バインタイ — 耳の形をした朝ごはんの米粉餅
うるち米で作る白くやわらかな生地、包む前にしっかり火を通した豚肉とエシャロットの餡、そして皮がうっすら透き通るまで蒸した、ゆるやかに湾曲した「耳」の形。
ベトナム北部のPhú Thọ省では、朝早く、蒸したてのバインタイ(bánh tai)が市場へ運ばれ、かごの中で温かく保たれます。Phú Thọ観光振興情報センターが描くのは、朝食として買って熱いうちに食べるという光景です。ひとつひとつは、米粉の生地で豚のひき肉を包んだ小さな半月形で、耳のようにゆるやかに曲がっています。
名前もそのままです。bánh は餅や団子、tai は耳を意味します。地元紙のBáo Phú Thọは、名前は曲がった耳のような形に由来すると説明し、料理の起源についてはいくつかの話があると伝えています。この記事では、そのどれかひとつに決めることはしません。
バインタイの作り方はひとつではありません。伝統的な作り手は、米を浸し、生地をゆでて搗きます。この記事で紹介するのは、ベトナムの料理サイトĐiện máy XANHが公開している家庭向けのレシピです。洗った米を乾かして乾式で挽き、熱湯と油で粉をまとめ、先に炒めた餡を包みます。再現しやすい家庭版のひとつであって、この地方の唯一の基準ではありません。同じ国の料理はベトナムのページでも探せます。
このレシピは、世界ごはん紀行編集部では台所での試作をしていません。分量、時間、見た目の目安は、上で紹介した公開済みの家庭向けレシピによるものです。生地の状態は、手で触れて確かめながら判断してください。
bánh tai heo(「豚の耳のお菓子」)は、揚げて渦巻き模様をつけた別のおやつです。bánh tai vạc も別の料理です。この記事は、Phú Thọの蒸した豚肉入り米粉餅を扱います。
三つの作り方 — 伝統の工房と家庭の台所
Phú Thọの記録は、バインタイが何であるかについては一致しています。うるち米の生地、豚肉の餡、耳の形、そして蒸すこと。違うのは、生地の作り方と餡の中身です。これらの違いは、土地や作り手、記録の違いを映したもので、どれも間違いではありません。
| 記録 | 生地 | 餡 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Phú Thọ観光振興情報センター(伝統の手仕事) | 米を2時間〜半日浸して挽く。粉を丸めて20〜25分ゆで、搗いて生地にする | 豚肉のみ。赤身2に対して脂身1。米1kgに対して餡400〜450g程度 | 当日中に食べる。ある工房では、1段なら30分、2段なら60分蒸す。伝統的にはつけだれ不要 |
| Phú Thọ観光振興情報センター「Món ngon Đất Tổ」 | 米を夏は2〜3時間、冬は4〜5時間浸す | 豚肩肉、エシャロット、こしょう、魚醤。半月形に包む | Phú Thọの町周辺で売られた朝食として記憶されている。いまは旅先の軽食や、婚礼・会合の席にも出る |
| Báo Phú Thọ(ある作り手の一日) | 米を10〜12時間浸す。早朝から生地と餡を仕込む | 豚肩肉または豚バラ。脂が多すぎる肉、少なすぎる肉は避ける | 約20分蒸す。家族の食事、朝食、贈り物として大切にされる |
| Điện máy XANH(家庭向けレシピ、この記事で採用) | 洗った米を乾かして乾式で挽く。熱湯と油でこねる | 豚肉とエシャロットを、調味粉、砂糖、こしょうで炒める | 皮がうっすら透き通るまで20〜25分蒸す。4人分 |
家庭向けレシピの材料一覧には、調味料が「少々」とだけ書かれています。ところが作り方の側には、調味粉大さじ1と1/2、砂糖小さじ1/2、こしょう小さじ1/2と具体的な分量があります。この記事では、作り方に書かれた分量を使います。同じレシピは塩大さじ1も使いますが、これは豚肉を洗うためだけのもので、洗い流します。餡の味付けには入りません。
伝統的な工程(浸水、粉団子のゆで、搗く作業)は、下の作り方には混ぜていません。試してみたい方は、「アレンジと食べ方」の節を見てください。
道具
- 米を乾かすための細かい目のざると、バットまたは広い皿
- 乾いた米を挽けるミル(対応する穀物や連続運転の時間は製品の説明書で確認)
- 包丁とまな板
- フライパンとへら
- 湯を沸かすケトル
- 生地をこねる大きなボウルか、清潔な作業台
- ふた付きの蒸し器
選び方と代用
米は、もち米ではなくうるち米(gạo tẻ)を使います。もち米にすると食感も料理の性格も変わってしまいます。小麦粉の餃子の皮で包んだものも、別の食べ物であって、バインタイにはなりません。
米を挽けない場合は、市販の米粉を使う道もありますが、レシピそのものが変わります。米粉は挽きたての米とは水の吸い方が違うので、熱湯100mlで同じ生地になるとは限りません。これは試していません。別の試作として、水は少しずつ加減してください。
