緑のバナナの葉をそっと開くと、中から現れるのは、ぷるんと透き通った小さな粒の集まりです。ところどころに黄色いバナナのかけらが埋まっていて、指で押すと、もちっとはね返ってきます。それを器に移し、温めたココナッツミルクを注げば、甘い香りが立ちのぼる一皿のできあがり。ニューギニア島の東半分と周りの島々からなる国、パプアニューギニアで、朝ごはんにもおやつにも食べられてきたサゴの蒸し団子、サクサク(Saksak)です。
ヤシの幹から取るでんぷんと、バナナの葉の包み

サクサクの主役はサゴです。サゴヤシの幹から取り出すでんぷんで、パプアニューギニアでは、タロイモやさつまいもと並ぶ大切な主食の一つです。でんぷんは粉のまま団子やパンケーキ、おかゆにされるほか、甘い料理にも塩味の料理にも使われます。旅行会社イントレピッド・トラベルは、サゴの食感をキャッサバやタピオカの粒に似ていると紹介しています。
パプアニューギニアの食事は、果物といも類が中心で、肉よりも植物の食材が主役です。魚介や鶏肉もよく食べられますが、豚肉は特別な祝いの日のためにとっておかれることが多いといいます。そうした暮らしの中で、サゴとバナナとココナッツという、身近な植物だけで作るサクサクは、ふだんの甘い楽しみとして親しまれてきました。
パプアニューギニアの伝統的な調理法「ムームー」は、肉やいも、野菜をバナナの葉で包み、焼いた石を敷いた地面の穴で蒸し焼きにするものです。サクサクも同じように、バナナの葉に包んで蒸すことで、葉の青い香りがほのかに移ります。
料理の作り方は、地元の人が目分量で作るものなので、決まった分量はありません。アメリカの料理ブロガー、サーシャ・マーティンは、世界の料理を国ごとに作る企画でサクサクを取り上げ、「地元の人は感覚で作るので、分量を決めるのが難しい」と書いています。甘さもバナナの量も、家ごとの好みでよい料理です。
日本の台所で作るときに知っておきたいこと

日本では、サゴヤシのでんぷんを丸めて粒にしたサゴパールか、キャッサバのでんぷんで作った小粒のタピオカパールを使います。どちらもアジア食材店や製菓材料店、通販で手に入ります。この記事の作り方は、サーシャ・マーティンがタピオカパールで作ったサクサクのレシピを基にしています。直径2〜3mmほどの小粒のものを選んでください。ドリンク用の大粒のタピオカパールは、この方法では芯まで火が通りません。
バナナの葉は、冷凍のものがアジア食材店や通販で手に入ります。包むと葉の青い香りが移り、見た目もぐっと現地らしくなります。手に入らなければ、アルミホイルで包んでも作れます。
冷凍のバナナの葉は、使う前に常温で解凍し、ぬれ布巾で表面を拭いておきます。そのまま折ると葉脈に沿って裂けやすいので、ガスの火に数秒ずつかざして、色が鮮やかな緑に変わり、つやが出るまで温めると、しなやかになって折っても割れません。
ココナッツミルクは、缶入りのものを使います。仕上げに温めて団子にかけるので、濃いめのものを選ぶと、こくのある甘さになります。
途中で見つける、味の決め手
温かいココナッツミルクに、冷たい団子

サクサクは、もちもちとして、つるんとした食感の団子です。それ自体の味はとても穏やかで、バナナの甘さがいちばん前に出ます。冷えた団子に温かいココナッツミルクをかけると、外側からゆっくりやわらかくなり、ひと口ごとに温度と食感が変わっていきます。
朝ごはんにするなら、パパイヤやパイナップルなどの南国の果物を添えると、パプアニューギニアの朝の食卓のようになります。現地の料理をもっと知りたい人は、バナナの葉に包んで焼け石で蒸し焼きにするムームーもぜひ読んでみてください。同じサゴのでんぷんを熱湯で練るブルネイのアンブヤットと比べると、同じ素材の使い方の幅に驚くはずです。
パプアニューギニアには、ココナッツを使った料理がたくさんあります。焼いたさつまいもの中身をココナッツクリームや玉ねぎ、しょうがと混ぜて皮に戻して焼くカウカウ、すりおろしたココナッツの果肉とココナッツミルクを殻に入れて出すタラウトゥ、ココナッツミルクのスープで煮るチキンポットなどです。
アレンジの楽しみ方

生地に、乾燥ココナッツ(ココナッツファイン)を50gほど混ぜて蒸すと、ココナッツの香りが団子そのものにも加わります。この場合は、乾燥ココナッツが水分を吸うので、手順1で水を捨てたあと、大さじ2の水を足してから混ぜてください。
バナナの代わりに、1cm角に切ったかぼちゃやさつまいもを電子レンジでやわらかくしてから混ぜても、ほくほくした別の甘さのサクサクになります。熟したマンゴーを混ぜれば、色も鮮やかなデザートになります。
よくある質問

大粒のタピオカパールでも作れますか?
この作り方では作れません。大粒のものは、水を含ませただけで蒸しても、芯まで透き通りません。直径2〜3mmの小粒のサゴパールかタピオカパールを使ってください。
作り置きはできますか?
包みのまま冷蔵庫に入れ、翌日までに食べきってください。時間がたつと団子が固くなるので、食べる前に包みごと5分ほど蒸し直すと、もちもちした食感が戻ります。
冷やさずに、蒸したてを食べてもいいですか?
食べられますが、蒸したては団子がやわらかく、葉にくっつきやすくなります。きれいにはがしたいなら、一度冷やしてください。蒸したてを食べるなら、スプーンで葉からすくって食べると手軽です。
砂糖を入れずに作れますか?
作れます。よく熟したバナナを使えば、砂糖なしでもほんのり甘く仕上がります。その場合は、仕上げのココナッツミルクに少しはちみつを溶かすと、甘さを足せます。ただし、はちみつは1歳未満の子どもには与えないでください。













