薄切りの赤玉ねぎと唐辛子に、ライム果汁と塩を加えて手で揉みます。玉ねぎがほんの少ししんなりしたら、削りたてのココナッツを混ぜ、最後に水気を切ったツナをほぐして、魚の形を残すようにそっと和えます。できたボウルは食べる直前まで冷やしておき、平らな鍋で焼いた薄く柔らかい小麦のパン、ロシと一緒に朝の食卓へ。これがマス・フニです。
ツナは目に見えるほぐし身のまま、ココナッツは一本ずつ粒が分かる状態で、玉ねぎには少し歯ざわりを残します。マス・フニはペーストではなく粗く混ぜた和え物で、冷たいまま、焼きたての温かいパンと食べます。
このレシピは、Maldives Chefs' Forumの「Mashuni with Homemade Roshi」を土台にした4人分です。火を使わずに作るマス・フニにはツナ缶を使い、ロシ8枚は粉から作ります。出典には、下ごしらえ25分、調理20分とあります。料理名はMas HuniとMashuniの2通りの綴りで見かけますが、これについては後ほど触れます。
ツナとココナッツを合わせる、モルディブの朝食
マス・フニは、ツナ、削りココナッツ、玉ねぎ、唐辛子、柑橘を合わせ、ロシと食べる料理です。世界観光機関(UNWTO)が2021年にまとめたモルディブの食の概説は、魚、ココナッツ、米を伝統的な料理の要となる食材に挙げ、ツナを主な魚としています。マシュニの項では、茹でたツナ、缶詰のツナ、燻製のツナのいずれかに、削ったココナッツ、薄切りの玉ねぎ、ライム、唐辛子を合わせる朝食として紹介し、ロシと濃いブラックティーを添えることを勧めています。ただしこれは国全体を見渡した概説で、どの家庭でも同じように食べているという意味ではありません。
綴りは資料によって違います。Visit MaldivesはMas Huni、Maldives Chefs' ForumとUNWTOの冊子はMashuniと書いています。同じ料理の表記違いなので、レシピを探すときは両方の綴りで検索すると見つけやすくなります。資料には茹でた、缶詰、燻製のツナが並んでいますが、このレシピでは、Chefs' Forumの材料欄にある「canned or cooked tuna, drained and flaked(缶詰または加熱したツナ、水気を切ってほぐす)」のうち、日本でも手に入りやすい缶詰のツナを選びました。
世界ごはん紀行には、同じモルディブの料理で魚とココナッツなど近い材料を使うマスクロルヒのレシピもあります。マスクロルヒは米のお粥バイペンに添えて食べ、マス・フニはロシと食べる料理です。材料が似ていても、同じ料理ではありません。
道具
- ボウル2つ(マス・フニ用と、生地用の広いもの)
- はかりと計量カップ
- 麺棒
- 平らなフライパンか鉄板
- パンを返すへら
- 生地にかぶせ、焼いたロシを保温するための清潔な布巾
ココナッツ・唐辛子・ライム・粉の選び方と代用
ココナッツ。 食感と風味のために、削りたての生ココナッツがおすすめです。手に入らなければ、冷凍の削りココナッツも使えます。砂糖入りの製菓用ではなく無糖のものを選び、解凍して水が多く出ていないか確かめてから量ってください。生とは香りが少し違います。乾燥ココナッツは、このレシピには使いません。
唐辛子。 唐辛子は大きさも辛さも幅があるので、辛いのが苦手なら種を除くか、本数を減らしてください。スコッチボネット(現地名Githeyo Mirus)はかなり辛い可能性があるので、普通の赤唐辛子と同じ量で置き換えないでください。
ライム。 Visit Maldivesの版はレモン果汁を使っていて、分量も大きく異なります。レモンは代用になりますが香りが変わり、ライムと同じ味にはなりません。
ツナ缶。 塩分は商品によって違います。塩5gは量っておき、ツナがすでに塩辛いなら控えめに入れて、味を見ながら残りを足します。
玉ねぎ。 薄く切ります。水にさらすと水分と風味が変わるので、このレシピではさらさず、ライムと塩で揉む方法を取ります。
カレーリーフ。 任意です。なければ別のハーブで補わず、そのまま省いてください。
粉と油。 薄力粉を使います。強力粉に替えると生地の性質が変わります。香りの強い油を使うと、ロシの風味が変わります。
水っぽい、辛すぎる、ロシが固いときの直し方
