ハヤシライス:やわらかな玉ねぎと薄切り牛肉、つややかな赤茶色のソースをひと皿に
ほかの具を入れる前に、玉ねぎをやわらかく甘くなるまで炒めます。赤ワインは単独でしっかり沸かし、仕上げにデミグラスソースを加えて、ソースにとろみが出るまで煮ます。味の土台は、玉ねぎと牛肉、赤ワインの香り、デミグラスソースのコクで、スパイスではありません。
皿の片側に白いご飯、その横につややかな赤茶色のソース。ソースには薄切り牛肉が折り重なり、やわらかな玉ねぎとスライスしたマッシュルームが入っています。ハヤシライスは、日本の家庭がご飯と一緒に食べてきた洋食のひとつで、カレーライスと同じように、ご飯とソースをひと皿に盛り合わせて食べます。
カレーと違うのは、カレー粉が味の中心ではないことです。バターで炒めた玉ねぎ、牛肉とマッシュルーム、数分煮立てた赤ワイン、少量のはちみつとケチャップとウスターソース。そこへデミグラスソースの缶を加えると、ソースに奥行きととろみが出ます。缶のデミグラスソースを使うので、4人分でも普通の夕食どきに作れます。日本の家庭料理をもっと知りたい方は、日本の料理もご覧ください。
このレシピについて
世界ごはん紀行では、このレシピの試作を行っていません。分量と手順、時間は、BALMUDAキッチンチームが公開している4皿分のハヤシライスのレシピに沿っています。調理時間は約30分で、ご飯を炊く時間は含みません。
BALMUDAのレシピは、材料欄にウスターソース大さじ1を挙げていますが、作り方にはそれを入れる場面が書かれていません。この記事では、ウスターソースを水、はちみつ、ケチャップ、ローリエと一緒に鍋へ入れます。この入れどころは世界ごはん紀行が手順を補った編集上の判断で、公開されている手順に書かれたものではありません。分量は変えていません。ほかの分量はすべて、公開されたレシピのとおりです。
BALMUDAのレシピは、先に玉ねぎを炒めることを、仕上がったソースの風味の深さと結びつけています。そのため、牛肉を入れる前に、玉ねぎだけで一つの工程を立てています。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 包丁とまな板
- 計量スプーン
- 蓋つきのフライパン(底が厚いと焦げつきにくい)
- 木べら
- 炊飯器(ふつうの家庭用でよい)
選び方と代用
デミグラスソース。 缶入りのデミグラスソースを探してください。塩気ととろみは製品によって違うので、仕上がりも使う缶によって多少変わります。味見は盛る前に行い、早い段階で塩を足さないようにします。
牛肉。 土台は牛肉薄切りです。薄切りが手に入らず切り落としを使う場合は、台所での代用として使えますが、肉の形や脂の出方は変わります。
はちみつ。 はちみつが使えないときは砂糖で代えられますが、同じ量で同じ甘さになるとは限りません。少しずつ入れ、味を見て調整してください。
赤ワイン。 赤ワインを抜くと、ソースの香りと酸味が弱くなります。同じ量の水に替えても、同じ味にはなりません。
ローリエ。 省くこともできます。その分、香りは弱くなります。
このソースにははちみつが入っています。1歳未満の赤ちゃんには、加熱した後でも与えないでください。ふつうの加熱や調理では、はちみつに含まれることがあるボツリヌス菌は死なないためです。
この料理には、乳(バター)、牛肉、はちみつが含まれます。缶のデミグラスソースはアレルゲンの表示が製品ごとに異なり、小麦や乳などを表示しているものも多いので、買った缶のラベルを確認してください。
赤ワインを沸かしても、アルコールがすべて抜けるとは限りません。牛肉は、赤い生の面が残らなくなるまで加熱してください。
うまくいかないときは
| 起きたこと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 玉ねぎが黒ずんで、焦げくさい | 手順4の火が強すぎた | 火を弱めて混ぜ続ける。濃く焦がすのではなく、やわらかく甘くするのが目標 |
| 牛肉の薄切りがかたまりになる | ほぐさずに一度に入れた | 入れるときに木べらでほぐし、一枚一枚がフライパンに触れるようにする |
| デミグラスソースを入れた後、鍋底にくっつく | 強く沸かしすぎた、混ぜていない | 火を弱めて弱めの沸騰にし、鍋底をこそげるように混ぜる |
