納豆 — ねばる大豆と、ひとつの使い道
この記事で取り上げるのは、市販のそのまま食べられる糸引き納豆と、その使い方のひとつである宮城の納豆汁です。家庭で納豆を作る方法の解説ではありません。納豆は汁物の材料というだけの食べ物ではなく、ここで紹介する汁は数ある食べ方の中の地域の一例です。
器からスプーンを持ち上げると、細かくねばる糸がすっと後を追ってきます。納豆は発酵させた大豆でできた日本の食べ物で、そのまま食べられる状態で売られています。大豆の粒を丸ごと残したタイプがある一方、ひき割り納豆は大豆を砕いて割ったもので作るため、小さな不揃いのかけらになっています。
宮城県では、納豆は汁の鍋にも入ります。農林水産省(MAFF)は「にっぽん伝統食図鑑」で、高澤まき子さんの提供レシピとして5人分の納豆汁を紹介しています。市販のひき割り納豆に、豆腐、にんじん、大根、油揚げ、ねぎ、仙台味噌を合わせ、だしで仕立てる汁です。根菜を先に軟らかくし、豆腐と油揚げ、味噌の順に入れ、よく混ぜた納豆を加えます。ねぎは鍋が沸く直前に入れます。このあとのレシピはこの例に沿っています。なお、世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作してはいません。
ここで紹介する作り方には、煮込みの時間も温度も保存期間も書いていません。野菜は軟らかさで、仕上がりは沸く直前の鍋の様子で判断してください。同じ国のほかの料理は日本のページから探せます。
糸引き納豆と寺納豆は、別の食べ物
日本で「納豆」と呼ばれるものがすべて、ねばって糸を引くわけではありません。 農林水産省の豆類加工食品の分類では、糸引き納豆は蒸した大豆と納豆菌でつくる食品、寺納豆は麹菌と塩水でつくり糸を引かない別の分類として説明されています。農林水産省の寺納豆のページでも、納豆菌で発酵させる糸引き納豆とは異なる食べ物として紹介されています。この記事で使うのは、そのまま食べられる状態で買ってくる糸引き納豆だけです。
納豆の商業的な製造は工場での工程です。全国納豆協同組合連合会は、大豆を洗い、浸し、蒸し、納豆菌を吹きかけて容器に詰め、発酵させ、冷やして熟成させるという流れを紹介しています。これはあくまで商業生産の説明で、家庭での発酵方法ではありません。この記事は、家庭で納豆を作る方法を扱いません。
| 糸引き納豆 | 寺納豆 | |
|---|---|---|
| つくり方 | 蒸した大豆と納豆菌 | 麹菌と塩水 |
| 糸 | ねばる糸を引く | 糸を引かない |
| このレシピでは | 使う(市販のひき割り納豆) | 使わない |
宮城の納豆汁というひとつの例

農林水産省の宮城県の納豆のページは、納豆を使う地域の食べ方のひとつとして納豆汁を紹介しています。同じページには、納豆ご飯や納豆餅として食べる例もあります。納豆汁は、できあがった納豆を使って作る料理です。納豆そのものの定義でも、納豆を作る方法でもありません。
ほかの地域にも、それぞれの形があります。農林水産省の茨城県の納豆のページには、小粒納豆やそぼろ納豆といった地域の例が出ています。同じページには納豆の起源にまつわる話も記録されていますが、確かな歴史としてではなく、伝説として示されています。茨城のこれらの例は宮城のレシピとは別のもので、宮城の材料を変えるものではありません。
宮城の納豆汁の材料(5人分)

| --- | --- | --- | | 市販のひき割り納豆 | 100g | 主役。汁に入れる前によく混ぜる | | 豆腐 | 1/2丁 | 1cm角に切る | | にんじん | 小1本(80g) | いちょう切り | | 大根 | 1/4本(100g) | いちょう切り | | 油揚げ | 小1枚(30g) | 1cm角に切る | | ねぎ | 10g | 小口切り。沸騰直前に加える | | 仙台味噌 | 60g | 汁の味をつける | | だし | 5カップ | 汁のベース | | 七味唐辛子 | お好みで | 任意。食卓でふる |
道具
- まな板と包丁
- 鍋
- お玉
- 納豆を混ぜる小さな器とスプーン
- 盛り付け用の椀
納豆・味噌・だしの選び方
納豆。 砕いたタイプのひき割り納豆のパックを選びます。丸粒の納豆は、豆の形も食感も違います。
仙台味噌。 仙台味噌を使います。手に入らない場合は、ほかの味噌を代用できます。同じ製品ではないので、汁の味わいは変わります。
だし。 普段とっているだしや、買い慣れただしでかまいません。
納豆、豆腐、油揚げ、味噌はいずれも大豆の食品です。納豆、味噌、だしの商品ラベルで、大豆やそのほか食べる人にとって大切なアレルゲンの表示を確認してください。
作り方:根菜を先に煮て、味噌のあとに納豆、ねぎを加えたら火を止める
根菜を軟らかくなるまで煮ます。豆腐と油揚げを加え、味噌を溶きます。よく混ぜた納豆を入れ、沸騰直前にねぎを加えて火を止めます。
にんじんはいちょう切りにします。縦に4つ割りにしてから、端から切って四分の一の円形にします。

