炒めた薄切り牛肉と玉ねぎ、溶けたプロボローネを長くて柔らかいロールに詰めたチーズステーキ
🌍ジャンルアメリカ・フィラデルフィア料理

フィラデルフィアのチーズステーキ|薄切り牛肉と玉ねぎ、とろけるチーズを長いロールに

世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方

STEP 11 / 6

玉ねぎ、牛肉、ロールを準備する

手順1: 玉ねぎ、牛肉、ロールを準備する

玉ねぎは縦に薄切りにします。牛肉が薄切りでなければ、繊維を断つ向きに小さく切ります。しゃぶしゃぶ用の極薄切りなら、重ねて粗く刻みます。

ロールは、片側をつなげたまま横に切り込みを入れ、蝶番のように開けるようにします。ロールとそのまな板は、生の牛肉と皿から離しておきます。

STEP 22 / 6

玉ねぎを炒めて取り出す

手順2: 玉ねぎを炒めて取り出す

フライパンを中火で温め、油を少量使って玉ねぎを炒めます。目安は5〜7分です。透明になって縁に薄い焼き色がついたら皿に移します。濃い飴色にはしません。このサンドの玉ねぎは甘いソースではなく、牛肉に混ぜ込むものだからです。

STEP 33 / 6

牛肉を広げて手早く焼く

手順3: 牛肉を広げて手早く焼く

フライパンを強めの中火にし、牛肉は一度に詰め込まず広げて入れます。フライパンが小さければ数回に分けます。塩こしょうを軽くふり、へらで薄切りをほぐしながら焼きます。合計で2〜4分が目安で、赤い生の部分がなくなり表面に焼き色がついたら次に進みます。肉が乾くまで炒め続けないでください。

赤みが消えたことは、確認を続けるサインであって、火が通った証拠ではありません。肉は中心まで十分に加熱します。ここでの家庭向けの基準は、中心75℃で1分以上です。まだ達していなければ、時間の目安にかかわらず加熱を続けます。

STEP 44 / 6

玉ねぎを戻して合わせる

手順4: 玉ねぎを戻して合わせる

玉ねぎをフライパンに戻し、へらで牛肉にざっと混ぜます。肉と玉ねぎが混ざりつつ、玉ねぎの存在はわかる程度にします。この段階では、まだチーズはのせません。

STEP 55 / 6

肉の上でチーズを溶かす

手順5: 肉の上でチーズを溶かす

フライパンの中で牛肉と玉ねぎを4つの山に寄せ、それぞれにプロボローネを2〜3枚ずつのせます。お好みでフライパンの縁に水小さじ1を落とし、蓋を短くかぶせます。目安は約1分です。チーズが肉に沿って溶けたら火を止めます。

蓋を使ってチーズを溶かすのはフライパン用の家庭向けのやり方です。

STEP 66 / 6

ロールに詰めて、すぐ食べる

手順6: ロールに詰めて、すぐ食べる

生の牛肉に触れていないまな板か皿の上でロールを開き、幅広のへらで牛肉・玉ねぎ・チーズの山をひとつずつ滑り込ませます。パンがしけないうちにすぐ食べます。紙で包んで1分ほどなじませるのは任意の家庭向けの工夫で、現地で決まった作法ではありません。

牛肉は広げて焼くほど、蒸れずに香ばしく仕上がります。一度に入れすぎないことが、肉をやわらかく保ついちばんの近道です。

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Ingredients

材料

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

薄切り牛肉、玉ねぎ、プロボローネ、長いロール、油、塩、こしょうを並べたチーズステーキの材料
4人分の牛肉、玉ねぎ、チーズ、ロール。油と塩こしょうは少なめに
7品目

具とロール

材料 分量 代替・備考
牛リブアイ(薄切り) 680g 旨みと脂。しゃぶしゃぶ用の極薄切りなら重ねて粗く刻む
黄玉ねぎ 1個(約180〜220g) 甘みと香り。縦に薄切り
くせのない植物油(大豆油など) 15mlから 熱したフライパン用。玉ねぎや肉で足りなければ少しずつ足す
塩 約3g 肉の下味。チーズの塩気があるので控えめに
黒こしょう 約0.5g 香りづけ。挽きたて
長いサンドイッチロールまたはイタリアンロール 4本(約18〜23cm) 皮は軽く、中は柔らかいもの
プロボローネのスライス 8〜12枚(約160〜240g) 1個につき2〜3枚。溶けて肉をまとめる

