バインニャン:薄い白い砂糖衣をまとった小さな黄金色の揚げ菓子
このレシピは、世界ごはん紀行編集部で調理確認をしたものではありません。ハイハウの地元観光サイトに載っている小皿1枚分のレシピを土台に、生姜を入れない版で組み立てています。そのレシピには油の温度、油の量、できあがりの個数が書かれていないので、この記事でもそれらは示しません。揚げ具合と砂糖衣は、揚げ団子やシロップの見た目で判断してください。
指先ほどの卵色の生地玉が、深鍋の油のなかで弱火のままゆっくり転がり、ふくらんで黄金色になっていきます。冷ましてから煮詰めた砂糖シロップの鍋に入れ、かき混ぜ続けると、シロップは乾いて薄くつや消しの白い殻に変わります。
これがバインニャンです。ベトナム北部のデルタ地帯にあるハイハウの郷土菓子で、資料ではナムディン(Nam Định)の一部とされています。nhãn はロンガンのことですが、ロンガンは入っていません。生地はもち米粉と卵、あとは油脂と砂糖だけ。材料が少ない分、小さくそろった玉に丸める手つき、辛抱強い揚げ、砂糖が白く変わる瞬間の見極めに手仕事が集まります。
この生地には全卵を使います。レシピの作り手によると、全卵だと中がふくらんで空洞になるそうです。ベトナムのほかの料理はベトナムのページでも紹介しています。
道具
- ボウルとスプーン(どちらも清潔で乾いたもの)
- 清潔で乾いた板と包丁
- 丸めた生地玉をのせる乾いたトレー
- 深くて厚手の鍋
- 柄の長い穴あきおたま
- トレーの上に置く網
- シロップ用の小鍋
- 糖衣をからめる口の広いフライパンと木べら
- 油温計(あれば。温度が安定しているかを見る助けになります)
選び方と代用
粉。 粉末のもち米粉を選びます。ベトナムの食料品店では bột nếp の名で売られています。普通の米粉は別物なので、代わりに使わないでください。小麦粉はまったく使いません。日本の白玉粉ももち米から作られますが、別の製品です。同じ重さで置き換えないでください。
油脂。 食用油でも豚脂(ラード)でも作れます。香りは違うかもしれないので、ラードで揚げたものと同じ味になるとは期待しないでください。どちらか一方を選び、混ぜないのが決まりです。
食べ方と保存

冷めて、砂糖衣が固まってから食べます。甘い菓子には、何も入れないお茶が静かによく合いますが、これは編集部の提案であって、記録のある習慣ではありません。
保存する場合は、揚げ団子を完全に冷ましてから密閉容器に入れ、涼しく暗い乾いた場所に置く、とBáo Thái Nguyênは助言しています。ただしこの記事には、その助言を裏づける食品安全上の検証は書かれていません。レシピの作り手は食感がもつ期間にも触れていますが、それは安全性の根拠ではないので、ここでは日持ちの目安を示しません。早めに食べきることをおすすめします。
うまくいかないとき
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地が手につく | 卵の大きさに対して粉が足りない | 120〜130gの範囲で、粉を少しずつ足す。水は加えない |
| 生地玉にひびが入る | 継ぎ目が閉じていない、または大きさがふぞろい | 大きさをそろえて切り、手のひらで継ぎ目が閉じるまで転がす |
| 油のなかで破裂する | 生地に水が入った可能性がある | 生地に水を入れない。道具も台も乾いたものを使う |
| 外が濃い色、中が湿っている | 火が強すぎる、または一度に入れすぎ | 火を弱め、一度に揚げる数を減らす。冷ました一個を割って中を確かめる |
| 糖衣をからめるときに柔らかくなる | まだ温かかった | 次の分は、網の上で完全に冷ましてから使う |
| シロップがつやつやのまま | 砂糖がまだ結晶化していない | 弱火のまま、白く乾くまでかき混ぜ続ける |
| 砂糖が色づく、焦げたにおいがする | 火が強すぎる | すぐに火を弱めるか、フライパンをコンロから外す |
変化形と、根拠のおよぶ範囲
