とうもろこしの粒、豆、かぼちゃが一つの鍋に入り、そろって柔らかくなっていきます。主役の素材が持つ自然な甘みで全体をまとめる煮込み、それがバタール・ダーンです。東ティモール政府観光局の公式サイトは、この料理を同国の伝統料理のひとつに挙げ、とうもろこしと豆とかぼちゃの料理として紹介しています。
材料の数は多くありません。むしろそこがこの料理の持ち味です。この記事では、SBS Foodに掲載されたアダム・リャウ氏のレシピ「Batar da’an ho lakeru」を基準にします。乾燥緑豆、生の落花生、玉ねぎ、にんにく、トマト、バターナッツかぼちゃ、とうもろこしの粒を使い、白いご飯を添えて食べる一つの家庭版です。唯一の正解というわけではありません。
とうもろこしとかぼちゃの甘みを軸にして、緑豆と落花生は食べごたえを残し、具が柔らかくなって煮汁がとろりとするまで煮ます。辛さや酸味は欠かせない要素ではありません。
このレシピは、SBS Foodが公表している分量と手順をそのまま載せたものです。世界ごはん紀行編集部では試作しておらず、時間や4〜6人分という分量も資料の表示であって、実測した結果ではありません。火の通りは、目の前の鍋の状態で判断してください。
バタール・ダーンとは ― 土地の恵みを煮込む料理
バタール・ダーンは、とうもろこしと豆とかぼちゃの煮込みです。東ティモールの観光サイトはそのようにまとめ、地域や地元の食材、外からの影響によって形づくられてきた食文化のなかの伝統料理として位置づけています。
表記はひとつではありません。SBS Foodは「Batar da’an ho lakeru」、観光サイトは「batar da'un」と書いています。レシピサイトの196 flavorsは、テトゥン語の料理名を「ゆでたとうもろこし」の意味だと説明していますが、これは第三者サイト1件だけの説明です。確定した訳ではなく、ヒントとして受け取ってください。
SBS Foodは、バタール・ダーンが家庭ごとに違い、手に入る農産物しだいで変わると述べています。豆の種類が違ったり、乾燥とうもろこしを使ったり、かぼちゃやスクワッシュの種類が違ったりします。味つけにライムや唐辛子を加える家庭もあります。観光サイトが挙げる「とうもろこし、豆、かぼちゃ」は、そうした違いの根にある共通点です。
同じ国のほかの料理は、東ティモールの国別ページから探せます。
道具
- 浸水用の大きめのボウル
- 水切り用のざるまたは網
- 豆と野菜をまとめて煮られる、大きくて厚手の鍋
- 計量スプーン、またはml目盛りのある計量カップ(油60mlと水約1リットルを量るため)
- 包丁とまな板
- かき混ぜて柔らかさを確かめるスプーン
選び方と代用
緑豆と落花生。 乾燥緑豆を使い、大豆やレンズ豆などの豆には黙って替えないでください。落花生は殻と薄皮を除いた生のものです。ローストした塩味のピーナッツは、油分、塩気、香ばしさが違うので、同等の代用にはなりません。
油の量り方。 オーストラリアの大さじ3は60mlです。手元の大さじが15mlだと、3杯では足りなくなります。60mlを直接量ってください。
かぼちゃ。 レシピは大きさの指定がない、バターナッツかぼちゃ1個です。日本のかぼちゃなど別の冬かぼちゃで作るのは、資料にはない編集部の代用案です。水分、甘み、煮崩れやすさが変わります。
とうもろこし。 資料は生のとうもろこしから外した粒を使っています。無塩の冷凍コーン400gを使うのは編集部の変更で、香りと歯ごたえは変わります。
油。 「植物油」として菜種油のような癖の少ない油を選ぶのは、編集部の判断です。香りの強い油だと風味が変わります。
鍋の様子を見る ― 豆が硬い、焦げつく、煮汁が薄い
レシピ自体の終わりの目安は、具が柔らかく、煮汁がとろりとすることだけです。下の対処は、家庭の台所での実用的な助言で、資料にある指示ではありません。