牛肉、玉ねぎ、ロールの比率は、4個分でリブアイ24オンス(約680g)、大きな玉ねぎ1個、ロール4本です。ここでは、この合計を4等分しています。

油、塩、こしょう、チーズの量は、家庭の台所向けの出発点です。油は大さじ6では家庭のフライパンには多すぎるため、少量から始め、肉から出る脂を見ながら足します。

アレルギーと食品衛生

チーズには乳が含まれます。ロール、プロセスチーズ、チーズソースの表示で、小麦・乳などのアレルゲンを確認してください。生の牛肉に使った皿・まな板・道具は、パンや焼いた具に使うものと分けます。生肉の色の変化だけを頼りにせず、薄切り肉も中心まで十分に加熱してください。ここで使う家庭向けの確認条件は厚生労働省の示す、中心が75℃に達してから1分以上加熱することです。写真の焼き色は温度確認の代わりになりません。

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熱い鉄板の牛肉とチーズ、そして長いロール

このサンドで守りたいこと

熱い面で手早く焼いた薄切り牛肉。肉にからむように溶けたチーズ。ソースではなく肉に混ぜ込む玉ねぎ。中が柔らかい長いロール。この4つが、どんな追加の具よりも大切です。

薄切りの牛肉が熱い鉄板に広がり、縁から色づいていきます。炒めた玉ねぎが戻り、上でチーズがゆるみ、熱々のひと山が長いロールにするりと収まる。フィラデルフィアのチーズステーキの核は、薄切りまたは刻んだ牛肉、溶けたチーズ、お好みで玉ねぎ、そして長いロールです。

この料理の元祖を名乗る店は、ホットドッグの屋台で牛肉を焼き、玉ねぎと一緒にイタリアンロールにはさんだのが始まりだと説明しています。チーズは、同じ説明によると後から加わりました。いまではフィラデルフィアを代表する名物として旅行者に知られ、地元の人にとってはその場で食べても持ち帰ってもよい、気軽な食事でもあります。

家で作るとき、成否を分けるのは肉の薄さとパンの選び方の2点です。この記事では、その2点を軸に4人分の家庭版を組み立てます。分量は家庭のフライパン向けに編集部が定めた出発点であり、どこかの店の計量値でも、フィラデルフィアの店の味を正確に再現したものでもありません。

呼び名

「Cheesesteak」は一語で綴ります。フィラデルフィア風だとはっきり示したいときは「Philly cheesesteak」とも呼ばれます。

具をのせるほど本格的になるわけではない

チーズステーキは、具を増やすほど「本場」に近づく料理ではありません。観光局のVisit Philadelphiaは、現地でよく見る形を、薄切りまたは刻んだリブアイ、溶けたチーズ、好みで揚げ玉ねぎ(炒め玉ねぎ)、長いロール、と説明しています。肉の刻み方、使うパン、のせるチーズは店ごとに違い、決まりごとと同じくらい個人の好みが物を言います。

この輪郭は、似たサンドとの違いも見せてくれます。ステーキを切って挟む一般的なアメリカのステーキサンド、冷たい具を重ねるニューヨークのデリ風サブ、ニューオーリンズのポーボーイは、いずれも長いパンのサンドイッチです。ただ、薄切り牛肉を熱い面で焼き、溶けたチーズと長くて柔らかいロールで受ける、というこの組み合わせとは別ものです。

この記事の基本形は玉ねぎ入りで、ピーマンもマッシュルームも入れません。ピーマンやきのこなどは、店や客が選ぶ追加として、あとの節で変化案に回しました。

牛肉・チーズ・パンの選び方

プロボローネ、白いアメリカンチーズ、チーズソースを並べたチーズステーキのチーズの選択肢
プロボローネ、白いアメリカンチーズ、チーズソースは溶け方も味も違うので、焼く前に決めておく

