マラク:炒めた香味料を、ヤギ肉の長く静かな煮込みへ
玉ねぎ、すり潰したペースト、香辛料を先に油で炒め、水を入れる前から鍋に香りをのせておきます。ヤギ肉は弱火でゆっくり柔らかくし、野菜を入れるのは肉が柔らかくなってからです。
刻んだ玉ねぎを植物油で炒めます。そこへ、にんにく、しょうが、ガランガル、塩を合わせたペーストを加え、続けてターメリック、コリアンダー、クミン、こしょうの粉末と、カルダモン、クローブ、シナモンスティックを入れます。香り立つ鍋にヤギ肉をからめ、表面の色が変わったら水を注ぎ、弱火でことこと煮ます。肉が柔らかくなってからにんじん、トマト、青ねぎを加え、盛りつけたらフライドオニオンをのせ、くし形に切ったライムを添えます。
この形は、インドネシアの料理メディア detikFood が2024年6月18日に、澄んだスープのヤギ肉料理3品のひとつとして掲載した、Odilia WS さんの「Maraq Kambing」のレシピです。同メディアはこれを中東風のヤギ肉スープとして紹介しています。この記事は、その1つのレシピの分量と材料を入れる順番に従い、ふつうのスープ鍋で作る前提でまとめました。あくまでこの料理の一つの作り方で、これが決定版のマラクだとも、料理の発祥を示すものだとも言いません。
いくつか、レシピそのものではなく私たちが選んだ点があります。レシピにはヤギ肉が骨付きか骨なしかの記載がないので、当サイトの写真では骨なしの煮込み用の肉片を使っています。これは撮影と家庭での作りやすさのための選択です。レシピには、総時間の目安として約90分、分量として6ポーションという表示があります。どちらも全体の情報で、決まった時間で肉が柔らかくなる保証でも、大人6人が主菜として満腹になる量の保証でもありません。また、最後に入れる野菜の加熱時間もレシピにはないため、手順9の「野菜に火が通り、好みの柔らかさになるまで加熱する」は、家庭向けに私たちが補った一文です。このレシピは、世界ごはん紀行では台所での試作をしていません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- すり鉢とすりこ木:ペーストをすり潰します
- 水1.5Lと肉、野菜が入るふつうのスープ鍋
- 炒めるための木べらまたはヘラ
- おたまとスープ用の器
- 生肉用の包丁とまな板、そして野菜とライム用に分けた清潔な包丁とまな板
ヤギ肉・ガランガル・カルダモン・フライドオニオンの選び方
ヤギ肉。 食用として売られている、煮込み用に切ったものを選びます。当サイトの写真は骨なしの肉片です。骨付きを選ぶ場合はご自身での変更になり、骨付きと骨なしの重さの換算はなく、煮込み時間も変わることがあります。
ガランガル。 ガランガルを使います。ペーストにはすでにしょうがが入っていますが、ガランガルはしょうがとは別の根です。ガランガルの代わりにしょうがを増やすことはしません。
カルダモン。 鍋に入れるのはホールのさやです。カルダモンの種類は決めていないので、手に入るホールのものを使います。
こしょう(粉)。 小さじ1は、黒こしょうでも白こしょうでも作れます。
フライドオニオン。 市販の調理済みのフライドオニオンを使います。買う前に、味の説明、原材料、アレルギー表示を確認してください。
ライム。 ライムを使います。インドネシア語の jeruk nipis はレモンではなくライムです。
袋入りの香辛料やフライドオニオンは、どれも味の説明、原材料、アレルギー表示を確認してください。
生の肉は味見しないでください。肉に火が通っていない間の鍋の味見もしないでください。生のヤギ肉用には別のまな板と包丁を使い、生肉に触れた道具を、できあがったスープの盛りつけに使い回さないでください。
鍋の様子がおかしいとき
| 状況 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| そろそろのはずなのに、ヤギ肉がまだ硬い | 弱火でもっと時間が必要。部位、切った大きさ、火力で変わる | 弱火のまま煮続け、もう一度1切れ確かめる。肉が柔らかくなるまでは野菜に進まない |
| 味がぼやけて、塩を足したくなる | 塩はすべてペーストに入っている | 肉と野菜に完全に火が通った、できあがりのスープだけを味見してから、足すかどうかを決める。2回目の塩をそのままの量で足さない |
