カオトム:香りのよい鶏だしに、やわらかい米粒
先に香りのよいだしを作り、そこへ生の米を入れてやわらかくなるまで煮ます。汁の中に米粒が見えるままにしておくと、なめらかな粥にならず、スープのままの一杯になります。
タイ料理のサイト「Susie Cooks Thai」を書いているSusie Thompsonは、朝の市場で売り手がカオトムの鍋を保温していた光景を覚えているそうです。体調がすぐれない子どもの頃の日にこのスープが作られたこと、父親はどんな時間でも食べていたことも、あわせて語っています。いずれも一つの家庭の思い出で、このレシピの舞台になっているのは、Thompsonの母が家で作り続けてきたカオトムです。
カオトム(ข้าวต้ม)は米のおかゆに少し似ていますが、食べ心地は違います。ナンプラー、しょうゆ、しょうが、レモングラス、にんにくで味と香りをつけただしの中で、ジャスミン米がやわらかくなり、米粒は汁の中に残ったままです。仕上げに青ねぎ、パクチー、カリカリのフライドガーリックを散らし、ライムを添え、辛いのが好きな人には薄切りの唐辛子を別に出します。
カオトムという名前の鍋は一種類ではありません。豚ひき肉を入れたものや、炊いてあるご飯を使うものなど、ほかのレシピもあります。そのため、この記事では代表的な家庭の一例を紹介するもので、これだけが正しい作り方だとは言いません。また、カオトムは、もち米、ココナッツ、バナナを葉で包んで蒸す甘いお菓子カオトムマット(ข้าวต้มมัด)とは別の料理です。世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 計量カップと計量スプーン
- 米を洗うボウル
- 目の細かいざる
- まな板と包丁
- 余裕のある厚手のスープ鍋(だしと米が吹きこぼれにくい大きさ)
- 香味を取り出すトングと小さな網じゃくし
- 味見用のスプーン
- お玉
- スープ用の器と、薬味を入れる小皿
選び方と代用
このスープの味を支えるのは、米、鶏だし、ナンプラー、しょうが、レモングラスです。以下は編集部からの提案で、どの置き換えも元の材料と同じ味にはなりません。
| 材料 | 選び方 | 替える・省くとき |
|---|---|---|
| ジャスミン米 | タイの香り米などのジャスミン米 | 短粒米だと食感が変わります。汁の量がそのままで合うとは限りません |
| 鶏だし | 無塩か塩分控えめのものだと味を整えやすい | 和風だしでは風味が変わります |
| ナンプラー | ふつうのナンプラー | 省くと味が変わり、しょうゆでは同じになりません |
| 白こしょう | 粉の白こしょう | 黒こしょうは香りが違います |
| レモングラス | 生か冷凍 | 省くと香りの柱が一つ減ります。乾燥品は香りが違い、同じ量で置き換える換算はありません |
| 青ねぎ | 細めの青ねぎ | 種類が違うと仕上がりが少し変わります |
| パクチー | 生のもの | 苦手なら省けますが、香りは変わります。ほかのハーブでは同じ味になりません |
| フライドガーリック | 味つけのない市販品がおすすめ | 好みで省けます |
| ライム | 生のもの | レモンは酸味と香りが違います |
| タイ唐辛子 | 生のもの | 好みで。手に入らなければ省きます |
ナンプラーは魚から作られ、しょうゆには大豆や小麦が含まれることがあります。市販のだしにもアレルゲンや塩分が含まれる場合があるので、それぞれの商品の表示を確認してください。
鍋の調子を整えるとき
以下の対処には決まった分量がありません。少しずつ加えて、そのつど味を見てください。
| 気づいたこと | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 味が薄い | 調味が足りない | ナンプラーを少し足して、もう一度味を見る |
| 塩辛い | だしがもともと塩辛かった | 温めただしか水を少し足す。次回は無塩か塩分控えめのだしを選ぶ |
| スープがもったりしてきた | 米が汁を吸い続けている | 温めただしか水を少しずつ足す |
| 米がまだ硬い | 煮る時間が足りない | ときどき混ぜながら、やわらかくなるまで煮続ける |
| 米粒が崩れてきた | 煮る時間が長かった | ジョークの方向に近づいている。次回は米がやわらかくなり、粒がまだ見える段階で止める |
| 香りが弱い | レモングラスに傷をつけなかった、または入れなかった | 次回は茎に傷をつけ、生か冷凍のレモングラスを使う |
カオトムのほかの形
このレシピには肉も卵も入りませんが、カオトムには一つの鍋では見せきれない幅があります。以下はそれぞれ別のレシピで、分量も時間も違うので、上のレシピに混ぜないでください。
| 形 | 違い | 載っている場所 |
|---|---|---|
| 生米を鶏だしで煮る | 香りのよいだしの中で米を煮る。たんぱく質を含むのはだしだけ | この記事 |
