ボウルに入った茹でたてのじゃがいもの薄切りに、熱いブイヨンを回しかけます。切り口が汁を吸い込んで、みるみる艶を帯びていきます。酢のすっきりした酸味に、少しの油が丸みを添え、最後に薄切りのきゅうりと刻みたてのチャイブを加える。ブイヨンで和える南ドイツ型のKartoffelsalatは、そんな一皿です。
温かいブイヨンを吸う、薄切りじゃがいもの一皿
じゃがいもの薄切りは崩さず、熱いブイヨンと酢をしっかり吸わせ、油で酸味の角を丸めます。マヨネーズで和える冷たいサラダとは別の料理です。
ゆでたてのじゃがいもを薄く切ってボウルに入れ、熱いブイヨンを注ぐと、切り口が汁を吸ってつやを帯びてきます。酢がすっきりした酸味を加え、少しの油がその角を丸め、最後にきゅうりの薄切りと刻んだチャイブを混ぜ込みます。これが、ブイヨンで和える南ドイツ型のKartoffelsalatです。
ドイツの外では、「ジャーマンポテトサラダ」を一つの決まった料理だと思っている人も多いでしょう。けれども Kartoffelsalat(Kartoffel=じゃがいも、Salat=サラダ)という名前は、全国共通の一つのレシピを指しているわけではありません。北はマヨネーズで和えるサラダ、南はブイヨン・酢・油で和えるサラダ、という大づかみな対比がよく使われ、同じ地域の中でも家庭ごとに作り方が違います。
この記事で紹介するのは、バイエルン放送の番組「Wir in Bayern」でMichaela Hagerが紹介したKartoffelsalatです。番組では、ブイヨンで和えてマヨネーズを使わない、バイエルン風またはシュヴァーベン風のサラダとされています。一人の料理家の版であって、「唯一の正しいドイツのレシピ」ではありません。材料と分量は、公開されたとおりに載せています。
Kartoffelsalatは一つのレシピではない — 北と南、地域と家庭
同じ名前で複数のサラダを指します。旅行ガイドのGermany Travel(turismoalemania.com)は、全国共通のKartoffelsalatはないと説明しています。大まかに言えば、北はマヨネーズで和えるものが知られ、南はブイヨン・酢・油でじゃがいもを和えます。同じガイドは、同じ地域でも家庭ごとにレシピが違うこと、南部にはErdäpfelsalatのような独自の呼び名があり、シュヴァーベン語やスイスではHärdöpfelsalatとも言うことも挙げています。
南ドイツでは、同じ料理を Erdäpfelsalat と呼ぶことがあります。シュヴァーベン語やスイスでは Härdöpfelsalat とも言います。
この南北の違いは、境界線ではなく目安として受け取ってください。台所で大事なのは味の向きです。乳化したマヨネーズの冷たいコクではなく、温かいブイヨンと酢を吸わせ、油で丸みを足すのがこの型です。
次のレシピでは、ブイヨン・酢・油に、きゅうり、チャイブ、砂糖、辛口マスタードを加えます。Michaela Hager版がそういう組み立てだからです。ほかの南部のレシピにはこれらの一部を入れないものもあり、後の「地域・家庭ごとの違い」の節で触れます。
ブイヨン、酢、じゃがいも、ハーブの選び方
ブイヨン ターフェルシュピッツ(オーストリアやバイエルンの牛肉の煮込み料理)の熱いブイヨンを使います。手に入らなければ、野菜ブイヨンか牛肉ブイヨンで代用できます。牛肉ブイヨンなら肉のコクが出て、野菜ブイヨンなら動物性の材料を使わずに済みます。市販のブイヨンはすでに塩気があることが多いので、味を見てから調味し、塩は下限から始めてください。
白ワインビネガー 酸度5%の白ワインビネガーを使います。10%の酢は鋭すぎます。白ワインビネガーが手に入らなければほかの酢でも代用できますが、酸度も香りも同じにはなりません。ラベルで酸度を確かめ、強い酢を同じ量で入れ替えないでください。
酢はラベルの酸度を見てから選びます。強い酢を同じ量で入れると、酸味が尖ってしまいます。
じゃがいも 粉質の弱いしっかりしたじゃがいものほうが、薄切りの形を保ちやすくなります。粉質の強いものは、調味液を混ぜるときに崩れやすくなります。
油 種類は問いません。癖の少ないサラダ油が合い、オリーブ油にすると香りがはっきり変わります。
マスタード 辛口(scharf)と表示されたものを選びます。風味が大きく違うマスタードにすると、調味液のバランスが変わります。
チャイブ 手に入りにくければ細ねぎの青い部分で代用できますが、香りは違います。
失敗したときの直し方
起こりやすい失敗と、その直し方をまとめました。基準にするのは原典の分量の範囲です。崩れるときは底から返すように混ぜ、水分や塩気が気になるときは、ブイヨンも塩も下限から始めるのが基本です。
