背の高い透明なグラスの底に、甘い豆やゼリー、果物が小さなスプーンで少しずつ収まっていきます。その上に雪のような削り氷を山のように盛り、エバミルクが氷の間を伝って落ち、てっぺんにはレチェフランとウベ、アイスクリームのひとすくい。そこへ長いスプーンが差し込まれると、整った層は一口ごとに別のものに変わっていきます。層のまま出して、食べる人が混ぜる。それがフィリピンのハロハロです。
ハロハロは、グラスの中で彩りが重なり、最初のひと混ぜで一つになる
底に甘い具、その上に細かい削り氷、無糖のエバミルクを回しかけ、最後に濃厚なトッピングをのせます。層のまま出して、混ぜるのは食べる人に任せます。
ハロハロ(halo-halo)は、フィリピンの言葉で「混ぜる」を意味する halò に由来し、英語では「mix-mix」と訳されます。名前はそのまま食べ方の指示でもあります。層が見えるように混ぜずに出し、食べる人が底からすくい上げていくので、氷、ミルク、豆、果物の割合が匙ごとに変わり、同じ味の一口は二度とないデザートになります。
ここで紹介するのは、加熱なしで4杯分を作る家庭向けのレシピです。具は市販の調理済み品を使うので、手間は冷やす、水を切る、組み立てるだけ。参考にしたレシピでは、組み立てにかかる時間は約10分で、具を冷やす時間は別です。ハロハロには決まったレシピがないので、ここに挙げた具を全部そろえる必要はありません。甘い豆、果物、ゼリー、氷、無糖のミルクという軸を残して、手に入るもので組み立ててください。
ビサヤ地方には、ビニグニット(binignit)という温かいデザートがあり、ginataáng halo-halo とも呼ばれます。名前の一部は同じですが、温かい別の料理です。この記事で扱うのは冷たいかき氷のハロハロです。
この料理に使える食材・調味料
用意する道具
- かき氷機(細かい削り氷を作るため)
- 背の高い透明グラス 4個
- 食べるときの長いスプーン
- 瓶詰め・缶詰の具の水を切る小さなざるとボウル
- 具を重ねるための小さじ
- 余った具を分けて入れる容器
具の選び方と代用のしかた
ハロハロは、選ぶ楽しみのあるデザートです。甘い豆、ひよこ豆、果物、ゼリー、サゴ、ナタデココ、カオン、マカプーノ、ピニピグなど、店やレシピによって組み合わせが違います。そこで具は「豆」「果物」「ゼリーとココナッツ系」「トッピング」の仲間で考え、一つ欠けても仲間を欠かさないようにすれば十分です。同じものを探し回る必要はありません。
代用してもおいしい一杯になりますが、フィリピンの食材と同じ味や食感にはならないので、違いを知ったうえで選んでください。
| 見つからないとき | 代わりに使えるもの | 違い |
|---|---|---|
| 甘煮のmunggo・ひよこ豆・白いんげん | ほかの市販の甘煮豆、または甘納豆 | 甘納豆は砂糖の衣でかなり甘くなりやすく、豆の風味も異なる |
| カオン | 省く | 寒天ゼリーでは歯ごたえを再現できない |
| サババナナのシロップ煮 | 市販のバナナのシロップ煮、または普通のバナナを軽くシロップで煮たもの | 生食用のバナナはサババナナよりやわらかく、香りも違う |
| グラマン | 寒天ゼリーの角切り | 寒天ゼリーは固めに固まるものが多い |
| ウベハラヤ | 紫芋ペースト | 色は似ているが、香りと甘さが違う。無糖なら甘みは少しずつ足す |
| レチェフラン | 市販のカスタードプリン | カラメルとカスタードの固まり方が違う |
| ウベのアイスクリーム | バニラかマンゴーのアイス、またはなし | アイスなしのハロハロもある |
| ピニピグ | 玄米パフ、またはなし | 香ばしい香りが違う。なくても成り立つ |
ミルクは無糖のエバミルクが基本です。普通の牛乳では味が薄くなり、加糖練乳はずっと甘くなるので、どちらも同じ量での置き換えにはなりません。氷も細かく削ったものが大切で、粗いクラッシュアイスは粒感が強く、ミルクが全体に行き渡りにくくなります。
マカプーノ(やわらかく甘いココナッツの加工品)やサゴも、よく使われる具です。基本の具の代わりに、あるいは一緒に使えますが、そのまま食べられる調理済みの製品にしてください。サゴはグラマンとは別のものなので、同じゼリーとして扱わず、独立した選択肢として考えます。
甘すぎる、水っぽいときは、次の一杯でこう直す
ハロハロの失敗は、準備に原因があることがほとんどです。シロップを切っていない、氷を早く削りすぎた、具を一度に盛りすぎた、といった場合です。
| 困ったこと | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 甘すぎる | 具のシロップが残っている、加糖練乳を使った、具が多すぎる | 具をよく水切りし、無糖のエバミルクを使い、具は小さじ1ずつから始める |
