ファルシ・プリ ― 黒こしょうの粒が見える、平たいグジャラートの軽食
詰め物のない小さな平たい円盤にし、カリッとした食感に仕上げます。ホールのクミンと粗びき黒こしょうの粒が見え、味もはっきり感じられることが大切です。揚げる前に1枚ずつ穴を開けて、膨らませないようにします。
粉に溶かしたギーをすり込むと、粉はほろほろとした細かいかたまりになります。指でつまんでみると、粉に戻らず、崩れやすい形のまま残ります。このリッチで口どけのよいほろほろ感が、ファルシ・プリの出発点です。このあと生地は小さな円に伸ばされ、フォークで穴を開けられて、ゆっくりと黄金色になるまで揚げられます。表面には、砕いた黒こしょうとホールのクミンが顔を出します。
ファルシ・プリは、インド西部のグジャラート地方の、乾いた揚げスナックです。この記事のレシピは、Spice Up The Curry で公開されている Kanan Patel さんの「Farsi Puri」という1本のレシピに沿っています。使うのは、マイダ(all-purpose flour)、セモリナ、ギー、ホールのクミンシード、粗く砕いた黒こしょう、塩、水です。Patel さんは、ディワーリー(インドの灯りの祭り)に作り、お茶と一緒に食べるグジャラートの軽食として紹介しています。穴を開けて平らに揚げるので、ふっくら膨らむプリや、パーニープーリーに使う空洞の揚げ殻とは別物です。
以下の分量と手順は、Patel さんのレシピだけに基づいていて、ほかのレシピとは混ぜていません。このレシピで使うアメリカのカップは1カップ240mlで、粉・セモリナ・ギーは容量で量ります。日本で一般的な200mlのカップとは容量が違うので、お使いのカップの容量が異なる場合は、表に載せたミリリットルの量を目安にしてください。レシピカードには「Serving Size 10」とありますが、何枚できるかは書かれていません。調理時間は準備20分、加熱20分、合計40分と記されています。ただし作り方には別に15〜20分の休ませる時間があるため、これは Patel さんの見積もりとして受け取ってください。
世界ごはん紀行では、このレシピ全体の試作はまだ行っていません。
ファルシ・プリが似合う場所 ― お茶の時間、ディワーリー、グジャラートの缶

ファルシ・プリは、食事のパンではなく、先に揚げて取っておくスナックです。 Kanan Patel さんは、ディワーリーやお茶と結びついたグジャラートの軽食として紹介しています。別の家庭料理のページ Milhaan Home も、自分たちのファルシ・プリをディワーリーとお茶の時間のスナックとして載せています。ただ、これらのページが示すのは、それぞれの書き手がどんな場面で作っているか、までです。グジャラートのすべての家庭が同じやり方で、同じ季節に作っていることを示すものではありません。
食と栄養の参考書にも、似た姿が出てきます。『Multicultural Handbook of Food, Nutrition and Dietetics』(Blackwell/Wiley、2012年)の「Gujarati Diet」の章には、グジャラートの食べ物の用語集があります。その中の「Furshi puri」という項目は、plain flour とセモリナに塩、クミン、砕いた黒こしょうを加え、小さな円に伸ばして切れ目を入れ、カリッとなるまで揚げたスナックと説明されています。材料と、切れ目を入れてカリッと揚げる形は、よく一致しています。ただし綴りが違うので、「Furshi」と「Farsi」が同じ言葉の確定した音訳だと、この記事では言いません。
名前の意味も、よく聞かれる点です。Patel さんのページやほかのレシピページには、「Farsi」はグジャラート語で薄くはらりとした、またはカリッとした(khasta)という意味だと書かれています。ただ、今回集めた資料では、この意味を独立して確かめることはできませんでした。ペルシャ起源だという記述や、このスナックが生まれた時期についての記述もありません。この記事では、それらを未解決のままにしておきます。同じ国のほかの料理は、インドの国ページからどうぞ。
この料理に使える食材・調味料
道具
- スタンドミキサー(ドゥーフック付き)とそのボウル
- へら
- 黒こしょうを粗く砕くもの(すり鉢と乳棒など)
- 休ませる生地にかぶせるボウルか皿
- めん棒
- フォーク
- カダイ(インドの揚げ鍋)または深鍋
- 穴あきお玉
- 冷ますための皿
- 密閉容器
選び方と代用
粉。 マイダ(all-purpose flour)は、インド食材店で売られている精製した白い小麦粉です。全粒粉のアターを使うと、プリはより密な食感になります。アターは同じ軽さの代用ではなく、別の食感になるものと考えてください。特定のスーパーの小麦粉をマイダの同等品として挙げることは、この記事ではしません。
セモリナ。 スージー(sooji)やラヴァ(rava)の名前でも売られているセモリナを探します。
ギー。 生地に使うのは油ではなく、溶かしたか半分溶かした状態のギーです。先に書いたとおり、ギーは乳製品です。
クミンと黒こしょう。 クミンはホールのクミンシード、黒こしょうはホール(粒)のものを用意します。クミンは挽かずそのまま使い、こしょうは混ぜる直前に粗く砕きます。この砕いた粒が見えることが、この配合の大きな特徴です。
買い物のときは、次の言葉で探すと見つかりやすくなります。maida または all-purpose flour、semolina/sooji/rava、ghee、ホールの cumin seeds、black peppercorns。
うまくいかないときは
| 見た目の状態 | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 手順3で、つまんだ混ぜものがぼろぼろに崩れる | ギーが粉全体にまだなじんでいない | ギーを少しずつ混ぜ込み、もう一度つまんで確かめる。 |
