バインホイ — 米の細い糸をやわらかなシートにまとめた麺
麺はばらばらの山ではなく、小さくゆるい平たいシートのまま保ちます。温かいうちにねぎ油をまとわせ、豚肉・香草・つけだれは上にのせず、そばに添えます。
フリンダース大学(Flinders University)がまとめた、食にまつわる体験談の料理集に、クイニョン(Quy Nhơn)出身の寄稿者が、バインホイを朝ごはんとして思い出す話があります。家族の日々の暮らしや生計と結びついた料理だそうです。皿の上でほかの麺と違うのは形です。普通のビーフンより細い米の麺が、薄いレース状のシートにつながっていて、そのまま持ち上げられます。
この形こそが料理の核心です。Vietnamese Cookbookのレシピには、やわらかくした麺を温かいうちにシート状に整え、ねぎ油で仕上げて、焼き豚、香草、nước chấmと食べると書かれています。普通の米ビーフンでも同じように出せますが、バインホイらしい編み目のシートにはなりません。
この記事は、乾燥バインホイから作るその家庭向けレシピに沿っています。世界ごはん紀行編集部で試作したものではありません。分量と2〜3分というゆで時間の目安は公開されているレシピのもので、お手元の袋の表示がある場合はそちらを優先してください。
バインホイとは — 細い米の糸を押し出し、蒸してシートにする
バインホイは、米粉の生地を極細の糸状に押し出し、蒸してシートにした麺です。 Vietnam Women's Unionに掲載された記事は、伝統的な作り方を記録しています。米粉の生地を型から細い糸状に押し出し、竹のすのこで受けて蒸す、という流れです。これは伝統的な製法の話で、家庭では乾燥品がすでにその工程を済ませているため、押し出し型は要りません。
この形のため、バインホイは普通のブン(bún、米ビーフン)でも、具を巻く蒸し米皮のバインクオン(bánh cuốn)でもありません。どちらとも米を使う点は同じですが、細くて編み目のあるシートと食べ方は、バインホイ独自のものです。
同じ記事には、名前の由来も、料理が生まれた時期も、はっきりとは説明されていないとあります。この記事では、名前の由来についてどの説も採りません。
ビンディンの食卓 — 日常の皿にも、お祝いの皿にも

ベトナム中部のビンディン省(Bình Định)が、この記事の軸になる土地です。Vietnam Women's Unionの記事によると、ここではバインホイは日常の食べ物で、食事の代わりになることさえあります。乾いてくっつくのを防ぐために落花生油をシートに塗り、葉ねぎや葉にらをのせ、お祝いごとや親族の集まりでは、ゆで豚や焼き豚と一緒に食べると書かれています。ただしこの記事は2006年のもので、ある時期のある地域の姿です。現在の全国的な習慣を示すものではありません。
Vietnam National Authority of Tourismのビンディンのバインホイを紹介するページには、葉にら(lá hẹ)を刻んで油で香りを立て、上に広げるとあります。皿に1枚ずつシートを置き、添えものと一緒にすぐ食べる形が紹介され、テト(旧正月)、婚礼、婚約、法事の席にも出るとされています。同じページは、豚肉と一緒にライスペーパーで巻く食べ方は、この土地では一般的ではないとも説明しています。
下のレシピは、家庭向けレシピの青ねぎ油の版で、ビンディンの葉にら油ではありません。どちらもこの料理の実際の仕上げ方ですが、味が違うので、ここでは分けて扱います。ほかの国の料理も見たい方は、ベトナムのページからどうぞ。
選び方と代用 — 乾燥品、油、葉にら
探すのは、普通の米ビーフンではなく、平たい乾燥バインホイです。 袋には、薄いシートか、糸がつながった束が入っています。普通の米ビーフンは太さが違い、編み目の構造もないので、同じ仕上がりにはなりません。ベトナム食材店では、An NhơnやBình Địnhと書かれた袋が目当ての品かもしれません。ゆで時間は商品によって違うので、始める前に袋の表示を読んでください。
油は、米ぬか油、菜種油、落花生油のどれでも使えます。落花生油にすると、ビンディンの説明に香りが近づきますが、落花生を原料にした油なので、人に出すときはアレルギーに気をつけてください。菜種油は手に入れやすく、香りが少し違うだけで十分おいしく作れます。