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 豆や落花生が硬い | 浸水が短い、または煮立ちが弱すぎる | 煮続けて、もう一度確かめる。時間だけで判断しない |
| 鍋底に張りつく | 火が強い、または煮汁が減った | 火を弱め、ときどき鍋底を確かめ、必要なら水を少し足す |
| 煮汁がまだ薄い | 具の崩れ方が足りない | とろみがつくまで煮続け、ときどき混ぜる |
| かぼちゃが溶けた | かぼちゃの種類によって崩れやすい | 煮汁にとろみがつく。次回はもっと早めに様子を見る |
| 味がぼやける | 塩が足りない | 少しずつ足して、また味を見る |
家庭ごとの違い ― 具の組み合わせの幅

SBS Foodは、家庭と手に入る農産物によって変わる料理だと説明しています。以下は試してみる方向性で、上の基本レシピとは分けて考えてください。
- 別の豆。 SBS Foodは、家庭によって豆の種類が違うと書いています。赤いんげん豆を使う版は分量も手順も違うので、このレシピに混ぜず、別のレシピとして扱ってください。
- 乾燥とうもろこし。 生の代わりに乾燥とうもろこしを使う家庭もあります。調理の仕方も変わるので、そのまま置き換えることはできません。
- 別のかぼちゃ。 かぼちゃやスクワッシュの種類は家庭によって違います。日本のかぼちゃなど別の冬かぼちゃを使うのは編集部の代用で、甘みと食感が変わります。
- ライムと唐辛子。 SBS Foodが、好みで加える家庭があるとして挙げています。食卓で別に出して、各自で決められるようにします。
- ほかに公開されている版。 196 flavorsの版は、かぼちゃ、とうもろこし、緑豆を使いますが、浸水した緑豆を別にゆでます。Catholic Relief Services Rice Bowlの版は缶詰の赤いんげん豆を使う簡略版で、ご飯と一緒に出します。どちらも、SBS Food版とは分量も手順も違います。
バタール・ダーンとカテマック ― 材料が似ていても別の料理
カテマックは、インドネシア側の西ティモール発祥で、同じように穀物、豆、野菜を合わせる料理です。材料が近くても、同じ料理にはなりません。バタール・ダーンは東ティモール観光局が東ティモールの料理として紹介していて、カテマックはインドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州の料理です。レシピを探すときは、名前と国を分けて考えてください。
保存と食べ残し
レシピ資料に保存や温め直しの案内はないため、この記事では保存期間を示しません。調理した豆料理の扱いは、お住まいの地域の食品安全の案内に従ってください。
よくある質問
バタール・ダーンとはどんな料理ですか?
東ティモール観光局の説明では、とうもろこし、豆、かぼちゃの煮込みです。SBS Food版は緑豆と落花生を使い、白いご飯を添えます。
乾燥緑豆の代わりに缶詰の豆を使えますか?
Catholic Relief Services Rice Bowlのレシピは缶詰の赤いんげん豆を使っていますが、分量も手順も別のレシピです。浸水した乾燥緑豆を前提にしたSBS Food版には、同じ量でそのまま置き換えられません。
ライムや唐辛子は必要ですか?
必要ありません。SBS Foodは、好みで加える家庭があるとして挙げていますが、このレシピの材料にはありません。使いたいときは、食卓で別に出してください。
ローストした落花生でも作れますか?
ローストして塩味をつけた落花生は、油分、塩気、香ばしさが違うので、このレシピの生で殻と薄皮のない落花生とは同じになりません。
バタール・ダーンとカテマックは同じですか?
違います。カテマックはインドネシア側の西ティモールの料理で、バタール・ダーンは東ティモールの料理です。材料に重なる部分はありますが、別々の料理です。












