ボッサム ― やわらかな豚と葉を、ひと口ずつ包んで
香味野菜と一緒にやわらかく煮た豚肉、折りたためるほどやわらかくなった白菜の葉、真っ赤な大根の和えもの、塩気のあるえびのたれ。包みはどれも、ひと口で食べられる大きさに作ります。
晩秋の韓国では、家族や近所の人が集まって、冬を越すためのキムチを漬け込むキムジャンをおこないます。韓国政府の文化情報サイトKorea.netは、このキムジャンの時期に、ゆでた豚肉をキムチと一緒に食べてきたと紹介しています。漬けたばかりの白菜と大根のキムチのそばに、温かい豚肉の薄切りが並び、葉に載せてひと口に包む。そんな食卓が、ボッサム(보쌈)の背景にある情景です。
ボッサムは、火を通した豚肉を葉野菜やキムチ風のおかずと一緒に包んで食べる料理です。このレシピは、Maangchiが公開している「Pork wraps (Bo-ssam)」の分量・順序・加熱時間に沿っています。変えた点が1つあります。Maangchiの大根和えには、冷凍のむき牡蠣8オンスが入ります。冷蔵庫で解凍し、生のまま混ぜるという作り方です。家庭で生の牡蠣を扱うときの安全の目安は確認できていません。そのため、ここでは大根和えから牡蠣を省きました。牡蠣なしの調整版であり、Maangchiのレシピをそのまま再現したものではありません。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。分量は、参考にしたレシピのアメリカ式のカップ・スプーン・オンス・ポンドのままで、換算していません。元のレシピには分量はあっても何人分かの表示がなく、何人分になるかは豚肉の部位と切る厚さで変わります。
開城(ケソン)の보쌈김치(ボッサムキムチ)は名前が似ていますが、別の料理です。具を白菜の葉で包んで作るキムチのことです。この記事で扱うのは、豚肉を包んで食べる食事のほうです。
ボッサムとは ― ゆでた豚肉を、ssamとして包む
Maangchiによると、ssam(ッサム)とは、葉などで食べ物を包み、ひと包みにして食べることを指します。ボッサムは、次のいくつかの要素を1つの食卓にまとめた料理です。
- 玉ねぎ、生姜、にんにく、テンジャンと一緒に煮た豚肉
- 甘酸っぱい漬け液でやわらかくした白菜の葉
- 辛味のある大根和え
- 小皿に入れた、えびの塩辛だれ
食べる人がそれぞれ、自分の小さな包みを作ります。
どの要素も難しい作業ではありませんが、味つけは要素ごとに別です。砂糖、塩、にんにく、ねぎ、唐辛子は、複数の要素に出てきます。分量は、混ぜて量らず、それぞれの要素ごとに分けて用意してください。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 白菜の葉を漬ける大きなボウル
- 豚肉と水10カップが入る、蓋つきの大鍋
- 食品用の温度計
- まな板は2枚:生の豚肉用と、野菜や火を通した豚肉用
- よく切れる包丁
- 大根に塩をして味つけするボウル
- えびのたれを作る小さなボウル
- 盛りつけ用の大皿
選び方と代用
韓国食材店か通販で探す価値があるのは、次の3つです。
- テンジャン:豚肉の鍋の味つけになる発酵大豆のペーストです。
- 唐辛子フレーク(고춧가루):大根和えの色と辛みを作る、韓国の唐辛子フレークです。
- セウジョッ:たれに使う、小さなえびの塩辛です。普通のえびとは別のものです。
次の代用は仕上がりが変わるので、同じ料理ではなく、別のバージョンとして考えてください。
| 代用 | 変わること |
|---|---|
| 豚バラ肉の代わりに豚肩肉 | 脂が少なくなり、口当たりが変わる |
| ヘーゼルナッツ風味ではない普通のインスタントコーヒー | 豚肉の香りが変わる |
| 韓国大根の代わりに大根 | 大根和えには使える |
| テンジャンの代わりに日本のみそ | 同じ味にはならない。どちらも発酵大豆のペーストだが、味と塩気が違う |
| 白酢の代わりに米酢 | 漬け液の香りが変わる |
| 塩漬けの白菜の代わりにレタス | 包みごとの水分と食感が変わる |
| 唐辛子フレークを減らす | 色が薄くなり、辛みも穏やかになる |
葉が硬い、豚が硬い、塩辛い ― うまくいかないとき
