じゃがバター ― 丸ごとのじゃがいも、十字の切り込み、ひとかけのバター
主役はじゃがいもです。皮付きのまま中まで柔らかく加熱し、十字に開いて、熱いじゃがいもの中身にバターを溶かします。それ以上は必要ありません。
じゃがバターは、日本の家庭料理のなかでもとくに素朴な一品です。皮付きのじゃがいもを丸ごと加熱し、上面に十字の切り込みを入れて、湯気の立つじゃがいもの中身にバターを溶かし込みます。ほくほくの芋と、コクのあるバターの対比が魅力です。
家庭によって作り方は違い、蒸す人も茹でる人もいます。このページで扱うのは、JA鹿児島県経済連(鹿児島県の農業協同組合の連合会)が公開している電子レンジ版だけです。新じゃが2個を洗い、濡れたまま1個ずつ包み、600Wで柔らかくなるまで加熱します。そのあと十字に切り、バターをのせます。蒸し器や鍋で作る方法は別の作り方なので、その時間はここでは使いません。
分量はJA鹿児島県経済連が示す2人分のものです。世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作してはいません。じゃがいもの大きさも電子レンジの機種もまちまちなので、加熱時間はあくまで目安にして、柔らかさで火の通りを判断してください。
じゃがバターとは|芋が主役、北海道の男爵いもとの深い縁
この料理は、日本の北の島である北海道と結び付けて語られることがよくあります。農林水産省北海道農政事務所の冊子『受け継ぎたい北海道の食』は、男爵いも(男爵薯)を取り上げています。それによると、男爵いもが北海道に導入されたのは1908年で、「男爵いも」の名で優良品種に選ばれたのは1928年です。ほくほくして味がよく、丸ごと食べるのに向いたじゃがいもとされ、おすすめの料理としてじゃがバターが挙がっています。
ただし、この冊子が語っているのはじゃがいもの歴史であって、料理の歴史ではありません。じゃがバターがいつ、どこで、誰によって生まれたかは、手元の資料からは確かめられないので、起源の物語はここでは書きません。言えるのは、粉質の北海道のじゃがいもとバターの相性がよいということです。まずはその組み合わせから試してみてください。日本の食については日本のページもご覧ください。
道具
- 600Wに設定できる電子レンジ
- 電子レンジ対応のラップ
- 電子レンジ対応の耐熱皿
- 竹串
- 小さめの包丁
- ミトンまたは耐熱の布、トング
選び方と代用
粉質の品種、たとえば男爵薯(男爵いも)やキタアカリを選ぶと、ほくほくした食感になります。売り場に品種名の表示があれば、どちらかを選ぶとよいでしょう。表示がなければ、青果売り場の普通のじゃがいもで大丈夫です。大きさが違うとレンジの加熱時間も変わるので、手順4の柔らかさの確認を頼りにしてください。
バターは有塩でも無塩でも、ふだん使っているものでかまいません。塩を足す必要はありません。
じゃがいもについて、次の点に気を付けてください。
- 芽が出たものや、緑色になったものは買わない。
- 芽は根元ごと切り取り、緑色の部分も取り除く。
- 家庭菜園でできた未熟なじゃがいもは、皮ごと食べない。このレシピは皮付きで加熱して食べるので、そうしたいもには向かない。
- 食べて苦みを感じたり、のどに刺激を感じたりしたら、食べるのをやめる。
- 通常の加熱で、じゃがいもの天然の毒素が減ると期待しない。
写真の皮付きのじゃがいもは、店で買った状態のよい新じゃがの例です。写真だけで安全かどうかは判断できません。
バターには乳成分が含まれます。調理の前に、バターの表示と、電子レンジで使うラップの表示を確認してください。
ほくほくに仕上げる|よくある失敗の直し方
うまくいけば、じゃがいもは中まで柔らかく、切り込みを開くとじゃがいもの中身がほぐれ、バターが熱で溶け始めます。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 中心がまだ硬い | じゃがいもが大きい、またはレンジの出力が弱め | 600Wでもう少し加熱し、竹串でもう一度確かめる。追加の時間は大きさと機種で変わるので、見当ではなく確認で判断する |
| バターがあまり溶けない | じゃがいもが冷めている | 柔らかくなったらすぐに切ってバターをのせ、そのまま食べる |
| 開けるときに蒸気が勢いよく出る | ラップの中に蒸気がこもっていた | ミトンとトングを使い、顔や手から離してラップを開ける |
| 苦みを感じる、のどに刺激がある | 天然の毒素の可能性 | 食べるのをやめる(上の「じゃがいもの安全上の注意」を参照) |
味の変化と食卓

基本のレシピは、じゃがいもとバターだけです。次の2つは任意のトッピングで、添えるか、少量をのせて楽しみます。どちらも基本のレシピには含まれません。
| 変化 | 加わるもの |
|---|---|
| いかの塩辛 | 塩気とうま味 |
| 白菜キムチ | 辛味と酸味 |
| 男爵薯 | 粉質でほくほくした食感 |
| キタアカリ | 粉質の、もうひとつの選択肢 |
蒸す、茹でるといった作り方も、じゃがバターの家庭の味のひとつです。時間や分量が違うため、ここでは載せていません。
保存
じゃがバターは、作りたてを熱いうちに食べる料理です。このレシピでは保存の期間も再加熱の方法も示していないので、食べきれる分だけ作ってください。
よくある質問
電子レンジで何分加熱しますか?
包んだ2個を一緒に、600Wで6〜8分ほど、柔らかくなるまで加熱します。時間は目安です。大きさや機種で変わるので、最後は必ず竹串で確かめてください。
6〜8分は1個ごとの時間ですか?
いいえ。1個ずつ別々に包みますが、加熱は2個一緒に入れて6〜8分です。このレシピには個数が違う場合の時間は示されていないので、多くても少なくても、柔らかさで判断してください。
どの品種がよいですか?
JA鹿児島県経済連のレシピは品種を指定していません。カゴメは、男爵薯やキタアカリのような粉質の品種をすすめています。農林水産省北海道農政事務所は、男爵いもをほくほくして丸ごと食べるのに向くと紹介し、おすすめの料理としてじゃがバターを挙げています。
塩辛は必須ですか?
いいえ。いかの塩辛と白菜キムチは、JA鹿児島県経済連が挙げている任意のトッピングです。基本はじゃがいもとバターだけです。
蒸し器でも作れますか?
蒸す作り方も家庭のじゃがバターのひとつですが、このレシピで扱うのは電子レンジ版だけです。蒸す場合の時間はここでは示していません。
作り置きできますか?
このレシピは、作りたてを熱いうちに食べる前提です。保存できる期間は示していません。














