シュヴァインスハクセ:低温でじっくり焼き、最後に高温で皮を仕上げる
長時間の低温ローストで柔らかくなった骨まわりの肉と、最後にパリッと仕上がる皮。このレシピのすべてが、この2つの食感のためにあります。だから、何よりも買う肉の選び方が大事です。
皮も骨もついたままの豚の脚の塊が、オーブンから、こんがり色づいてパリパリになった皮をまとって出てきます。ポテトのクネーデル、ザワークラウト、焼き汁から作る濃い色のソースと並べて食卓へ。バイエルンを代表する肉料理のひとつ、Schweinshaxe(シュヴァインスハクセ)です。
バイエルン州の省が進める「Bavarian Culinary Heritage」は、Schweinshaxeを豚の脚のうち、膝または肘の関節から足根部の骨のあいだにあたる部位だと説明しています。そして、この焼き料理を、ブライン液で塩漬けにするSurhaxeとは別のものとして区別しています。この記事で作るのは焼くほうです。ドイツ観光局(German National Tourist Board)が公開しているバイエルン版のレシピに沿って、未塩漬け・未燻製の豚すね肉2本にキャラウェイ、塩、黒こしょうをすり込み、玉ねぎの上で焼き、黒ビールで仕上げます。
作り方の骨組みはシンプルで、低温で焼き、液体を加え、高温で仕上げるだけです。むずかしいのは、適した部位の肉を手に入れること、分量が書かれていない箇所のあるレシピを読み解くこと、そして時計ではなく温度計で火の通りを確かめることの3点です。それぞれ、この先で順に取り上げます。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 2本の肉が余裕をもって入る、深めの耐熱ローストパン
- 皮に切り込みを入れる、小さくてよく切れる包丁と、安定したまな板
- キャラウェイを挽くための乳鉢とすりこぎ、またはスパイスミル
- 肉の中心まで届く中心温度計(プローブ型)
- オーブンミトン
- 焼き皿をこそげるための木べら
- 焼き汁を冷ましてブレンドするための、深くて耐熱性のある容器
- ブレンダーと、ソースをもう一度沸かすための小鍋
- 計量スプーンと計量カップ
- 焼き上がった肉をのせる清潔な皿。生の豚肉に触れたものとは別にしておく
選び方と代用:変えてよいところ、変えられないところ
肉だけは、ほかのものに替えられません。 精肉店で、皮付き・骨付き・未塩漬け・未燻製の豚すね肉(shank)を頼みましょう。前脚でも後脚でもかまいません。店頭には、皮や骨を取り除いたすね肉が多く並びますし、「豚すね肉」と書かれていても塩漬けや燻製のものは少なくありません。塩漬けの肉を使うと、Surhaxeなど別の料理に近づいてしまいます。皮のない肉や、肩のような別の部位のローストでは、このレシピが目指すパリッとした皮にはなりません。事前に注文しておくのがいちばん確実です。
キャラウェイとクミンは別のスパイスです。 ドイツ語のKümmelはキャラウェイを指します。クミンは香りの違う別の香辛料なので、代わりにはなりません。キャラウェイが見つからなければ、省いて、香りが変わることを受け入れてください。
スパイスのクローブと、にんにくの片。 Gewürznelkenは、丸ごとのクローブとして売られている乾燥した花のつぼみです。Knoblauchzehenはにんにくの1片のことです。このレシピは両方を使うので、どちらも用意してください。
ビール。 レシピが求めているのは黒いラガーです。ドイツ産が見つからなければ、ほかの黒いラガーか黒ビールでも作れますが、麦芽の香りや苦みは変わります。アルコールを避けたい場合は、水かノンアルコールの代替品も使えます。ただしソースの麦芽の香りと軽い苦みはかなり失われるので、レシピの変更として扱ってください。
とろみ付け。 レシピはコーンスターチを使います。ポテトスターチ(じゃがいもでんぷん)でもとろみは付きますが、ソースの濃度と透明感は少し変わります。
うまくいかないときの戻し方:皮、焼き皿、ソース
| 状況 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 皮がパリッとしない | 皮が取り除かれている。または高温の仕上げの時間が足りない | 皮付きの肉なら、200°Cの仕上げを続けて皮を見守る。皮なしの肉では、パリッとした皮は望めない |
| 皮が早く黒ずむ | 薄い皮や、むらのある皮が高温にあたっている | 200°Cでは目を離さず、皮がパリッとして、中心温度が安全な温度に達していたら取り出す |
