ホルモン焼き — 名前はひとつ、内臓もたれもいろいろ
生の牛もつを先にゆでこぼし、にんじんともやしは炒めて盛り付け、牛もつは同じフライパンで強火にかけて豚骨みその味つけを絡めます。牛もつは中心まで十分に火を通してください。世界ごはん紀行では、このレシピをまだ台所で試作していません。
ごま油を熱したフライパンに、細切りのにんじんともやしを入れて炒め、いったん皿へ。そのあと同じフライパンを強火にして、ゆでこぼした牛もつを炒め、味噌のたれが具にしっかり絡むまで焼きつけます。仕上げに小ねぎと白ごまを少し。この記事で作るのは、そんな一皿です。
ただ、「ホルモン焼き」という名前だけでは、どの動物の、どの部位を、どんな味つけで焼くのかまでは決まりません。日本食肉消費総合センターは、牛・豚・鶏などの内臓を使った料理を「ホルモン料理」と呼び、ホルモン焼き(もつ焼きとも)を、内臓のさまざまな部位に塩やたれをつけて焼く料理と説明しています。つまりホルモン焼きに決まったレシピはなく、選ぶ部位で料理が変わるところが魅力のひとつです。
この記事では、そのなかから書面のレシピを一つ選びました。ミツカンの業務用レシピ「味噌ホルモン焼き」で、使うのは牛の内臓と、指定された豚骨みそのスープの素です。ホルモン焼きの数ある形のひとつであって、唯一の標準形ではありません。厚木の豚ホルモンのような地域の料理や、うどんと一緒に炒める別料理のホルモン焼きうどんとも別のものです。
今回の作り方は、生の牛もつをゆでこぼして味噌を絡める
このレシピが出発点にするのは、生の牛もつ(gyū motsu)です。手順は、ゆでこぼしてお湯を捨て、そのあと炒めてスープの素を加える流れです。どの部位を使うかは示されていないため、この記事でも小腸・大腸・ハチノス・レバーなど特定の部位の名前は出しません。
分量のつじつまは、レシピにある二つの注記で合います。生の牛もつは、この下処理をすると重さがおよそ70%になるとされています。スープの素は、下処理後の牛もつの重さの15%を加えます。生で300gから始めると、ゆでこぼしたあとは約210g。その15%が、材料表にある31.5gです。70%はあくまで概算なので、お宅の台所でぴったり210gになるとは限りません。
だからこのレシピは、すでにゆでてある牛もつや、味つけ済みの牛もつを前提にしていません。そうした商品は重さも状態も出発点が違い、同じ300gと31.5gをそのまま使える根拠がないからです。また、レシピには何人分という記載がないので、この記事では分量を「1回分」として扱います。
内臓は、新鮮でも十分に火を通す
厚生労働省は、肉や内臓を生や加熱不足のまま食べると、新鮮かどうかにかかわらず食中毒のリスクがあるとして、レバーなどの内臓肉をよく加熱して食べるよう呼びかけています。農林水産省も、肉や内臓は中心まで十分に加熱すること、生の肉を扱う箸や調理器具と、加熱後の食品に使うものを分けることを案内しています。
ただし、ミツカンのレシピにも、これらの公的な案内にも、この料理や特定の部位についての中心温度や加熱時間は示されていません。この記事でも数字は決めません。ゆでこぼしはあくまで下処理の工程で、これで安全が確かめられたとは考えないでください。中心まで十分に火を通し、パックに加熱や取り扱いの表示があればそれに従い、火が通ったあとは清潔な道具に持ち替えてください。
選び方と代用
- 動物: 牛であること(豚や鶏ではない)
- 部位: 表示があれば、その部位名
- 状態: 生で、加熱用であること(ゆで済みではない)
- 味つけ: 味つけなし(下味やたれ漬けではない)
- 取り扱い: ラベルに加熱や取り扱いの表示があれば、その内容
牛もつの部位はラベルで確かめます。表示がなくてどこの部位か分からないときは、売り場の人に聞いてください。
選ぶのは生の牛もつです。ゆでてあるものや下味つきのものは、生の牛もつがゆでこぼしで約30%軽くなることを前提にした「300g対31.5g」の割合に合いません。加熱済みの牛もつを使う場合は、それ専用の別のレシピが必要になります。
指定のスープの素は、ミツカンの業務用商品です。豚骨と鶏ガラの白湯に、米みそと豆みそ、ごま油と鶏脂で炒めたにんにくを合わせた味わいで、内容量は1,100gで、全国で販売されています。店頭の在庫や価格は、販売店かミツカンに確かめてください。ここに直接の代用品はありません。ほかの味噌だれを使うと、別の分量が要る別の料理になり、1対1では置き換えられません。
道具
- 鍋(牛もつをゆでこぼす)
- ざるまたは水切りのできる網
- フライパン
- にんじんを切るための包丁とまな板
- 生の牛もつ専用のまな板、バット、菜箸またはトング
- 加熱後の牛もつに使う、清潔な菜箸またはトング