| 起こること | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| マス・フニが水っぽい | ココナッツの水分、ツナの水切り不足 | ツナはしっかり水気を切り、つぶさない。冷凍ココナッツは解凍後に水が出ていないか確かめる。ココナッツミルクは足さない |
| 玉ねぎの辛みが強い | 切り方が厚い、玉ねぎの個体差 | 薄く切り、ライムと塩で約1分きちんと揉む |
| 辛すぎる | 唐辛子の品種、種とわたの量 | 次は種を除くか本数を減らす。スコッチボネットと普通の赤唐辛子を同じ辛さと考えない |
| 魚のペーストのようになった | 混ぜすぎ | ココナッツのあとにツナを最後に入れ、やさしく折り込む |
| 塩辛い | ツナ缶の塩分が高い | 塩は別に量り、少しずつ加えて味を見る |
| ロシが固い、乾く | 水が少ない、薄く伸ばしすぎた、焼きすぎ、覆わずに置いた | 水は160mlから始めて180mlまでで柔らかさを調整する。各面の時間を見て、焼けたものは布巾で覆う |
変化:燻製ツナ、辛い唐辛子、野菜
燻製ツナ。 Visit Maldivesは燻製か缶詰のツナを挙げています。燻製ツナは風味が強く塩気も増えるので、塩を入れる前に味を見てください。水気を切った缶詰とは重さも水分も違うため、このレシピの分量がそのまま使えるとは限りません。
スコッチボネット(Githeyo Mirus)。 Visit Maldivesのレシピは、この唐辛子を現地名で挙げています。非常に辛い可能性があり、普通の赤唐辛子と1対1で置き換える換算はないので、少量から試してください。
野菜を加える。 UNWTOの冊子には、かぼちゃ、ひょうたん、なす、青菜などの地元の野菜をマシュニに混ぜることがある、と書かれています。分量や作り方は出典にないため、このレシピには含めません。家庭や地域によって幅があることを示す例として受け取ってください。
カレーリーフなし。 基本のレシピでは任意なので、省いてかまいません。
食べ方

このレシピは4人分でロシが8枚なので、1人2枚の計算になりますが、食べる量は人それぞれです。マス・フニは軽く冷やすか室温で、ロシは布巾の下で温かいまま食卓へ出します。ロシにマス・フニを少しずつのせて、包むかすくうようにして食べるのが一つの食べ方ですが、これだけが決まりではありません。Chefs' Forumは、ブラックティー、ゆで卵、ライムを任意の添え物として挙げ、UNWTOの冊子は濃いブラックティーを勧めています。Visit Maldivesは、マス・フニをロシかファラタと一緒に出すとしています。
少し古い資料ですが、Visit Maldivesの旧サイトのページには、マレのカフェや有人島のティーショップで、ヘディカー(hedhikaa、軽いおやつ)を食べる習慣が書かれています。ツナの燻製のvaloamasと、燻製して天日で干したhikimasも挙げられています。このページには日付が見当たらないため、今の家庭の食卓を示すものではなく背景の資料として読んでください。
よくある質問
マス・フニとマシュニは違う料理ですか?
いいえ、同じ料理の綴り違いです。Visit MaldivesはMas Huni、Maldives Chefs' ForumとUNWTOの冊子はMashuniと書いています。
ツナ缶で作れますか?
作れます。基本のレシピは缶詰か加熱したツナを認めています。缶詰はしっかり水気を切ってほぐし、250gを量ってください。生の魚には替えないでください。
乾燥ココナッツでも作れますか?
このレシピは、生の削りココナッツを使います。乾燥ココナッツの戻し方と水の量は出典で確かめられていないため、勧めていません。冷凍の削りココナッツが手に入るなら、解凍して水分を確かめてから使ってください。使えますが、香りや食感は生と少し違います。
マスクロルヒとはどう違いますか?
魚やココナッツなど重なる材料はありますが、別の料理です。マスクロルヒは米のお粥バイペンに添え、マス・フニはロシと食べる朝食です。
ロシ8枚は何人分ですか?
出典では4人分で8枚です。1人2枚というのは、その数を均等に割っただけで、食べる量には個人差があります。

