| 焼き皿が乾く、焦げつく | 水が少なかった、または液体が蒸発した | 焼き皿に少し水を足す。残りの焼成中も、もう一度確認する |
| 中心が75°Cに達していない | すね肉が大きい、またはオーブンの癖が違う | 焼き続けて、もう一度測る。時間だけで判断しない |
| ソースが薄い | 焼き皿に液体がたっぷり残っている | 沸かして、冷水大さじ1で溶いたコーンスターチ大さじ1を加える |
| ソースにスパイスの味が出すぎる | 月桂樹やクローブも一緒にブレンドした | 次回は、ブレンドの前に取り除く |
食卓へ:クネーデル、ザワークラウト、濃い色のソース

Bavarian Culinary Heritageは、クネーデル(Knödel)、ザワークラウト、黒ビールのソースを、典型的な付け合わせとして挙げています。バイエルン放送協会(BR)のオーブン焼きのレシピも、じゃがいものクネーデル(Kartoffelknödel)か、ゆでじゃがいも(Salzkartoffeln)にザワークラウトを添えることを勧めています。ドイツ観光局のレシピは、ビールやワインなどの飲み物を、任意の組み合わせとして挙げています。どちらも必須ではありません。
Bavarian Culinary Heritageによると、かつては自家飼育の豚が肉の主な供給源で、動物は足先まで使い切られたそうです。同じ資料は、クネーデルを添えたシュヴァインスハクセが、19世紀末から地域の料理として認識されるようになったとも述べています。
「Haxe」という言葉の由来については、Bavarian Culinary Heritageが、古い形のhahsinaとのつながりを含めて紹介しています。ただし、あくまで説の1つとしての紹介なので、定まった語源として覚えないほうがよいでしょう。
味付けにも、ひとつの決まった標準はありません。Bavarian Culinary Heritageは、塩、こしょう、にんにくを、典型的なバイエルンの味付けだと説明しています。ここで使ったドイツ観光局のレシピは、そこにキャラウェイ、玉ねぎ、月桂樹、クローブ、黒ラガーを加えています。ほかのレシピは、また違う道筋をとります。
| 版 | 違い | 出典 |
|---|---|---|
| このレシピ(バイエルン) | 未塩漬けのすね肉、キャラウェイをすり込む、150°Cで焼き、ビールと水を加え、200°Cで仕上げる | ドイツ観光局 |
| BR(Alexander Herrmann) | 先に塩水で煮てから、皮に切り込みを入れ、180–200°Cで30–45分焼く。野菜の煮汁と麦芽ビール(Malzbier)を使う | バイエルン放送協会 |
| フランケン風Bierhaxe | ビールとスープに、ジュニパー、マジョラム、タイムを使う。切り込みを入れて、約200°Cで1.5–2時間焼き、焼き汁をソースにする | Tourismusverband Franken |
| Surhaxe | ブライン液で塩漬けにするので、焼くシュヴァインスハクセとは別の料理 | Bavarian Culinary Heritage |
これらは別々のレシピです。時間、温度、材料を、上の作り方に混ぜないでください。同じ国のほかの料理は、ドイツの料理でも紹介しています。
よくある質問
シュヴァインスハクセ、Surhaxe、Eisbeinは同じものですか?
肉の部位は重なりますが、調理法は同じではありません。Bavarian Culinary Heritageは、焼く未塩漬けのシュヴァインスハクセと、ブライン液で塩漬けにするSurhaxeを区別しています。このレシピは未塩漬けの焼くタイプなので、塩漬けや燻製をしていない肉を買ってください。
皮のない豚すね肉でも作れますか?
おすすめしません。パリッとした皮はシュヴァインスハクセの中心で、皮がなければ違うローストになってしまいます。
焼き時間だけで、焼き上がったと判断できますか?
できません。すね肉の大きさもオーブンも違いますし、最後の皮の仕上げの時間は原典に書かれていません。温度計を使い、いちばん厚い部分の中心が75°Cで1分以上になっていることを確かめてください。
キャラウェイをクミンに替えてもよいですか?
同等のものとしては替えられません。香りも味も違います。キャラウェイがなければ、クミンで代用するよりも、省くほうがまだ正直な変更です。どちらにしても、香りは元のものとは変わります。
ビールなしで作れますか?
作れます。水かノンアルコールの代替品を使いますが、ソースから黒ラガーの麦芽の香りと苦みの多くが失われます。元の料理にどこまで近づけるかとの引き換えになります。

















