ディド — 二つの粉と一つの鍋、止まらない木べら
粉は段階に分けて入れます。まずミレット粉を2回に分け、最後にそば粉。そして、その間ずっとかき混ぜ続けます。この版の芯は、この投入の順番と休まない撹拌です。
大きな鍋の水が沸きます。木べらはもう動いていて、そこへまずミレット粉をひとつかみ。続けて残りのミレット粉、最後にそば粉。かき混ぜる手は一度も止まらず、鍋の中のものは少しずつ重くなり、やがて塊がなく、濃い茶色になります。
ここで紹介するのは、個人の料理ブログ nepaliaustralian を書いているMさんが2017年4月21日に投稿した一版です。Mさんは、友人から習ったレシピだと説明しています。水1リットル、ミレット粉150 g、そば粉100 gを使い、ギー20 mlは省いてもよいものとして添えられています。この記事ではギーを使う形にし、Mさんが挙げる二つの添え物のうち、用意したダルを合わせます。
あくまで一人の家庭の料理人の版で、ネパールの標準でも、この料理の唯一の歴史的な形でもありません。ほかのネパール料理はネパールの国別ページからどうぞ。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試していません。以下の分量・順序・撹拌時間・仕上がりの目安はMさんが公開したレシピによるもので、Mさんが決めていないことは、ここでも決めないままにしています。
「ディド」はひとつの配合を指すわけではない
料理名だけでは、どの粉をどれだけの水で練るのかは決まりません。この記事が参考にした公開レシピ3つを並べると、それぞれ違う姿をしています。
| レシピ | 粉と水 | 添えるもの | そのほかの特徴 |
|---|---|---|---|
| M(nepaliaustralian)。この記事で使う版 | ミレット粉150 g+そば粉100 g、水1リットル | 好みのカレーかダル、そしてギー | ミレット粉を2回に分け、そば粉は最後。7〜10分かき混ぜ続ける |
| シェフ Ram Bahadur Budhathoki のレシピ(Outlook Traveller 掲載) | 粉は1種類。粉1カップに水3カップの形で示される | — | 塩あり。ギーは小さじ1。蓋をして弱火で2〜3分煮る工程は任意 |
| Hasina Waiba Tamang さんのレシピ(Asian Farmers Association のコンテスト作品) | とうもろこし粉500 g、水1リットル | イラクサ(sisno)のスープとアカバレ唐辛子 | 固まった状態になるまでかき混ぜ続ける |
これらは別々の3つのレシピの記録です。同じ名前の料理でも粉・割合・添え物が違うことは分かりますが、どの版がどれほど一般的か、ネパールのどこで作られているかまでは分かりません。この記事が従うのはMさんの二粉版だけです。塩、蓋をして煮る工程、とうもろこし粉、イラクサのスープ、唐辛子は、それぞれ別のレシピのもので、ここには混ぜていません。
綴りは「Dhido」で通します。言葉の由来、ネパール語の表記、料理の歴史は、この記事の資料からは確かめられないため書きません。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 大きな鍋
- かき混ぜ続けても折れにくい、しっかりした木べらやスプーン
- 粉を量るはかり
- ダルを入れる小さな別の器
選び方と代用
ミレット粉:「ミレット」はいくつもの穀物をまとめた呼び名です。ただミレット粉として売られているものを選び、ラギ(フィンガーミレット)や、お住まいの地域で売られている特定の雑穀だと思い込まないでください。
そば粉:そば粉100 gは配合の一部です。抜いたり、別の粉に替えたりしないでください。どちらの粉にも、試された代用の配合はありません。
アレルギーと表示:このレシピにはそばが入ります。仕上がりがグルテンフリーである、あるいは交差接触がないということは、ここからは確かめられません。買った粉の表示は自分で確認してください。
ギー:20 mlは省いてもよい材料です。この版ではギーを使い、ディドに添えて出します。取り分けは皿ごとに適宜どうぞ。
ダル:すでに作ったダルを使います。この記事にはダルのレシピも、決まった分量もありません。
つまずきやすいところ
このレシピが気をつけるよう示しているのは二つです。粉を段階に分けて入れながら休まずかき混ぜることと、7〜10分かき混ぜたあとの塊のない濃い茶色。塊ができてしまった後の直し方は、この作り方には含まれていません。つまり、ここでは「できないようにする」ことがすべてです。
| 気をつける点 | どうするか |
|---|---|
| 粉を一度に全部入れる | 3回の投入を分ける。ミレット粉50 g、次にミレット粉100 g、最後にそば粉100 g |
| 粉を前もって混ぜておく | 別々の器に置いておく。ミレット粉をすべて入れてからそば粉 |
| 木べらを止める | 最初の粉を入れた時から、止めずに混ぜ続ける |
| 塊ができる | 塊ができたあとの直し方は示されていない。段階投入と連続撹拌が、塊を防ぐ手段 |
| 色だけで判断する | 濃い茶色は仕上がりの目安として挙げられた色。写真や色は、温度、安全、経過時間、使った粉の種類の証明にはならない |
7〜10分をどの時点から数えるのかは決まっておらず、火の強さ、鍋の材質、鍋の大きさも示されていません。この記事でも、それらに数字を足していません。
このレシピの範囲での変え方
この配合を変えずにできる選択が二つあります。
- ダルの代わりにカレー。 好みのカレーかダルを添える、という提案なので、この記事ではダルを選びました。カレーを合わせても同じ提案の範囲内ですが、カレーの具体的なレシピや分量はありません。
- ギーなし。 ギー20 mlは省いてもよいとされています。この記事では使いますが、省くのもこのレシピの内です。
ミレットの種類を特定する、ミレット粉を一度に入れる、粉1種類に塩を加える、とうもろこし粉とイラクサのスープに替える、といった変更は、別のレシピです。試したいときは、この版をいじらずに、それぞれの公開されたレシピに従ってください。
よくある質問
どんなミレット粉を使うのですか?
Mさんのレシピには「millet flour」とあるだけで、種類は書かれていません。この記事も、ラギ、フィンガーミレットなど特定のミレットだとは言いません。
粉は一度に全部入れてよいですか?
いいえ。最初のミレット粉50 g、次に残りのミレット粉100 g、最後にそば粉100 gの順に、混ぜながら加えます。
何分かき混ぜればいいですか?
粉を入れている間も、入れたあとも、休まず混ぜます。塊を避けるために7〜10分の連続撹拌、とMさんは書いていますが、時間をどの時点から数えるかははっきり示されていません。火の強さや鍋の仕様も書かれていません。
何人分ですか?
Mさんのレシピには人数も完成した重さも書かれていないため、この記事でも人数や一人分の量は示しません。
塩は入れますか?
Mさんのレシピの材料に塩はありません。Outlook Traveller に載っているシェフのレシピには塩が入っていますが、それは粉1種類の別の配合なので、その塩はここには加えていません。
ギーとダルはどう使いますか?
ギー20 mlは省略可で、この記事では使う形にし、鍋に入れずディドに添えて出します。ダルは用意したものを別の器で添えます。ダルをどれだけ出すか、どう作るか、ギーをどう分けるかは、Mさんのレシピには書かれていません。
ディドはグルテンフリーですか?健康によいですか?
この記事の資料からは、グルテンフリーかどうかも、栄養や健康への効果も確かめられないので、何も言いません。使う粉の表示を確認してください。
残りは保存や温め直しができますか?
3つのレシピのどれにも保存や温め直しの記載がないため、この記事でも案内しません。