| 困りごと | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| じゃがいもが崩れる | 粉質の強い品種、茹ですぎ、厚みのばらつき、強く混ぜた | かき混ぜず、幅広のスプーンで底から返す。次回は、じゃがいもがまとまっているうちに茹でるのをやめる。しっかりしたタイプのじゃがいもも検討する |
| 水っぽい | ブイヨンときゅうりの水分 | ブイヨンは400〜500 mLの下限から始め、じゃがいもが吸うようなら足す。基準は公開された範囲のまま |
| 酸味が尖る | 5%より強い酢 | ラベルで酸度を確認する。原典は5%を勧め、10%は鋭すぎるとしている。強い酢を同量で使わない |
| 塩辛い | 塩気のあるブイヨンに、塩の全量を足した | 塩は下限から始め、一部はきゅうりに使うことを忘れない。始める前にブイヨンの味を見る |
原典に保存の指示はないので、保存日数はここでも示しません。マヨネーズを使わなくても、このサラダには火を通したじゃがいも、切った生野菜、肉系ブイヨンを使う場合はそれが含まれます。室温に置いたままにしないでください。
地域・家庭ごとの違い — 近い別のレシピ
ここに挙げるものは、それぞれ別のレシピです。上の分量と混ぜないでください。
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Michaela Hager版(本記事) ブイヨン、白ワインビネガー、油に、きゅうり、チャイブ、砂糖、辛口マスタードを加えます。
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Albstadt版のシュヴァーベン風 Albstadt Tourismusが紹介するシュヴァーベン風のKartoffelsalatは、酢と油で和え、理想の食感をschlonzig(しっとりとゆるい状態)と表現しています。そのレシピは、サラダ用じゃがいも1kg、玉ねぎ、酢2 EL、熱いブイヨン1 Tasse(カップ)、塩、こしょう、油2〜3 ELで、温かいじゃがいもの薄切りを静かに混ぜ、温かいまま休ませます。熱いブイヨンが玉ねぎの刺激をやわらげ、調味料を溶かして全体に行き渡らせる、とも書かれています。「Tasse」の容量は示されていないので、換算も、上のレシピとの合算もしていません。
Albstadt版が食感を表す schlonzig は、しっとりとゆるい状態を指す言葉です。同じ温かいブイヨン型でも、仕上がりの言葉は地域によって違います。
- 北部のマヨネーズ型 マヨネーズを土台にした別のスタイルです。比較のために触れるだけで、このレシピには含まれません。
- 牛肉ブイヨンか野菜ブイヨンか どちらも原典が認める選択肢です。牛肉ブイヨンは肉のコクが出て、野菜ブイヨンなら動物性の材料を使わずに済みます。
- ほかの酢 白ワインビネガーが手に入らないときは使えますが、酸度と香りが違います。ラベルを確認し、そのまま同量で入れ替えないでください。
食卓では — ソーセージ、シュニッツェル、焼き肉の脇に

Germany Travelによると、Kartoffelsalatはソーセージ、シュニッツェル、焼いた肉料理の付け合わせとして食べるのが一般的です。同じガイドは、クリスマスイブにソーセージと合わせる家庭があることも紹介しています。前もって作れる副菜だからです。ただしこれは数ある家庭の習慣の一つで、ドイツのすべての家庭がそうしているわけではありません。
日本で作る場合も、材料の多くは普通のスーパーで手に入ります。少し注意が要るのは、ブイヨン・酢・マスタードの3つです。ブイヨンは塩気とアレルゲン、酢は酸度、マスタードは辛口のタイプかどうかを確かめてください。この3つを押さえれば、味の芯は保てます。クリーミーな衣をまとうのではなく、温かく酸味のあるブイヨンを吸ったじゃがいもに仕上がります。
よくある質問
Kartoffelsalatはドイツ全土で同じ作り方ですか?
いいえ。全国共通のレシピはありません。北はマヨネーズ型、南はブイヨン・酢・油型という傾向があり、同じ地域でも家庭ごとに作り方が違います。
マヨネーズは必要ですか?
このレシピには要りません。Michaela Hager版はブイヨン、酢、油で和え、マヨネーズは入りません。マヨネーズで和えるサラダは別のスタイルです。
じゃがいもは熱々のうちに混ぜるのですか?
このレシピでは、じゃがいもを茹でて皮をむき、少し冷ましてから薄切りにして味をつけます。熱いのはブイヨンのほうです。じゃがいもをできるだけ熱いまま混ぜる、という指示ではありません。
ターフェルシュピッツのブイヨンがないときは?
原典には、野菜ブイヨンか牛肉ブイヨンで代用できると書かれています。塩を入れる前に、ブイヨンの塩気を確かめてください。
何人分ですか?
原典に記載がありません。分量はじゃがいも2kgで作る1回分で、人数は示していません。
どのくらい日持ちしますか?
原典に保存の指示はないため、日数は示しません。室温に置きっぱなしにしないでください。