| 変化形 | 資料の記載 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 生姜入り | レシピには、生姜30gを任意として載せ、水100mlとともに砕いて濾すとある。そのうえで、シロップの段階でも水100mlが出てくる | 生姜水が100mlに含まれるのか、別に100ml加えるのかが判断できません。どちらとも決めないため、この記事では生姜を使う決まったレシピは示しません |
| ラード | レシピが認めており、Báo Thanh Niênが取材した作り手も勧めている | 食用油の代わりに使う。混ぜない |
| 卵黄のみ | レシピの作り手は、卵黄だけにすると中が空洞でなく詰まった仕上がりになると述べている | 卵が食感に与える影響の説明です。対応する粉の量が確認できていないため、別のレシピとしては扱いません |
| 温かいうちに糖衣 | Báo Thanh Niênが取材した作り手は、シロップが糸を引く段階で、揚げ団子が温かいうちにからめている | 別の作り手の技法です。この記事の「完全に冷ます」手順とは組み合わせません |
ハイハウの菓子と、名前をめぐる謎
Báo Thái NguyênとBáo Thanh Niênは、どちらもバインニャンをハイハウの菓子としてはっきり結びつけています。Báo Thái Nguyênの2011年の記事は、丸くて小さく黄色い形がロンガンに似ていることから名前がついたと説明し、この菓子の起源をクアンフォンハ(Quần Phương Hạ)とする地元の話も伝えています。いっぽうBáo Thanh Niênの書き手は、製造地を取材するなかで、地元の人でも名前の由来をうまく説明できないことを知りました。二つの話は食い違っており、どちらも定まった起源としては扱いません。
Báo Thanh Niênの見出しは、この菓子を王様に献上する tiến vua とも呼んでいます。しかし見出しと語り継がれた話は、王室への献上を示す一次的な証拠にはなりません。あくまで言い伝えであって、記録された歴史ではないということです。
菓子が暮らしのなかで占める位置も、時代とともに変わってきました。Báo Thái Nguyênには、テト(旧正月)のころに家族で手作りした記憶が載っていますが、それはひとつの思い出であって、すべての家庭を代表するものではありません。Báo Thanh Niênは、地元での製造、技の継承、伝統的な製法と並んで機械が入ってきたことを伝えています。また、卵の種類によって製品に違いが出るとも報じています。取材を受けた作り手が挙げる材料は、もち米粉、地元の鶏卵、白砂糖、ラードの四つです。家庭のレシピと市販の菓子は同じとは限らず、この記事は家庭のレシピに沿っています。
よくある質問
バインニャンにロンガンは入っていますか?
いいえ。Báo Thái NguyênもBáo Thanh Niênも、果物を使わない菓子として説明しています。生地はもち米粉と卵で、丸い形は名前の由来に関する地元の説明のひとつです。
名前の由来は確定していますか?
いいえ。Báo Thái Nguyênは見た目に基づく説明を挙げ、Báo Thanh Niênは地元でも十分に説明できなかったと報じています。
何個できますか?
わかりません。レシピは小皿1枚分としか書いておらず、個数も人数分も示されていません。編集部でも測っていません。
なぜ油の温度や揚げ時間を示さないのですか?
レシピに温度の記載がなく、約40分という数字も、一度に揚げる量、鍋、火力といった条件が書かれていないためです。数字をつくるかわりに、この記事では弱火と見た目の目安を示しています。
現地の味を出すにはラードが必要ですか?
そうとは限りません。Thanh Niênの作り手はラードを勧めていますが、家庭向けのレシピは食用油も挙げています。香りは違うかもしれませんが、どちらが一般的に優れているとは言えません。
もち米粉の代わりに白玉粉を使えますか?
同じ重さでの置き換えはおすすめしません。別の製品で、その代用を裏づける資料もないので、粉末のもち米粉のほうが無難です。

