牛肉。 リブアイ(リブロース)は旨みと脂が出ます。Pat's King of Steaksが提供し、Food Networkに載ったレシピでも、使うのはリブアイまたはアイロール(eye roll)です。精肉店に薄切りを頼むのがいちばん簡単でしょう。しゃぶしゃぶ用などの極薄切りも使えますが、薄すぎて裂けることがあるので、数枚重ねて粗く刻みます。肩ロースのような別の部位に替えると、脂の量と噛み応えが変わります。かたまりを自分で薄切りにするなら、包丁が安定して入るところまで冷やす程度にとどめ、完全に凍った肉を無理に切らないでください。

チーズ。 現地の代表はチーズウィズ(Cheez Whiz)、白いアメリカンチーズ、プロボローネです。プロボローネは穏やかな味で、よく溶けて肉をまとめます。白いアメリカンチーズのようなプロセスチーズのスライスは手に入りやすく、とろけやすい一方、塩気と乳の風味が変わります。チーズウィズは現地の定番ですが、日本で常に手に入るとは限りません。チェダー系のチーズソースで代えることはできるものの、ウィズとは同じ味になりません。

パン。 皮が軽く、中が柔らかい長いサンドイッチロールかイタリアンロールを選びます。硬いバゲットは顎が疲れ、かじるたびに具が押し出されがちです。


使う道具

  • 幅広のフライパン
  • フライパンに合う蓋(ガラス蓋ならチーズの溶け具合が見える)
  • 金属のへら、そして具をロールに移すための幅広のへら
  • 玉ねぎとパンを切る包丁とまな板(生の牛肉に触れたものとは分ける)
  • 生の牛肉用の皿と、炒めた玉ねぎ用の別の皿
  • 中心温度を確かめる調理用温度計
  • 包み用の無地の紙(なくてもかまいません)

肉が固い、パンが硬いときの立て直し

困りごと 考えられる原因 対処
肉が固い、乾く 一度に入れすぎて蒸し焼きになった、または焼きすぎた 次は数回に分けて広げて焼き、火が通ったらすぐ玉ねぎを戻す。固くなった肉を少量の水で蒸し直しても、ジューシーさは完全には戻らない
肉が水っぽい 冷凍肉を解凍したときの水分、または一度に入れすぎた 肉の表面の水けを拭き、フライパンをよく温めて、少量ずつ焼く
パンが硬い 硬いバゲットを使った 長くて柔らかいロールを選び、切り口を軽く温める程度にする。パンを焼き固めない
チーズが溶けない チーズが厚い、または蒸気が足りない 薄いスライスにするか、蓋を短くかぶせる。水が多いとパンがしけるので、小さじ1ずつ加える
玉ねぎが焦げる 火が強い、油が少ない 中火以下に落として油を少し足す。黒く焦げたところは苦みの原因なので取り除く

肉が固くなるのは、たいてい厚切りのステーキのように焼いてしまったときで、広げて手早く焼けばほぼ防げます。ただし、焼く時間が短くてすむことは、中心まで熱が通る前に止めてよい理由にはなりません。


「wit」か「witout」か|現地の注文とチーズの選び方

紙で軽く包んで片手で持ったチーズステーキ。牛肉とチーズが見える
紙に包み、手で持って食べるのが気軽な食べ方

フィラデルフィアでの注文は短く済みます。先にチーズを伝え、そのあと玉ねぎの有無を言います。「wit」は玉ねぎあり、「witout」は玉ねぎなしの意味です。「Whiz wit」ならチーズウィズで玉ねぎあり。この注文のしかたも、サンドそのものと並んで地元の食文化の一部です。

チーズの選び方は、家で作るサンドの味も変えます。

チーズ 味わい 選ぶとき
プロボローネ 溶けて肉をまとめる。穏やか このレシピの基本形
白いアメリカンチーズ 手に入りやすく、よく溶ける。塩気と乳の風味が異なる 手早くむらなく溶かしたいとき
チーズウィズ 現地の定番 チェダー系ソースが近い代用だが、同じ味ではない

