冷やし中華は、麺を冷たく洗って、具を彩りよくのせる一皿
麺はよく洗って、しっかり水気を切ります。そうすればたれが薄まりません。卵は完全に火を通して冷まし、たれは食べるときまで別の小鉢に入れておきます。
ラーメンは湯気を立てて運ばれてきますが、冷やし中華はその反対です。暑い日には、まず卵を焼いて冷まし、麺は冷やす前にゆでます。きゅうり、ハム、トマトは、卵が皿の上で冷めているあいだに切ります。ゆで上げた麺は鍋から冷水へ。洗って水気を切り、皿に盛って赤・黄・緑の具をのせます。キッコーマンの解説は、この基本の姿を「冷やした中華風の麺に、細切りの野菜、ハム、卵をのせ、甘酢しょうゆかごまだれをかけた料理」と説明しています。麺は洗って冷やし、余分なでんぷんを落とすとも書かれています。
名前は「冷やした中華」ほどの意味ですが、中国の伝統料理ではありません。キッコーマンは、1930〜40年代の日本の中華料理店で考案されたとしています。正確な発祥地は今も議論が続いているので、くわしくは後の「発祥と地域の呼び名」で触れます。
今回の作り方は、ねぎだれと大きめのいり卵(2人分)
冷やし中華の作り方は一通りではありません。この記事では、ひとつの完結した家庭向けレシピに沿って進めます。NHKエデュケーショナル『みんなのきょうの料理』(2013年8月5日初回放送)で料理研究家の大庭英子さんが紹介した、2人分の冷やし中華です。特徴は2つあります。ひとつは、刻んだねぎ、おろししょうが、少量の豆板醤を加えた甘酢しょうゆのたれ。もうひとつは、薄焼き卵の細切りではなく、大きめに仕上げた完全に火の通ったいり卵をのせることです。薄焼き卵は、キッコーマンの概説に載っている写真のものも含め、多くの冷やし中華で使われています。
このレシピの調理時間は、いり卵を冷ます時間を除いて20分とされています。麺のゆで時間に決まった分数はなく、麺の袋に書かれた時間どおりにゆでます。このレシピは世界ごはん紀行で試作したものではなく、以下の分量と手順は公開されているレシピのとおりです。
日本のほかの料理は、日本のページでも紹介しています。
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用
- 麺: 冷やし中華用の生麺がいちばんです。見つからなければ、普通の生中華麺で作れます。その場合も袋に書かれた時間どおりにゆでてください。蒸し焼きそば麺は別の商品なので、代わりにはしないでください。
- 酢: 日本の米酢は手に入りやすく、まろやかな酸味になりやすい選択です。穀物酢は、やや鋭く感じることがあります。どちらを選んでも問題ありません。
- 豆板醤: 一般名の「豆板醤」で探します。辛さを抑えたいときは少ないほうの小さじ1/2にします。なくても作れますが、辛味と発酵した豆のコクがなくなります。日本の唐辛子みそは味が違い、同じ感覚で置き換えられるものではないので、使わずに省くほうが簡単です。
- ハム: 加熱済みのロースハムを使います。ほかの加熱した肉を使うと、このレシピではなく別のアレンジになります。
この料理には、小麦(麺)、卵、豚肉(ハム)、ごま(ごま油)が含まれます。通常は大豆(しょうゆ。豆板醤は製品によります)も含みます。麺、ハム、しょうゆ、豆板醤は、アレルゲンと交差接触の表示を確認してください。
道具
- 大きめの鍋(約2Lの湯をわかせるもの)
- フライパン
- 卵を溶く小さなボウルと、卵を冷ます皿
- 包丁とまな板
- たれを混ぜるボウルと、たれを入れる小鉢
- 大きなざると、ざるごと水につけられる大きさのボウル
- 長い菜箸とへら
- 計量スプーン
- 盛り付け用の皿
うまくいかないときは
| 気づいたこと | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 麺にかけるとたれが薄く感じる | 麺に水が残っている | 次回は、ざるを振ってから手でしっかり押して水気を切り、そのあとでごま油をからめる |
| 皿に盛った麺がぬるい | 水で冷やす時間が足りなかった | 手で触って判断する。冷たく感じるまで、冷水で混ぜ、水を替え、洗う |
| 卵にまだ生の部分がある | 火から下ろすのが早かった | フライパンに戻し、液状の卵が残らなくなるまで焼く |