このレシピの土台は青ねぎの青い部分です。6本の青ねぎを葉にらに替えるとビンディン風に近づきますが、味を意図的に変えることになるので、量は好みで加減してください。豚肉、香草、つけだれは麺そのものに必須ではなく、麺とねぎ油だけでも一皿になります。魚醤を避けたい場合は、醤油ベースのつけだれで代えられますが、nước chấmとは味が違います。
道具
- 大きな鍋
- ざる
- 耐熱ボウル
- 小鍋
- 盛りつけ用の皿
仕上がりを整える — くっつく、崩れる、焦げる
| 見た目の状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 麺がひとつの塊にくっつく | 袋の表示より長くゆでた | 次回は早めに1本持ち上げて確かめ、温かい水で表面を軽くすすいで水を切る |
| シートがばらばらの糸に崩れる | すすぎや扱いで強く引き離した、または冷めてから動かした | ざるから小さなシートのまま移し、温かいうちに油をかける |
| ねぎが茶色くなる | 油が熱すぎた | 160°Cの目安とねぎの色を頼りに、色づく前に注ぐ |
| 編み目のシートにまったくならない | 普通の米ビーフンを使った | 食事としては成り立つが、バインホイとは別の料理になる |
失敗の多くは、麺のゆで時間と温度に行き着きます。ゆでるのは袋の表示どおり、すすぎは短く温かい水で、そして整えて油をまとわせるまでを、シートが冷める前にひと息で済ませましょう。
食べ方 — 豚肉と香草を包むか、皿からそのまま

家庭向けレシピは、シートを1枚取って豚肉と香草を包み、nước chấmにつけて食べる方法を勧めています。ビンディンの観光ページに書かれているのは別の型で、シートを皿に置き、ねぎ油または葉にら油と添えものと一緒に、すぐに食べるというものです。どちらかが全国共通の伝統というわけではなく、家庭や地域ごとにそれぞれの出し方があります。
豚肉とつけだれは、麺とは別の料理です。この記事には漬け込みだれ、焼き方、つけだれの配合は載せていません。別のレシピで作った豚肉か市販の調理済みの豚肉と、できあがりのnước chấmを使ってください。
アレンジ
- 豚肉は1種類を選ぶ。 ローストポーク、焼いた豚バラ、ネムヌオン(nem nướng、豚の焼きソーセージ)のどれも麺の脇に添えられます。全部を一度に出す必要はありません。
- 香草は季節と買えるものに合わせる。 レタス、ミント、しそ、きゅうりを手に入りやすい組み合わせで。どれも必須ではありません。
- ビンディン風の葉にら油。 青ねぎの代わりに刻んだ葉にら(lá hẹ)を使うと、土地の説明に近い風味になります。試した分量は示されていないので、量は好みで調整してください。
- 麺とねぎ油だけの副菜。 油をまとわせたシートを、肉もたれもなしでそのまま出します。
よくある質問
バインホイは米ビーフン(ブン)と同じですか?
違います。食べ方は似ていますが、バインホイは細い糸がつながってシートになっています。Vietnamese Cookbookのレシピも、普通の米麺では同じ仕上がりにならないと指摘しています。
名前の意味や由来は分かっていますか?
Vietnam Women's Unionの記事は、名前の由来と料理が生まれた時期ははっきり説明されていないと述べています。この記事ではどの説にも決めていません。
別のレシピには麺を1分ゆでると書いてあります。どちらが正しいですか?
フリンダース大学の料理集のレシピは、バインホイを1分ゆでて冷水でほぐしますが、その麺が乾燥品かどうかは書いておらず、分量もこのレシピと違います。別の方法なので、ここには混ぜていません。まずは袋の表示に従ってください。このレシピでの乾燥バインホイのゆで時間の目安は2〜3分です。
葉にらが見つからなければどうしますか?
必要ありません。このレシピは青ねぎの青い部分が土台です。葉にらはビンディン風のアレンジとして紹介したもので、替えると風味が変わります。
何と一緒に食べますか?
家庭向けレシピでは、焼き豚、香草、nước chấmを勧めています。ビンディンの資料には、日常の食事でもお祝いの席でも、豚肉と油と葉ものを添える様子が書かれています。添えるものは、家庭や地域によって異なります。













