんに替えるのもやめてください。
市販のヴァデ用バジャニ。 市販のバジャニやヴァデ用の粉は、ほかの版で使われる現実的な近道ですが、配合がこの版とは違うので、できあがるヴァデも別物になります。パッケージの手順に従い、原材料表示を確認してください。
アレルゲン。 この料理には、小麦(グルテン)、豆類(ウラドダルとひよこ豆粉)、ココナッツが含まれます。ミックスマサラや市販の粉は、ほかのアレルゲンや同一施設での製造の表示を確認してください。
うまくいかないとき
| 症状 | 試すこと |
|---|---|
| 平らにすると生地が割れる | 水を少しずつ足して、もう一度こねます。粉の量は変えないでください。 |
| 生地がべたついて成形できない | 次回は水をもっとゆっくり、少しずつ加えます。 |
| 油が十分に熱いか自信がない | 先に小さな生地を1つ揚げて、色づき方を見てから残りを揚げます。 |
| 中まで火が通る前にヴァデが色づく | 火を弱め、1回に揚げる枚数を減らして、それぞれが油の中で十分な時間を過ごせるようにします。 |
| 鶏肉は火が通ったように見えるのに、温度計が74°C(165°F)に届かない | 加熱を続け、骨から離したいちばん厚い部分で、もう一度確認します。 |
生の鶏肉に使った道具は、加熱後の食べ物に使う道具と分けてください。生の生地も、揚げたヴァデを置く場所には触れさせないようにします。
アレンジ
ここに挙げるのは、この食事を自分の好みに合わせるための提案です。どれも上の版からは離れるので、自分なりのアレンジとして楽しんでください。
- 辛さを控えめに。 唐辛子が少ないミックスマサラを選びます。配合は製品ごとに違うので、味見は鶏肉にしっかり火が通ってからにしてください。
- 少量ずつ揚げる。 鍋に詰め込まず、数枚ずつ揚げると、1枚ずつ均一に火が通ります。
- 小麦なしで。 このレシピは小麦粉を使います。グルテンを避けるヴァデは、このレシピを離れて、米と豆の粉の割合をあらためて探ることになり、食感も生地のまとまり方も変わります。
- バジャニで近道。 市販のヴァデ用バジャニなら、浸水とすりつぶしが省けますが、配合が違うので、できあがるヴァデも別物になります。
- ソルカディを添える。 大学の教科書は、辛いコンカン料理やマルヴァン料理のあとに出す、コクム(ガルシニアの果実)とココナッツミルクの飲み物ソルカディを紹介しています。食卓に添える任意のものでこのレシピの一部ではありません。教科書には、食卓に玉ねぎとレモンが出ることも書かれています。
よくある質問
ヴァデは何枚できますか? 大きさはどのくらいですか?
掲載レシピには、仕上がりの量も、ヴァデの枚数も、大きさも書かれていません。世界ごはん紀行でも試作していないので、この記事では数字を示しません。中まで火が通る、小さくて厚みのある円盤に成形してください。
ウラドダルは抜いてもよいですか?
この版では、ウラドダルのペーストがヴァデの生地の大事な部分です。抜くと別のヴァデになります。浸水とすりつぶしを省きたい場合の市販のバジャニは、同じレシピではなく、別の版です。
小麦粉なしで作れますか?
このレシピは小麦粉を使います。ほかの版には別の穀物を使うヴァデもありますが、小麦粉を抜くと、食感も生地のまとまり方も違う新しいレシピになり、配合もあらためて探る必要があります。
油を大さじ2と大さじ2に分けるのはなぜですか?
レシピは、カレー用に油大さじ2を2回記載し、油を2つの段階で使いますが、各段階にいくら使うかは決めていません。この記事では、合計は変えずに、香味材料を炒める段階に大さじ2、グレービーの段階に大さじ2を割り当てています。
鶏肉を15〜20分加熱すれば十分ですか?
その時間はレシピの加熱の目安であり、安全の確認ではありません。FoodSafety.govは、鶏肉の安全な最低中心温度として74°C(165°F)を示しています。食品用温度計で、骨から離したいちばん厚い部分を測ってください。
ダルを冷蔵庫で浸すのはなぜですか?
レシピは、一晩浸して翌日にすりつぶす、としか書いていません。ふたをして冷蔵庫で浸すのは、衛生面を考えてこちらで選んだ方法です。単に浸すだけで、発酵ではありません。
残ったときはどうしますか?
保存期間はここでは示しません。FoodSafety.govは、食べ物をすぐに冷やし、冷蔵庫を4°C(40°F)以下に保つよう勧めています。残りはすぐに、ふた付きの容器に入れて冷蔵してください。



