| すぐ水っぽくなる | 具やグラスが冷えていない、氷を早く削った、シロップを切っていない | 具とグラスを冷やし、氷は出す直前に削る |
| 具が全部そろわない | 専門的な食材が手に入らない | 全部そろえなくてよい。豆、果物、ゼリー、氷、無糖のミルクを残し、ほかは省く |
| 層が崩れる | 順番を変えた、出す前に混ぜた | 具、氷、ミルク、トッピングの順を守る。混ぜるのは食べ始めてから |
| 現地の味と違う | 甘納豆、プリン、紫芋、普通のバナナなどで代用した | 風味や甘さが違うので、完全な再現ではなく自分なりの一杯として楽しむ |
アレンジ|グラスのバランスを変える
| アレンジ | 方法 | 変わること |
|---|---|---|
| 豆を多めに | munggo、ひよこ豆、白いんげんのうち2種類を使う | ほくっとした食感が増すが、甘さも増す |
| 果物を多めに | ジャックフルーツとサババナナを中心にする | 香りとやわらかさが増す |
| さっぱり仕上げ | アイスを省き、甘い具をよく水切りする | すっきりして重くない。アイスなしのハロハロもある |
| ミルク少なめ | エバミルクを減らす | 具それぞれの味が立つ。ココナッツミルクを使う型もあるが、風味は変わる |
| 食感重視 | グラマンと調理済みのサゴを併用し、ピニピグは直前に振る | もちもちとカリカリが重なる。食感が重なるので、それぞれ量は控えめに |
名前がそのまま食べ方になった料理
ハロハロは、フィリピノ語の halò「混ぜる」に由来し、英語では「mix-mix」と訳されます。辞書の表記として haluhalò も挙げられています。名前は単なる呼び名ではなく、混ぜることが食べ方そのもので、匙ごとに氷、ミルク、豆、果物の割合が変わっていきます。
由来としてよく紹介される説があります。フィリピン観光省系の観光ガイド(Tourism Philippines)は、マニラのキアポ地区の日本人移民と、日本のかき氷(kakigōri)、緑豆の甘煮に氷をのせた monggo con hielo を挙げています。ただし、これは広く語られている説明であり、確かな史実として確立されたものではありません。ハロハロのルーツを説明する一つの見方として読んでください。
はっきりしているのは、決まったレシピがないことです。甘い豆、ひよこ豆、果物、ゼリー、サゴ、ナタデココ、カオン、マカプーノ、ピニピグはさまざまに組み合わされ、アイスを入れない店もあります。冬瓜、ドリアン、いちごのアイスといった地域ごとの味も紹介されていますが、あくまで例であり、全国共通の標準ではありません。唯一の「正統な一杯」はないと考えてよさそうです。
なお、豚肉、魚醤、青菜と緑豆を煮るフィリピンの塩味のスープ「モンゴ(monggo)」は、同じ豆を使いますが、まったく別の料理です。ハロハロの甘い豆の作り方ではありません。
よくある質問
ハロハロはどういう意味ですか?
フィリピノ語の halò「混ぜる」に由来し、「mix-mix」と訳されるのが一般的です。名前が食べ方を教えてくれます。
具は全部そろえる必要がありますか?
いいえ。ハロハロに決まったレシピはなく、具の選び方にはとても幅があります。甘い豆、果物、ゼリー、削り氷、無糖のエバミルクを軸にして、手に入らないものは省いてかまいません。
出す前に混ぜたほうがいいですか?
混ぜません。層を保ったまま長いスプーンを添えて出し、食べる人が底から混ぜながら食べます。
削り氷がなくても作れますか?
細かく雪のように削れるかき氷機が最適です。クラッシュアイスを使うと粒感が強く、ミルクも均一に行き渡りにくいので、仕上がりが変わることを承知のうえで作ってください。
ウベの代わりに紫芋を使えますか?
色は近いですが、香りと甘さが違います。ウベハラヤがなければ、省くか、代用品と割り切って紫芋ペーストを使ってください。
エバミルクの代わりに加糖練乳を使えますか?
同じ量では使えません。加糖練乳はずっと甘く、普通の牛乳は薄くなります。このレシピの基本は無糖のエバミルクです。
作り置きはできますか?
組み立てたあとは、氷が溶けるので作り置きできません。具は前もって準備して、種類ごとに別々に保存し、食べる直前にグラスに組み立てることができます。開封した商品は表示に従って保存してください。
ビニグニットと同じものですか?
違います。ビニグニット(ginataáng halo-halo とも呼ばれる)はビサヤ地方の温かいデザートで、冷たいハロハロとは別の種類の料理です。

















