ハンギキョート ― 冷たい燻製ラムに、温かい白いソース
肉は冷たいまま、薄切りにして出します。そこに、温かくて穏やかな白いソースをからめたじゃがいもと、酸味のきいた甘い赤キャベツを添えます。主役は羊肉の塩気と燻製の香りで、2つの付け合わせがそのバランスをとります。
燻製の羊肉のロールをゆでて、煮汁の中で冷まし、薄く切ります。横には、白いソースで温めたじゃがいもと、赤ワイン、酢、砂糖で煮てつやよく仕上げた赤キャベツ。冷たい肉、温かいソース、酸っぱいキャベツが、ひと口の中で合わさります。Visit Icelandは、ゆでたハンギキョートを冷たいまま、ベシャメルのような白いソース、豆、じゃがいもと一緒に食べるのが、クリスマスイブの伝統的な料理だと紹介しています。
ハンギキョート(hangikjöt)は、すでに塩漬けと燻製を済ませた羊肉です。Slow Food Foundationは、羊のもも肉または肩肉を乾塩または塩水で漬けてから冷燻したものと説明しています。この記事では、生の羊肉を家庭で塩漬け・燻製にする方法は扱いません。出来上がった市販品から始めて、ゆでる、冷ます、付け合わせを作るところを自分の台所で行います。
このレシピは、Icelandic Lamb(íslenskt lambakjöt)が公開している6人分の作り方に沿っています。使うのは骨なしロール肉で、約1.5kg。重さに合わせてゆで時間を決めます。ソースと赤キャベツの分量も同じレシピのものです。骨付きの燻製ももを使う別の作り方もありますが、部位も時間も違うので、ここには混ぜていません。
このレシピは、世界ごはん紀行編集部が台所で試作したものではありません。時間は目安として、肉、じゃがいも、ソースの状態を見た目や手ざわりで確かめてください。肉製品のラベルに水さらしや加熱の指示がある場合は、ラベルに従います。
同じ国の料理は、アイスランドのレシピもご覧ください。
なぜクリスマスに燻製肉なのか ― 保存した肉が祝いの料理になるまで
文化史研究者のÁrni Björnssonが、アイスランド大学のサイトVísindavefurinnでこの習慣を説明しています。昔は、クリスマスに新鮮な肉を用意できない家庭がありました。そうした家庭にとっては、秋に燻製にして取っておいた肉が選択肢でした。やがて、冷たいハンギキョートがクリスマスの料理として定着していきます。20世紀までに家庭の食卓がどう変わったかも、その解説で語られています。こう読むと、この料理は大昔から変わらずにあったのではなく、冬の家庭が置かれた条件の中で育ってきたものだと分かります。
肉の作り方にも幅があります。Slow Foodの「味の箱舟(Ark of Taste)」によると、使うのはももか肩で、乾塩または塩水漬けにしてから冷燻します。燃料には乾燥させた羊の糞や白樺が使われることがあり、地域によって作り方が違います。Visit Icelandも、羊の糞でいぶすことに触れています。Slow Foodは、ハンギキョートが昼食にパンと一緒に食べられることにも触れています。クリスマスの食卓は大切な場面のひとつですが、唯一の場面ではありません。
付け合わせも家ごとに違います。学校のサイトに置かれている、アイスランドのクリスマス料理の英語の小冊子には、燻製肉に白いソースのじゃがいもを合わせる食べ方が出てきます。そのソースに砂糖を加える家庭があること、赤キャベツの作り方もさまざまであることも書かれています。このレシピでは付け合わせを1通りに絞り、じゃがいも入りのuppstúfurと赤キャベツにしています。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 肉のロールを曲げずに入れられる大きな鍋
- 氷水を張る、鍋より大きなボウルまたは清潔なシンク
- 肉と煮汁を冷やして冷蔵するための、清潔で浅い容器
- じゃがいもをゆでる鍋
- 赤キャベツを煮る小鍋
- 白いソースを作る小鍋
- 泡立て器と、木べらまたはゴムべら
- じゃがいもの火の通りを確かめる竹串か小さなナイフ
- キッチンスケール
- 肉を切るまな板と、よく切れる包丁。薄く切るので切れ味が大切です
選び方と代用
必要なのは、普通のラム肉ではなく、すでに塩漬けと燻製を済ませた羊肉です。 このレシピの分量と加熱時間は、骨なしのロール状で約1.5kgの製品用です。製品によって部位も塩気も燻製の強さも違うので、買う前にラベルを読んでください。骨付きの燻製ももは別の方法で火を通すため、ここに書いた時間は当てはまりません。
肉は、hangikjötまたはIcelandic smoked lambという名前で探します。輸入食品店や北欧の食品を扱う店で聞いてみてください。手に入るかどうかは場所によって違います。