玉ねぎも任意です。「witout」にするなら玉ねぎを抜いて、牛肉とチーズだけで食べます。

1930年の屋台から、街のサンドへ

チーズステーキの始まりは、一通りに語られているわけではありません。Pat's King of Steaksが自社で公開している歴史によると、Pat Olivieriが1930年にホットドッグの屋台で牛肉を焼き、玉ねぎと一緒にイタリアンロールにはさんで出し、チーズは後から加わったそうです。これは店自身の説明で、第三者が確かめたものではありません。Visit Philadelphiaも、Patを中心にした1930年の話を紹介しています。一方、ラトガース大学とともに公開されている地域史のエッセイ「Encyclopedia of Greater Philadelphia」は、HarryとPatのOlivieri兄弟の名を挙げています。

どの説明にも共通するのは、先にステーキのサンドがあり、チーズが後から加わったという流れです。誰が最初にチーズを加えたのか、それがいつだったのかは資料の間で定まっておらず、確定した史実ではなく地元の伝承として読むのがよいでしょう。

そこから、このサンドは店を通じて街の名物に育ちました。肉の刻み方、パン、チーズは店ごとに異なり、その違いが地元の好みと近所への誇りを支えています。家庭版が特定の店をなぞらなくてよいのも、そのためです。 アメリカ料理もあわせてご覧ください。

豆知識

店によって注文の言い回しが違っても、「チーズを先に言い、玉ねぎの有無を添える」という順番はよく知られた約束ごとです。短い言葉で通じる注文は、気軽に立ち寄る食事らしさを映しています。

ピーマンは入れる? 基本形と変化を分ける

Visit Philadelphiaは、ピーマン、マッシュルーム、ケチャップをよくある追加として挙げる一方、ベルペッパー(ピーマン)は伝統的な基本形とは区別しています。Food Networkに載ったPat'sのレシピも、甘みのあるピーマンとマッシュルームは任意の扱いです。つまり、次の変化のどれも「唯一の正しい形」とは言えません。

変化 作り方 変わること
ウィズ風 スライスの代わりに、チェダー系のチーズソースを具にかける 「Whiz」の注文に近づくが、チーズウィズそのものとは違う
プロボローネ 本文のレシピどおり 穏やかなチーズが肉をまとめる
白いアメリカンチーズ プロボローネを白いアメリカンチーズのスライスに替える よく溶ける。塩気と乳の風味が変わる
ピーマン入り ピーマンを別に炒めて添える 基本形から離れる。玉ねぎと牛肉の存在感が消えないよう別炒めにする
マッシュルーム入り 炒めたマッシュルームを加える 店や客が選ぶ追加で、基本形ではない

食べ残しと温め直し

チーズステーキは、作ってすぐ食べるのが最もおいしい料理です。具が余ったら、浅い容器に小分けして急いで冷まし、冷蔵します。温め直すときは、中心まで十分に加熱します。具を詰めた状態で保存するより、パンと具を分けておくほうが、ロールがしけずにすみます。保存期間はここでは示せないので、余りを長く取っておく前提にせず、食べきれる分だけ作ってください。

よくある質問

リブアイ以外の部位でも作れますか?

作れますが、脂の量と噛み応えが変わります。Pat'sのレシピはリブアイかアイロールを挙げています。肩ロースのような部位もおいしく食べられますが、食感は違います。どの部位でも、薄く切ることがこのサンドの要です。

プロボローネが手に入らないときは?

白いアメリカンチーズはよく溶け、現地でも選ばれるチーズですが、塩気と乳の風味が変わります。チェダー系のチーズソースにすればウィズ風に近づきますが、チーズウィズと同じ味にはなりません。

ピーマンは必須ですか?

必須ではありません。フィラデルフィアの基本形は、牛肉、チーズ、お好みの玉ねぎ、ロールです。ピーマンはよくある追加のひとつです。

バゲットで代用できますか?

できますが、硬いバゲットはかみ切りにくく、具が押し出されがちです。中が柔らかい長いロールのほうが食べやすいでしょう。

作り置きはできますか?

作ってすぐ食べるのが基本です。具を多めに焼いたら、浅い容器で急いで冷まして冷蔵し、パンは別にしておきます。食べるときは具を中心まで十分に加熱してから、新しいロールに詰めてください。

主な参考リンク

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