| 生地がなめらかでなく、ざらざらして見える | 確認の必要はなし。想定どおり | そのまま進める。生地はまとまっていて、ロティの生地より固ければよい |
| 油の中でプリが膨らむ | その円に穴を開けたかどうか | 揚げる前に、1枚ずつ4〜5か所穴を開ける。平らに保つのは穴 |
| 試しの生地片がすぐに浮く | 油が熱すぎる | 火を弱火に保って落ち着かせ、もう一度試す。一瞬沈んでから浮くのが目安 |
| カダイが混み合っている | 一度に入れすぎ | 一度に揚げるのは数枚だけにする |
| プリが思ったより密な食感になる | マイダの代わりにアターを使っていないか | アターを使うと密な食感になる。軽く仕上げたいならマイダを使う |
家庭ごとに違う ― ほかのファルシ・プリのレシピとの差
ここで取り上げるのは、別の書き手による別のレシピです。同じファルシ・プリでも、台所ごとにこれだけ違うことを示すもので、ここでは新しい配合として混ぜていません。ほかのレシピの要素を Patel さんのレシピに入れ替えても同じようにできるかどうかは、試していません。
| 項目 | Kanan Patel(この記事のレシピ) | ほかの公開レシピ |
|---|---|---|
| 粉 | マイダ。アターだと密な食感になると注記 | Milhaan Home は plain flour を使う |
| セモリナ | 入れる | Hari Chandana Ponnaluri(Blend with Spices)は入れる。Milhaan Home の材料表にはない。Wiley の参考書の「Furshi puri」の項目にもセモリナがある |
| スパイス | 粗く砕いた黒こしょうと、ホールのクミン | Ponnaluri は黒こしょう、クミン、アジョワンを挽いて粉にする。Milhaan Home はローストしたクミンパウダーと粗挽きの黒こしょうを使う |
| 油脂 | 粉に混ぜ込むギー | Ponnaluri は生地に油を使い、やわらかい生地にする。Milhaan Home は層のあいだに追加のギーを塗る |
| 成形 | 小さな生地片から、直接直径3インチの円に伸ばして穴を開ける | Ponnaluri と Milhaan Home は、大きな円を棒状に巻いて切り、切った片をもう一度伸ばす |
これらのレシピの数字のうち、使わないほうがよいものが2つあります。Milhaan Home のギーは「大さじ2(60ml)」と書かれていますが、この2つの単位は一致しません。そのため、この量は使いません。また、Milhaan Home が示す16枚という出来上がり枚数は、そのレシピ自身のものです。Patel さんのレシピで何枚できるかを示すものではありません。
同じ「プリ」でも別の料理 ― ダルプリ、パーニープーリー、ドール・プリ
「プリ」という言葉は多くの料理名に出てきますが、形も、詰め物も、調理法もまったく違うことがあります。
| 料理 | どんな料理か | ファルシ・プリとの違い |
|---|---|---|
| ファルシ・プリ | クミンと黒こしょうを効かせた、詰め物のない平たいグジャラートのスナック。穴を開けて、カリッとなるまで揚げる | — |
| ダルプリ | 味つけしたダル(豆)を詰めたインドのプリ | 豆の詰め物がある |
| パーニープーリー | じゃがいもやひよこ豆を詰め、味つけしたパーニー(水)を注いで、すぐに食べる空洞の揚げ殻 | 殻は膨らんで空洞になるのが前提。ファルシ・プリは膨らまないように穴を開ける |
| ドール・プリ | 生地に黄色いひき割りエンドウ豆が入った、モーリシャスの薄いフラットブレッド。タワ(鉄板)で焼き、カレーと一緒に巻いて食べる | 揚げずに鉄板で焼き、食事の一部として出される |
よくある質問
なぜ生地に穴を開けるのですか?
円1枚につき4〜5か所穴を開けると、油の中で膨らまず、平らでカリッと揚がります。膨らんで空洞になることを前提としたパーニープーリーの殻とは、反対のやり方です。
マイダの代わりに全粒粉のアターを使ってもいいですか?
Patel さんは、アターでも作れるが、より密な食感のプリになると述べています。マイダで作ったものとは、食感が変わると思っておいてください。
何枚できますか?
Patel さんのレシピカードには「Serving Size 10」とありますが、何枚できるかは書かれていません。枚数の目安はありません。
どのくらい日持ちしますか?
完全に冷ましてから、密閉容器に入れて保存します。Patel さんは約3〜4週間と見積もっています。これは Patel さん自身の目安で、品質や安全を独立して確かめた保証ではありません。
つまみ確認で崩れたとき、ギーはどのくらい足せばいいですか?
つまんだ混ぜものが崩れるときはギーを調整するようにと Patel さんは書いていますが、追加する量は示していません。材料表の1/3カップから始め、必要なら少しだけ足してください。
スタンドミキサーがなくても作れますか?
Patel さんの作り方は、ドゥーフック付きのスタンドミキサーを使う前提で書かれています。手で混ぜる方法はこの記事のために試していないので、手作業の手順は載せていません。
油の温度は何度にすればいいですか?
レシピには、温度の数値は書かれていません。油を中火で温め、熱くなったら弱火に落とし、生地の小片で確かめてください。一瞬沈んでから浮けばよい状態です。そのあと、弱〜中火で黄金色にカリッとなるまで揚げます。
「Farsi」はペルシャ、それとも「カリッとした」という意味ですか?
Patel さんのページを含むレシピページには、「Farsi」はグジャラート語で薄くはらりとした、またはカリッとした、という意味だと書かれています。この記事で使った資料では、その意味を独立して確かめられず、ペルシャ起源を支持する資料もありません。Wiley の参考書は、よく一致するスナックを「Furshi puri」と綴っているので、綴りの由来も解決していません。






