| 約10分たってもソースがゆるい | 鍋の大きさ、コンロの火力、缶のとろみの違い | よく見ながら、とろみが出るまで少し長く煮る |
| 10分よりずっと早くとろみがつく | とろみの強いデミグラスソースか、火力が強い | 煮る時間を短くする。とろみがついて牛肉に完全に火が通ったら止める |
| ソースがしょっぱい | 缶のデミグラスソースは塩気が一定でない | 次回は別の缶を選び、盛る前に味見をする |
アレンジ(レシピとは別に)
これらは料理を変えるものです。同じ一皿の別名ではありません。
- マッシュルームを抜く: きのこの土っぽい香りとやわらかい歯ごたえがなくなり、ソースは牛肉と玉ねぎが中心になります。
- 薄切りではなく切り落とし肉を使う: 肉の大きさが不ぞろいになり、脂の出方も変わります。
- 赤ワインを抜く: 香りと酸味が弱まり、同じ味にはなりません。
- 玉ねぎの切り方を薄く、または厚くする: 火の通りと口当たりが変わります。基準は約1cm幅です。
- デミグラスソースが濃いとき: 当て推量で水を足さず、最後に煮る時間を短くします。
名前の由来 — 諸説あり、定説はない
「ハヤシ」という名前がどこから来たのかは、決まっていません。エスビー食品のお客様相談センターは、由来は明らかでないとはっきり述べ、いくつかの説を挙げています。林さんという名字の人に由来するという説、早矢仕有的(はやし ゆうてき)に由来するという説、「ハッシュドビーフ」がなまったという説です。
もっとも語られることが多いのは、早矢仕有的説です。丸善ジュンク堂書店は、丸善に連なる書店として、この説を諸説の一つとして紹介し、社史『丸善百年史』から、あり合わせの肉や野菜がご飯と一緒にふるまわれたという逸話を引いています。これは会社が自分の過去を語った話なので、印象に残る逸話ではあっても証拠ではなく、由来はいまも不明だという見方を覆すものではありません。
作り方も家庭ごとに違います。たとえば辻調理師専門学校(西洋料理主任教授 杉山忍)のレシピは、牛フィレ肉または牛バラ薄切り肉を使い、ポルト酒と赤ワインを4分の1量まで煮詰め、ケチャップとデミグラスソースを加えます。赤身肉はしっかり煮込むようにとの注意もあります。これは別の作り方であり、その分量は上のレシピには混ぜていません。
よくある質問
ハヤシライスとハッシュドビーフは同じですか?
呼び名はゆるく使われていて、店によって作り方も違います。名前の由来の一説は「ハヤシ」を「ハッシュドビーフ」と結びつけますが、それは言葉についての説であり、二つの料理が同じだという証拠ではありません。
ルウなしで作れますか?
作れます。このレシピではハヤシのルウをまったく使わず、缶のデミグラスソースがコクととろみを出します。
赤ワインは必要ですか?
このレシピの一部です。抜くこともできますが、ソースの香りと酸味が弱まり、同じ量の水に替えても同じ味にはなりません。また、ワインを沸かしてもアルコールが完全になくなるとは限りません。
ウスターソースはいつ入れますか?
BALMUDAのレシピは材料にウスターソース大さじ1を挙げていますが、作り方にはいつ入れるかが書かれていません。この記事では手順7で、水、はちみつ、ケチャップ、ローリエと一緒に加えています。このタイミングは世界ごはん紀行の編集上の判断で、分量は変えていません。
赤ちゃんは食べられますか?
1歳未満には与えられません。厚生労働省は、ふつうの加熱ではボツリヌス菌が死なないため、はちみつやはちみつを含む食品は、加熱しても1歳未満の乳児に与えないよう呼びかけています。このソースにははちみつが入っています。
ハヤシライスは早矢仕有的が考案したのですか?
よく知られた話で、丸善ジュンク堂書店が一説として紹介しています。ただ、エスビー食品はいくつもの説を挙げて、由来は明らかでないとしています。一つの可能性として受け止めるのがよいでしょう。
日本のカレーライスとどう違いますか?
どちらもご飯とソースをひと皿に盛りますが、ハヤシライスはカレー粉を土台にしていません。味は、炒めた玉ねぎと牛肉、赤ワイン、デミグラスソースから生まれます。





