変えるとどうなるか
以下はこのレシピにはない、ご自身での変更です。どれも、対応する分量や時間の目安はありません。
- ヤギ肉の代わりにラムやマトンを使う。 肉の種類が変わり、柔らかくなるまでの時間も変わります。ヤギ肉で使った時間ではなく、肉そのもので判断してください。
- 骨付きのヤギ肉にする。 当サイトの写真は骨なしの肉片です。骨付き肉では500gに骨も含まれ、骨付きと骨なしの間に換算はありません。
- 香辛料を変える。 カルダモンの種類やこしょうの色は替えられますが、香辛料の組み合わせを変えると、このレシピの味から離れていきます。
「マラク」と呼ばれる別のレシピには、じゃがいも、セロリ、レモン、トマトペースト、パイナップルを加えるものや、市販の調味料を使うものもあります。それらは別のレシピなので、この鍋には混ぜません。
このマラクの位置づけ:インドネシアで紹介された、中東風の一版
ジャカルタでは、ベタウィの人びとの料理にアラブの影響が見られます。detikFood のベタウィとアラブの料理についての記事は、ヤギの足のスープや、ナシ・クブリとともに、マラクをヤギ肉料理として挙げています。この記事は食文化についての報告で、レシピは載っていません。ここで作る版が標準的なアラブ・ベタウィのレシピであることも、料理の発祥も、これでは裏付けられません。
ここで作ったのは、インドネシアのメディアが中東風のヤギ肉スープとして紹介している1つのレシピです。同じ名前の別のレシピは、かなり違う姿をしています。Cookpad には「Marak Lahma」というレシピがインドネシア語で投稿されていて、投稿者はサウジアラビアの現地の家庭を見て覚えたと書いています。肉を下ゆでし、じゃがいも、にんじん、セロリを煮て、トマトペーストを加え、レモンと好みでパイナップルで仕上げます。Cairo Food の「Sayur Marak」は、2人分に肉200gを使い、顆粒だしと同社の専用調味料で煮るレシピで、サイトでは中東料理に分類されています。これらは別々のレシピで、材料も手順も、この版には混ぜていません。
インドネシア料理の中では、澄んだヤギ肉や牛肉のスープはおなじみの仲間です。ソト・ベタウィやサテ・カンビンは、ベタウィ周辺やヤギ肉の別の料理で、作り方はまったく違います。ほかのインドネシア料理はインドネシアのページからどうぞ。
よくある質問
時間はどのくらいかかりますか?
レシピには総時間の目安として約90分と書かれています。ただし、これは煮込みの工程の保証ではありません。肉が柔らかくなったときが仕上がりで、それは部位、切った大きさ、火力で変わります。
本当に6人分ですか?
レシピには6ポーションと書かれています。これはレシピ自身の数字で、大人6人が主菜として満腹になる量だという保証ではありません。
ヤギ肉は骨付きですか?
レシピには書かれていません。写真には骨なしの煮込み用の肉片を使っています。骨付きのヤギ肉を使う場合は、重さの換算がなく、時間も変わることがあります。
材料表の大さじ・小さじはどういう単位ですか?
レシピがインドネシア語で書いている sendok makan(大さじ)と sendok teh(小さじ)です。匙の正確な容量はレシピに示されていないので、ミリリットルやグラムへは換算していません。
カルダモンとこしょうは、どの種類を使えばいいですか?
レシピは、カルダモン(kapulaga)の種類も、粉のこしょう(merica bubuk)が黒か白かも書いていません。手元にあるものを使ってください。
ライムの代わりにレモンを使えますか?
この版で使うのは、ライムの jeruk nipis です。レモンは別のマラクのレシピに出てくるもので、仕上がりの風味が変わります。
圧力鍋やストックは使えますか?
この版は、ふつうの鍋とただの水で作ります。同じメディアは、圧力鍋で作る別のヤギ肉スープも載せていますが、それは別のレシピで、この版を圧力鍋用に換算した情報もありません。肉の下ゆでやストックの使用も、別のレシピのものです。
最後の野菜は、どのくらい加熱しますか?
レシピには時間が書かれていません。手順9は家庭向けの補足で、野菜に火が通り、好みの柔らかさになるまで穏やかに加熱するというものです。

















