朝食の皿に、手のひらほどのパンケーキが小さく積まれています。いちばん上ではバターがゆっくり溶け、メープルシロップが側面を伝って皿にたまっていきます。厚みのある、やわらかい丸いパンケーキにバターとメープルシロップを添える。スミソニアン・マガジンも、これを米国で広く知られた食べ方として紹介しています。
この高さを支えるのは生地です。酸味のあるバターミルクにベーキングパウダーと重曹を合わせ、焼く前に少し休ませます。この記事ではキング・アーサー・ベーキングの「Buttermilk Pancakes」というひとつの配合だけに沿って、配合は一つに絞り、返す時機は泡と色で見るところまで案内します。バターミルクが手に入らないときの代用も、原典に書かれた範囲で正直にお伝えします。
米国式パンケーキは、厚みと酸味で見分ける
粉気が消える程度にだけ混ぜた生地、熱いけれど焦がさない面、表面の泡と底の色で決める返す時機。トッピングよりも、この3つが仕上がりを左右します。
英語で「パンケーキ」と呼ばれる料理は世界中にあり、名前が同じでも同じ料理とは限りません。スミソニアン・マガジンの概説も、地域ごとに粉、水分、膨らませ方が違うと述べています。薄いクレープ、発酵生地で餡を包む韓国のホットク、セモリナ粉の生地に無数の穴があくモロッコのバグリール、食事に合わせて食べる薄い発酵パンケーキ、ソマリアのカンジェーロ。どれもそれぞれの台所の料理です。ナイジェリアの発酵した米の生地で作るシナサールのように、「パンケーキ」と訳される別の料理もあり、小麦粉とバターミルクで焼くこの料理とは別物です。
この記事で扱うのは、もっと範囲を絞った型です。ベーキングパウダーと重曹で膨らませる、米国式のバターミルク・グリドルケーキで、生地を1/4カップずつ落として直径約10cm(4インチ)に焼きます。バターミルクの酸味がやわらかな風味を生み、重曹との反応が生地を持ち上げます。パンケーキ一般ではなく、この見慣れた形に絞って作ります。
バターとメープルシロップが並ぶ朝食の食卓
スミソニアン・マガジンのパンケーキ史では、フードライターのメリッサ・クラークが、平たい形は火が通るのが早く、小さければ食べやすいと語っています。生地は簡単で、1枚が熱い面にいるのも数分です。ふつうの朝でも、パンケーキの朝食が成り立つ理由のひとつでしょう。
同じ概説は、パンケーキの長い世界史や、中英語の時代にさかのぼる英単語「pancake」の古さを、米国固有の話とは分けて扱っています。そのためこの記事も、パンケーキが米国で生まれたとは書きませんし、メープルシロップ自体の歴史にも踏み込みません。残すのは、米国で思い浮かべられる味の軸だけです。少し酸味のあるバターミルクの生地に、バターと純メープルシロップを合わせる。日本の台所でも再現できるのは、この組み合わせです。
平らになった、焦げた、崩れたときの直し方
うまくいかないときの原因は、生地の扱い、面の温度、返す時機のどれかに行き着くことがほとんどです。混ぜすぎず、小さなダマは残してかまいません。手順はここまでのものに従ってください。
| 症状 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 平らで詰まっている | 生地の混ぜすぎ、膨張剤の量り間違いや古さ、予熱不足 | 粉気が消える程度にだけ混ぜる。ベーキングパウダーと重曹を正確に量る。休ませている間にフライパンを温める。足りない分を補おうと膨張剤を増やさない |
| 外が焦げて中が生 | 火が強すぎる | 中火から始め、1枚目の焼き色を見て調整する |
| 白っぽく、色づくのが遅い | 火が弱すぎる | 火を少し強めて、次の1枚で確かめる |
| 返すときに崩れる | 泡が出る前、底に色がつく前に動かした | 泡と焼き色の合図を待ってから、返しべらを差し込む |
| 隣同士がくっつく | 間隔が狭い | 一度に焼く枚数を減らし、1枚あたり1/4カップを守る |
日本でそろえる材料と道具
この料理に、特別な買い物はほとんどいりません。小麦粉、砂糖、ベーキングパウダー、重曹、塩、卵、バター、牛乳はどれも日常の食材です。探す価値があるのはバターミルクくらいで、見つかったら書かれたとおりに使ってください。酸味も液体の量も、そのまま保てます。
見つからないときは、ギリシャヨーグルトと牛乳の組み合わせで代用します。風味ととろみは少し変わります。食卓に出すシロップは、原材料の表示を確認してください。「純メープルシロップ」とパンケーキシロップ(調整シロップ)は同じ商品ではありません。この組み合わせの風味を楽しみたいなら、純メープルシロップを選びます。道具は普通のフライパンで足ります。ホットプレートは、頻繁にパンケーキを焼く家庭にとっての便利道具です。
食べ方と、基本を崩さない変化案

定番の仕上げは簡単です。パンケーキを積み、上にバターをひとかけ乗せ、食卓でメープルシロップをかけます。生地自体の甘さは控えめなので、甘みの大半はシロップが担います。かける量は食べる人が決められます。
以下は編集部の提案です。どれも材料表の分量は変わりません。
- バターと純メープルシロップ 基本形です。バターミルク生地の味がそのままわかります。
- ブルーベリーを添える 焼き上がったパンケーキの上や横に置くだけで、生地と焼き方は変わりません。
- ブルーベリーを生地に混ぜる 焼き上がりや色づきに影響しうるので、自分で試す工夫として扱ってください。
- スライスしたバナナ 現代の家庭でなじみのある添え方です。
- ヨーグルトと果物 シロップを控えめにして、甘さを調整したいときに向きます。
よくある質問
牛乳だけでバターミルクの代わりになりますか?
牛乳だけでは、バターミルクの酸味も、重曹が反応する酸もなくなってしまいます。代用するなら、無糖のギリシャヨーグルト2/3カップと牛乳1 1/3カップです。バターミルクと比べると、風味ととろみは少し変わります。
小さなダマは取り除くべきですか?
取り除かなくて大丈夫です。大きな乾いた粉だまりが残らない程度になめらかに混ぜたら止めてください。混ぜ続けると、パンケーキがやわらかさを失います。
返すタイミングはどう見分けますか?
表面に泡が出て、底が焼き色づいたときです。片面1〜2分が目安ですが、時間より泡と色を先に信じてください。
何人分ですか?
直径約10cmのパンケーキが14〜16枚できます。何人分になるかは、ひとりが何枚食べるかで変わります。
余ったパンケーキは冷凍できますか?
焼いた当日に冷凍し、250°Fのオーブンで温め直します。保存期間は家庭の設備によって変わるため、この記事では期間を約束しません。
まとめ
米国式のバターミルクパンケーキは、配合を守る、泡と底の色で返す、バターとメープルシロップで仕上げる、という3つの判断に集約されます。ほかの国のパンケーキとも比べたくなったら、餡を包んで焼く韓国のホットク、穴だらけのモロッコのバグリール、薄い発酵生地のソマリアのカンジェーロを見てみてください。それぞれ粉も生地も食卓での役割も違う、別の料理です。
同じ国のほかの料理は、米国の料理で紹介しています。

