- 盛り付け用の皿
うまくいかないときの対処
| こんなとき | どうするか |
|---|---|
| 見つかる牛もつが、すでにゆでてあるものだけ | 生300gに対してスープの素31.5gという割合に合いません。この作り方では生の牛もつを使うか、加熱済みの牛もつ向けに書かれたレシピを探してください |
| 牛もつに下味がついている、たれに漬かっている | その上にスープの素を足すと、このレシピとは別の味になります。味つけなしの生の牛もつを選んでください |
| パックに部位が書かれていない | 売り場の人にどの部位か尋ね、その案内に従ってください |
| 指定のスープの素が見つからない | 検証済みの代用品はありません。ほかのたれを使うと、分量の違う別の料理になります |
| ゆでこぼした牛もつが約210gにならない | 70%は概算です。生の牛もつ300gに対して、スープの素は31.5gのままにします |
| 加熱時間や温度を知りたい | この料理には決まった数字がありません。中心まで十分に火を通し、パックの表示に従ってください |
ホルモン焼きの、ほかのつくり方
日本食肉消費総合センターの説明が示す範囲は広く、内臓は牛・豚・鶏などのもの、部位はいろいろ、味つけは塩でもたれでもよいとされています。このうちどれかを変えると、この記事のレシピから離れてしまい、ここにある分量はそのまま使えません。
地域の例としてよく知られているのが、神奈川県の厚木です。県の公式観光サイトは、厚木のホルモンを、脂身を残して大きめに切った豚のホルモンを、濃厚な味噌だれで食べる料理として紹介しています。土地の名前がついた別の料理であって、この牛もつのレシピの一種ではありません。
このレシピのなかで、自由度のある部分はゆでこぼしの湯です。長ねぎの青い部分、しょうがの皮、焼酎は、仕上がりをよくするために挙げられているもので、分量は示されていません。風味づけであって、安全のための工程ではありません。
名前のこと、土地の話
日本語の「ホルモン料理」は、牛・豚・鶏などの内臓を使った料理の総称です。ホルモン焼き(もつ焼き)は、そのなかの焼く料理にあたり、塩やたれで味をつけます。内臓の部位も、動物も、味つけも選べるので、店ごとに出てくる一皿がまるで違って見えるのも不思議ではありません。日本のほかの料理は日本のページでも紹介しています。
神奈川県の公式観光サイトは、厚木のホルモンを地元の養豚や豚肉の処理場と結びつけ、戦後からこの地域にホルモン焼きの店があったと伝えています。これはひとつの土地の話です。この記事では、日本全体でこの料理や名前がどこで生まれたかについては、立場を取りません。
ホルモン焼きうどんは別の料理です。内臓をうどんや野菜と一緒に炒めるもので、ここで紹介した一皿とは混同しないでください。
よくある質問
ホルモン焼きは、いつも牛ですか?
いいえ。日本食肉消費総合センターは、ホルモン料理を牛・豚・鶏などの内臓を使うものとし、ホルモン焼きを、さまざまな部位に塩やたれをつけて焼く料理と説明しています。この記事で牛もつを使うのは、参照したミツカンのレシピが牛もつを指定しているからです。
このレシピで使う牛もつは、どの部位ですか?
ミツカンのレシピには書かれていません。載っているのは「牛もつ」とだけです。パックのラベルで部位を確かめ、表示がなければ売り場の人に聞いてください。ただ、選んだ部位がレシピの想定と同じかどうかは確認できていません。
ゆで済みの牛もつを、同じ分量で使えますか?
このレシピは生の牛もつ300gから始め、ゆでこぼしたあとに約70%が残ることを前提にしています。だからこそ、下処理後の重さの15%にあたる31.5gのスープの素が合うのです。ゆで済みの牛もつは重さも状態も出発点が違うので、同じ分量にする根拠がなく、この記事では同じレシピとして扱いません。
牛もつは何分加熱すればいいですか?
ミツカンのレシピには加熱時間も中心温度も書かれておらず、この料理についての公的な案内にもありません。厚生労働省は、新鮮さだけではリスクがなくならないとして肉や内臓をよく加熱するよう案内し、農林水産省は中心まで加熱するよう案内しています。中心まで十分に火を通し、パックの表示に従ってください。
ほかの味噌だれを使えますか?
このレシピはミツカンの指定のスープの素を前提に書かれていて、代用品は検証されていません。別のたれにすると、料理も分量も変わるので、そのまま置き換えることはできません。
何人分ですか?
レシピには何人分とは書かれていません。分量は1回分として紹介しています。
ホルモン焼きうどんと同じですか?
いいえ。ホルモン焼きうどんは、内臓をうどんや野菜と一緒に炒める料理で、名前も別の料理です。














