ルーム・クルーン:透き通る生地に、塩気のココナッツをひとさじ
なめらかで透き通った緑豆でんぷんの生地。その中央に、甘じょっぱいココナッツの白い小さな山をのせ、まわりには生地の透明な縁を残します。
ルーム・クルーン(ขนมลืมกลืน、カノム・ルーム・クルーン)は、二つの部分でできたタイの菓子です。一つ目は、緑豆でんぷん、水、砂糖を火にかけて練った生地。曇った状態からつややかな透明へ変わるまで練り、温かいうちに小さな丸いカップに分けます。二つ目は、別の鍋で米粉、塩、少しの砂糖と一緒に煮てとろみをつけたココナッツの上掛けで、一口ごとの中央にのせます。
最初にはっきりさせておくと、これは緑豆のでんぷんで作る菓子で、緑豆そのものや煮た緑豆で作るものではありません。あんも、煮豆も出てきません。この菓子の持ち味は、火の通ったでんぷんの透明感と、上にのる塩気のあるココナッツとの対比です。
以下のレシピは、ラジャマンガラ工科大学プラナコン校の2014年の研究報告にある、水だけで作る基本の配合に従っています。世界ごはん紀行では台所での試作をしていません。この版については、温度の数値、加熱時間、個数、何人分かが報告に書かれていないため、作り方は時計ではなく生地と上掛けの状態で書いています。
タイ語では ขนมลืมกลืน と書き、ここではカノム・ルーム・クルーンと表記しています。タイのレシピサイトには「leum kluen」などの綴りも見られます。名前の意味や由来は、参照した資料では確かめられないため、ここでは説明しません。
二層で一口:ルーム・クルーンはどこが違うのか
タイの二つのレシピページ、TrueID Food(VIPS Station のレシピとして掲載)と Wongnai Cooking は、研究報告と同じ大きな形を示しています。透明に煮たでんぷんの生地と、別の鍋でとろみをつけてのせるココナッツの上掛けです。ただし分量や一部の材料はここで使うレシピと違うため、これらは菓子の形を確かめるためだけに使い、分量の根拠にはしていません。
タイには、ココナッツとでんぷんや米の生地を組み合わせた小さな菓子がたくさんあり、ちょっと見ただけでは似ているものもあります。カノム・クロック、カノム・トゥアイ、カノム・チャン、マンゴーともち米(カオニャオ・マムアン)は、それぞれ別の菓子で、作り方も別です。ルーム・クルーンの特徴は、透き通った緑豆でんぷんの生地と、別に煮て中央にだけのせる塩気のあるココナッツにあります。同じ国のほかの料理はタイのページでも探せます。
研究報告そのものは、野菜と果物を加えた五色のルーム・クルーンの開発が中心です。この記事では、その付録にある色も果物も花も香料も入れない基本の配合だけを使います。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 生地用の小鍋
- 柄の長い耐熱のへら
- ココナッツの上掛け用に、別の鍋
- 小分け用の、約1/2インチの小さな丸いカップまたは型
- 上掛けをのせるためのスプーンか小さな絞り袋
選び方と代用
緑豆でんぷんは、緑豆粉ではありません。 緑豆を挽いた粉(緑豆粉)には豆全体が入っていて、同じような透明でつややかな生地にはなりません。緑豆でんぷんと表示された、きめの細かい白い粉を選んでください。
ココナッツミルクと米粉は、ふつうのスーパーやアジア食材店で手に入る材料です。米粉は、もち米粉ではなく、ふつうの米粉を使います。二つはとろみのつき方が違うからです。
ココナッツミルクは、商品ごとにアレルゲン情報と共有設備の表示が違います。それぞれのラベルを確認してください。避けたいアレルゲンがある場合は、でんぷんと米粉のラベルも同じように確認します。
食べ方

そのまま盛りつけ、透明な生地と白いココナッツの中央の両方が見えるようにします。この基本のレシピには、飾りはありません。
参照した資料にこの版の保存の目安がないため、保存時間は案内しません。
ダマ、白濁、早く固まる:困ったときの直し方
下の表は、でんぷんの生地やカスタード類に共通する一般的な調理の判断をまとめたものです。このレシピを試して確かめた結果ではありません。
| 困ったこと | 考えられる原因 | 試すこと |
|---|---|---|
| 生地にダマができる | 加熱前にでんぷんが十分に分散していない、または鍋底を混ぜていない | 火をつける前にでんぷんと水をよく混ぜ、とろみがつく間も鍋底と角をこそげるように混ぜ続ける |
| 生地が曇ったまま、白っぽい | でんぷんにまだ火が通っていない | 全体がつややかに透き通るまで、火にかけて混ぜ続ける |
| 小分けする前に鍋の中で固まる | 待っている間に冷めた | 始める前にカップを用意しておき、生地が透明になったらすぐに小分けする |
| 上掛けがゆるい | とろみがつくまで煮えていない | 弱火のまま、むらなくとろっとなるまで混ぜ続ける |
| 上掛けが鍋底に焦げつく | 火が強い、または混ぜていない | 火を弱く保ち、混ぜ続ける |
| 上掛けが一口全体をおおってしまう | 一つあたりの量が多い | 量を減らして、中央にだけのせる |
背景:このレシピのもとになったもの
分量と作り方は、ラジャマンガラ工科大学プラナコン校の Panthip Phadungsilp と Kamonbhibhat Chanasith による、野菜と果物を加えた五色のルーム・クルーンの開発に関する2014年の研究報告の、付録A・基本配合2に従っています。この付録のレシピは水(1400g)を使うと明記しているので、そのまま採用し、報告の本文の表にあるジャスミンの水の行とは分けています。
報告には、実験手順を示した別の工程図もあり、そこにはおおよその加熱時間が出ています。ただしそれは別の手順なので、このレシピには持ち込まず、ここでは生地と上掛けの状態で加熱を判断します。報告の味の評価の結果も、この基本の版を推奨する根拠としては使いません。
塩の10gは、付録に書かれた量のままにしています。この菓子のほかのレシピでは、塩の量が違います。
よくある質問
ルーム・クルーンは、緑豆そのものから作りますか?
いいえ。生地は緑豆でんぷんを水と砂糖で、透き通るまで煮て作ります。基本のレシピには、全粒の緑豆も煮た緑豆も入りません。
米粉は何のために入れますか?
上掛けのココナッツミルクにとろみをつけるためです。これで上掛けが生地の上にこぼれず、一口の中央に小さな山としてのります。
なぜ水だけの版を使うのですか?
研究報告の付録のレシピは水だけと明記していますが、ジャスミンの香りをつけた水は、番号の違う本文の結果表の行に出てきます。水だけの付録のレシピを使うと、分量を一つにそろえられ、香りづけも避けられます。
何個できて、何人分ですか?
研究報告には、このレシピの個数も何人分かも書かれておらず、ここでも見積もりません。個数は、使うカップと、どのくらいまで入れるかで変わります。
塩を減らしてもよいですか?
ほかのレシピでは塩の量が違います。このレシピは、研究報告にある10gのままにしています。変える場合は、自分の調整として扱ってください。
このレシピは試作されていますか?
世界ごはん紀行では台所での試作をしていません。研究報告の付録のレシピに従っており、写真は各段階の様子を示すもので、結果を保証するものではありません。