| カオトム・ムー・サップ(ข้าวต้มหมูสับ) | 豚ひき肉と、すでに炊いてある米を使い、レモングラスやしょうがなどの香味を合わせる | ThaiCookbook.tv |
| 手早く作る炊いた米のスープ | だしと水で香味を煮てから、炊いた米と加熱済みの豚肉か鶏肉を加える | UnlockFood |
このレシピのもとになったもの
Thompsonは、やわらかい米粒がスープに浮かぶカオトムと、さらに長く煮て米が崩れる粥のジョークを対比しています。この記事が頼りにしているのもその違いで、どちらが優れているとは考えません。Thompsonは、米が汁を吸い、煮続けるうちにスープが濃くなることにも触れています。
前に出てきた市場や家庭の情景は、Thompsonの個人的な思い出であって、タイのどの家庭でもそうだという証拠ではありません。一方、カナダの財団の転載レシピであるUnlockFoodのページは、スープをタイの朝食として屋台で売られ、前夜の残り物で作られるものと説明しています。ここではそのページの説明として紹介するだけです。この料理の起源や健康への効果はここでは確かめられていないので、何も主張しません。ほかの料理はタイの料理でも探せます。
Thompsonのレシピには、内部で食い違うところがいくつかあります。この記事でどう扱ったかを挙げておきます。
- 煮込みのにんにく:導入では軽くつぶしたにんにくを使い、香味はすべて取り除くと書かれています。レシピカードには2かけのみじん切りとあり、手順の解説で取り除くのはしょうがとレモングラスだけです。ここではカードに従い、みじん切りのにんにくはスープに残します。
- フライドガーリック:カードでは好みで入れるものとされ、本文では必要なもののように書かれています。ここでは用意済みのフライドガーリック1/4カップを使い、好みで省けるものにしました。
- 植物油:材料表に大さじ2が載っていますが、登場するのは薄切りにんにくを家で揚げるという補足だけです。その補足には生のにんにくの量も揚げ時間も書かれていないので、自家製のフライドガーリックは紹介しません。油は買い物リストにも、スープにも入れず、煮込みの2かけを二つの用途に分けることもしません。
- 時間:カードには準備5分、調理25分、合計30分とあります。詳しい手順では、だしを10分、米を25〜30分煮るので、準備や沸くまでの待ち時間を数える前の火にかける時間だけで35〜40分になります。合計時間はお約束しません。
- 計量:米とだしは1カップ対6カップです。両方に同じカップを使って量ってください。
- パクチー:材料表では刻むとあり、盛りつけの説明では葉を飾りとして扱っています。ここでは刻んでスープに散らします。
- 薬味を洗う:青ねぎ、パクチー、唐辛子を流水でよく洗い、ライムの皮を切る前に洗うのは、編集部が加えた手順で、Thompsonのレシピにはありません。これらは加熱しない薬味なので、スープの熱で安全や清潔が保たれるとは考えないでください。
よくある質問
カオトムとジョークは同じですか?
違います。Thompsonの説明では、カオトムはやわらかい米粒が見えるスープで、ジョークはもっと長く煮て米が崩れ、粥になったものです。
炊いたご飯でも作れますか?
ThaiCookbook.tvやUnlockFoodのように、炊いたご飯を使うレシピもありますが、時間も汁の量も違います。このレシピの分量と煮る時間は生米向けに書かれているので、炊いたご飯には当てはめないでください。
豚肉や卵を入れてもいいですか?
肉入りの作り方はあり、Thompsonの一般的な解説にも触れられていますが、このレシピには入っておらず、分量も示せません。豚肉を入れたいときは、上の表で紹介したカオトム・ムー・サップのように、豚肉向けに書かれたレシピに従ってください。
レモングラスが見つからないときは?
まず冷凍のレモングラスを探してみてください。ここで参考にしたレシピには同じ働きをする代用品がなく、省くと香りが弱くなります。乾燥品は香りが違い、同じ量で使う根拠もありません。
フライドガーリックは必須ですか?
必須ではありません。Thompsonのレシピカードでは好みで入れるものとされていますが、本文では必要なもののように書かれています。なくてもスープは完成しますが、カリッとした仕上げはなくなります。
作り置きはできますか?
この記事は、できたての熱いスープをすぐに食べる前提で書いていて、作り置きは勧めず、保存や温め直しの案内もしません。食べる前に米のせいでスープが濃くなったら、温めただしか水を少し足してゆるめてください。
具合の悪いときの薬代わりになりますか?
Thompsonは、体調がすぐれない日にこのスープが作られたことを覚えていますが、それは家族の思い出です。何かの病気を治したり助けたりするとは主張しません。








