豚肉は、脂身のある部位だと餡がぱさつきません。肩ロースやバラが向いています。脂が非常に多い肉も、赤身ばかりの肉も避けます。
調味粉(hạt nêm)は、ベトナム食材店やアジア食材店で売られている粒状の調味料です。銘柄によって塩気も中身も違い、このレシピで確かめた代用品はありません。お使いの製品のラベルで塩分を確認し、豚肉や大豆などのアレルゲンの表示も見てください。
うまくいかないときは
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地がぼそぼそして、まとまらない | 熱湯が粉全体に行き渡っていない | 湯が吸われるまで粉を寄せ続けてからこねる。それでも乾いていれば、熱湯を少し足す |
| 生地がべたつく | この粉に対して水が多い | 先にこねて、手ざわりを確かめる。それでもべたつくなら、米粉を少し混ぜ込む |
| 蒸している間に開いてしまう | 縁に餡がついた、または閉じが弱い | 餡は中央に置き、縁をしっかりつまんで閉じる |
| 皮が不透明で白いまま | 蒸し足りない、または厚みがある | もう少し蒸し、皮がうっすら透き通ったか確かめる。時間だけでは火通りは保証されない |
| 餡がしょっぱすぎる | 調味粉の塩気は製品ごとに違う | 次回は、お使いの銘柄のラベルを確認する。洗い用の塩は洗い流すもので、豚肉の味付けには使わない |
食べ方、安全面、当日中に食べること
Phú Thọの記録では、バインタイは熱いうちに、朝食として食べるものとして描かれています。観光振興情報センターの伝統的な記録は、蒸した当日に食べるとしています。保存できる期間や温め直しの方法は確認できていないため、ここでは案内しません。
豚肉の餡は、包む前に中まで火を通してください。生の豚肉に触れた手や道具は、生地や完成したバインタイに触れる前に洗います。このレシピは小麦ではなく米を使いますが、特定のアレルゲンを含まないという意味ではありません。調味粉には豚肉や大豆などが含まれることがあり、共用の設備で作られた製品もあるので、使うものの表示を確認してください。
アレンジと食べ方
以下は、バインタイの別の記録にあるアイデアです。上のレシピに混ぜず、別の作り方として試してください。
- つけだれを添える。 Điện máy XANHのレシピは、揚げエシャロットと甘酸っぱい魚醤だれを、好みで添えるものとして挙げています。一方、観光振興情報センターの伝統的な記録は、バインタイにつけだれは要らないとしています。どちらも家庭ごとの選択で、基本のレシピには含まれません。
- 魚醤入りの餡。 「Món ngon Đất Tổ」の記録には、豚肩肉、エシャロット、こしょう、魚醤の餡が出てきます。分量は書かれていないので、探ってみる方向の一例と考えてください。
- 搗いて作る伝統的な生地。 工房では、米を浸し、粉を丸めてゆで、搗いて生地にして、豚肉だけの餡を包みます。家庭版とは別の工程で、時間も別です。
このサイトのベトナムの米料理や包み料理では、別種の米粉餅のbánh bột lọc、薄い蒸し米の皮のbánh cuốn、同じく餡を包むbánh bao も参考になります。
よくある質問
バインタイとbánh tai heoは同じですか?
いいえ。Phú Thọのバインタイは、豚肉の餡を包んだ蒸し米粉餅です。bánh tai heoは、名前が豚の耳を指す、揚げて渦巻き模様をつけた別のおやつです。
つけだれは必要ですか?
必要ではありません。観光振興情報センターの伝統的な記録では、つけだれは要らないとされています。Điện máy XANHの家庭向けレシピは、揚げエシャロットと甘酸っぱい魚醤だれを、好みで添えるものとして挙げています。選ぶのは自由です。
市販の米粉は使えますか?
使える可能性はありますが、洗った米を乾式で挽くのと同じではありません。市販の粉は水の吸い方が違うかもしれず、熱湯100mlでも食感でも、同じになる保証はありません。試していないので、水を少しずつ加えて、生地の手ざわりで判断してください。
何個できますか?
レシピは4人分で、個数は示されていません。ひとつをどれくらいの大きさにするかで変わります。
蒸し時間が記録によって違うのはなぜですか?
それぞれ別の条件の話だからです。家庭向けレシピは20〜25分、皮がうっすら透き通るまで。Báo Phú Thọの作り手は約20分。観光振興情報センターが記録した伝統的な工房では、1段なら30分、2段なら60分です。このレシピでは20〜25分を目安に、皮の状態を見て判断してください。
作り置きはできますか?
伝統的な記録は、バインタイを作った当日に食べるものとしています。この記事では、保存期間も温め直しの方法も案内しません。食べる日に蒸すのがいちばんです。
















