スキールは、乳清を切って仕上げるアイスランドの乳製品
スキールがスプーンですくえる厚みになるのは、かき混ぜて濃くするからではなく、カードの水分を切るからです。温度は温度計で測り、カードはナイフで確かめてください。時間はあくまで目安です。
スキールは、象牙色でとろりと厚みのある乳製品です。スプーンですくい、そのままでも甘くしても食べます。朝食やおやつに出ることが多く、見た目も食べ方も濃厚なヨーグルトによく似ています。ただ、スローフード財団は、伝統的なアイスランドのスキールを酸で固めた牛乳のフレッシュチーズと説明しています。使い方や食感は似ていても、ヨーグルトではないとしています。違いは作り方にあります。牛乳を固めてカードにし、そのカードを布でこして乳清を落とすのです。
現在の市販のスキールはさまざまな方法で作られています。この記事のレシピは、家庭で作るための一つの方法です。チーズ作りの専門店ヒェメリエット(Hjemmeriet)が公開している家庭向けレシピ1本にもとづいています。脱脂乳2リットルに、スターターとして新鮮なスキール大さじ1、レンネット2滴を使います。同レシピが示す目安の仕上がりは、スキール約1リットルと乳清約1リットルです。得られる量は牛乳や道具によって変わるので、おおよその目安として考えてください。
このレシピは世界ごはん紀行編集部では試作していません。収量と所要時間も実測していません。また、レンネットは製品によって強さが違います。始める前に、お使いのレンネットのラベルを読んでください。
アイスランドでの食べ方と、受け継がれてきた位置づけ
ノースアイスランド観光局(Visit North Iceland)は、スキールを入植の時代から作られてきたアイスランドの特産品と紹介しています。牛乳は脱脂乳が普通で、乳酸菌の培養物とレンネットで固めるとのことです。同じ観光情報では、スキールはチーズに比べて比較的安価に作ることができ、それがアイスランドのチーズ作りの伝統が衰えた理由の一つらしいとも述べています。起源の年を特定することは、ここではしませんし、楽しむうえで必要でもありません。
スローフード財団は、伝統的な職人の製法の特徴をいくつか記録しています。前回作ったスキールをスターターとして引き継ぐこと。固まりが弱いときは子牛のレンネットを加えることがあること。カードは布でこすこと。この職人の製法は、下の家庭レシピとは別のものなので、数値を混ぜることはしません。
スキールの位置づけも時代とともに変わってきました。ヨン・ソル・ペトゥルソンとヴァルディマル・トル・ハフシュタインの査読論文(『Journal of American Folklore』2022年)は、スキールが日常の食べ物から国の食文化遺産へと変わっていった経緯を扱っています。ブランド化や国際市場が、その遺産の物語をどう形づくるかも論じています。この論文は、現代のマーケティングの語りを、古代から変わらない伝統の素直な証拠として読むことに警告を発しています。ほかのアイスランド料理はアイスランドの国別ページもご覧ください。

食卓では、プレーンのまま、砂糖を添えて、あるいはクリームや牛乳をかけて食べます。ビジット・アイスランド(Visit Iceland)は、アイスランドで試したい食べ物として、野生のビルベリーとクリームを添えたスキールを勧めています。アイスランド以外では、栽培種のブルーベリーをビルベリーの代わりにできます。ただし代用品なので、味は同じになりません。
道具
- ふた付きの厚手の鍋
- 86〜90°Cと39°Cが測れる温度計
- 鍋を包むタオル
- 長いナイフ
- ざる
- 清潔なチーズクロスまたは同様の布
- ざるを載せられる大きさの、乳清を受けるボウル
選び方と代用
スターター。 伝統的な方法では、前回のバッチのスキールを使います。初めて作るときは、生きた菌を含む市販のプレーンスキールを使ってください。新鮮なスキールが手に入らなければ、プレーンヨーグルト、サワークリーム、バターミルクでも作れますが、風味が変わります。新鮮なスキールのほうが望ましいです。これらを使うと、伝統的な方法でスターターを引き継いだスキールではなく、スキール風の水切り乳製品になります。
レンネット。 レンネットは強さも形状もさまざまです。このレシピの2滴が、どの製品にも安全な量とは限りません。お使いのレンネットと牛乳の量に合わせて、ラベルの指示に従ってください。粉末や錠剤を「2滴分」に推測で換算するのはやめてください。
牛乳。 脱脂乳を使います。
うまくいかないときは
| 見えるようす | 見るところ | 対処 |
|---|---|---|
| ナイフの切り口が閉じてしまう | カードがまだしっかり固まっていない | 保温したまま、もう少し時間をおいてから、また試す |
| 牛乳がほとんど固まらない | スターターを入れたときの温度、レンネットの量、スターターの菌が生きていたか | 牛乳が39°Cだったか、レンネットの量がラベルどおりだったか、スキールが生きた菌を含むプレーンだったかを確かめる。伝統的な製法では、固まりが弱いときに子牛のレンネットを加えることがある |
| 水切りしてもまだやわらかく水っぽい | 水切りの時間とカードの層の厚さ | 12〜24時間の範囲で、冷蔵庫でさらに水を切る。層が7〜9cm以下になるように広げる |
| 買ったスキールと風味が違う | スターター | ヨーグルト、サワークリーム、バターミルクのスターターは風味を変える。次回はプレーンの新鮮なスキールを使う |
アレンジと食べ方
- アイスランド風: 野生のビルベリーとクリームを添えます。
- 日常の食べ方: そのまま、または少量の砂糖と牛乳かクリームを添えて、朝食やおやつに。
- ブルーベリーで: ビルベリーが手に入りにくいときに使います。ベリーの風味は変わります。
- 別のスターター: スキールがなければ、プレーンヨーグルト、サワークリーム、バターミルクを使います。風味が変わるため、伝統的なものではなく、スキール風の乳製品になります。
よくある質問
スキールは、ただの濃厚なヨーグルトですか?
いいえ。食べ方はヨーグルトに似ていますが、スローフード財団は、伝統的なスキールを、カードを布でこして作る酸凝固のフレッシュチーズと説明しています。厚みは、乳清を切ることから生まれます。
レンネットは何をするのですか?
ナイフの切り口を保てるほどしっかりしたカードに、牛乳を固める働きを助けます。ノースアイスランド観光局は、スキール用の牛乳は普通、乳酸菌の培養物とレンネットの両方で固めると述べています。製品によって強さが違うので、お使いのレンネットのラベルに従ってください。
なぜ牛乳を高温まで加熱してから、そこまで冷ますのですか?
このレシピは、牛乳を86〜90°Cまで加熱し、スターターを入れる前に39°Cまで冷まします。熱いうちにスターターを入れるのは、この方法に含まれません。温度計が39°Cを示すまで待ってください。
手作りのスキールはどのくらいもちますか?
清潔なふた付き容器に入れて冷蔵庫で保存し、清潔な器具を使ってください。この記事が参考にした家庭向けレシピは、目安として4〜5日としています。それ以上は延ばさないでください。
できたものを次のバッチのスターターにできますか?
前回のバッチからスターターを引き継ぐのは、スローフード財団が記す伝統的な方法の一部です。この家庭向けレシピはその形では試していないので、何回引き継げるかの案内はしません。