大根も同じ切り方にします。

豆腐は1cm角に切ります。

油揚げは1cm角に切ります。

ねぎは小口切りにします。

- にんじんと大根をだしで軟らかく煮る
鍋にだしを注ぎます。

大根とにんじんを加えます。


根菜が軟らかくなるまで煮ます。

- 豆腐と油揚げを加え、味噌を溶く
豆腐を加えます。

油揚げを加えます。

汁に味噌を溶きます。

- 納豆をよく混ぜて加える
ひき割り納豆を小さな器に出します。

よく混ぜます。

混ぜた納豆を汁に加えます。

- 沸騰直前にねぎを加え、火を止める
鍋が沸いてくる様子を見守ります。

沸騰直前に、ねぎを加えます。

火を止めます。

- 椀によそい、お好みで七味をふる
汁を椀によそいます。

お好みで七味唐辛子をふります。

つまずいたときに:順番を確かめる
| こんなとき | こうします |
|---|---|
| にんじんと大根がまだ固い | 豆腐と油揚げを入れる前に、もう少し煮ます。根菜を先に軟らかくします |
| 納豆がひとかたまりのまま鍋に入ってしまった | 次回は小さな器でよく混ぜてから、味噌を溶いたあとに加えます |
| ねぎを入れるタイミングがわからない | 鍋が沸く直前の様子を見ます。そこでねぎを加え、火を止めます |
| 丸粒の納豆しかない | この汁にはひき割り納豆を選んでください。丸粒の納豆は豆の形も食感も違います |
| 仙台味噌が見つからない | ほかの味噌を代用にします。味わいは変わるものと考えてください |
風味を変えても、らしさを保つ工夫
- 丸粒とひき割り。 豆の形も食感も違います。ここで紹介する宮城の汁はひき割り納豆を使います。
- ほかの味噌。 この納豆汁には仙台味噌を使います。別の味噌にすると味が変わるので、同じ汁ではなく代用として考えてください。
- 七味の有無。 唐辛子の混ぜ合わせは任意で、盛り付けたあとにふります。
- 火を使わない食べ方。 宮城県では納豆ご飯や納豆餅としても食べます。茨城県には小粒納豆やそぼろ納豆もあります。納豆は汁の具材にとどまらない食べ物です。
よくある質問
納豆と寺納豆は同じものですか?
違います。農林水産省の豆類加工食品の分類では、糸引き納豆は蒸した大豆と納豆菌でつくる食品とされています。寺納豆は麹菌と塩水でつくり、糸を引きません。農林水産省の寺納豆のページも、別の食べ物として紹介しています。このレシピで使うのは、糸を引くひき割り納豆です。
これは納豆を作るレシピですか?
いいえ。汁に使うのは、店で買ってきたそのまま食べられる納豆です。全国納豆協同組合連合会は納豆の商業的な作り方を紹介していますが、それは工場での生産であり、家庭向けの方法ではありません。この記事では、納豆を自分で作る方法は扱いません。
納豆はいつ入れますか?
豆腐と油揚げを入れ、味噌を溶いたあとです。先に小さな器でよく混ぜてから、鍋に加えます。
火はいつ止めますか?
汁が沸く直前にねぎを入れ、そのあとで火を止めます。
煮る時間、温度、保存期間は書かれていますか?
いいえ。農林水産省の宮城のレシピには、調理時間も温度も保存の目安もなく、この記事でも足していません。根菜は軟らかくなるまで煮ます。沸く直前の様子を、ねぎを入れて火を止める合図にしてください。
だしの「カップ」の大きさや、豆腐半丁の重さは?
農林水産省のレシピは、だしを5カップ、豆腐を1/2丁としていますが、カップの容量や豆腐の重さは示していません。この記事でも、そのままの表記にしています。
味噌の横の「0.8%」は何を表していますか?
農林水産省のレシピのページでは、味噌の項目の横に括弧で0.8%という数字が出ていますが、何についての数字なのかははっきりしません。味噌そのものの塩分量だとは読まず、塩分や栄養の計算にも使わないでください。







