カリブ海の小さな島国グレナダの国旗をよく見ると、左側の緑の三角形の中に、小さな木の実の絵が描かれています。これはナツメグ。島の主要な輸出品を表す印として、1974年の独立のときから旗に残されてきました。グレナダが「スパイスの島」と呼ばれるのは、このナツメグのためです。その島で暑い午後に食べたいのが、すりおろしたばかりのナツメグをたっぷり使った、ほんのり甘く香るナツメグアイスクリームです。
材料は牛乳、生クリーム、卵、砂糖、そしてホールのナツメグだけ。ナツメグをハンバーグの下味でしか使ったことがない人ほど、甘いお菓子の中でこれほど華やかに香ることに驚くはずです。アイスクリームメーカーがなくても、冷凍庫で固められます。
国旗にナツメグを描く「スパイスの島」

英語版ウィキペディアの「グレナダの国旗」の項目によると、旗の左側の三角形に描かれているのはナツメグで、島の主要な輸出品を象徴しています。1974年に独立したとき、それまでの旗から唯一引き継がれた図柄がこのナツメグでした。島の暮らしと経済が、それだけこの香辛料と結びついてきたということです。
ただし、島のナツメグはいつも順調だったわけではありません。英語版ウィキペディアの「グレナダ」の項目によると、2004年9月、それまで49年間ハリケーンの直撃を受けていなかった島を、ハリケーン・アイバンが襲いました。島の住宅の9割が被害を受け、翌2005年のハリケーン・エミリーと合わせて、農業、とくにナツメグ産業は大きな打撃を受けました。新しく植えた木が育つにつれて、産業が少しずつ立ち直ることが期待されています。
ナツメグは、ニクズクという木の実の種です。種を包む赤い網目状の皮を乾かしたものが、もうひとつの香辛料「メース」になります。ひとつの実から2種類のスパイスがとれるわけです。グレナダのナツメグ生産の多くは小さな農家が担っていて、英語版ウィキペディアでは、生産者の7割以上が年間の販売量500ポンド(約230kg)未満の小規模な農家だと紹介されています。
そんなスパイスの島の甘いものが、ナツメグアイスクリームです。アメリカの料理サイト、グローバル・テーブル・アドベンチャーは、グレナダから届いたこのレシピを「遠い国の味なのに、どこか懐かしい。まるで夏のエッグノッグ」と紹介しています。卵と牛乳のカスタードにナツメグを効かせた味は、たしかに冬の飲み物エッグノッグを冷たくしたような親しみやすさです。
途中で見つける、味の決め手
なめらかに仕上げるコツ

アイスクリームメーカーなしで作るときにいちばん大事なのは、凍りかけのうちに何度も混ぜることです。混ぜるたびに大きな氷の粒が砕かれ、空気が入って、口どけのよいアイスになります。フード・ドット・コムのレシピのコメント欄にも、アイスクリームメーカーを使わずに冷凍庫で作ったという声が寄せられています。
カスタードを79℃まで温めるときは、温度計があると失敗しません。温度計がない場合は、木べらの背の膜を指でなぞり、線が流れずにはっきり残るかどうかで判断します。
ナツメグの香りは、カスタードを温めるときに牛乳へ移すとまろやかに、仕上げにすりおろして散らすと鮮やかに立ちます。両方を使うと、香りに奥行きが出ます。
卵黄だけで作る濃厚な版

全卵ではなく卵黄3個を使い、牛乳を多めにする作り方もあります。卵黄だけで作ると、色が濃い黄色になり、よりカスタードらしい濃厚な味に仕上がります。その場合は、牛乳600ml、生クリーム360ml、グラニュー糖200g、卵黄3個、すりおろしたナツメグ小さじ1が目安です。
同じレシピでは、牛乳と生クリームに砂糖の半量とナツメグを入れて温め、残りの砂糖を卵黄と白っぽくなるまで泡立ててから合わせます。こうすると牛乳にナツメグの香りがよく移り、やわらかく丸い香りのアイスになります。
よくある質問

パウダーのナツメグでも作れますか?
作れますが、香りはかなり弱くなります。パウダーを使うなら小さじ2を目安にし、仕上げに散らす分だけでもホールをすりおろすと、香りの差がよくわかります。
どのくらい保存できますか?
冷凍庫で保存できますが、時間がたつと霜がついて香りも弱くなります。保存日数のはっきりした目安は示せないので、早めに食べきってください。硬くなりすぎたら、食べる10分前に冷蔵庫へ移すとすくいやすくなります。
子どもが食べても大丈夫ですか?
この記事の分量なら、ナツメグは1人あたりほんの少量です。ただし、ナツメグは大量にとると体調を崩すことがある香辛料なので、分量を増やさないでください。
アレルギーで気をつける材料は?
卵と乳(牛乳・生クリーム)を使います。