| 問題 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 白菜の葉が硬くて折りたためない | 漬け液に置いた時間が短い、または返す回数が少ない | 10〜15分ごとに返し続け、1〜2時間の範囲で葉の状態を確かめる |
| 豚肉が硬い | かたまりが厚い、または煮る時間が足りない | 時間だけでなく、厚みと中心温度を確認する。やわらかくなるまで煮続ける |
| 包みが塩辛い、味が強い | 豚肉のテンジャンと、たれのセウジョッの塩気が重なる | レシピの分量は変えず、1つの包みに入れるたれと大根を少なくする |
| 大根和えが水っぽい | 塩をした大根を絞っていない | 10分置いたあとの水気を絞る工程は省かない |
| 辛すぎる | 唐辛子フレーク | 唐辛子フレークを減らす。色も辛みも薄くなる |
キムジャンと家庭の食卓、そして地域の違い

Korea.netによると、キムジャンは、家族や地域の人たちが冬に備えてキムチを準備する行事で、この時期にゆで豚をキムチと一緒に食べてきたそうです。また、豚肉の味つけや、一緒に出すキムチは、家庭や飲食店によって違うとも書かれています。ボッサムのために作るキムチには、大根や牡蠣が入ることがあります。普段の白菜キムチとも、まれな開城のボッサムキムチとも区別される存在です。
これらは家庭や飲食店ごとの違いであり、どれが上という順位ではありません。大根和えに牡蠣を入れるか、どの葉を使うか、何を添えるかは、食卓ごとに変わります。
KBS WORLDは、関連する料理として제육보쌈(チェユクボッサム)を、ゆでるか蒸した豚肉に薬味を添えて食べる料理として紹介し、こちらもキムジャンと結びつけています。ただしそのレシピは、この記事のものとは作り方が違います。豚肉500gを水3Lで香味野菜と煮て、テンジャンはあとから加えます。牡蠣は最後に加えるほうが形が崩れにくい、という説明もあります。
豚肉の鍋に入れるヘーゼルナッツ風味のインスタントコーヒーは、Maangchiが韓国の持ち寄りの食事会で教わった、Maangchi自身の工夫です。広く伝わる伝統でも、必須の材料でもありません。韓国の料理をもっと知りたい方は、韓国の料理もご覧ください。
食品の安全と残りの扱い
中心温度145°F(63°C)と3分の休ませは、米国政府のFoodSafety.govにある、豚のかたまり肉の基準です。食べても安全な状態になったことを示す数字で、ボッサムにふさわしいやわらかさに達したことまでは示しません。やわらかさを作るのは、蓋をして長く煮る時間です。
この記事では、このレシピについて確認が取れていないため、保存期間や温め直しの方法は案内しません。
よくある質問
ボッサムは韓国式焼肉の一種ですか?
いいえ。豚肉は焼かずに、液体の中で火を通します。そのあと薄く切り、大根和えとたれと一緒に葉に包みます。KBS WORLDも、豚肉をゆでるか蒸すものとして紹介しています。
テンジャンは日本のみそと同じですか?
どちらも発酵大豆のペーストですが、味と塩気が違います。入れ替えると、仕上がりが変わります。
牡蠣なしで作ってもよいですか?
はい。この記事のレシピは、牡蠣を使いません。Maangchiのレシピには、冷凍のむき牡蠣8オンスを冷蔵庫で解凍し、生のまま大根和えに混ぜる工程があります。家庭で生の牡蠣を扱うときの安全の目安は確認できていないため、生で食べることを勧めずに省きました。Korea.netは、ボッサム用のキムチに牡蠣が入ることがあると述べ、KBS WORLDは、牡蠣は最後に加えたほうが形が崩れにくいと述べています。
セウジョッのたれは何のためのものですか?
豚肉に添える、小さな塩気のある発酵のアクセントで、包みごとに少しずつ使います。セウジョッはえびから作るので、えびアレルギーの人には入れないでください。代用品を使うと、味が変わります。
何人分ですか?
Maangchiのレシピには分量はありますが、何人分かの表示はありません。豚肉の部位と、薄く切る厚さで変わります。
145°F(63°C)に達したら、豚肉は煮上がりですか?
その時点で、3分休ませたあとなら、安全に食べられます。やわらかさは、蓋をして長く煮ることで生まれるので、煮る時間と温度計の両方を見てください。