| 卵で麺が温まる | 卵が冷める前に盛り付けた | 卵を先に焼き、ほかの具を準備するあいだに冷ましておく |
| 麺がかたい、またはやわらかすぎる | ゆで時間を勘で決めた | 麺の袋に書かれた時間に従い、勢いよく沸いた状態を保つ |
アレンジ
- 辛さ控えめ: 豆板醤を、少ないほうの小さじ1/2にします。
- 辛さなし: 豆板醤を入れません。たれは成り立ちますが、辛味と発酵した豆のコクがなくなります。
- たれは食卓で: このレシピではもともとこの形です。たれは一度に全部かけず、食べながら少しずつ足します。
- 米酢: 手に入りやすく、穀物酢よりやわらかい酸味になりやすい選択です。
- 普通の生麺: 冷やし中華用の麺が見つからなければ、普通の生中華麺を袋の表示時間どおりにゆでて使えます。
仙台の龍亭が出している柑橘を使ったたれや、麺と具を別々に盛る提供は、その店独自のスタイルです。このレシピには含まれません。
発祥と地域の呼び名
冷やし中華の始まりは、ひとつの話に決まっていません。 キッコーマンの食文化の解説は、日本の中華料理店で1930〜40年代に考案されたとしています。これは企業による食文化の解説であり、歴史の記録ではありません。
仙台の中華料理店「龍亭」は、初代店主の資料に、1937年(昭和12年)に「涼拌麺(りょうばんめん)」という冷たい麺料理を開発した記録があるとしています。店の説明では、暑い季節に中華料理店の売上や食欲が落ちることを背景に、野菜と酸味を使った冷たい麺を考えたそうです。現在の龍亭は、柑橘を使った自家製のたれを使い、麺と具を別々に出すこともでき、季節に合わせて調整しています。宮城県観光連盟の地域案内も、仙台で1937年に生まれたという説を紹介しています。戦中の材料不足でいったん途絶え、戦後に復活し、そのとき細切りの具をのせる今の形が広まったそうです。仙台では、一年を通して食べられる名物として紹介されています。
これらは仙台側の説明であり、観光案内は一部で店自身の話に拠っています。ほかにも、東京を舞台にしたものなど別の発祥説があります。ここで挙げた資料では決着がつかないため、ひとつの発祥地を断定することはしません。
呼び名も地域で違います。キッコーマンによれば、北海道では「冷やしラーメン」、関西の一部では「冷麺」と呼ぶことがあります。これらの呼び名は、韓国の冷麺や、スープを張った冷やしラーメンなど、ほかの冷たい麺料理と重なります。ただし、汁のないこのレシピの麺と同じものではありません。
保存と衛生
冷やし中華は、冷たい麺、加熱した卵、ハム、生野菜がひと皿にのるので、衛生にはいっそう気をつけます。
- 卵は完全に固まるまで加熱します。食品を加熱するときの一般的な家庭向けの目安は、中心温度75°Cで1分以上です。
- 清潔な道具と皿を使います。生卵にふれた道具は、加熱した食品に使いません。
- 生麺は、ゆでずに食べてはいけません。扱い方は袋の表示に従います。
- 盛り付けたらすぐに食べ、室温に長く置かないでください。残った分は清潔な浅い容器に入れ、すぐに冷蔵して早めに食べ切ります。
よくある質問
冷やし中華用の麺が見つからないときは?
普通の生中華麺を使います。NHKのレシピでも使用が認められています。袋に書かれた時間どおりにゆでてください。
ゆでたあとに麺を洗うのはなぜですか?
2回の水と流水で、麺を冷やすとともに、キッコーマンの解説にあるとおり、表面の余分なでんぷんを洗い流します。そのあとでしっかり水気を切れば、残った水でたれが薄まりません。
たれは全部かけますか?
いいえ。たれは小鉢に入れて添えるので、食べながら好きなだけかけます。
豆板醤なしで作れますか?
作れます。辛味と発酵した豆のコクはなくなりますが、料理としてはまとまります。唐辛子みそは味が違うので、そのまま置き換えられるものではありません。
冷やし中華は仙台で生まれたのですか?
仙台の龍亭は、初代店主が1937年にこの料理を考案したとしており、宮城県観光連盟も同じ説を紹介しています。ほかにも東京の説など別の話があり、キッコーマンはもっと広く、1930〜40年代の日本の中華料理店が生んだ料理と説明しています。発祥地は今も議論が続いています。



