普通のラム肉、燻製ハム、ほかの燻製豚肉は代用になりません。 塩漬けの羊肉の塩気と燻香こそがこの料理を作っているので、別の肉を使えば別の料理になります。ハンギキョートが手に入らない場合、このレシピは書いたとおりには再現できません。
ほかはふだんの買い物で足ります。バター、小麦粉、牛乳、じゃがいも、赤キャベツ、赤ワイン、赤ワインビネガー、砂糖、ローリエです。じゃがいもは、丸ごとゆでられる粘りのある品種か、万能タイプなら何でも使えます。大切なのは、ゆでて皮をむいた後で600gになることです。
ソースには乳(牛乳とバター)と小麦(小麦粉)が入っています。肉製品の原材料表示とアレルゲン表示、ワインとビネガーのラベルも確認してください。赤キャベツは赤ワインで煮ます。
しょっぱい、崩れる、だまになる ― 困ったときの対処
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 肉がとても塩辛い、または燻製の香りが強い | 製品によって塩気と燻香が違う | ラベルに水さらしの指示があれば従う。ソースは控えめに味つけし、切った肉と一緒に味見する |
| 切るときに肉が崩れる | 完全に冷める前に切った | 煮汁の中で冷まし、しっかり冷やしてから切る。骨付きももの加熱時間は使わない |
| ソースにだまができた | 牛乳を一度に入れすぎた | 牛乳は少しずつ加え、混ぜ続ける |
| ソースが鍋底に焦げつく | 火が強い、混ぜ方が足りない | 火を弱くし、混ぜるときに鍋底をなぞる |
| ソースが濃すぎる | 長く煮た、またはじゃがいもが水分を吸った | 牛乳を少し足してゆるめる |
| 赤キャベツの酸味が強すぎる | 酢と砂糖のバランス | 肉とソースの横に少量ずつ添える。調整した配合はこのレシピでは示しません |
保存と温め直し
火を通した肉とソースは、室温に長く置かないでください。火を通した料理は、鍋ごと氷水に当てるか、清潔で浅い容器に小分けして、すばやく冷まします。冷めたらすぐ冷蔵庫に入れます。肉は煮汁に浸したまま保存し、食べる分だけ取り出します。温め直すときは、全体をしっかり加熱してください。肉製品の保存方法は、ラベルの案内も確認します。
アレンジと食べ方
- 冷製で、祝祭の食卓に:この記事の基本です。肉を煮汁の中で冷まし、薄切りにして出します。
- 温かい肉で:肉を温かいまま出す家庭もあります。その方法は部位も加熱時間も違うので、このレシピでは扱いません。
- グリーンピースを添える:ゆでたグリーンピースは定番の付け合わせです。量は好みで添えてください。
- Laufabrauð:クリスマスに並ぶ、模様を切り込んで揚げた薄い「葉っぱのパン」です。別のレシピなので、ここには含めません。
- 肉に合わせてソースを調える:砂糖、塩、ナツメグの量は、使う製品の塩気と燻香に合わせて加減します。味見をしながら決めるのが基本です。
よくある質問
家庭でラム肉を燻製にして、ハンギキョートを作れますか?
このレシピでは扱いません。生の肉を塩漬けにして冷燻するのは専門的な食品加工で、塩、発色剤、温度のすべてを管理する必要があります。このレシピは、出来上がった市販品から始めます。
燻製ハムや普通のラム肉で代用できますか?
できません。塩漬けの羊肉の塩気と燻香が料理の中心なので、ハムや生のラム肉ではハンギキョートではなく別の料理になります。
なぜ肉を冷ましてから切るのですか?
Icelandic Lambのレシピは、肉を煮汁の中で冷ましてから、冷たいまま出します。学校のサイトにあるクリスマス料理の小冊子には、燻製ももを大きく切ると乾きやすいという注意もあります。しっかり冷えた肉は、薄く切りやすくもなります。
グリーンピースやlaufabrauðは必要ですか?
必要ありません。Icelandic Lambはグリーンピースとlaufabrauðを別の付け合わせとして挙げ、Visit Icelandも豆に触れていますが、分量は示されていません。肉、じゃがいも入りのソース、赤キャベツがあれば食事になります。
全体でどのくらい時間がかかりますか?
Icelandic Lambのページには、合計で約2時間と書かれています。同じページの個別の時間は、肉が重さ基準のゆで時間、ソースが約20分、キャベツが約1時間です。これらを足しても合計とはうまく合わず、じゃがいもをゆでる時間と肉を冷やす時間も別にかかります。工程ごとの時間で段取りを組み、肉は前日にゆでておいてください。
赤ワインなしで作れますか?
このレシピでは、赤キャベツに赤ワインを使います。ワインを使わない作り方は、ここでは扱っていません。


















